薬物事件における身体拘束について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
覚醒剤取締法違反の罪に問われた被告人Aさんは、逮捕・勾留により兵庫県明石警察署の留置場に拘禁されていました。
勾留決定と共に、接見禁止が付されており、Aさんは弁護人以外の者と面会することはできませんでした。
勾留延長の満期日に、Aさんは神戸地方検察庁に覚醒剤取締法違反の罪で起訴されました。
Aさんは、弁護人にすぐに保釈請求をしてほしいと話しています。
(フィクションです)
薬物事件で逮捕されたら
覚醒剤、大麻、麻薬、危険ドラッグなどの薬物に手を出し、警察に逮捕された場合、その後勾留される可能性は高いです。
勾留は、被疑者や被告人の身柄を拘束する裁判とその執行のことです。
起訴前の勾留を「被疑者勾留」、起訴後の勾留を「被告人勾留」と呼びます。
被疑者勾留は、逮捕が先行していること、検察官の請求によること、保釈が認められないこと、勾留期間が短いこと等の点で、被告人勾留と異なります。
被疑者を勾留するには、①勾留の理由、そして②勾留の必要性が必要です。
①勾留の理由
勾留の理由は、以下の通りです。
(a)被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある。
かつ、
(b)次の少なくとも一つに該当する。
・住所不定
・罪証隠滅のおそれ
・逃亡の恐れ
薬物事件の場合、薬物の入手先や譲渡先など被疑者本人だけでなく複数人が事件に関与しているため、釈放されることにより関係者と接触し、罪証隠滅を図るおそれが高いと判断されます。
そのため、勾留の理由があるとして勾留がなされるケースが多いのです。
②勾留の必要性
勾留の必要性というのは、勾留の「相当性」のことであるとされており、相当性のない場合に勾留は認められません。
被疑者や被告人を勾留することによる「公益的な利益」と、これによって被疑者や被告人が被る「不利益」とを比較衡量して総合的に判断されます。
多くの場合、勾留による長期身体拘束は被疑者や被告人が仕事を失う可能性を高めることになる旨の不利益が挙げられます。
~明日に続く~