盗撮の二次被害 刑法に「盗撮罪」を新設か?~②~

昨日のコラムでは、現状の盗撮に対する規制について解説しました。
本日のコラムでは、盗撮事件の二次被害と、刑法に施設されるかもしれない「盗撮罪」について解説します。

盗撮の二次被害

盗撮された画像が、インターネット上のわいせつ画像を集めたサイトや、DVDなどで世の中に出回ってしまい、事実上完全に回収することが不可能になってしまう二次被害が問題となっています。
こういった被害を「デジタルタトゥ」と表現するようですが、盗撮行為を規制している都道府県の迷惑防止条例の規制内容では、こういった二次被害を防止することはできません。
また現在の刑法に、わいせつ画像等の陳列や販売目的の所持等を禁止している法律(刑法第175条「わいせつ物頒布罪等」)がありますが、実際に、この法律が適用されているのは陰部が露出されているようなモザイク処理のなされていないわいせつ画像等が取締りの対象となるケースがほとんどで、下着が写っている程度のわいせつ画像が取締りの対象となる可能性は非常に低いようです。
そういった現状をふまえると、現在の法律では、盗撮画像の拡散を防止する規制がないといっても過言ではありません。

施設されるかもしれない「盗撮罪」

先月末の法務省の法制審議会で示された「撮影罪」の新設案について解説します。
まず盗撮行為を規制する内容が新設される可能性があります。
この内容は、現在の各都道府県の迷惑防止条例に同じような内容になりますが、場所的な制限はなく、対象となるのは性的な盗撮行為です。
盗撮行為に対する罰則は、ここ兵庫県の迷惑防止条例では「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
他府県では「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」を規定している迷惑防止条例もありますが、これ以上厳しい罰則を規定している都道府県の迷惑防止条例はありません。(常習の場合は除く)
しかし今回新設されるかもしれない盗撮罪の罰則規定は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」と、厳しい内容になっています。

※拘禁刑については、こちらをクリック

規制対象は盗撮行為だけではない

今回、新たに新設される予定の「盗撮罪」は盗撮行為だけを規制するものではありません。
現在、新設が検討されているのは

わいせつな盗撮画像を提供することを目的に保管する保管罪
わいせつな盗撮画像を他人に提供したり公然に陳列したりする提供罪・公然陳列罪
わいせつな盗撮画像を不特定多数の人に送信する影像送信罪

で、予定している罰則規定は

2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金
3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金また併料

です。

盗撮事件に関するご相談は

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