Archive for the ‘刑事事件’ Category

ひき逃げ事件で逮捕

2019-04-22

ひき逃げ事件で逮捕

~ケース~
兵庫県西脇市の路上で、男性が倒れているのを近所の男性が発見し、急いで通報しました。
通報を受けて駆け付けた兵庫県西脇警察署は、現場の状況から車にひき逃げされたとみて捜査しています。
被害男性は、救急車で近くの病院に運ばれましたが、まもなく死亡が確認されました。
事故現場周辺の防犯カメラの映像から、トラック運転手のAさんを被疑者として逮捕しました。
Aさんは、「人にぶつかった認識はない」と容疑を否認しています。
(フィクションです)

ひき逃げで問われる罪とは

ひき逃げ」とは、自動車などの運転中に人身事故を起こしたにもかかわらず、必要な措置を講ずることなく、事故現場から立ち去る犯罪行為をいいます。
この「ひき逃げ」をした場合には、以下の罪に問われることになります。

道路交通法違反

道路交通法第72条は、交通事故を起こした場合にとるべき義務について、以下のように定めています。

第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

つまり、交通事故を起こしてしまった場合、事故を起こした運転手や同乗者は、現場にとどまり
・負傷者を救護する義務
・二次事故の発生を予防する措置を講じる義務
・警察への報告義務
といった義務があるのです。
交通事故を起こしたにもかかわらず、何もせずにその場から立ち去った場合には、上の義務違反となるでしょう。

過失運転致傷罪

過失運転死傷罪は、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に以下のように規定されています。

第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

自動車を運転する上で必要な注意を怠ったことにより、人を死傷させる犯罪です。

危険運転致傷罪

飲酒やスピードの出しすぎなどで自動車の制御が困難な状態で運転し、人身事故を起こすと、刑罰が加重された危険運転致死傷罪に問われることになります。

正常な運転に支障がある状態で、危険な運転をし、人を負傷または死亡させた場合については、以下のように規定されます。

第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

また、アルコールや薬物の影響により、正常な運転に支障があるおそれがある状態で自動車を運転し、人を負傷または死亡させた場合についても危険な運転致死傷罪に問われます。

第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

実際に交通事故を起こしたにもかかわらず、車を停止せずそのまま立ち去った場合であっても、交通事故を起こしたことに気づいていなければひき逃げは成立しません。
そのような場合には、弁護人は、客観的な証拠に基づく運転状況や被害者の行動、現場の状況などから、事故発生を認識することが困難であったことを主張・立証し、不起訴処分や無罪判決を目指す弁護活動を行います。
このような弁護活動には、交通事件を含めた刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

ご家族がひき逃げ事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください

詐欺事件で接見禁止

2019-04-21

詐欺事件で接見禁止

~ケース~
大学生のAさん(20歳)は、高額アルバイトの募集をSNSで知り、応募することにしました。
Aさんは、Bという男から、兵庫県赤穂市にある家に行き、その家に住む女性からキャッシュカードを受け取るよう指示されました。
Aさんは、指示通り、女性宅に行き、金融庁職員を名乗りキャッシュカードを受けとりました。
すると、Aさんは、女性宅の外に待ち伏せしていた兵庫県赤穂警察署の警察官に詐欺の疑いで逮捕されてしまいました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、警察にAさんとの面会を希望しましたが、勾留まで会うことはできないと言われました。
その後、勾留の連絡と接見禁止がなされているため会うことができないことが分かり、Aさんの両親はどうしたらいいのか分からず、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

逮捕後の接見・一般面会

あなたが、刑事事件を起こして、警察などの捜査機関に逮捕された場合、一般的に、逮捕された後に勾留されるまでの間は、あなたは家族と面会することはできません。
この間、弁護士であれば、立会人なく、時間制限もなく、逮捕されている被疑者と会う(「接見」)ことができます。
勾留が決定されると、あなたは、あなたの家族と面会することができるのが通例となっています。
しかし、弁護士との接見とは異なり、被疑者の家族などとの面会は、以下のような点で制限があります。
・面会日:平日の月曜から金曜まで
・面会時間:概ね午前9時から午後5時まで
・面会人数:1日に1組3名まで

接見禁止

原則、勾留が決定した後には、被疑者の家族との一般面会が認められることになるのですが、一定のケースでは、勾留後も家族と面会することができない場合があります。
裁判所は、弁護士以外との面会を禁止する「接見禁止」処分を付すことが出来ます。

第八十一条 裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。

このように、外部との接見により、罪証隠滅のおそれがあると判断された場合には、勾留後に接見禁止となることがあります。
接見禁止になりやすいケースとしては、以下のような場合が挙げられます。
・共犯者がいる場合
・証拠の確保が未了の場合
・組織的犯罪の場合
・加害者関係者と被害者・目撃者の接触を回避すべき場合
特殊詐欺は組織的に行われていることが多く、特殊詐欺の受け子として逮捕された場合には、勾留後に接見禁止が付されることが多くなっています。

接見禁止により、弁護人または弁護人になろうとする者以外との面会が禁止されます。
また、手紙のやり取りも禁止されます。

逮捕・勾留により身体拘束を受け、外界と処断された生活を余儀なくされる被疑者は、身体的にも精神的にもかなりの影響を被ることになります。
そのような場合に、更に家族に会えないとなると、益々ダメージは大きくなるでしょう。

接見禁止が付された場合の活動

接見禁止を解除し、面会するため、弁護人は、次のような活動を行います。
(1)準抗告・抗告
裁判所に対して、接見等禁止決定の取消または変更を請求します。
準抗告・抗告が認められると、接見禁止が解除され、その後被疑者・被告人と家族が接見できるようになります。
(2)接見禁止処分の解除申立て
接見禁止処分について解除を申し立てる権利は、被疑者・被告人、弁護人に認められた権利ではなく、裁判官の職権発動を促す「お願い」になります。
一般人である配偶者・両親などの近親者については、罪証隠滅のおそれが低く、これらの近親者について一部解除を申し立てると、解除が認められることが多くなっています。

このような活動は、刑事事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が、詐欺事件で逮捕され、勾留後に接見禁止が付されており面会できずにお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。

刑事事件と裁判員裁判

2019-04-19

刑事事件と裁判員裁判

~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町に住むAさんは、隣に住むBさんが出す騒音に腹が立っていました。
Aさんは騒音に対して、何度もBさんに注意をしましたが、Bさんは一向に音を立てるのを止めませんでした。
ある日、Bさん宅から騒音が聞こえてきたのを聞いたAさんは、どうしても我慢ができず、もうBさんを実力で黙らせるしかないと考え、台所から包丁を持ち出し、Bさん宅のインターホンを鳴らしました。
Aさんは、Bさんが玄関から出てきたところをいきなりその腹の部分めがけて包丁を突き立てました。Bさんが腹から血を出す様子を見たAさんは我に返り、大変なことをしてしまった、このままではBさんが死んでしまうと考え、自ら110番と119番をしたところ、兵庫県相生警察署から駆けつけた警察官に殺人未遂罪で現行犯逮捕されました。
幸いにしてBさんは一命をとりとめましたが、Aさんはそのまま殺人未遂罪で起訴されることとなりました。

裁判員裁判対象事件

通常、裁判は、裁判官が行います。
これは、民事事件も刑事事件も変わりありません。
しかし、一定の事件については、裁判官3名と、一般市民から選ばれた裁判員6名の合計9名で裁判が開かれます。
このような裁判のことを裁判員裁判と呼んでいます。
裁判員裁判対象事件は、①死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる事件②故意の犯罪により人を死亡させた事件(①に当たるものを除く)です。
殺人罪や放火罪は①に当たり、傷害致死罪は②になります。
また、法定刑に死刑又は無期の刑がある事件は、人が死亡したかどうかを問いませんから、殺人未遂罪も①によって対象事件となります。
これらに対し、過失運転致死罪は、故意の犯罪ではありませんから、①②のいずれにも当てはまらず、裁判員裁判対象事件ではありません。
Aさんは、殺人未遂罪で起訴されていますから、Aさんは裁判員裁判で裁かれることになります。

裁判員裁判の進み方

裁判員裁判は、通常の裁判とは異なる進み方をします。
通常の裁判では、法廷に裁判官・検察官・弁護人・被告人が出席したうえで、公開の法廷で議論が進められます。
これに対し、裁判員裁判では、実際の裁判が開かれる前に、公判前整理手続という手続きが行われます。
公判前整理手続とは、裁判員に実際に審理をしてもらう前に、裁判官・検察官・弁護人の三者により、本件事件の争点や、実際に裁判に提出する証拠を整理する手続きです。
このような手続きの中で、事件の争点や、重要な事実が整理され、裁判員には、最初から争点や判断の対象が提示されるようになっています。
公判前整理手続を経た事件の場合、この手続きが終結した後には、特別の事情がない限り新たな証拠の提出が許されなくなります。
Aさんの事件で、弁護側が主張すると考えられる点として、①Aさんに殺意はあったのか②Aさんに殺意があったかどうかは別にして、Aさんがこのような行動に及んだ原因はBさんに会ったのではないか③Aさんに殺意があったかどうかは別にして、Aさんは自ら110番通報しており、自首が成立するのではないか、というようなものが考えられます。
例えば、③を例にとると、自首が成立しているという主張は、公判前整理手続の中であらかじめ主張する必要があります。
Aさんが自首をしたということを証明するものとして、110番通報の入電記録がありますが、このような証拠を裁判に提出するためには、あらかじめ手続きの中で主張しなければなりません。
このような主張をしないまま、裁判員が審理する段階で、新たに入電記録のような証拠を提出したいと裁判所に主張したとしても、裁判所は証拠の提出を認めないでしょうから、結果として自首の主張ができなくなるおそれがあります。
このように、裁判員裁判は、裁判員には負担が少ないように設計されていますが、当事者の立場から見れば、適切な時期に適切な主張をしなければならないという制度になっています。

裁判員裁判には、刑事事件に強い弁護士に弁護を依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に取り扱っており、裁判員裁判を経験した弁護士も多数所属しております。
ご家族が裁判員裁判対象の事件を起こしてしまいお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。

公然わいせつ事件で釈放

2019-04-17

公然わいせつ事件で釈放

~ケース~
兵庫県三木市に住む会社員のAさんは、電車内で隣に座っていた女性に露出した陰部を見せたとして、兵庫県三木警察署公然わいせつの疑いで逮捕されました。
Aさんは、会社の帰りに同僚と飲みに行き、かなり酒に酔っていたようで、ムラムラして露出してしまったと容疑を認めています。
Aさんは、なんとかすぐに釈放されないかと心配しています。
(フィクションです)

公然わいせつ罪

公然わいせつ罪については、刑法174条に規定されています。

第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

公然わいせつ罪とは、「公然と」「わいせつな行為」をする犯罪です。
「公然と」というのは、わいせつな行為を不特定または多数の人が認識できる状態といいます。(最決昭32・5・22)
実際にわいせつな行為が誰かによって認識される必要はありません。
また、特定少数の者に対してわいせつな行為を見せた場合であっても、それが不特定多数人を勧誘した結果であれば、「公然と」に当たります。
「わいせつな行為」の意義についてですが、これは、どの行為者またはその他の者の性欲を刺激興奮または満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいいます。(東京高判昭27・12・18)

釈放に向けた活動

逮捕後の流れは、以下のようになります。

警察は、被疑者を逮捕してから48時間以内に、被疑者を釈放するか、検察に送致するかを決めます。
警察から身柄が検察に送致されると、被疑者は検察官からの取調べを受けます。
検察官は、被疑者を起訴するか不起訴にするかを判断しなければならいのですが、検察官は被疑者の身柄を受けて24時間以内に判断しなければならず、そのような短時間に起訴不起訴の判断にまで至るケースはめったにありません。
そこで、被疑者を起訴するか不起訴とするかしっかりと判断するため継続して捜査を行う必要があるのです。
しかし、被疑者が逃亡したり、証拠を隠滅したりするおそれがあると疑われる場合には、被疑者に対する勾留請求を行います。
勾留請求を受けて、被疑者は裁判所に移動し、裁判官と直接面談します。
その後、裁判官は、被疑者を勾留する必要があるのか否かを判断し、ある場合には勾留の決定を下します。

勾留は、①勾留の理由、および②勾留の必要性があると判断された場合に決定されます。
「勾留の理由」とは、(ア)被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」、(イ)住所不定、罪証隠滅・逃亡のおそれのいづれかがあることをいいます。
「勾留の必要性」は、事案の軽重、捜査の進展の程度、被疑者の年齢・身体の状況等から判断した勾留の相当性を意味します。

勾留の要件に該当し、勾留決定がなされると、検察官が勾留請求をした日から原則10日間身体拘束が継続することになります。
勾留の延長が決定すると、最大で20日間となります。

勾留されると、その間、職場や学校に行くことはできませんので、事件のことが周囲に知られる可能性も高まりますし、そうなれば懲戒解雇や退学のおそれもでてきます。
そのような事態を避けるためにも、逮捕されたら早期に弁護士に相談し、勾留阻止に向けて活動してもらうのがよいでしょう。
具体的には、勾留請求前であれば、検察官に勾留の要件に該当しない旨の主張をし、勾留請求しないよう働きかけます。
勾留請求後には、裁判官に対して勾留決定しないよう意見書を提出するなどします。
勾留決定がされてしまった場合には、勾留決定に対する不服申立てを行います。
不服申立ての結果、裁判所が、原裁判を取消し、検察官の勾留請求を却下した場合には、勾留とはならず釈放されます。

刑事事件はスピードが重要です。
ご家族やご友人が刑事事件を起こし逮捕されてしまった場合には、できるだけ早く刑事事件に精通する弁護士にご相談・ご依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は、今すぐ弊所(フリーダイアル0120-631-881)までお問い合わせください。

占有離脱物横領で微罪処分

2019-04-16

占有離脱物横領で微罪処分

~ケース~
会社員のAさんは、電車で会社まで通勤していました。
ある日、会社の最寄り駅にあるトイレを利用した際、トイレの個室に財布が置き忘れられていることに気が付きました。
Aさんは魔が差して、その財布を自分のカバンの中にいれて持ち帰りました。
財布から現金を抜き取り、財布は駅のゴミ箱に捨てました。
その後、兵庫県明石警察署から連絡が来て、「財布の件で話が聞きたいから署まで来てもらえませんか。」と言われました。
Aさんは、警察署に出頭する前に、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

占有離脱物横領罪とは

誰かが置き忘れた財布や荷物をそのまま自分のものにしてしまう、いわゆるネコババ行為は、ちゃんとした犯罪になります。
多くの場合、「占有離脱物横領罪」という罪に問われることになります。

第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

占有を離れた他人の物

占有者の意思に基づかずにその占有を離れたもので、誰の占有にも属していないもの、及び、委託関係に基づかずに行為者の占有に属したものをいいます。
占有者が手にもっている場合はもちろんですが、手にもっていなくても占有者の傍に置いておいたり、占有者が近くにいなくても場所どりのために置いている場合には「占有を離れた」とは言えません。
これは、「他人のもの」でなければならず、所有者が所有権を放棄したものや無主物は客体から除かれます。

横領

占有離脱物を「不法領得の意思」に基づいて自己の支配下に置いたときに、既遂に達します。
「不法領得の意思」とは、その内容については争いがありますが、判例は、他人の物の占有者が委託の任務に背いてそのものにつき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思であると解しています。

以上より、Aさんがトイレで発見した財布は、持ち主がうっかり置き忘れていたものであるので、持ち主がまだ近くにいてすぐに取りに戻ってきた場合は別として、「占有を離れた他人の物」と言えるでしょう。
そして、その財布を勝手に自分のものにして、現金は抜き去り、財布は処分してしまったので、占有離脱物横領罪が成立すると考えられます。

微罪処分

さて、占有離脱物横領罪が成立した場合であっても、微罪処分となる可能性があります。
微罪処分」というのは、検察官に送致する手続をとらず、他の同一事件とともに月まとめで一括して検察官に報告することで事件を処理する処分のことです。

この微罪処分の対象となる犯罪は、
①過去10年以内に同種の前科前歴のない者、又は
②常習者でない者の犯した
窃盗、盗品等関係、詐欺、単純横領、単純賭博、暴行です。
これらの犯罪の内容が、軽微と認められ処罰を要しないと明らかなものが、微罪処分の対象となります。
例えば、窃盗であれば、犯情悪質でなく、被害額が少ない事件、また、被害届が出されていない事件や被害回復がなされている事件は、軽微な事案として微罪処分となる可能性があるでしょう。
しかし、以下のような場合は微罪処分の対象から除外されます。
①被害者不明等の理由により証拠品の還付不能の事件、
②通常逮捕・緊急逮捕の規定によって被疑者を逮捕した事件、
③現行犯逮捕の規定により被疑者を逮捕した事件で24時間以上被疑者を留置した事件、
④告訴・告発・自首のあった事件、
⑤法令が公訴を行わなければならないことを規定している事件、
⑥検事正が特に送致すべきものと指示した事件。

微罪処分となると、家族などの身元引受人が警察署まで迎えにきて釈放となります。
微罪処分になると、処罰されることはありませんが、「前歴」が付くことになります。
前歴は、警察、検察、本籍のある市区町村に記録として残りますが、法的に不利益になることはありません。
しかし、再び犯罪を犯してしまうと、初犯として扱われないことに注意が必要です。

兵庫県の占有離脱物横領事件で被疑者となり警察からの呼び出しを受けている、取調べ対応にお困りの方は、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
数多くの刑事事件を取り扱ってきた経験豊富な弁護士が、丁寧に相談対応いたします。
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準強制性交等罪の心神喪失・抗拒不能

2019-04-15

準強制性交等罪の心神喪失・抗拒不能

~ケース~
○○会社で勤務するAさんは、出身大学の学生からOB訪問を希望する連絡を受けました。
AさんはOB訪問を快諾し、学生2人と会うことになりました。
会社の話をした後、Aさんは学生たちを飲みに誘いました。
学生のVさんは、あまりお酒が強くないと言っていましたが、酒を飲んで気が大きくなっていたAさんは、Vさんに強いお酒を勧めました。
最終的にはVさんはお店で眠り込んでしまったので、AさんがVさんを自宅まで送ることにしました。
AさんはVさんをタクシーで自宅まで送っていき、部屋までVさんを連れて行きました。
Vさんをベッドまで運んだ際、Aさんは、Vさんは自分に気があるんじゃないかと思い、Vさんにキスをしました。
Vさんが嫌がる様子がなかったので、そのままVさんの服を脱がし性行為をしました。
途中、Vさんは何か言っているようでしたが、特段拒絶されることもなく、事が終わりました。
しかし、後日、兵庫県三田警察署にVさんが被害届を出し、Aさんは準強制性交等の容疑で逮捕されました。
Aさんは、同意があったと主張していますが、Vさんは抵抗できなかったと供述しているようです。
(フィクションです)

準強制性交等罪について

第百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

刑法178条2項が準強制性交等罪について規定しています。
強制性交等罪が、性交等を行う手段として「暴行又は脅迫」と定めているのに対して、準強制性交等罪については、①「心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ」または②「心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせ」ることによるものとしています。
心神喪失」とは、精神的または生理的な障害によって正常な判断能力を失っている状態といい、熟睡、泥酔、麻酔状態、高度の精神病等により被害者が行為の意味を理解できない場合がこれにあたります。
抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由により心理的または物理的に抵抗ができない状態をいいます。
例えば、行為自体は認識しつつも医療行為と誤信した場合など、錯誤により抵抗する意思を失っている場合などがあります。
心神喪失抗拒不能の程度についてですが、完全に不可能であることを必要とせず、反抗が著しく困難であればよいとされます。
①心神喪失・抗拒不能に乗じて
既に被害者が心神喪失抗拒不能にある状況を利用することを指します。
例えば、被害者の高度の精神沈滞状況を利用した場合、睡眠中や泥酔状態の利用などがあげられます。
②心神喪失・抗拒不能にさせる
被害者にお酒を飲ませて泥酔させたり、医師の医療行為を装い治療と誤信した被害者に性交等を行う場合などです。
被害者の無知、困惑、驚愕等や、加害者との関係などといった被害者のおかれた特別の状況を利用して行為が行われた場合にも本罪が成立する可能性があります。

ここで、上記ケースに照らしてみると、AさんがVさんと性交しようと最初から考えていてお酒の弱いVさんに強いお酒を勧めてVさんを泥酔させ、性交したのであれば、「心神喪失抗拒不能にさせて性交等をした」と言えるでしょう。
また、最初からVさんを酔わせるつもりはなくとも、Vさんが泥酔した状態を利用して性交等したのであれば、「心神喪失抗拒不能に乗じて性交等をした」ことになる可能性はあります。
また、Vさんが実際にどのような泥酔状態であったのかも問題となります。
自分で歩くことができない、呂律が回らず会話ができないといった状態であれば、Vさんが自分の意思表示(=反抗)を行うことは著しく困難であったと考えられます。
一方、そこまで酔ってはいなかった場合、直ちにVさんが犯行当時著しく反抗するのが困難ではなかったと判断されるのかと言えばそうではなく、Vさんが心理的に抵抗することができない状態にあった場合には、抗拒不能の状態が肯定されます。
例えば、AさんとVさんの関係性から、行為を拒否することでVさんが危害を加えられるのではないかと恐怖に慄いた結果、身動きが取れず反抗することができなかった場合は、抗拒不能であったと判断されるでしょう。

しかしながら、本罪の成立には、加害者側の故意がなければなりません。
つまり、被害者が心神喪失または抗拒不能の状態にあることを認識して行為に出ること、そして被害者の同意がないことの認識が必要となるのです。
被害者が心神喪失抗拒不能の状態であったことが明らかであっても、それを加害者が認識していない場合や、被害者が同意していないことを加害者が認識していない場合には、準強制性交等罪は成立しないことになります。
ただ、これらは内心の問題となるので、単に「知らなかった。同意があったと思っていた。」と主張するだけは足りず、客観的な証拠により、AさんがVさんを心神喪失抗拒不能の状態にあることを認識して行為に出たものではなかったことが立証される必要があります。
このような弁護活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

兵庫県の準強制性交等事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。

覚せい剤事件における弁護活動

2019-04-14

覚せい剤事件における弁護活動

~ケース~
兵庫県姫路市に住むAさんは、ある日突然兵庫県姫路警察署の警察官による家宅捜索を受け、その後、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕されました。
Aさんは罪を認めていますが、今後どのような処分を受けるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)

覚せい剤取締法違反

覚せい剤取締法は、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関する取締りについて定めています。

覚せい剤取締法14条は、覚せい剤製造業者等の一定の資格を有する者が所持する場合等を除き、覚せい剤の所持を禁止しています。
ここでいう「所持」は、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうものであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」と解されます。(最大判昭30・12・21)
つまりは、「覚せい剤を自己の支配内に置く行為」が「所持」にあたるというわけです。
判例によれば、以下の場合にも「所持」が認められると判示しています。
・物理的に把持する必要はなく、その存在を認識して管理し得る状態にある場合。
・直接所持しなくてもよく、他人の行為を介して自己の所持を実現したと認められる場合。
・比較的短時間の携行にすぎない場合。
また、所持罪が成立するためには、故意、つまり、覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していることが必要です。
積極的に覚せい剤を自己または他人のために保管する意思や、自己使用または第三者に使用させる意思などは必要とされず、その動機や目的、態様の如何を問いません。
ですので、覚せい剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けばそれだけで所持罪は成立することとなります。
「知人が勝手に置いて行ったので仕方なく保管していただけだ」と主張したとしても、置いて行ったものが覚せい剤だと認識しており、それでも自己の支配内に置いていたのであれば、所持罪の罪に問われ得るのです。

覚せい剤事件における弁護活動

覚せい剤事件で逮捕された場合、そのご勾留がなされ長期の身体拘束となるケースがほとんどです。
覚せい剤のような薬物事件では、共犯者がいることを疑われる場合には、接見禁止が付されることがあります。
接見禁止となると、弁護士以外の者と面会できなくなります。
このような場合、弁護人である弁護士は、被疑者の家族は事件に無関係であることを主張し、家族との面会を許可してもうえるよう接見禁止一部解除申立てを行います。
また、起訴後には保釈請求を行い、身柄解放活動を行います。
覚せい剤の所持や使用は、初犯であり、犯罪事実を認めている場合には、執行猶予がつく可能性があります。
一方、執行猶予中の再犯は実刑となる可能性が高いと言えます。
覚せい剤の被疑者・被告人は、薬物の依存症となっている場合が多く、治療やカウンセリングにつなげ、薬物をやめられる環境をつくることが大切です。
保釈された段階から、治療やカウンセリングを開始し、公判では既に専門的治療を受けており再犯防止の環境が整っている旨を主張することにより、社会内での更生が期待できると裁判官に判断してもらうことで執行猶予が獲得できる可能性が高まるでしょう。

ご家族が覚せい剤事件で逮捕されお困りであれば、薬物事件も数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
ご家族が逮捕されている場合には、弊所の弁護士が留置先に赴き直接接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
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刑事事件と前科前歴

2019-04-13

刑事事件と前科前歴

~ケース~
会社員のAさんは、電車で通勤しています。
ある日、会社の飲み会の帰りに電車に乗ったAさんは、隣に座っている女性が眠っているのをいいことに女性の太ももを触るなどしました。
Aさんが電車を降りる際に、女性から「触りましたよね。駅員室に行きましょう」と言われ、そのまま駅員室に連れて行かれました。
Aさんは、駆け付けた兵庫県甲子園警察署の警察官に逮捕され、翌日の夕方に釈放となりました。
Aさんは、前科が付くことは避けたいと思っています。
(フィクションです)

前科とは~前科と前歴の違い~

前科」という言葉は、正確な法律用語ではなく、通俗的に使用されているものですので、その意味は必ずしも明らかではありません。
しかし、一般的には、「前に刑に処せられた事実」を「前科」といいます。
「前に刑に処せられた」とは、全ての有罪の確定判決をいい、その刑が死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料である場合だけでなく、刑の免除、刑の執行免除が言い渡された場合も含みます。

一方、「前科」と似た言葉に「前歴」というものがあります。
前歴」は、「前科」も含めたより広い概念であり、警察や検察などの捜査機関により被害者として捜査対象となった事実を意味します。
不起訴となった場合にも、「前歴」はつくことになります。

前科」と「前歴」の最も大きな違いは、「有罪判決を受けたかどうか」という点です。

前科が及ぼす影響は?

前科が付くことで、就職や結婚など日常生活に何らかの支障が出ることは否定できません。
しかし、そのような事実上の不利益の他に、前科は、法律上においても一定の不利益をもたらすことになります。
例えば、以下のような不利益が挙げられます。
・執行猶予に付し得ない事由(刑法25条、27条の6)
・執行猶予の取消事由(刑法26条、26条の2、26条の3、27条の4、27条の6)
・再犯加重の事由(刑法56条、59条)
・仮釈放の取消事由(刑法29条1項)
・常習犯の認定事由(刑法186条、暴力行為等処罰二関スル法律1条ノ3、2条、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律2条ないし4条)
・必要的保釈を消極とする事由(刑事訴訟法89条2号、3号)
・特定の法令が定める資格制限事由

資格制限事由は、個人が特定の職業や地位に就いたり、特定の営業活動等を行う場合に、法律が前科の存在を理由としてこれらの資格に就くことを制限するものです。
例えば、国家公務員や地方公務員については、執行猶予を含む禁固以上の刑に処せられた者は、刑の執行を終わり又はその執行を受けることがなくなるまでの公務員となる資格を有することができず、在職中にこれらの刑の言渡しを受けた者は、自動的にその地位を失うことになります。(国家公務員法38条2号、4号、地方公務員法16条2号、4号)

このような不利益を受けないためにも、前科が付くことを回避することが重要でしょう。
それでは、どのように前科が付くのを回避するのでしょうか。

先述しましたが、「有罪判決を受けた事実」が前科ですので、有罪判決を受けなければ前科が付くことはありません。
ですので、無罪判決を勝ち取れば言い訳ですが、日本の有罪率は99.9%と言われており、一度起訴されると無罪となるのは非常に厳しいと言えるでしょう。
逆に言えば、検察官は確実に有罪を立証できる証拠がなければ、起訴しないと言えるでしょう。
なので、確実に前科を付けないようにするためには、起訴されないこと、つまり、不起訴となることが重要です。
不起訴にもその理由により様々な種類に分けられますが、罪を認めている場合には、起訴猶予を目指すことになります。
「起訴猶予」とは、被疑事実が明白であり、起訴をすれば有罪となることは確実であるけれども、被疑者の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重や情状、そして被害者と示談が成立しているなどの事情を考慮し起訴しないとする処分です。
痴漢事件の場合には、被害者がいる事件ですので、早期に弁護士に示談交渉を依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
これまでも痴漢事件を含め数多くの刑事事件において不起訴を獲得し前科回避に成功した実績があります。
刑事事件を起こし、前科がつなかいか心配されているのであれば、一度弊所の弁護士にご相談ください。
初回の法律相談無料です。
お問い合わせ、無料法律相談のご予約は、フリーダイアル0120-631-881まで。

侵入盗で逮捕

2019-04-11

侵入盗で逮捕

~ケース~
兵庫県丹波市内で夜間や住人が留守にしている日中に住宅に侵入し現金やクレジットカードなどを盗む侵入盗が多発していました。
これを受けて、兵庫県丹波警察署は、巡回などの警備を強化していました。
防犯カメラの映像から身元が判明し、同署は、県内に住むAさんとBさんを窃盗と住居侵入の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)

侵入盗で成立し得る犯罪

人の住居や建物に忍び込み金品を盗む犯罪を「侵入盗」といいます。
その手口により、「空き巣」「居空き」「金庫破り」「事務所荒らし」などと呼ばれます。
兵庫県警察のデータによれば、平成30年度中の侵入盗の認知件数は2,741件、検挙件数は1,514件となっています。

侵入盗を行った場合、「住居侵入等罪」や「窃盗罪」に問われる可能性があります。

住居侵入等罪

まず、人の住居や建物に勝手に忍び込んだ行為については、「住居侵入等罪」が成立する可能性があります。

第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

住居侵入等罪の客体は、「人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船」です。
「人の住居」とは、犯人がその住居において単独で、あるいは他の者と共同で生活を営んでいるものではない住居のことを指します。
共同生活を営んでいた者であっても、それから離脱した場合には、その住居は「人」の住居となります。
例えば、家出中の子供が実父の家に強盗目的で深夜に侵入する行為は、住居侵入罪を構成することになります。
ここでいう「住居」というのは、人の起臥寝食に使用される場所で、旅館やホテルなどの客室に関しても、その利用が短時間であっても、起臥寝食に使用されるものである限り「住居」にあたると解されます。(名古屋高判昭26・3・3)
また、「人の看守する邸宅・建造物・艦船」についてですが、「人の看守する」とは「人が事実上管理・支配している」を意味し、「邸宅」は「人の住居の用に供せられる家屋に付属し、主として住居者の利用に供されるために区画された場所」をいい、「建造物」とは、住居・邸宅以外の建造物およびこの付属地も含みます。
「艦船」は、軍艦その他の船舶をいいます。

そして、住居侵入盗の行為は、「正当な理由がないのに侵入すること」です。
「侵入」の意義については、住居者や看守者の意思に反して立ち入ることであると解されます。
「正当な理由がないのに」とは、「違法に」という意味です。

窃盗罪

次に、人の者を盗むという行為については、「窃盗罪」に問われ得ます。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、他人の財物を窃取するこ犯罪です。
窃盗罪の客体である「他人の財物」は、他人の占有する他人の財物であり、自己の財物であっても他人の占有に属し、または公務所の命令によって他人が看守しているものは他人の財物とみなされます。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを意味します。
窃取の手段や方法は問いません。
窃盗罪の成立には、上の要件に加えて、主観的要件を満たす必要があります。
主観的要件として、故意の他に「不法領得の意思」が必要であるか否かには争いがあります。
故意については、「財物が他人の占有に属していること」と「その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識すること」が必要となります。
また「不法領得の意思」とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思」をいいます。(大判大4・5・21)

上記ケースのような侵入盗は、住居侵入等罪ならびに窃盗罪が成立すると考えられます。
そうすると、この2つの罪はどのような関係にあるのでしょうか。
侵入盗の場合、住居侵入盗罪と窃盗罪の牽連犯となります。
牽連犯とは、犯罪の手段もしくは結果である行為が、他の罪名に触れる場合をいいます。
住居侵入は、窃盗の手段であるからです。
この場合、その最も重い刑により処断することになりますので、法定刑が10年以下の懲役又は50万円以下の罰金である窃盗罪の刑により処断されることになります。

侵入盗は、人の住居や建物に忍び込み盗みを働いている点で犯行が悪質であると判断されるでしょう。
また、侵入盗を複数回行っている場合も、被害額も大きくなり、初犯であっても、公判請求され、有罪となれば実刑が言い渡される可能性もあります。
実刑を回避するには執行猶予付き判決を獲得する必要がありますが、そのためには被害者への被害弁償や示談締結、家族からの監督が期待できることや専門的な治療を受けていることなどといった再発防止のための環境が整っていることを、公判において客観的な証拠に基づき主張することが必要となります。
このような弁護活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

ご家族が侵入盗逮捕されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

執行猶予中の窃盗

2019-04-10

執行猶予中の窃盗

~ケース~
兵庫県淡路市のスーパーで商品3点を万引きしたとして、主婦のAさんが兵庫県淡路警察署に逮捕されました。
家族が身元引受人となり、翌日釈放されましたが、Aさんは、窃盗での前科があり、犯行当時は執行猶予期間中でした。
Aさんは、どうにか実刑を免れたいと思っており、すがる思いで刑事事件専門の弁護士に相談しに行きました。
(フィクションです)

刑の全部の執行猶予の取消

刑の全部の執行猶予の言渡しを受けたにもかかわらず、その執行猶予が取り消される場合があります。
刑の全部の執行猶予の取消事由には、必要的取消事由と裁量的取消事由とがあります。

必要的取消事由
①猶予の期間中に更に罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
②猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

裁量的取消事由
①猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
②刑法第25条の2第1項(保護観察の付与)の規定により保護観察に付せられたものが遵守すべき事項を遵守せず、その事情が重いとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。

必要的取消事由に該当する場合には、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければなりません。
上記ケースの場合には、執行猶予期間中の万引きですので、この万引き(=窃盗罪)について刑の全部について執行猶予が言い渡されない限り、前の事件で言い渡された刑の執行猶予が取り消されてしまうことになります。
ですので、今回の事件においても、実刑を回避するためには、「再度の執行猶予」を獲得する必要があるのです。

再度の執行猶予

再度の執行猶予が認められる要件は、次の①から④の全てを満たす必要があります。
①以前に刑の全部の執行猶予が付された懲役または禁錮の判決を受けていること。
執行猶予期間中に、1年以下の懲役または禁錮の判決を受ける場合であること。
③情状に特に酌量すべきものがあること。
④保護観察中に罪を犯したものではないこと。
再度の執行猶予に付すか否かは裁判官の裁量によりますので、上の要件全てを満たした場合であっても、必ずしも再度の執行猶予が付されるわけではありません。
また、執行猶予期間中に再び罪を犯しているのですから、反省が足りていないと考えられるでしょう。
ですので、再度の執行猶予が認められるのは、非常に限られたケースであると言えます。

万引きを繰り返しているケースでは、クレプトマニアである可能性もあります。
クレプトマニアとは、窃盗や万引きを止められずに繰り返してしまう精神疾患のひとつです。
お金がないから物を盗むのではなく、盗むことに快感を得るなど、利益目的ではない窃盗行為です。
クレプトマニアと診断された場合には、再犯を防止するため、医師による専門的な治療やクレプトマニアの方の更生を支援する団体からの支援等を受けることが重要です。
裁判では、再犯防止のためには刑罰ではなく専門の治療を受ける必要があることを特に酌量すべき事情として主張することになるでしょう。

万引きを繰り返し執行猶予期間中に再び万引きをしてしまいお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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初回の法律相談無料です。

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