刑事事件(水道汚染罪)で取調べ
水道汚染罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県相生市にある賃貸マンションに設置された受水槽に入り泳いでいたとして、水道設備会社の従業員AさんとBさんは、兵庫県相生警察署で取り調べを受けました。
警察からは、受水槽で遊泳する行為は、水道汚染罪にあたるため刑事事件として捜査していると言われました。
今後の流れや取り調べ対応について不安を感じたAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(実際の事件に基づいたフィクションです)
受水槽で遊泳する行為は何の罪になるの?
少し前に起きた事件ですが、福岡県にある賃貸マンションの屋上に設置された受水槽で、施工を依頼した水道設備会社の従業員らが遊泳している様子を撮影した動画が流出した事件がありました。
遊び半分でやった行為だとは思いますが、このような行為も犯罪に当たる可能性があることに注意が必要です。
それでは、受水槽で遊泳する行為は、一体どのような罪に問われ得るのでしょうか。
水道汚染罪
水道汚染罪は、刑法第143条に規定されています。
第百四十三条 水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源を汚染し、よって使用することができないようにした者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
水道汚染罪は、水道浄水またはその水源を汚染し、公衆の飲用を阻害する行為を処罰するものです。
「水道」とは、浄水をその清浄さを保ったまま一定の地域・場所に導くための人工的施設・設備をいいます。
人の飲料に適し得る程度の清潔な水を「浄水」といいます。
人工の全く加えられていない天然の水路は、そこを流下する浄水を人が飲料として使用していても水道にはあたりません。
「公衆」とは、不特定または多数人のことであり、1世帯程度では足りないと解されます。
「供給する飲料の浄水」は、水道施設・設備の中にあって供給途上にある飲料としての浄水を意味します。
また、「水源」とは、水道に流入する以前の水のことです。
「汚染」の意義についてですが、浄水を不潔にする一切の行為を含みます。
毒物など人の健康を害するような物を用いる場合は、浄水毒物等混入罪(刑法第144条)が成立することになりますので、それ以外の方法によるのであればその如何は問われません。
そして、「使用することができない」状態というのは、物理的・生理的・心理的なものであるとを問いません。
浄水に放尿する、異物を混入するといった行為は、それをそのまま飲料として使用することには抵抗があるのが一般的ですから、そのような状態にすれば、「使用することができない」と言えます。
また、一見すると特段の変化を認識することができず、供給を受けた者が汚染の事実を知らずに現に飲料として使用した場合であっても、汚染行為があったことを知ったならば、通常これを飲むことをためらうようであれば「使用することができない」状態となります。
マンションなどに設置される「受水槽」は、水道の配水管から水を引き込み、水道水を貯水する設備です。
飲料用に使われることも多く、常にメンテナンスと管理が必要です。
飲料としても使用される水道水が貯蔵された受水槽に、人が泳いでいたとしたら、その水を誰が飲みたいと思うでしょうか。
通常、そのような行為があったと知れば飲料として使用したいとは思わないですよね。
よって、受水槽で遊泳する行為が水道汚染罪に当たる可能性はあるでしょう。
軽い気持ちで遊び半分で行う行為が、実は犯罪となるなんてこともあるのです。
あなたやあなたの家族が、刑事事件で被疑者として取調べを受けてお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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