当番弁護士、国選弁護人、私選弁護人の違いは?①
当番弁護士について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市灘区に住むAさんは、SNSで知り合った未成年者Vさんに裸の写真を撮らせ、Aさんの携帯電話にその画像を送らせたとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造罪)の疑いで、兵庫県灘警察署に逮捕されました。
Aさんは、突然の逮捕に動揺しており、取調べにもどのように対応すればよいか分からず困っています。
ドラマで逮捕された被疑者が「弁護士を呼んでください」と言っている場面を思い出したAさんは、「自分も弁護士を呼ぶことができるのか」、「呼ぶことができるのなら、いつ呼べるのか」と気が気でなりません。
(フィクションです)
突然の逮捕!被疑者となったらすぐに弁護士を呼べるの?
あなたが何らかの罪を犯してしまい、警察に逮捕されたとしましょう。
突然の逮捕に驚き、また日常では体験することがない警察による取調べを受けることになり、どのように対応すればよいか分からず不安を抱くことでしょう。
また、身柄拘束され、警察署の留置場で過ごすことになり、精神的にも大きな負担を感じることになります。
そのような状況下では、弱気になり、やっていないことまでやったかもしれないと自己に不利な供述をしてしまうこともあります。
そんな時には、弁護士に相談しましょう!
法律は、刑事事件の被疑者・被告人となった人にも様々な権利を保障しています。
被疑者に認められている権利のなかに、「接見交通権」というものがあります。
これは、身体拘束を受けている被疑者・被告人が、弁護人や弁護人となろうとする者、被疑者・被告人の家族や友人等と面会(接見)したり、書類や物の授受を行う権利です。
被疑者・被告人の家族や友人等との面会を「一般面会」といい、これには被疑者・被告人が逃亡したり罪証隠滅したりするのを防ぐために、面会時には職員が立会い、面会時間も20分と制限されています。
逃亡や罪証隠滅をするおそれがあると疑うに足りる相当な理由があるときには、検察官の請求により、又は裁判官の職権で、勾留されている被疑者・被告人と家族らの接見を禁じることもあります。(これを「接見禁止」といいます。)
一方、弁護人や弁護人となろうとする者との接見には、一般面会のような制限はありません。
接見時には立会人はいませんし、時間制限もありません。
接見禁止が付されている場合でも、弁護人等であれば接見することができます。
であれば、次に気になるのが、「いつ弁護士を呼べるのか?」です。
「逮捕されたら、すぐに呼べる?」、「どうやって呼ぶの?」など疑問に思われるでしょう。
実は、逮捕された場合、いつでも弁護士を呼ぶことはできるのです。
逮捕された人が呼べる弁護士には、次のように種類分けすることができます。
(1)当番弁護士
刑事事件で逮捕された被疑者が、検察官に起訴される前の段階でも、弁護士を通じた弁護権を保障することを目的として、日本弁護士連合会によって提唱・設置された「当番弁護士制度」というものがあります。
当番弁護士制度は、1回の接見に限り無料で弁護士との接見を提供するもので、弁護士と接見することで、被疑者は法的助言を得ることができます。
逮捕後、警察に当番弁護士を呼んでほしい旨を伝えると、警察は所管の弁護士会へ連絡し、当番弁護士との接見依頼があることを伝えます。
当番弁護士を呼べるのは、逮捕されている被疑者だけでなく、その家族や友人が弁護士会へ連絡して呼ぶこともできます。
1回だけの接見となるので、引き続き弁護を依頼する場合は、別途私選弁護人として当番弁護士と契約することになります。
逮捕されたら、いつでも呼ぶことができる当番弁護士制度ですが、警察は被疑者に対して「弁護士を呼ぶ権利がある」と口頭で説明するものの、どのような制度があるかまで細かく説明してくれるとは限りません。
ですので、逮捕から勾留決定までの間、どうやって弁護士を呼ぶか分からず、そのまま勾留決定となってしまうケースも少なくありません。
このような当番弁護士の他に、国選弁護人と私選弁護人がありますが、これらについては次回みていきたいと思います。
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