強制性交等罪で大学生を逮捕 相手との同意の有無が争点に…
強制性交等罪で逮捕された大学生、相手との同意の有無について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
強制性交等罪で逮捕
同性愛者のAさん(男子大学生)は、こういった嗜好の人たちが集まるサイトで知り合ったBさん(男性)と、数カ月前にアドレスを交換して仲良くなりました。
そして2週間ほど前に姫路市内で一緒に食事をして、そのままBさんの家に遊びに行ったのです。
そこでAさんは、Bさんに対して性交渉を求めましたが、Bさんからは断られてしまいました。
二人は、その後も一緒にお酒を飲んでいたのですが、Aさんは、自分の欲望を抑えきれなくなり、Bさんに抱き付き再び性交渉を求めたのです。
Bさんは口では「嫌だ。」と言うものの、それほど大きな抵抗をしてきませんでした。
そんなBさんの様子から、Aさんは自分との性交渉に同意してくれたと思い込み、Bさんと性交渉したのです。
性交渉後、Bさんは寝ている様子だったので、AさんはそのままBさんの家から帰宅したのですが、その日以降、Bさんとの連絡が途絶えてしまいました。
そして今朝、自宅を訪ねて来た姫路警察署の警察官によって、Aさんは、強制性交等罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
同性に対しても強制性交等罪は成立する
強制性交等罪は刑法177条に規定されています。
刑法第177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
まず、強制性交等罪は「暴行」、「脅迫」を手段とする犯罪です。
相手方を殴る、蹴る、羽交い絞めにする、押し倒すなどが「暴行」の典型ですが、「暴行」の程度は、相手方の反抗(抵抗)を著しく困難にさせる程度のものが必要とされています。「脅迫」についても同様です。
なお、相手方が13歳未満の場合は「暴行」、「脅迫」の手段は不要です。
つまり、13歳未満の者と認識しつつ「性行等」を行えば、強制性交等罪に問われます。
ちなみに「性行等」とは、俗にいうところのセックスのみならず、肛門性行、口腔性行も含まれ、女性が加害者になる場合もあれば、男性が男性に対して無理矢理、肛門性行や口腔性行を行った場合も、強制性交等罪が成立します。
相手の同意
強制性交等罪は相手方の性的自由を保護するための法律です。
そのため、強制性交等罪が成立するには、加害者が「被害者が性交渉について同意していないこと」を認識しておかなければなりません。(故意)
ここでいう被害者の同意とは、法益の帰属者たる被害者が、自己の法益(身体・生命の安全)を放棄し、その侵害に承諾又は同意を与えることをいいます。
かつては、この被害者の承諾によって、守るべき法益(保護法益)がなくなったことを根拠に、被疑者の行為の違法性がなくなり(違法性が阻却され)不可罰となる、と考えられていました。
しかし近年は、その「守るべき法益がなくなったこと」に加え、被疑者の行為の社会的相当性も必要とする、という考え方が主流です。
以上の考え方から、被害者の同意があったというためには、
〇同意自体が有効なものであること
〇同意が内心にとどまらず、外部に表明されていること
〇同意が行為時に存在すること
〇同意に基づいてなす行為が、その目的、動機、方法、態度、程度等において国家・社会の倫理規範に違反せず、社会的相当性を有すること
という要件が必要です。
仮にこれらの要件を満たさない場合は、「被害者の同意はない」と判断されてしまう可能性が非常に高くなります。
同意がないことを認識しているかどうかが問題
では、仮に被害者の同意はない、とされた場合、直ちに強制性交等罪が成立するかといえばそうではありません。
さらに、被疑者が、被害者の同意がないことについて認識していること、が必要です。
つまり、加害者が被害者の同意がないことについて誤信していた場合(同意があると思っていた場合)は強制性交等罪が成立しない可能性があります。
強制性交等罪をはじめとする性犯罪ではこの点が争われることが多いです。
ただ、加害者が誤信していたかどうかは、
〇性交等に至るまでの経緯
〇性交等の際の言動
〇性交等後の経緯
などを総合的に勘案して決せられます。
強制性交等罪に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、強制性交等罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
姫路市内の強制性交等事件でお困りの方は、今すぐフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお電話ください。