子供が事件を起こしたら学校に通報されるの?

子供が事件を起こしたら学校に通報されるの?

子供事件学校通報される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区にある商業施設内の店舗で商品を万引きしたとして、私立中学に通うAさん(15歳)は警備員に捕まってしまいました。
その後、Aさんは通報を受けて駆け付けた兵庫県灘警察署の警察官に警察署に連れて行かれ、取調べを受けました。
その日の夜、Aさんの両親が身元引受人となり、Aさんは釈放されました。
警察からは「また連絡します。」と言われており、警察から学校通報されるのではとAさんもAさんの両親も心配でたまりません。
翌日、少年事件に精通する弁護士のところに相談に行くことにしました。
(フィクションです)

子供が事件を起こしたら

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、刑罰法令に触れる行為をした場合、少年法に従った手続を踏むことになります。
14歳以上20歳未満の場合には、捜査段階では、ほぼ成人の刑事事件と同じ流れを踏むことになり、逮捕や勾留の要件を満たす場合には、逮捕・勾留され身体拘束を強いられることになります。
一方、少年が14歳未満の場合、刑事責任が問われませんので、罪を犯したことにはならず逮捕されることもありません。
原則、児童福祉法による処置が行われますが、都道府県知事または児童相所長から送致を受けた場合に限り、家庭裁判所の審判の対象になることがあります。
その場合、家庭裁判所は当該少年に対して保護処分を決定します。

少年が警察などの捜査機関から捜査(若しくは調査)を受けることになると、警察などから少年が通う学校事件のことが通知される可能性があります。
特に、公立の学校には、「警察・学校相互連絡制度」に基づき、警察などから学校側に事件について連絡がいくことになっています。
「警察・学校相互連絡制度」というのは、都道府県の警察本部と教育委員会が協定を結び、児童生徒の健全育成を目的として、警察と学校が連絡をとりあう制度です。
兵庫県においても、県や各市の教育委員会が兵庫県警察本部と協定を結び、本制度を運営しています。

例えば、神戸市では、神戸市教育委員会と兵庫県警察本部とが平成28年に協定を結んでいます。
この協定に基づき、以下の事項について警察から学校に連絡することになります。

・逮捕した犯罪少年に係る事件
・児童相談所に送致し、又は身柄を同行して児童相談所に通告した触法少年に係る事件
・身柄を同行して、家庭裁判所に送致し、又は児童相談所に通告したぐ犯少年に係る事件
・その他非行少年又は不良行為少年に係る事案であって、次に掲げるもの
 ①次のいずれかに該当し、かつ、学校との連携による継続的な対応が必要であると通報責任者が認めるもの
 (ア)学校内外において、粗暴行為等を敢行する非行集団の構成員であること
 (イ)非行や不良行為を繰り返し、保護者の正当な監護に服さないなどぐ犯性が強い者であること
 (ウ)周辺の児童生徒に影響が及ぶおそれがあること
 (エ)関係する児童生徒が複数であること
 ②その他その内容に鑑み、児童生徒に対する指導を促進するため、連絡責任者が、特に学校通報が必要であると認めるもの

この制度によって、少年や保護者が知らないうちに、警察から学校に連絡が入り、事件のことが学校側に発覚してしまう可能性があります。
私立の学校の場合には、このような協定を結んでいないことが多く、すぐには連絡がいかない場合もあります。

既に警察から事件のことが学校に連絡がいっている場合には、弁護士は、少年が退学させられないように学校側に働きかけることになりますが、まだ伝わっていない場合には、弁護士から警察に学校に連絡しないよう、連絡した場合に少年が被り得る不利益等を説明し、説得していくことになります。

また、事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所の調査官が少年が所属する学校学校照会を行うことがあり、それによって学校側に事件が発覚してしまうおそれがあります。
そのような事態を避けるためにも、弁護士は、事件が家庭裁判所に送致されるタイミングを見計らい、調査官に学校照会をしないよう申し入れを行い、学校側への事件発覚を阻止できるよう働きかけます。

お子様が事件を起こしてしまい、容疑を認めている場合には、お子様がきちんと反省し更生するよう周囲と協力していく必要はあるでしょう。
しかし、学校事件について知ることによりお子様が被る不利益があまりにも大きく、更生への道に大きな影響を及ぼす可能性がある場合には、そのような事態を回避しなければならないでしょう。
お子様が事件を起こしてお困りであれば、まずは少年事件に精通する弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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