Archive for the ‘刑事事件’ Category

業務妨害で刑事事件

2021-02-24

業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県神戸市中央区の衣料品店で商品を購入したAさんは、後日店を訪れ購入した商品が偽物だとして店員に返品を迫りました。
対応した店員に罵声を浴びせたり、土下座をするよう迫ったりするなど、あまりの態度に困った店は、兵庫県生田警察署に相談しました。
兵庫県生田警察署は、Aさんに連絡し、「業務妨害の件で、話が聞きたい。」と伝え、出頭するよう求めました。
Aさんは、こんな大事になるとは思ってもおらず今後のことが心配になってきました。
(フィクションです。)

業務妨害罪とは

業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、あるいは威力を用いて、人の業務を妨害する罪です。
業務妨害罪のうち、人の業務を妨害する手段が、虚偽の風説の流布・偽計の場合が「偽計業務妨害」に当たり、威力を用いる場合が「威力業務妨害」となります。

業務妨害罪における「業務」とは、自然人または法人その他の団体が、社会生活上の地位において、あるいはこれと関連しておこなう職業その他の継続して従事することを必要とする事務(仕事)をいいます。
業務は、経済的に収入を得る目的のものでなくても構いませんが、社会活動上の活動でなければならず、個人的な活動や家庭生活上の活動は含まれません。

「虚偽の風説の流布」とは、客観的真実に反する事実を不特定または多数の者に伝播させることをいいます。
直接には少数の者に伝達した場合であっても、その者を介して多数の者に伝播するおそれがあるときも該当します。

「偽計」とは、人を欺罔・誘惑し、あるいは人の錯誤・不知を利用することをいいます。

「威力」とは、犯人の威勢、人数および四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を制圧するにたりる勢力をいい、現実に被害者が自由意思を制圧されたことまで必要とされません。

犯罪の成立には、これらの手段によって、業務が妨害され、業務の遂行に支障が生じたことまで必要とされるのではなく、業務を妨害するに足りる行為が行われればよいとされています。

商品を購入したが、サイズが合わない、同じようなものを持っていた、など様々な理由から返品を店に申し出ることはあることですし、それ自体は何も店の業務を妨害するようなことではありません。
しかし、返品を迫る態様が、店の自由意思を制圧するに足りるような勢力を用いたものであり、他の来店客にも迷惑をかけるようなものであれば、威力業務妨害に該当する可能性があります。

業務妨害事件では、加害者の行為により業務を妨害された被害者が存在します。
加害者の行為により、経済的損失だけでなく、精神的損害をも被っている場合もありますので、被害者に対してきちんと謝罪と損害賠償を行う必要があります。
このような被害者対応は、刑事事件の最終的な処分にも影響することになります。
事件を起訴するかどうかは、検察官が決めます。
検察官は、被疑者が犯罪を行っていないことが明白である場合や、被疑者が犯罪を行った疑いはあるけれども、それを立証するだけの充分な証拠がない場合には、起訴しない決定をします。
この他に、被疑者が犯罪を行ったことは確かで、それを立証するだけの十分な証拠もあるのだけれどもさまざまな事情を考慮して、今回は起訴しないとする場合もあります。
これを「起訴猶予」といいます。
起訴猶予となる理由には、犯罪が軽微である、被疑者が深く反省している、被疑者の年齢や境遇の他、被害者と示談が成立していることがあります。
「示談」というのは、加害者が被害者に対して金銭的な賠償を行うことで、被害者は被害届を提出しないなど、今回の事件については当事者間で解決したとする約束のことです。
検察官が最終的な決定をする時点で、被害者との示談が成立している場合には、起訴猶予となる可能性が高くなるでしょう。

事件を起してしまい、被害者との示談でお困りの方は、一度刑事事件に精通する弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件の被疑者・被告人となり、対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

覚醒剤使用で逮捕

2021-02-21

覚醒剤使用の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県須磨警察署は、兵庫県神戸市須磨区の路上で不審者がいるとの通報を受けました。
現場に駆け付けた警察官は、不審な言動をしている男性を発見し、薬物を使用しているのではないかと思い、男性に警察署で検査するよう求めました。
検査の結果、覚醒剤反応が出たため、警察はこの男性を覚せい剤取締法違反(覚醒剤使用)の疑いで逮捕しました。
男性は、「知人に体にいいという薬をもらったが、覚醒剤ではない。」と容疑を否認しています。
(フィクションです。)

覚醒剤使用の罪

覚醒剤取締法は、「覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行うことを目的とする。」(覚醒剤取締法1条)法律です。
覚醒剤取締法は、特定の場合以外に覚醒剤使用することを禁止しており、違反した場合には、10年以下の懲役に処するとしています。

覚醒剤使用の罪が成立するための要件は、
①法定の除外事由がないのに
覚醒剤
使用する
ことです。

①法定の除外事由
覚醒剤使用は、
(a)覚醒剤製造業者が製造のために使用する場合
(b)覚醒剤施用機関において診療に従事する医師または覚醒剤研究者が施用する場合
(c)覚醒剤研究者が研究のために使用する場合
(d)覚醒剤施用機関において診療に従事する医師または覚醒剤研究者から施用のために交付を受けた者が施用する場合
(e)法令に基づいてする行為につき施用する場合
を除いては、何人も禁止されています。
つまり、以上の事由に当てはまらない場合の使用は一切禁止されているのです。

②覚醒剤
覚醒剤取締法は、規制対象である「覚醒剤」を
(1)フェニルメチルアミノプロパン、フェニルアミノプロパンおよび各その塩類
(2)(1)と同種の覚醒作用を有する物であって政令で指定するもの
(3)(1)と(2)の物いずれかを含有する物
と定義しています。

③使用
使用」とは、覚醒剤をその用途に従って用いる一切の行為のことをいいます。
他人の身体に覚醒剤を注射する行為も、他人から覚醒剤を受ける行為も「使用」にあたります。

覚醒剤使用の罪は、故意犯であるため、行為者において①~③の要件に該当する事実を認識、認容していることが必要となります。

上記事例では、使用した薬物が覚醒剤であるとは知らなかったと男性が述べています。
故意の内容は、未必的な認識・認容で足りるとされており、「覚醒剤かもしれないし、その他の有害で違法な薬物かもしれないとの認識・認容を有していた」という場合には、故意の内容としては十分であると解されます。
「何らかの違法な薬物」と認識している場合、特段の事情がない限り、その薬物の中に覚醒剤も含まれることになり、結果として、「覚醒剤かもしれないとの認識・認容を有していた」と未必の故意が認められることになります。
「知人から体にいいという薬をもらった」と述べている男性ですが、本当に健康に効果のある薬と信じて使用したのであれば、故意が欠け罪は成立しないことになりますが、暗黙に何らかの違法薬物であると認識していたのであれば故意が認められ罪が成立することになります。
故意は、人の心の中のことですので、立証することは容易ではありませんが、客観的証拠から故意があった、あるいは故意があったとは言えないことを証明することになります。
覚醒剤取締法違反の故意の有無について争いたい場合や、罪は認めるが寛大な処分とならないか心配されている場合には、薬物事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族が覚醒剤取締法違反で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

未成年者誘拐で逮捕

2021-02-17

未成年者誘拐について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、出会い系アプリを通じて兵庫県に住む中学生のVさんと知り合いました。
Vさんは家出をしたがっていたため、Aさんは「それならうちに泊めてあげる。」と言ってVさんを自宅に招きました。
Vさんが家出をしたことで心配したVさんの両親は、兵庫県丹波警察署に相談しました。
Vさんの家出から2週間後、Aさん宅に警察が訪れ、Vさんを発見しました。
警察は、未成年者誘拐の疑いでAさんを逮捕しました。
(フィクションです。)

未成年者誘拐罪とは

未成年者誘拐は、刑法224条に規定されており、未成年者誘拐する罪です。
未成年者誘拐罪の保護法益(法令がある特定の行為を規制することによって保護、実現しようとしている利益)については争いがありますが、判例は、被拐取者(つまり、誘拐された未成年者)の自由、および被拐取者が要保護状態にある場合は親権者等の保護監督権が未成年者誘拐罪の保護法益であるとの立場をとっています。
このことより、未成年者誘拐する際、未成年者の承諾があった場合も犯罪が成立するかという問題について、例え未成年者本人の同意があったとしても、保護者の許可を得ずに未成年者を自宅に連れ込む行為は、保護者の監督権を侵害することになるため未成年者誘拐罪が成立することになります。

また、「誘拐」と聞くと、無理やり車に連れ込んで運ぶといったことをイメージしがちですが、ここで言う「誘拐」というのは、欺罔または誘惑を手段として、人をその生活環境から不法に離脱させ、自己または第三者の実力的支配下に移すことをいいます。
家出したがっている未成年者を自宅に泊まるよう提案し、迎えに行ったり交通手段を支持したり交通費を支払ったりするなど、自宅までの移動を容易にするなどした場合には、誘拐と判断される可能性があるでしょう。

もちろん、相手が20歳未満だと知らなかった場合には犯罪は成立しませんが、相手の話し方や服装などから「もしかしたら未成年者かもしれない。」と思ったのであれば、未必の故意が認められることになります。

このように、未成年者の同意を経て行った行為であっても、未成年者誘拐罪が成立することがあります。
そのような場合、事件を穏便に解決するためには、当該未成年者の保護者との間で示談を成立させることが重要となります。
未成年者誘拐罪は、親告罪です。
親告罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない罪です。
告訴というのは、被害者などの告訴権者が捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その訴追を求める意思表示のことです。
そのため、被害者との間で、告訴をしない、告訴をしている場合には告訴を取下げる旨の約束ができれば、未成年者誘拐罪で起訴されることはない、ということになります。
被害者が未成年者の場合には、その保護者が代理人となるため、交渉も容易ではありません。
未成年者本人よりも処罰感情が大きいことが予想されます。
円滑な示談交渉は、当事者本人よりも、弁護士を介して行うのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
所属弁護士は、これまでに数多くの刑事事件を取り扱っており、被害者との示談交渉にも豊富な経験があります。
刑事事件を起こし被害者との示談交渉でお困りであれば、一度弊所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

置き引き事件で逮捕

2021-02-14

置き引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県西脇市にあるパチンコ店で、席に置いてあった他人の財布を持ち逃げしたとして、会社員のAさんは兵庫県西脇警察署から取調べのため出頭するよう連絡を受けました。
Aさんは、どのような罪に問われるのか、今後どのように対応すればよいのか不安で仕方ありません。
(フィクションです。)

置き引き事件について

置き引きというのは、一般的に、置いてある他人の荷物を持ち逃げすることをいいます。
例えば、パチンコ店やゲームセンターで置き忘れた財布、スーパーマーケットのトイレに忘れてあったカバンなどを勝手に持ち帰ってしまう行為のことを指します。
このような行為は、窃盗罪もしくは占有離脱物横領罪に当たる可能性があります。

1.窃盗罪とは

窃盗罪は、①他人の財物を、②不法領得の意思をもって、③窃取したこと、により成立する犯罪です。

①他人の財物
「他人の財物」とは、他人の占有する他人の財物を意味します。
ここでいう「占有」というのは、人が財物を事実上支配し、管理する状態のことです。
占有は、「占有の事実」と「占有の意思」の2要素で構成されています。

まず、「占有の事実」というのは、占有者が財物を事実上支配している状態のことです。
事実上の支配があるかどうかは、財物自体の特性、占有者の支配の意思の強弱、距離などによる客観的かつ物理的な支配関係の強弱を考慮して判断されます。
財物が占有者の物理的支配力の及ぶ場所にある場合や、社会通念上その財物の支配者を推知し得る状態にある場合には、占有の事実が認められます。

次に、「占有の意思」についてですが、これは、財物を事実上支配する意欲や意思を指します。
この意思は、包括的な意思であったり抽象的な意思であっても構わず、財物に対する事実的支配が明確な場合には、睡眠中であっても占有の意思が認められます。

②不法領得の意思
窃盗罪の成立には、故意(法定の構成要件たる事実について認識のあること)だけでなく、不法に物を領得する意思があることが必要とされます。
不法領得の意思は、権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思です。
他人の財物を一時使用した後に返還する意思でその占有を侵害する場合や嫌がらせでその物を壊したり隠すつもりで占有を侵害する場合は、不法領得の意思がなく窃盗罪は成立しないことになります。

③窃取
窃盗罪の行為である「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。

以上が窃盗罪の構成要件となります。
置き引きが窃盗罪に該当するかは、犯行時、問題となる財物に対して他人の占有が及んでいたと言えるかどうかによります。
置き引きは、置いてある他人の荷物を持ち逃げする行為ですが、その置いてある荷物に対する占有が誰にあるのか、ということが問題となります。
荷物と持ち主の時間的・場所的接近性、置き忘れた場所の見通し情状、置き忘れた場所の状況、持ち主の認識・行動などを事情を総合して、一時的に財物に対する事実上の支配が失われたかのように思える場合でも、事実上の支配が直ちにかつ容易に回復できる状況にあったのであれば、占有が肯定されることもあります。
また、持ち主の占有が失われたとされる場合でも、置き忘れられた場所、例えば店内や銀行内であれば、その管理者の占有に属すると認められることがあるため、持ち主の占有が失われたことをもって直ちに窃盗罪が成立しないとは限りません。
ただ、持ち主の占有が失われたのであり、かつ財物に対しての占有が誰にも属さない場合には、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪が成立することがあります。

2.占有離脱物横領罪とは

占有離脱物横領罪は、①遺失物、漂流物、その他占有を離れた他人の物を、②横領したこと、によって成立する罪です。
これは、他人の占有に属さない他人の物を領得する行為を処罰するものです。

いずれの罪が成立するにせよ、被害者に対してはしっかりと被害弁償をする必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
置き引き事件で検挙され対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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刑事事件における被害者対応

2021-02-10

刑事事件における被害者対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県美方郡香美町に友人らと旅行に来ていたAさんは、町内の飲食店で夕飯を食べることにしました。
旅行先ということもあり、酒がすすみ相当酔っぱらっていたAさんは、些細なことから隣の席のグループと口論になり、その一人ともみ合いの喧嘩になりました。
Aさんは、カッとなり、相手の顔面を拳で殴り、怪我を負わせてしまいました。
兵庫県美方警察署から駆け付けた警察官は、Aさんを傷害の容疑で逮捕しました。
酔いが冷めたAさんは、自分の軽率な行為を猛省しており、被害者に謝罪と被害弁償をしたいと考えています。
(フィクションです。)

多くの刑事事件には、犯罪の被害を被った被害者が存在します。
犯罪により身体的、精神的、経済的な損害を被った被害者に対して、加害者が謝罪や被った損害(被害)を回復しようとすることは、人として当然求められることでしょう。
刑事事件では、検察官が最終的な処分を決定する際や裁判官が刑を決める際に、「被害がどの程度回復されたか」、「被害者が加害者に対してどのような感情を抱いているのか」といった点が考慮されます。
その意味でも、被害の回復といった被害者への対応は、刑事弁護においても非常に重要だと言えます。

被害の回復を目指すためには、まず、被害者と連絡をとり、謝罪の上、被害の程度や被害者の気持ちを確認し、どういった形で被害の回復が可能かを話し合う必要があります。
ここでまず問題となるのが、被害者と連絡がとれるかどうかです。
加害者と被害者とがもともと知り合いであれば、被害者の連絡先を既に知っているケースが多いのですが、全くの他人が被害者となることも珍しくありません。
そのような場合には、警察を介して被害者の連絡先を聞くことになります。
ただ、加害者が被害者と連絡をとって、被害者に供述を変えるよう、被害届を取下げるよう迫るといった罪証隠滅ともとれる行為に出る可能性もありますので、警察が加害者に被害者の連絡先を教えることはありません。
仮に、被害者側から加害者と話をしたいからと、警察を介して加害者と連絡をとろうとしてくることがあったとしても、当事者同士の話し合いはあまりお勧めできません。
当事者間の話し合いは、やったやってないの水掛け論になったり、感情的になり話し合いがうまく進まない場合が多いからです。
また、被害者から過度に高額な示談金が請求されるといったこともあります。
そのような事態を避けるためにも、通常は弁護士を介して被害者との話し合い(示談交渉)を持ちます。
弁護士を介してであれば、警察や検察官を通して被害者の連絡先を教えてもらうことも期待できますし、被害者との話し合いも冷静に行うことができます。
そして、弁護士は、合意した内容を「示談書」という形で書面にし、合意後に争いが蒸し返されないようきっちりと内容を詰めて示談の成立を目指します。
その合意内容には、加害者の被害者への謝罪の意、加害者に求める制約事項、示談金の支払い、そして被害者の加害者を許すという意思表示などが含まれます。
財産犯の場合には、被害弁償がなされたことをもって十分な効果が期待されますが、多くの場合には、被害弁償のみならず被害者からの許しが得られていることで最終的な結果に大きく影響することになります。

残念ながら被害者と連絡がとれなかったり、被害弁償や示談を断られた場合であっても、供託や贖罪寄付といった方法で謝罪の意思や被害の回復の試みを行うことがあります。

どのような形での被害の回復がよいのか、被害者の気持ちや意見をしっかりと考慮した上で、きっちりと対応することが求められます。

刑事事件を起こし、被害者対応にお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
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まずはお気軽にお電話ください。

落とし物の取得は窃盗?

2021-02-03

他人の落とし物取得した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
Aさんは、兵庫県豊岡市のホテルに宿泊していました。
Aさんは、ホテルのエレベーター内に財布が落ちているのを見つけ、その財布を拾い上げ自分のポケットに入れました。
後日、Aさんは、兵庫県豊岡北警察署から「△△ホテル内で財布を拾われた件について話を聞きたい。」と連絡を受けました。
ホテルの防犯カメラの映像からAさんが特定されたようですが、Aさんは自分がどのような罪に問われるのか心配しています。
(フィクションです。)

他人の落し物を自分のものとして取った場合、窃盗罪、あるいは占有離脱物横領罪が成立するものと考えられます。

1.窃盗罪

窃盗罪は、他人の財物を、不法領得の意思をもって窃取する罪です。

◇客体◇

窃盗罪の客体は、「他人の財物」です。
「他人の財物」とは、「他人の占有する財物」のことをいいます。
つまり、窃取時に、他人の占有下にある物のことです。
刑法上の「占有」は、支配意思をもって財物を支配することにより、これを事実上支配することをいうとされています。
つまり、「占有」は、占有の事実(客観的要素)と占有の意思(主観的事実)という2つの要素から構成されているものと考えられているのです。

占有の事実については、占有者が財物を事実上支配している状態をいい、事実上の支配の有無の客観的な基準として、財物自体の特性、占有者の支配の意思の強弱、距離などの客観的物理的な支配関係の強弱が考慮されます。
例えば、被害者が身辺約30センチの箇所にカメラを置いたが、バスの列が進んだためカメラを置いたまま前進したものの、カメラを置き忘れたことに気付き置いた場所まで戻ったが既にカメラが持ち去られた事件で、列が動き始めてからその場所に引き返すまでの時間が約5分、カメラを置いた場所と引き返した地点との距離は約19.58メートルにすぎないような場合は、未だ被害者の占有を離れたものとはいえないとした判例があります。(最高裁判決昭和32年11月8日)

占有の意思とは、財物を事実上管理・支配しようとする意欲・意思をいいます。
この意思は、時間的にも対照的にも包括的なもので足りるとされており、着衣内の財布、所持しているカバンの中にある財物、自宅内や事故の経営する会社の事務所内にある財物等といった事故の支配領域内に存在する財物に対しては、一般的に占有の意思があるものと考えられます。

◇行為◇

「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。

◇主観的要件◇

窃盗罪の成立には、①財物が他人の占有に属していること、および、②その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識すること、つまり、「故意」が必要となります。
加えて、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用、処分する意思」である不法領得の意思も必要となります。

2.占有離脱物横領罪

占有離脱物横領罪は、遺失物、漂流物その他戦y封を離れた他人の物を横領した場合に成立する罪です。

◇客体◇

「遺失物」とは、占有者の意思によらずにその占有を離れ、いまだ誰の占有にも属していないものをいいます。
「漂流物」は、水中にある遺失物のことです。
「占有の離れた」とは、占有者の意思に基づかないでその占有を離れたことを意味します。

◇行為◇
「横領」とは、委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為をいいます。

それでは、上記事例について考えてみましょう。

まず、Aさんのした行為についてどのような罪が成立し得るかを考える際、落とし物である財布に対する「占有」が誰にあるのかについて問題となります。
財布の持ち主については、その者が財布を落としてから財布を落としたことに気が付くまでの時間や、気付いたときに居た場所から財布を落とした場所までの距離や戻るまでにかかる時間等にもよりますが、仮に、持ち主が落としたことに全く気が付かずホテルを出て、だいぶ後になって気が付いたとしたら、持ち主の財布に対する「占有」が失われたと考えられるでしょう。
しかしながら、元の占有者(財布の持ち主)の占有が喪失したからといって、直ちにAさんの行為が占有離脱物横領罪しか該当しないことになるわけではありません。
所有者がその占有を失った場合には、当該領域を支配している者に占有は移行すると考えられるため、旅館内のトイレや脱衣所に忘れた財布に対しては旅館主に占有があるとした判例があり(大判大正8年4月4日)、ホテル内で財布を落としたケースでは、持ち主の占有が喪失した場合には、ホテルに占有が移行するものと考えられます。
よって、Aさんが取得した財布は窃盗の客体になるものと考えられるでしょう。

このように、他人の落し物取得した場合には、窃盗罪、あるいは占有離脱物横領罪が成立する可能性がありますので、弁護士に相談し、しっかりと対応することが重要です。

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親告罪と示談

2021-01-31

親告罪示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県赤穂警察署は、元交際相手の男性を中傷するビラをばらまいたとして、Aさんを名誉棄損の疑いで逮捕しました。
Aさんは、男性から性的被害を受けたなどと書いたビラを男性の勤務先に郵送したことを認めています。
Aさんは嫌がらせ目的で行いましたが、今は反省しており、男性に謝罪したいと思っており、接見に来た弁護士に相談しています。
(フィクションです。)

親告罪とは

Aさんは、名誉棄損の罪に問われています。
名誉棄損罪とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に、その事実の有無にかかわらず成立する罪です。
名誉棄損罪は、「親告罪」と呼ばれる罪です。

親告罪」というのは、被害者等の告訴権者による告訴がなければ公訴を提起することができない罪のことです。
親告罪が設けられているのは、被害者の意思を無視して訴追する必要性がなく、訴訟の場において被害者の名誉がさらに侵害されるおそれがあるため、訴追の有無を被害者の意思にかからせることが適当と判断されるからです。

名誉棄損罪は親告罪ですので、告訴がなければ起訴することができないというわけです。

「告訴」というのは、被害者等が、検察官や司法警察員に犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求める意思表示のことです。
告訴を似ているものとして「被害届」がありますが、被害届は被害を受けた事実を申告するのみであって、犯人の処罰を求めるという点で告訴と異なります。
告訴をすることができるのは、原則として被害者となりますが、被害者が未成年の場合には、親権を有する父親や母親も告訴することができます。
被害者が死亡したときは、被害者の遺族も告訴することができます。

不起訴を目指した示談交渉

先の述べたように、名誉棄損罪は親告罪です。
告訴がなければ公訴を提起することができません。
つまり、被害者が告訴しなければ、不起訴で事件が終了するということです。

名誉棄損事件で不起訴の獲得を目指す場合には、被害者との間で示談を成立させることが何よりも重要です。
示談」というのは、一般的に、加害者が被害者に対して被害弁償を行う一方、被害者は被害届を提出しない、告訴を取下げるなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することです。
被害者との間で交渉し、告訴を行わない、あるいは、告訴を取下げるとの内容で合意することができれば、検察官は当該被疑者について不起訴処分とします。

不起訴処分獲得には欠かせない示談ですが、示談交渉は弁護士を介して行うのが一般的です。
被害者と面識がない場合には、捜査機関を通じて被害者の連絡先を入手しますが、捜査機関が加害者に被害者の連絡先を教えることはありません。
加害者が被害者の連絡先を知っている場合でも、被害者が加害者との直接交渉を望まないことも多々ありますし、仮に交渉に応じたとしても、当事者同士の話し合いは感情的になり難航するケースが多く見受けられます。
その点、弁護士との交渉であれば、連絡先を教えてくれたり、話し合いに応じてもらえることが多く、話し合いも冷静に行うことができます。
加害者側も、直接被害者と交渉することに不安を感じ、弁護士を介した示談交渉にメリットを感じられる方も少なくありません。

刑事事件における示談交渉は、刑事事件に強く示談交渉に豊富な経験のある弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
名誉棄損事件で被害者との示談交渉でお悩みであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
まずはお気軽にお電話ください。

強制わいせつ事件で逮捕されたら

2021-01-27

強制わいせつ事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県飾磨警察署は、強制わいせつの疑いで、兵庫県姫路市に住むAさんを逮捕しました。
逮捕容疑は、X年X月X日午後X時X分ごろ、姫路市内の路上で、歩いていた女子高生に後ろから近づき、胸や尻などを触ったということです。
Aさんは容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、今後どうなるのか不安で仕方ありません。
すぐに刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

強制わいせつ事件で逮捕されたら

強制わいせつ罪は、①13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をし、或いは、②13市未満の者に対し、わいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
本罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役となっており、起訴され有罪となればこの範囲内で刑が言い渡されることになります。

ここでは、強制わいせつの容疑で逮捕された場合の流れについて説明していきます。

1)勾留

逮捕から48時間以内に、警察は被疑者の身柄を証拠や関係書類と共に検察庁に送ります。
これを「送致」と言い、検察庁に送致しない場合には、警察は被疑者を釈放します。
強制わいせつ事件では、警察の段階で釈放されることはあまりありません。
検察庁に送致された後、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放する、或いは裁判官に対して被疑者の勾留を請求します。
「勾留」というのは、逮捕に引き続き比較的長期間身柄を拘束するもので、検察官は、被疑者の取調べを行い、送られてきた証拠や関係書類を検討した結果、引き続き被疑者の身柄を拘束して捜査をする必要があると判断すれば、勾留請求を行います。
検察官からの請求を受けて、裁判官が勾留の判断を行います。
裁判官は、被疑者と面談し、送られてきた証拠等を検討し、当該被疑者を勾留すべきか否かを判断します。
勾留すべきではない場合には、検察官の請求を却下し、被疑者を釈放します。
他方、勾留の決定をした場合には、被疑者は、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を余儀なくされます。
強制わいせつ事件では、電車内でのわいせつ行為のような痴漢類型であれば勾留されない可能性は高い一方、それ以外の類型であれば一般的に勾留される可能性は比較的に高いと言えるでしょう。
しかしながら、被害者と面識がない場合や行為態様が悪質ではない場合には、勾留とならないケースもあります。
ですので、強制わいせつ事件においても、早期に弁護士に相談し、身柄解放に向けて活動することは重要です。

2)起訴

起訴するか否か決めるのは、検察官です。
強制わいせつ罪は親告罪ではありませんが、起訴・不起訴の判断においては、被害者との示談が成立しているか否かといった点が重視されます。
そのため、示談が成立していれば起訴猶予となる可能性が高く、示談できていなければ公判請求となる可能性が高くなります。
つまり、不起訴を獲得するために捜査段階で最も重要な弁護活動のひとつに被害者との示談交渉が挙げられます。
もちろん、これは容疑を認めている場合のことですので、否認している場合には最後まで争い嫌疑不十分での不起訴や無罪獲得を目指した活動を行います。

3)裁判

公判請求された場合、保釈制度を利用し釈放される可能性はあります。
捜査段階で勾留されていた場合でも、起訴後であれば保釈が認められ釈放となるケースは多いので、起訴後すぐに保釈請求できるように準備しておく必要があります。
また、捜査段階で示談が成立しなかった場合でも、粘り強く交渉を続けることは重要です。
裁判までに示談が成立すれば、被告人に有利な事情として考慮してもらえ、言い渡される刑にも影響を及ぼすことになります。
示談が困難であっても、被害弁償、贖罪寄附、供託などの方法を試みることもあります。
一方、事実を争う場合には、被告人の主張が通るよう、被告人に有利な証拠を収集し、無罪獲得に向けた活動を行います。

強制わいせつ罪は、決して軽くはない犯罪です。
前科・前歴、行為態様、被害の程度、被害者との示談の有無などによっては、実刑が言い渡される可能性も十分あります。
容疑を認める場合でも、争う場合でも、早期に弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制わいせつ事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

電子計算機使用詐欺事件で逮捕

2021-01-24

電子計算機使用詐欺事件で逮捕となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県丹波篠山市のスーパーマーケットでは、セルフレジで値引き対象外の商品が値引きされて精算されているという事案が複数回発生しており、頭を悩ましていました。
店は警戒を続けていたところ、警備員が商品に値引きシールを貼っている女性の姿を発見したため、女性がセルフレジで精算を終えたところで声をかけました。
女性は、店の商品に値引きシールを貼りセルフレジで精算する行為を複数回していたことを認めており、通報を受けてスーパーマーケットに駆け付けた兵庫県篠山警察署の警察官はこの女性を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)

電子計算機使用詐欺罪とは

電子計算機使用詐欺罪は、刑法246条の2に規定される罪です。

「前条〔詐欺〕に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。」(〔〕は追記)

刑法上の詐欺罪は、欺く対象が人でなければならず、コンピューターに対して欺く行為を行った場合には成立しません。
しかし、コンピューターの普及に伴い、コンピューターに対する詐欺行為を処罰する必要性が生じたため、昭和62年の法改正で電子計算機使用詐欺罪が新設されました。

◇客体◇

本罪の客体は、「財産上の利益」です。
「財産上の利益」とは、財物以外の財産上の利益の一切をいうとされています。
例えば、債務の免除やサービスの提供を受けることなどです。

◇行為◇

本罪の実行行為は、
①「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り」、又は、「財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して」、
②「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させ」る
ことです。

①不法利益の手段
(a)不実の電磁的記録の作出
「人の事務処理に使用する電子計算機」は、他人がその事務を処理するために使用する電子計算機を指します。
つまり、誰かが業務を行うために使うコンピューターのことです。
スーパーマーケットのセルフレジは、店が精算業務をするために使用するコンピューターですので、「人の事務処理に使用する電子計算機」に当たります。
「虚偽の情報を与え」るとは、事務処理システムにおいて予定されている事務処理の目的に照らし、その内容が事実に反する情報を入力することをいいます。
セルフレジは、商品の精算をするためのものですが、店が設定した値段で精算処理することが予定されており、勝手に値引き価格で精算する行為は、「虚偽の情報を与え」るものと言えるでしょう。
また、「不正な指令を与え」るとは、その電子計算機の使用過程において、本来与えられるべきでない指令を与えることをいいます。
「財産権の得喪若しくは変更に係る電磁的記録」は、財産権の得喪・変更があったという事実又は財産権の得喪・変更を生じさせるべき事実を記録した電磁的記録のことです。

(b)虚偽の電磁的記録の供用
「協議の電磁的記録を人の事務処理の用に供」するとは、行為者が所持する内容が虚偽である電磁的記録を、他人の事務処理用の電子計算機に差して使用させることです。

②財産上不法な利益の取得
①の結果、取得する「財産上不法な利益」とは、財物以外の財産上の不法な利益のことで、セルフレジに値引きを適用させ本来支払うよりも安く商品を購入することは、財産上不法な利益を得たと言えます。

電子計算機使用詐欺罪で逮捕されたら

上記事例においては、逮捕後に勾留されず釈放となる可能性はあります。
しかし、気を付けなければならないのは、釈放されたからといって事件が終了したわけではない、ということです。
釈放後も、捜査は行われます。
警察署や検察庁から、取調べのために出頭するよう要請されます。
捜査を遂げると、検察官は起訴するかどうかを決めます。

電子計算機使用詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役と、他の刑法犯と比べても重い罪となっています。
しかし、例え検察官が有罪を立証するだけの十分な証拠があったとしても、被疑者・被告人の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況を考慮して、裁量により起訴しないとする場合、つまり、起訴猶予となる場合があります。
上の事例について考えれば、初犯であり、被害額は比較的少額にとどまり、被害弁償、更には被害店舗との示談が成立している場合には、不起訴処分となる可能性はあるでしょう。

被害者との示談交渉も含めた不起訴処分に向けた活動は、刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が電子計算機使用詐欺罪で逮捕された、取調べを受けていて対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

ネット上の誹謗中傷で刑事事件に

2021-01-10

ネット上の誹謗中傷刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県南あわじ警察署は、ある日の早朝にAさんの自宅を訪れました。
「V社に対するネット上の誹謗中傷で、何か身に覚えはありませんか。」と尋ねられたAさんは、昨年まで勤めていたV社が「反社会的勢力と裏取引をしている」、「V社はブラック企業」、「V社は社員を奴隷扱いしている」などと、あることないことネットに書き込んでいたことを認めました。
Aさんは、人間関係のトラブルからV社を退社することになったため、その腹いせにネット上で誹謗中傷の書き込みを1年ほど続けていました。
Aさんは、大変なことをしてしまったと反省しており、今後どのような処分を受けることになるのか不安でたまりません。
(フィクションです)

止まぬネット上の誹謗中傷

インターネットの普及に伴い、ネット上でのトラブルも増加しています。
特に、SNSや掲示板での誹謗中傷の書き込みは後を絶ちません。
残念ながら、ネット上では相手方に自分の顔や名前を知られることがないということをいいことに、相手の気持ちを無視した無責任な書き込みをする者は少なくありません。
しかしながら、ネット上の誹謗中傷は刑法上の名誉棄損罪や侮辱罪にあたる可能性があります。

(1)名誉毀損罪

刑法第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

◇客体◇

名誉毀損罪の客体は、「人の名誉」です。
ここでいう「人」には、自然人のほかに、法人、法人格のない団体も含まれますが、特定の人や団体であることが求められます。
「関西人」といった漠然とした集団は「人」には含まれません。
「名誉」とは、人に対する社会一般の評価を意味します。
ざっくり言えば、「自分が社会からどのように評価されているのか」に関わるものです。
名誉毀損罪における「名誉」には、人の経済的な支払能力や支払意思に対する社会的評価は含まれません。
また、「名誉」は、その内容としての人の価値は積極的(ポジティブ)なものに限られ、消極的な(ネガティブ)価値は含まれません。

◇行為◇

名誉毀損罪の行為は、「公然と事実を適示し」て「人の名誉を毀損」することです。
「公然」とは、不特定または多数人が認識し得る状態のことをいいます。
SNSやネット掲示板における書き込みは、通常誰でも閲覧可能である状態であることから、公然性は認められるでしょう。
適示される「事実」は、人の社会的評価を害するに足りる事実でなければなりません。
人の社会的評価を害するか否かは、相手方のもつ名誉如何によって決まります。
例えば、医者でもない者に「医者のくせに風邪も治せないやぶ医者」といっても、相手方はそもそも医者ではないので、適示された事実によって社会的評価を害することはありません。
適示される事実については、それが真実が否か、公知か否か、過去のものか否か、といったことは問いません。
「適示」とは、具体的に人の社会的評価を低下させるに足りる事実を告げることをいい、その方法・手段は特に制限されません。
そして、社会的評価を害するおそれのある状態を発生させれば「人の名誉を毀損」したことになり、通常、公然と事実を適示することにより、通常人の名誉は毀損されたものといえ、既遂に達することになります。

◇故意◇

名誉毀損罪の成立には、行為者において、他人の社会的評価を害し得る事実を不特定または多数人が認識し得る形で適示していることについての認識がなければなりません。

(2)侮辱罪

刑法第231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

◇客体◇

侮辱罪の客体は、「人の名誉」です。

◇行為◇

侮辱罪の行為は、「公然と人を侮辱」することです。
「公然」および「人」については、名誉毀損罪におけるそれらの意義を同じです。
「侮辱」とは、他人の人格を蔑視する価値判断を表示することをいいます。

名誉毀損罪と侮辱罪との違い

名誉毀損罪と侮辱罪は、公然と人の社会的評価を低下させ得ることを示す点で共通していますが、これらの罪は、具体的な事実を示す場合が名誉毀損罪、具体的な事実ではない抽象的な評価などを示す場合が侮辱罪に該当すると言えます。
上記事例においては、「反社会的勢力と裏取引をしている」、「V社はブラック企業」、「V社は社員を奴隷扱いしている」と書き込んでおり、それらを具体的な事実とまでは言えず、抽象的な評価の適示にとどまるため、侮辱罪が成立するものと考えられます。

刑事事件に発展した場合

名誉毀損罪も侮辱罪も、告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」と呼ばれる罪です。
「告訴」というのは、犯罪の被害者やその他の告訴権者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その訴追を求める意思表示のことです。
親告罪は、被害者らが「犯人を厳しく処罰してください。」と捜査機関に申し出ることで、検察官は起訴することができる罪です。
つまり、被害者らからの申し出がなければ、検察官は起訴することができません。
そのため、刑事事件となった場合でも、被害者との間で示談を成立させ、行為者の処罰を求めない旨の合意を成立させることができれば、起訴されることはありませんので、名誉棄損・侮辱事件においては、何よりも被害者との示談が重要になります。
しかしながら、示談交渉を当事者間で行うことはあまりお勧めできません。
当事者同士の交渉は、感情的になり易く、交渉が難航する場合が多いからです。
また、示談が成立した場合であっても、法律に詳しくない者同士では、合意内容を適切に示談書にすることは難しく、後々言った言わないの争いに発展することもあるからです。
被害者との示談交渉は、法律の専門家である弁護士を介して行うのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ネット上の誹謗中傷刑事事件に発展し対応にお困りであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

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