Archive for the ‘刑事事件’ Category

児童福祉法違反(淫行をさせる行為)で逮捕

2021-07-25

児童福祉法違反淫行をさせる行為)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県明石警察署は、自身の経営する塾に通う女子高生にみだらな行為をさせたとして、Aさんを児童福祉法違反淫行をさせる行為)の疑いで逮捕しました。
女子高生と両親が同署に相談したことで事件が発覚しました。
被害を受けた女子高生は、「言うことを聞かないと志望校に受からないと思った。」と話していますが、Aさんは「恋愛感情があった。」と述べており、容疑を否認しています。
(フィクションです。)

児童福祉法違反(淫行をさせる行為)について

児童福祉法第34第1項第6号条は、「児童に淫行をさせる行為」を禁止する旨を規定しています。
児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)は、社会における児童の福祉を保護法益とするものです。

児童福祉法で定義される「児童」の対象年齢は、「満18歳に満たない者」であり、18歳未満の者が「児童」に当たります。

「淫行」とは、「児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又は性交類似行為」を意味し、「児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として取り扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為」が「淫行」に該当するものと理解されています。(最判平28年6月21日)
性交に準ずる性交類似行為には、手淫、口淫、素股、肛淫等を伴う男色行為、バイブレーダーを調達して児童に手渡し、自己の面前において、児童をしてこれを性器に挿入させる行為などが該当します。

また、「させる行為」については、「直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいうが、そのような行為に当たるか否かは、行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断する」とされます。(最判平28年6月21日)
雇用関係や身分関係などにより、行為者が児童を支配している場合には、淫行を助長促進する行為は、必ずしも積極的でなくてもよいと解されており、飲食店の経営者が、住み込み女中である児童が客と淫行することを承認した場合(最判昭30年12月26日)においても、児童に淫行をさせる行為を認めています。
「させる行為」とあるのは、児童福祉法第34条第1項第6号が、本来は売春防止法と同様の趣旨で、特に児童に売春をさせることを処罰する目的で立法されたためです。
しかし、判例は、自己を相手とする淫行をさせる場合も、「させる行為」に当たるとの解釈を採用しており、自己を相手とする淫行であっても、それが「児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為」と言えるものであれば、淫行を「させる行為」に当たると考えられます。
そのため、18歳未満の者との性交・性交類似行為すべてが児童福祉法違反児童に淫行をさせる行為)となるのではなく、行為者と児童との関係、助長・促進行為の内容や児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容、淫行に至る動機・経緯、児童の年齢などを総合的に考慮して、児童に淫行をさせる行為と言えるのかどうかが判断されます。

上の事例においても、Aさんと女子高生との間の関係性(塾講師と生徒)から、助長・促進行為の内容や児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容、淫行に至る動機・経緯、児童の年齢などといった要素が検討されることになります。

児童福祉法違反児童に淫行をさせる行為)の法定刑は、10年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその併科と非常に厳しいものとなっています。

相手方児童が被害者であるため、被害者への被害弁償や示談を成立させることを目指すことになります。
被害者自身は18歳未満であるため、示談交渉の相手は被害児童の保護者となります。
保護者の処罰感情は往々にして厳しく、示談交渉も難航することが予想されます。
そのため、刑事事件に詳しく、被害者との示談交渉にも豊富な経験を有する弁護士を介して示談交渉をすることをお勧めします。
また、児童福祉法違反児童に淫行をさせる行為)は、被害者等の告訴がなければ公訴を提起することができない罪(これを「親告罪」といいます。)ではありませんので、事案によっては、示談が成立したとしても、公判請求される可能性もあります。
しかしながら、示談が成立している場合には、検察官が起訴猶予として不起訴で事件を終了させる可能性を高めることができますので、やはり、非親告罪であっても、被害者との示談の有無は最終的な処分に大きく影響を与える要素となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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飲酒運転で危険運転致死傷罪

2021-07-21

飲酒運転危険運転致死傷罪が適用される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県たつの市飲酒運転をして交通事故を起こし、相手方を死亡させたとして、兵庫県たつの警察署は、Aさんを危険運転致死の容疑で神戸地方検察庁姫路支部に送致しました。
Aさんは、飲酒運転後に事故を起こしたことについては認めていますが、運転時には、それほど酔っていた認識はありませんでした。
家族の依頼で接見に来た弁護士に、Aさんは自身に問われている罪について質問しています。
(フィクションです。)

危険運転致死傷罪について

人身事故を起こした場合、過失運転致死傷罪が適用されるケースがほとんどです。
しかし、一定の危険な状態で自動車を運転し、人を死傷させた場合には、より重い罪である危険運転致死傷罪が適用される可能性があります。
飲酒運転で交通事故を起こした場合も、道路交通法違反(酒気帯び運転)と過失運転致死傷罪ではなく、危険運転致死傷罪が成立することがあります。

危険運転致死傷罪は、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)の第2条および第3条で危険運転致死傷罪について規定しています。

■危険運転致死傷罪(2条)■

第2条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
1 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
2 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
3 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
4 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
5 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
6 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和32年法律第79号)第4条第1項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和27年法律第180号)第48条の4に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
7 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
8 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

飲酒運転に関するものとしては、1号の「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」によって、人を死傷させたか否かが問題となります。

判例によれば、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」とは、「アルコールの影響により道路交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態をいい、アルコールの影響により前方を中止してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態もこれに当たる。」とされています。(最決平23・10・31)
このような状態にあったかどうかを判断する際には、事故の態様のほかに、事故前の飲酒量及び酩酊状況、事故前の運転状況、運転後の言動、飲酒検知結果等が総合的に考慮されます。

また、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」と人の死傷との間に因果関係がなければなりません。

■危険運転致死傷罪(3条)■

第3条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

第3条1項は、「アルコールの影響により、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で」、自動車を運転した結果、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態になり、人身事故を起こした場合に適用されます。
「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」とは、第2条第1号の「正常な運転が困難な状態」であるとまでは言えないけれども、自動車を運転するのに必要な注意力、判断能力や捜査能力が、そうではない時と比べて相当程度減退して危険性のある状態のほかに、そのような危険性のある状態になり得る具体的なおそれがある状態を意味します。
酒気帯び運転に当たる程度のアルコールを身体に保有する状態は、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」に該当すると考えられます。

また、本罪の成立には、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」で運転をしたことと「正常な運転が困難な状態」に陥ったこととの間に因果関係が認められなければなりません。

自動車運転処罰法第2条第1号の危険運転致死傷罪と、第3条第1項の危険運転致死傷罪とは、いずれも故意犯であることから、前者については、「正常な運転が困難な状態」の認識が、後者は「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」にあることの認識が犯罪の成立には必要となります。

「正常な運転が困難な状態」についての認識については、運転者において、運転行為が「正常な運転が困難な状態」であると評価していることを必要としているのではなく、それを基礎付ける事実を認識していれば足ります。
例えば、酒のせいで頭がふらふらする、物がしっかり見えないなどといった正常な運転が困難な状況に陥るための事実関係を認識していれば、「正常な運転が困難な状態」についての認識が認められます。

ついで、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態にあることの認識についても、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」であることを基礎付ける事実を認識していれば足りると理解されています。
例えば、酒気帯び運転に該当する程度の飲酒量であることや、足がふらつくなどの飲酒後の心身の変化の状況などについて認識していたのであれば、そのような事実は「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」をもたらすものであるので、そのような事実を認識していることをもって、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」を認識していたものと考えられます。

危険運転致死罪は、裁判員裁判の対象事件ですので、危険運転致死罪で起訴された場合には、通常の刑事裁判とは異なる手続に付されることになります。

危険運転致死傷罪は、非常に重い罪ですので、交通事故を起こし危険運転致死傷罪に問われる可能性がある場合には、早期に弁護士に相談・依頼し、危険運転致死傷罪の成立を争う、できる限り科される刑罰を軽くすることを目指しましょう。

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質屋で偽ブランド品買い取らせ詐欺

2021-07-18

質屋偽ブランド品買い取らせ詐欺となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県加古川警察署は、兵庫県加古川市にある質屋にブランド品だと偽り偽ブランド品を買い取らせたとして、AとBを詐欺の容疑で逮捕しました。
Aが偽ブランド品を入手し、Bが質屋で買い取らせており、AとBは共謀して詐欺を働いたと疑われています。
Bは、「偽ブランド品だとは知らなかった。」と容疑を否認しています。
逮捕の知らせを受けたBの家族は、すぐに接見に行ってくれるよう刑事事件専門の弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)

詐欺罪とは

詐欺罪は、刑法第246条に次のように規定されています。

1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

【1項詐欺】
構成要件
①人を欺いて
②財物を
③交付させたこと

1項詐欺の実行行為は、「人を欺いて財物を交付させること」です。
(a)欺く行為をして、(b)それに基づき相手方が錯誤に陥り、(c)その錯誤によって相手方が処分行為をし、(d)それによって財物の占有が移転し、(e)財産的損害が生じる、ことが必要となります。
つまり、(a)~(e)に間に因果関係がなければなりません。

(a)欺く行為
「欺く」行為は、一般人をして財物または財産上の利益を処分させるような錯誤に陥らせる行為です。
上記事例では、偽ブランド品を正規品だと偽って質屋に買取を要求する行為が「欺く」行為となります。
条文は「人を欺いて」とあるため、欺く行為を「人」に対して行われたものでなければならず、機械に対して虚偽の情報を入力するこういは、ここでいう「欺く」行為には当たりません。

(b)錯誤
欺く行為に基づいて相手方が錯誤に陥る、つまり、行為者の嘘を信じ込んだ状態となること詐欺罪の成立には必要です。
錯誤は、財産的処分行為をするように動機付けられるものであればよく、法律行為の要素の錯誤であると、動機の錯誤であるとを問いません。
質屋の店員が、Bさんの持参した偽ブランド品を正規品と信じ込んでしまった状態が「錯誤」にあたります。

(c)処分行為
「財物を交付させる」とは、相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を取得することをいいます。
処分行為は、財産を処分する意思と、財産を処分する行為とが必要となります。

(d)財物の移転
財物の占有が移転することを「財物の移転」といいます。

(e)財産的損害
欺かれなければ交付しなかったであろう財物を交付していれば、財産的損害が発生しているとされます。
質屋は、偽ブランド品だと知っていたら通常は買い取らなかったでしょうから、Bに支払った現金が財産的損害となります。

【2項詐欺】
構成要件
①人を欺いて
②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと

2項詐欺の実行行為は、「人を欺いて財産上不法の利益を得る」ことです。
「財産上不法の利益」とは、「不法の」手段によって得られた財産上の利益のことであって、得られた利益が不法なものという意味ではありません。
「財産上の利益」には、債務免除や弁済の猶予、役務の提供などがあります。
また、「財産上不法な利益を得る」とは、欺く行為に基づく錯誤の結果、おこなわれた財産的処分行為によって行為者または一定の第三者が、不法に財産上の利益を取得することです。

1項詐欺および2項詐欺いずれの成立にも、主観的要件を充たす必要があります。
まずは、故意についてですが、詐欺罪の故意は、「人を欺いて錯誤に陥らせ、かかる錯誤に基づく財産的処分行為により、財物を交付させること」、あるいは、「人を欺いて錯誤に陥らせ、その錯誤に基づく財産的処分行為により、自己または第三者に財産上不法の利益を得させること」についての認識、認容です。
また、詐欺罪の主観的要件として、故意の他に、「不法領得の意思」があります。
「不法領得の意思」とは、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い利用し処分する意思のことです。

上の事例では、Bさんは、自身が質屋に売った商品が偽物だったとは知らなかったと故意を否認しています。
詐欺罪の成立には、行為時に騙すつもりであったのかどうかという点が問題となることが多く、故意は人の心の中のことですので、そう容易に立証することはできません。
ただ、だからと言って、単に「騙すつもりはなかった。」と主張すれば故意が認められないのかと言えばそうではありません。
詐欺行為があったとされる時点までの経緯(例えば、AとBとのメールのやり取り、Aの供述など)から、行為時にBに故意やAとの共謀があったと判断されることもあります。
そのため、故意や共謀がなかったことを裏付ける客観的な事実を確認し、取調べで自己に不利な供述がとられることがないよう適切に対応していくことが重要となります。
早期に弁護士に相談し、取調べ対応についてのアドバイスをもらい、しっかりと取調べ対策をしておくことが大切です。

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詐欺事件で逮捕

2021-07-14

詐欺事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県伊丹警察署は、兵庫県伊丹市にある美容室の店員から、「客がお金を下ろしてくると言ったまま戻ってこない。」と連絡がありました。
同警察署は、逃げた客の身元を特定し、詐欺の容疑で市外に住むAさんを逮捕しました。
Aさんは、「料金は支払うつもりだった。」と容疑を否認しています。
(フィクションです。)

詐欺罪について

刑法第246条 
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪は、
①人を欺いて財物を交付させた場合、
②人を欺いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合
に成立する罪です。

①人を欺いて財物を交付させる

■客体■
詐欺罪(1項)の客体は、他人の「財物」であり、不動産も含まれます。

■行為■
詐欺罪が成立するためには、人を欺いて錯誤を生じさせ、その錯誤に基づいて財物を交付させることが必要となります。
つまり、(a)人を欺く行為(欺罔行為)→(b)相手方の錯誤→(c)交付行為→(d)財産の移転、という一連の流れがあり、(a)~(d)の間に因果関係がなければなりません。

(a)欺罔行為
詐欺罪における「欺罔行為」は、人の錯誤を惹起する行為と意味し、人による財物の交付行為に向けられたものであることが必要となります。
つまり、相手方に対して、相手の財物を行為者に渡すよう嘘の情報を伝える行為のことです。
「人」を欺く行為でなければならないため、器械の不正操作は、詐欺罪には当たりません。
人を欺く行為は、不作為(あえて積極的な行為をしないこと)によっても成立することがあります。
それは、相手方が錯誤に陥ろうとしていること、あるいは既に錯誤に陥っていることを知っておきながら、真実を告げて誤解を解こうとせず、あえてそのままの状態にしている場合です。

(b)相手方の錯誤
欺罔行為により、相手方が錯誤に陥ることが必要となります。
人を欺く行為により生じる錯誤は、交付の判断の起訴となる重要な事項についてのものであり、それがなければ交付行為を行わなかったであろうような重要な事実に関するものでなければなりません。

(c)交付行為
詐欺罪の成立には、錯誤により生じた瑕疵ある意思に基づいて、物が交付されることが必要です。
つまり、騙された者が、その者の意思に基づいて、交付行為を行い、物が移転することが必要となります。
相手方の意思に基づかず、例えば、相手方の隙をついて物を移転させた場合には、詐欺ではなく窃盗が成立することになります。

(d)財物の移転
物が交付行為によって移転することにより、詐欺罪は既遂(犯罪を実行し、結果が発生したということ。)となります。

②人を欺いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させる

■客体■
詐欺罪(2項)の客体は、「財産上の利益」です。
条文は、「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた」とありますが、これは、財産上の利益を不法に取得し、又は他人に取得させることを意味しているのであって、不法な利益を取得することを意味するものではありません。
「財産上の利益」とは、債券など有体物以外の財産的権利・利益のことをいいます。
具体的には、債務免除(支払義務、契約に基づいて交付しなければならない義務の免除)、弁済の猶予、役務の提供などが挙げられます。
上の事例で問題となっている美容室での施術料金の支払いですが、これは支払義務の免除という財産上の利益に当たります。

■行為■
詐欺罪(2項)の行為も、1項と同じで、人を欺いて錯誤を生じさせ、その錯誤に基づいて財産上の利益を得させることです。

詐欺罪は故意犯ですので、罪を犯す意思がなければ犯罪は成立しません。
詐欺罪の故意は、「人を欺いて財物を交付させること、あるいは、人を欺いて財産上不法な利益を得、又は他人にこれを得させること」の認識・認容です。
また、詐欺罪の成立には、故意の他に、不法領得の意思が必要となります。
不法領得の意思は、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い利用・処分する意思のことです。
詐欺事件で容疑を否認するケースの多くが、「だますつもりはなかった。」などといった故意を否認するものです。
その場合には、単に「だますつもりはなかった。」と主張するだけでは捜査機関や裁判所に故意がないことを認めてもらうことは難しいです。
故意がなかったことを裏付ける客観的な証拠を収集し、捜査機関や裁判所に提示し、故意がなく犯罪が成立しないことを認めてもらう必要があります。
自己に不利な供述がとられてしまうことがないよう、できるだけ早期に弁護士に相談し、取調べ対応についてのアドバイスを受けるなどして適切な弁護を受けられるのがよいでしょう。

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風営法違反(無許可・無届営業)で逮捕

2021-07-11

風営法違反無許可無届営業)で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県神戸市長田区でメンズエステ店を営業していたAさんは、ある日、客が店を出たところで兵庫県長田警察署の警察官とみられる男らから事情を聴かれていることに気が付きました。
Aさんは、風営法の届出が不要なメンズエステ店を経営していましたが、実際は性風俗サービスに当たる営業を行っており、警察に摘発されるのではと心配しています。
逮捕された場合について、事前に弁護士に相談しておこうと思い、急いで刑事事件に強い弁護士を探し、相談の予約を入れました。
(フィクションです。)

風営法違反事件で検挙されるケースの多くが、無許可無届営業によるものです。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、「風営法」といいます。)は、風俗営業などにより、店の周辺の環境や子供の健全な育成に悪影響を及ぼさないように、一定のルールを定めている法律です。
風営法で規制しているビジネスは、「風俗営業」、「性風俗関連特殊営業」、「特定遊興飲食店営業」、「酒類提供飲食店営業」など、です。
この「風俗営業」には、キャバクラ、ホストクラブ等の社交飲食店、照度10ルクス以下の位飲食店、客席の広さが5㎡以下の狭い飲食店、麻雀店やパチンコ店といった遊技場、そしてゲームセンターなど、があります。
「性風俗関連特殊営業」は、ソープランドやファッションヘルスなどの店舗型性風俗特殊営業、デリヘルなどの無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業、無店舗型電話異性紹介営業、の5つに分類されます。

風営法で規制されているビジネスは、きちんと定められたルールを遵守して運営されている限りは普通に営業することができます。
しかしながら、ルールに反して営業している場合には、刑事罰が科せられる可能性があります。

ルールに従った営業を行うことが大前提ですが、そのひとつに、営業の許可や届出があります。

風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別に応じて、営業所ごとにその営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を得ていなければなりません。(風営法第3条第1項)
この許可を得ずに、風俗営業に当たる営業を行っていた場合には、風俗営業の無許可営業となり、起訴され有罪となれば、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はその両方が科せられることになります。

性風俗関連特殊営業についても、営業を行うためには、営業の届出をしなければなりません。
店舗型性風俗関連特殊営業を行うためには、営業の種別に応じて、営業所ごとに、その営業所の所在地を管轄する公安委員会に対して、営業等の届出をしなければなりません。(風営法第27条第1項)
無店舗型性風俗関連特殊営業を営もうとする者は、営業の種別に応じて、営業の本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会に、営業の届出をしなければなりません。(風営法第31条の2第1項)
営業の届出をせずに性風俗関連特殊営業に当たる営業を行っていた場合には、6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方が科せられる可能性があります。

上の事例では、男性を対象としたエステティックサロンとしてメンズエステ店を開業していた、つまり、風営法の規制対象となる営業は行わないものとして営まれていました。
しかしながら、メンズエステ店の実態は、男性客に性的サービスを提供しており、風営法の規制対象となる性風俗関連特殊営業に当たるものと考えられます。
性的サービスを提供するメンズエステ店は、「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」(風営法第2条第6項第2号)の店舗型性風俗特殊営業の定義に該当するため、店舗型性風俗特殊営業の届出をしなくてはなりません。

風俗営業の取り締まりが厳しい昨今、無許可無届営業が発覚すると、内偵捜査の末に、突然店の経営者らが警察に逮捕されることも珍しくありません。
風営法違反無許可無届営業)で逮捕された場合、店の営業に関する資料を収集したり、経営者や従業員など関与する者の供述をとるなどしなければなりませんので、逮捕後に勾留となる可能性は高いでしょう。
容疑を認める場合には、取調べにおいて自己に不利な供述がとられないよう弁護士から適切なアドバイスをもらうことは重要です。
また、弁護士は、できる限り穏便に事件を終わらせられるよう、被疑者に有利な事実を整理し、証拠を収集した上で、検察官に不起訴とするよう、あるいは略式手続に付すよう働きかけます。
他方、容疑を否認する場合、例えば、風営法の規制対象となる営業に当たるのか、被疑者がその経営者と言えるのか、といった点を争う場合には、被疑者に有利な証拠を提示し、不起訴や無罪獲得に向けた活動を行います。

風営法違反無許可無届営業)事件で、逮捕されるのではと心配している方は、すぐに弁護士に相談されることをお勧めします。
「どうせこないだろう。」と甘くみていると、突然逮捕されるケースは少なくありません。
事前に弁護士に相談することで、逮捕を回避することができる可能性を高めたり、逮捕後も冷静に対応することができますので、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

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自首する前に弁護士に相談

2021-07-07

自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
Aさんは、アルバイト先の更衣室に盗撮目的で小型カメラを設置しました。
しかし、従業員がカメラに気付いたようで、店長に報告したところ、盗撮の疑いがあるとして、兵庫県垂水警察署に相談することになりました。
その話を聞いたAさんは、犯人が自分であることを早く打ち明けるべきだとは思っていますが、このまま自首するのも不安なので、警察署に出頭する前に弁護士相談することにしました。
(フィクションです。)

自首が成立する要件とは

自首は、「犯罪事実または犯人が誰であるかが捜査機関に発覚する前に、犯人が自ら進んで犯罪事実を申告し、処罰を求める意思表示」です。

つまり、自首が成立する要件は、
①犯罪事実・犯人が捜査機関に発覚する前に
②捜査機関に対して
③犯人が自ら進んで犯罪事実を申告し、
④処罰を求める
ことです。

①犯罪事実・犯人が捜査機関に発覚する前に

犯罪事実または犯人が捜査機関に発覚する前とは、犯罪事実(犯罪に該当する客観的な事実)が捜査機関に発覚していない場合、及び、犯罪事実は発覚しているが、その犯人が誰であるか発覚していない場合です。
上の事例では、「Aさんのアルバイト先の更衣室で盗撮目的でカメラが設置されていた」(盗撮に成功していたのであれば、盗撮されていた。)という犯罪事実については、アルバイト先の店長が警察に相談したことで、捜査機関に発覚しています。
ただ、その時点では、まだ犯人は特定されていない(と考えられます。)ので、「捜査機関に発覚する前」の要件はクリアしているものと思われます。
犯人が誰であるかは判明しているものの、単に犯人の所在が不明である場合は、「捜査機関に発覚する前」の要件には該当しません。

②捜査機関に対して

ここでいう「捜査機関」とは、検察官または司法警察員のことです。

③犯人が自ら進んで犯罪事実を申告し

自首が成立するためには、犯人が自発的に犯罪事実を申告していることが必要です。
そのため、取調べや職務質問中に、犯罪事実を自白したとしても、それは自発的な申告とは言えず、自首は成立しないことになります。

④処罰を求める

犯人が自身の処罰・処分を求めていることも自首の成立要件です。
犯罪の一部を隠すために犯罪事実を申告する場合は、処罰を求める意思表示とはならず、自首は成立しません。

自首が成立した際の効果は、任意的減軽です。
つまり、裁判官の判断で、刑を軽くしてくれる場合があるということです。

 

自首をする前に弁護士に相談

自首をすることのメリットは、
①刑の任意的減軽事由であること。
②被疑者・被告人の有利な事情となること。
③身体拘束を回避できる可能性があること。
です。

①刑の任意的減軽事由

これは上でも述べた点ですが、自首が成立することで、裁判官が刑を軽くしてくれる可能性があるというメリットがあります。

②有利な事情

自ら犯罪事実を申告し、処罰を受ける意思を表明していることから、被疑者・被告人が反省しているということを裏付ける行動として、検察官による終局処分の判断の際や裁判官がどのような刑を科すべきかを検討する際に考慮されます。

③身体拘束の回避

自首したことにより、犯人が罪証を隠滅する可能性や逃亡する可能性が低いと判断され、逮捕や勾留となる可能性を低くする効果が見込めるでしょう。
もちろん、事件の軽重によっては自首した場合でも身体拘束が避けられない場合がありますが、そうでなければ身体拘束せずに在宅事件として捜査が進められるケースは少なくありません。

自首には以上のようなメリットがありますが、警察への犯罪事実の申告がすべて自首に当たるとは限りませんので、事前に弁護士相談し、自己のケースが自首に当たるのか、自首した後はどのような流れになるのか、見込まれる処分はどのようなものか、などを予め知っておくことにより、警察に出頭する際の不安を軽減させることができるでしょう。
また、事前に弁護を依頼している場合には、逮捕・勾留の回避に向けた弁護活動や被害者対応などの活動をすぐに行ってもらえ、事件が早期に終了する可能性を高めることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こして対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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監護者わいせつ事件で逮捕

2021-07-04

監護者わいせつ事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県丹波篠山市に住む会社員のAさんは、兵庫県篠山警察署から監護者わいせつ事件の被疑者として呼び出しを受けています。
Aさんは、妻の連れ子のV(13歳)に対して、胸を触るなどのわいせつな行為をしたと疑われています。
Vが、学校の先生に相談したことで事件が発覚し、Vは児童相談所に一時保護されています。
Aさんは、警察署に出頭する前に、逮捕される可能性や逮捕された後の流れについて、刑事事件専門弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

監護者わいせつ罪とは

監護者わいせつ罪は、平成29年の刑法改正により新設された罪です。

第179条 
1 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による。

■犯行の主体■

監護者わいせつ罪の主体は、「18歳未満の者を現に監護する者」です。
「18歳未満の者を現に監護する者」とは、18歳未満の者を現実に監督し保護している者のことです。
これには、親権者が典型的な例となりますが、親権者であっても、実際に監護している実態がなければ「現に監護する者」には該当しません。
他方、親権者でない者でも、事実上、現実に18歳未満の者を監督し保護する者であれば、監護者に当たります。
監護者に当たるかどうかは、監護者わいせつ罪が、依存・被依存あるいは保護・被保護によって生じる監護者であることによる影響力があること利用してわいせつ行為をすることに処罰の根拠があることから、依存・被依存あるいは保護・被保護の関係があるかどうか、そして、その関係は、具体的な影響力を及ぼせる程度であるかどうかといった点から判断されます。
衣食住などの経済的な観点、生活上の指導監督などの精神的な観点から被疑者と被害者との関係性を分析し、その関係が継続的に続いているかどうかが検討されます。

■犯行の客体■

監護者わいせつ罪の客体は、現に監護されている18歳未満の者です。

■行為■

監護者わいせつ罪の行為は、①現に監護する者であることによる影響力に乗じて、②わいせつな行為をすることです。

①現に監護する者であることによる影響力に乗じて
「現に監護する者であることによる影響力」とは、監護者が被監護者の生活全般にわたって、衣食住などの経済的な観点や、生活上の指導監督などの精神的な観点から、現に被監護者を監督し、保護することにより生ずる影響力のことをいいます。
その影響力に「乗じて」とは、現に監護するものであることによる影響力が一般的に存在し、かつ、行為時においてもその影響力を及ぼしている状態で、わいせつな行為を行うことをいいます。
つまり、わいせつ行為を行う場面で、影響力を利用するために具体的な行為を行うことまで必要ではないけれども、監護者の影響力と無関係に行った場合には、影響力に乗じたとは言えません。

②わいせつな行為
ここでいう「わいせつな行為」は、強制わいせつ罪における「わいせつ行為」と同じで、「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為」をいいます。

■故意■

監護者わいせつ罪は、故意犯ですので、罪を犯す意思がなければ罪は成立しません。
監護者わいせつ罪の故意は、自己が18歳未満の者を現に監護する者であること、現に監護するものであることによる影響力があることに乗じること、わいせつな行為を行うことの認識・認容です。
18歳未満の者を現に監護する者であることの認識・認容については、現に監護する者に該当することの認識まで必要ではなく、これを基礎づける事実の認識・認容で足ります。

監護者わいせつ罪の法定刑は、強制わいせつ罪のそれと同じであり、6月以上10年以下の懲役です。

監護者わいせつ事件で逮捕されたら

監護者わいせつ事件では、被疑者と被害者との関係性から、被疑者の身柄を拘束をせずに捜査を進めると、被疑者が被害者、あるいは、被害者の母親と接触し、供述を変えるように迫るなど罪証隠滅のおそれがあると判断される傾向にあることから、被疑者の身柄を確保した上で、捜査が進められる可能性は高いでしょう。
つまり、逮捕される可能性も高く、その後に勾留が付くことが予想されます。
ただ、捜査段階での釈放が困難であっても、起訴後に保釈制度を利用して釈放される可能性はあるでしょう。
保釈が認められるかどうかの判断において、重要な要素のひとつに、罪証隠滅のおそれの有無があります。
逮捕・勾留の場面でも重要な要素となった罪証隠滅のおそれですが、やはり、起訴後、つまり、検察官が被疑者を有罪にするだけの十分な証拠を揃えた後であっても、被害者との接触を図り、被害者の供述を変えるよう迫るおそれは残ります。
そのため、被害者との接触の可能性がないことを立証し、裁判官に罪証隠滅のおそれがないと認めらもらうよう、起訴される前から準備しておく必要があります。

監護者わいせつ事件では、犯罪を立証するだけの十分な証拠があると検察官がと考える場合には、起訴される可能性が高いでしょう。
監護者わいせつ罪の法定刑は懲役刑のみですので、起訴=公判請求となり、公開の法廷で審理されることとなります。
ただ、有罪にするだけの証拠が揃っている場合であっても、被害者が、その精神的な影響を恐れ、裁判で証言することを拒否するケースも少なくなく、起訴しないとすることもあります。

監護者わいせつ事件で逮捕された場合、身体拘束が長引く可能性、公判請求される可能性が高いでしょう。
そのため、取調べ対応や保釈に向けた準備、公判に向けた準備を捜査段階から進めておく必要があります。

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盗撮の在宅事件

2021-06-27

盗撮在宅事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県丹波市の商業施設内の女子トイレに侵入し、個室の扉の上部からスマートフォンを差し入れ、個室内にいた女性を盗撮したとして、兵庫県丹波警察署は、会社員のAさんを逮捕しました。
Aさんは、当初は犯行を否認していましたが、警察署での取調べにおいて容疑を認める供述をしました。
Aさんの父親が身元引受人として警察署に訪れ、Aさんは釈放されましたが、警察からは「後日取調べにまた来てもらう。」と言われており、今後どのような流れになるのか不安でたまらないAさんは、すぐに刑事事件に強い弁護士に法律相談の予約を入れました。
(フィクションです。)

盗撮で問われる罪とは

盗撮行為は、各都道府県で制定されている迷惑防止条例で禁止されている「卑わいな言動」に当たります。
兵庫県の迷惑防止条例(正式名称は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」です。)は、その3条の2において、盗撮行為を禁止しています。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

■1項■
まず、迷惑防止条例第3条の2第1項は、「公共の場所又は公共の乗物」での、「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」、及び、「人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を設置する行為」を禁止しています。
「公共の場所」とは、道路、公園、広場、駅、空港、埠頭、興行場、飲食店その他の公衆が出入りすることができる場所で、「公共の乗物」とは、汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機、その他の公衆が利用できる乗物のことをいいます。
そのような場所・乗物内で、「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」や、盗撮目的でのカメラ等の設置する行為が禁止の対象です。
「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」には、痴漢や盗撮も含まれます。

■2項■
続いて、同条2項では、不特定多数の者が利用する場所や乗物での盗撮盗撮目的でのカメラの差し向けや設置行為を禁止しています。

■3項■
最後に、3項は、人が通常衣服の全部・一部を着けない状態でいるような場所にいる人を盗撮したり、盗撮目的でカメラを向けたり、カメラを設置したりする行為を禁止しています。
ここでは、公共の場所・乗物や不特定多数が利用する場所・乗物には当てはまらない場所での盗撮等の行為が禁止されており、職場や学校、個人宅の浴場、更衣室、便所などでの盗撮がこれに当たります。

これらの規定に違反した場合には、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
常習性が認められた場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金と加重されます。

盗撮の在宅事件の流れ

盗撮事件では、初犯であり、定職に就いており、身元がはっきりしている場合であれば、被疑者は逮捕されたとしても警察あるいは検察で釈放されるケースは少なくありません。
ただ、釈放されたことで事件が終了したと勘違いされる方もいらっしゃいますが、身柄を確保しないまま捜査は進められます。
釈放後に、何度か警察での取調べを受けた後に、事件は検察に送られ、今度は検察官による取り調べを受けることになります。
そして、捜査が終了すると、検察官は起訴するかどうかの判断を行います。
検察官が起訴・不起訴の判断をする際に考慮する要素のひとつとして、被害者との示談が成立しているか否かという点があります。
迷惑防止条例違反は、被害者等の告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪と呼ばれる罪ではありませんが、被害者がいる事件では、被害者の処罰意思の有無も最終的な処分決定の判断に影響します。
初犯である場合には、被害者との示談が成立していれば、不起訴で事件が処理される可能性は高いでしょう。
そのため、不起訴で事件を終了させるためには、在宅事件であっても、早期に被害者との示談交渉を行い、示談を成立させることが重要となります。
通常、被害者との示談交渉は弁護士を通じて行います。
被害者との接触を避けるため、捜査機関が被疑者やその家族に被害者の連絡先を教えることはあまりなく、また、被害者も被疑者らと直接連絡を取ることを拒否する傾向にあるため、弁護士を介して行う方が交渉を円滑に進めることにつながりやすいからです。

盗撮事件を起こし、被害者への対応、示談交渉にお困りであれば、今すぐ刑事事件に精通する弁護士にご相談ください。

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特殊詐欺事件における弁護活動

2021-06-23

特殊詐欺事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県神戸西警察署は、特殊詐欺事件に関与したとして、Aさんを窃盗未遂の容疑で現行犯逮捕しました。
Aさんは、指示役から兵庫県神戸市西区に向かうよう指示を受けており、同市の公園で待機をしていたところ、警察官の職務質問を受けたことで事件が発覚しました。
Aさんの両親は、「Aさんを特殊詐欺事件で逮捕した。明後日まで会えません。」と言われ、どうすればよいのか分からずネットで検索した刑事事件専門弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)

特殊詐欺事件で逮捕された場合

特殊詐欺による被害は大きく、社会的にも大きな問題となっています。
警察などによる注意喚起が頻繁に行われていますが、特殊詐欺による被害は後を絶ちません。
特殊詐欺は、組織的に行われており、特殊詐欺事件で逮捕される被疑者の多くは、高額収入の広告に飛びついた組織の外部の人間で、いわゆる「受け子」や「出し子」といった役割を担っている場合が多いです。
「受け子」や「出し子」といった組織の下部の者は、顔も知らない指示役からの指示を受けて犯行に加担しているのですが、特殊詐欺は組織犯罪として取り扱われるため、共犯者との接触を防止するために逮捕後に勾留され、外部の者との接見が禁止される可能性が高いことが特徴です。

逮捕・勾留は、1つの事件につき1回とされていますが、特殊詐欺事件の被疑者は、最初に逮捕された事件以外にも、同様の事件に関与していることが多く、最初の事件についての勾留の期間が終了しても、他の事件について逮捕・勾留される可能性が高いため、長期の身体拘束が見込まれます。

また、複数の特殊詐欺事件に関与している場合には、当然、被害者の数や被害金額も大きくなるので、被害弁償に係る金額も高額になることが予想されます。
しかしながら、特殊詐欺事件は財産犯であるため、終局処分や量刑においては被害弁償の有無が重視されます。

特殊詐欺事件における弁護活動

特殊詐欺事件の特徴を考慮しつつ、弁護人は主に次のような弁護活動を行います。

1.身柄対応

先にも述べたように、特殊詐欺事件では、高額収入の求人広告に応募してきた組織の外部の人間であっても、逮捕・勾留される可能性は非常に高いです。
組織犯罪であるため、共犯者と接触により罪証隠滅を図る可能性が高く、勾留の要件を満たしていると判断される傾向にあります。
そのため、捜査段階で被疑者が釈放されることは難しいのですが、起訴後に保釈制度を利用して釈放される可能性はあります。
組織犯罪となると、証拠の量が膨大になり、共犯者も多数に及び、起訴後であっても、罪証隠滅のおそれありとして、直ちに保釈が認められないこともありますが、弁護人は、そのようなおそれがないことを客観的な証拠に基づいて立証し、保釈が認められるよう、捜査段階から準備し、できる限り早期の釈放を目指します。
また、勾留決定に際して、弁護士以外の者との接見等を禁止する接見禁止決定がなされることも多いのですが、弁護士は、被疑者の家族等に対して接見禁止を解除するよう、家族等が事件とは無関係であることや、家族等との面会が必要であることを主張し、それらの者との接見を認めるよう裁判官に申立てを行うなどして、接見禁止の一部解除を目指します。

2.裁判に向けた弁護活動

財産犯であれば、起訴・不起訴の終局処分にあたっては、被害弁償の有無が重視されますが、特殊詐欺事件において、容疑を認めている場合には、被害弁償が済んでいる場合であっても、起訴される可能性が高いです。
そのため、弁護人は、捜査段階から裁判を見据えた弁護活動を行うことになります。

特殊詐欺は財産犯であるため、被害弁償の有無が大きな量刑事情となります。
弁護人は、捜査段階から、被害者への被害弁償、示談の成立に向けた示談交渉を行います。
被害者との示談交渉は、通常、弁護士を通じて行います。
被疑者・被告人が逮捕・勾留されているため、本人が直接行うことはできませんし、捜査機関も罪証隠滅のおそれから、被疑者・被告人やその家族に被害者の連絡先を教えることはありません。
また、被害者は特殊詐欺の被害に遭い、財産的損害だけでなく精神的にも大きなショックを受けておられることが多く、弁護士を介しての話し合いであれば受けてくださるケースも少なくありません。

被害弁償に加えて、裁判では、効果的な再発防止策を講じていることも被告人に有利な事情となります。
特殊詐欺事件では、組織からの完全な離脱と、事件を起こした原因を解明し、それに対する有効な対策を講じていることが重要なポイントとなります。

特殊詐欺事件においては、「受け子」や「出し子」といった組織の端末の立場で関与した者であっても、初犯であれど、実刑を科されるケースは少なくありません。
しかし、事件の内容や、被害弁償の有無等によって執行猶予となる可能性はありますので、ご家族が特殊詐欺事件の被疑者として逮捕された場合には、すぐに弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が特殊詐欺事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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喧嘩闘争における正当防衛

2021-06-16

喧嘩闘争における正当防衛について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県兵庫警察署は、「路上で喧嘩している人たちがいる。一人は腹を刺されて血を流している。」との目撃者からの通報を受けました。
現場に駆け付けた警察官は、現場にいたAを傷害の容疑で逮捕しました。
しかし、Aは「相手が手を出してきて、喧嘩になった。いったんやめたのに、相手が一方的に殴る蹴るしてくるから、自分の身を守るために護身用のナイフを出したら相手に刺さった。」と正当防衛を主張しています。
Aは、接見にやってきた弁護士に、自身の行為が正当防衛に当たるのか聞いています。
(フィクションです。)

正当防衛とは

犯罪は、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」をいうと一般的に理解されています。
構成要件というのは、犯罪の類型のことで、法律で、こういう行為を犯罪とします、と定められている行為のことです。
例えば、殺人罪であれば、「人を殺した」行為であることが、殺人罪の構成要件となります。
問題となる行為が、構成要件に該当する場合でも、それが違法でなければ犯罪は成立しません。
犯罪として法律に定められた行為は、その行為を禁止するために規定されているので、本来違法であることが想定されているものです。
ただ、例外的な事情がある場合にのみ、その違法性を否定し、犯罪は成立しないこととされています。
そのような例外的な事情を「違法性阻却事由」といいます。

違法性阻却事由として刑法に規定されているものとしては、「正当行為」、「正当防衛」、「緊急避難」があります。

正当防衛

刑法第36条1項は、

急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

と規定しています。
これが「正当防衛」と呼ばれる違法性阻却事由です。

①急迫不正の侵害

「侵害」とは、権利を侵害する危険をもたらすものをいいます。
「不正な侵害」とは、違法である侵害を意味します。
この「不正な侵害」は「切迫」したものでなければなりません。
判例によれば、「刑法36条にいう『急迫』とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていることを意味」するとしています。(最判昭46・11・16)
この点、急迫性が認められるかどうかの判断において、被侵害者がその侵害を予期していたような場合には、急迫性が認められるかどうかが問題となります。
判例は、侵害が予期されるものであっても、被侵害者に積極的加害意思がなければ急迫性が認められるとするとの立場に立っています。

②権利の防衛

正当防衛は、急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するために認められます。
正当防衛は「防衛するための行為」でなければならず、攻撃を受けたのに乗じて積極的に相手方を加害する場合は、防衛の意思を欠き、正当防衛は成立しません。

③やむを得ずした行為

正当防衛は、防衛するために「やむを得ずにした行為」でなければなりません。
判例は、正当防衛の成立要件として、必要性、相当性の両方を必要とするとの立場をとっています。
つまり、必要性については、必ずしもその行為が唯一の方法であることを要せず、また、厳格な法益の権衡も要求されないが、少なくとも相手に最小の損害を与える方法を選ぶことを要するとしています。
また、相当性については、「急迫不正の侵害に対する反撃行為が、自己または他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであること、すなわち反撃行為が侵害に対する防衛手段として相当性を有するものであることを意味するのであって、反撃行為が上記の限度を超えず、したがって侵害に対する防衛手段として相当性を有する以上、その反撃行為により生じた結果がたまたま侵害されようとして法益より大であっても、その反撃行為が正当防衛行為でなくなるものではないと解すべきである。」として、どのような結果が生じたかよりも、どのような手段がとられたのかという観点から相当性について判断されています。(最判昭44・12・4)

さて、喧嘩において正当防衛は成立するのでしょうか。
基本的には、双方が攻撃や防御を繰り返す連続的行為となった場合は、喧嘩両成敗として正当防衛は成立しません。
ただ、喧嘩闘争状況であれば常に正当防衛の成立が否定されるわけではなく、攻撃や防御を繰り返す連続的行為が崩れた場合、例えば、最初は素手で喧嘩をしたいたものの、突然相手が刃物を持ち出して攻撃してきたので、それに反撃した場合や、喧嘩がいったん収まったにもかかわらず、相手がなおも攻撃を続けてきたことに対して反撃した場合などは、正当防衛が成立する余地があるでしょう。

Aは、正当防衛を主張していますが、喧嘩全体の流れの中でのAの反撃行為が正当防衛に当たるかどうかを検討しなければなりません。
事案によっても異なりますので、刑事事件に強い弁護士に早めに相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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