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【解決事例】高砂市の少年事件 勾留に代わる観護措置後に保護観察

2022-06-25

【解決事例】高砂市の少年事件 勾留に代わる観護措置後に保護観察

【解決事例】高砂市の少年事件で、勾留に代わる観護措置後に保護観察となった少年事件の解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。


事件の概要

中学3年生のA君は、勉強が苦手で学校を休みがちで、よく夜遊びをしていて補導されていました。
そんなある日の夜中に友達と公園で遊んでいた時に、以前からトラブルになっていた後輩に対して殴る蹴るの暴行をはたらき、後輩に、鼻の骨を骨折させる等で全治1カ月の傷害を負わせてしまいました。
事件から1週間ほどして、兵庫県高砂警察署に逮捕されたA君は、その後「勾留に代わる観護措置」によって神戸少年鑑別所に収容されました。
そしてA君は、少年審判で保護観察が決定しました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)

勾留に代わる観護措置

刑事事件を起こした少年が警察に逮捕されると、逮捕から48時間以内に検察庁に送致されます。
ここまでは大人の刑事手続きと同じです。
そして送致を受けた検察官は、その後の少年の手続きについて

①釈放する。
②「勾留」を請求する。
③「勾留に代わる観護措置」を請求する。

の何れかを判断します。

①の場合は、検察官の権限(釈放指揮)ですが、②と③については裁判所に請求し、その後については裁判官の許可が必要となります。
①と②については大人の刑事手続きと同じですが、③の「勾留に代わる観護措置」については少年法に基づいた少年事件特有の手続きとなります。

「勾留に代わる観護措置」が決定すると、身体拘束を受けたまま警察の取調べを受ける点に関しては「勾留」と同じですが

(1)少年鑑別所に収容される。
(2)延長されない。(勾留は10日間まで延長される場合がある。)
(3)10日後に自動的に観護措置に移行する。

という点が、勾留と異なります。

保護観察

保護観察とは、少年審判でくだされる保護処分の一つです。
少年院等の施設に収容されることはありませんが、定期的に保護司と面会して指導を受けなければいけません。
一般の刑事事件を起こした少年の保護観察は、通常であれば1年、短期であれば約半年です。

※注意
今年の4月1日から施行されている改正少年法によって、18歳と19歳の特定少年は、保護観察期間が半年と2年となっています。
2年の保護観察期間を言い渡された特定少年が重大な遵守事項違反を犯した場合、少年院に収容する可能性があるので注意が必要です。

改正少年法については ⇒⇒ こちらをクリック


このコラムをご覧の方で、高砂市の少年事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
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交際中の女子高生とのわいせつ行為をスマホで撮影した男子高校生が逮捕

2022-05-22

交際中の女子高生とのわいせつ行為をスマホで撮影した男子高校生が逮捕

交際中の女子高生とのわいせつ行為をスマホで撮影した男子高校生が逮捕された事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。


事件の概要(5月20日に配信された神戸新聞NEXTから抜粋)

今年の2月中旬に、交際していた当時16歳の女子高校生とわいせつな行為をした上、その様子をスマートホンで撮影したとして、兵庫県明石警察署は、男子高校生を児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕しました。

新聞等の報道によりますと、今回の事件は女子高生の保護者が警察に相談したことから事件が発覚したようです。
逮捕された男子高校生の認否や、女子高生がわいせつ行為や撮影に同意していたかについては明らかにされていません。

女子高生とのわいせつ行為をスマホで撮影すると

女子高生とのわいせつ行為をスマホで撮影すると「児童ポルノ製造罪」となります。
新聞等で報道されている男子高校生の逮捕容疑(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反)の中に、児童ポルノの製造に関することが規制されています。
児童ポルノ製造罪を説明する前に、まず児童ポルノについて解説すると、この法律でいうところの児童ポルノとは、簡単に言うと、18歳未満の児童のわいせつな画像や動画、データのことです。
性交等のわいせつな行為を撮影した画像や動画等は当然のこと、単に児童の裸や下着姿を撮影した画像や動画等も該当する可能性があるので注意が必要です。
そしてこういった児童の、わいせつな画像等を撮影する等して製造することが、児童ポルノ製造罪となります。
ここで注意しなければいけないのは、児童本人に体の写真を撮らせ、そのデータを受け取った場合も児童ポルノ製造罪に抵触する可能性があることです。
児童ポルノに関しては、製造の他、所持や提供、陳列、運搬、輸出入が禁止されており、これらに違反すると、厳しい刑事罰が科せられることになります。

どういった処分が科せられるの?

児童ポルノ製造罪には「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」という法定刑が定められています。
成人の場合は、児童ポルノ製造罪で起訴されて有罪が確定すればこの法定刑内の刑事罰が科せられることになりますが、少年の場合は、法定刑は適用されず、少年審判によって処分が決定します。
少年事件の手続きや、処分については、こちらを⇒⇒クリック

少年事件に強い弁護士

少年事件は非常に複雑で、その弁護活動や付添人活動には豊富な経験と知識を要します。
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【解決事例】明石市の少年事件 10歳女児に対する強制わいせつ事件~後編~

2022-05-08

【解決事例】明石市の少年事件 10歳女児に対する強制わいせつ事件~後編~

【明石市の少年事件】10歳女児に対する強制わいせつ事件の解決事例の後編を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。


事件の概要

~釈放から少年審判①まで~

観護措置の回避によって釈放されたA君は帰宅することができました。
帰宅後A君は、日常生活を送りながら、家庭裁判所の調査等に応じ、その後の少年審判に備えることになりました。
また余罪の捜査が未了だったために、釈放後も、何度か警察署に呼び出されて取調べを受けることになり、その後、余罪の強制わいせつ事件も家庭裁判所に送致されました。
そしてその後の少年審判では、試験観察となり、約半年後に改めて少年審判が開かれることとなりました。

~試験観察期間を経ての少年審判②~

試験観察期間中は、自宅で日常生活を送ることになったA君ですが、期間中に高校を卒業し、大学に入学する等、生活環境が大きく変わりました。
A君は、事件を風化させずに真剣に向き合い続けるために、定期的に弁護士と面会する等して、今後の更生に向けた取り組みを続けるとともに、家庭裁判所に赴いて、調査官の調査を受ける等して半年間を過ごしました。
そして約半年後に行われた2回目の少年審判では保護観察となりました。

(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)

少年審判

少年審判は、成人の刑事手続きでいうところの刑事裁判によく似ていますが、刑事裁判は被告人に対して刑罰を与えることを目的にしているのに対して、少年審判は、少年に処分を与えることを目的にしているのではなく、反省を促し、その健全な育成をはかる各種の「保護処分」等を決定するために行われている点で大きく違います。
また少年審判は、刑事裁判のように一般の傍聴人はおらず非公開で行われます。
少年審判の主な流れは

①人定質問・黙秘権の告知
②犯罪事実の告知
③少年・保護者への質問
裁判官や付添人、調査官が少年や保護者に対して質問します。
④少年の意見陳述
少年や保護者・付添人は処分に対して意見を述べることができます。
⑤処分言い渡し
裁判官から処分が言い渡されます。

試験観察

犯罪事実に争いがなければ、通常は一度の少年審判で処分まで決定してしまいますが、直ちに処分を決めることができない場合は、試験観察となります。
試験観察とは、処分を一時留保して、しばらくの期間、少年をじっくりと観察し、試験観察期間経過後に、改めて少年審判が行われることです。
試験観察期間中は、A君のように自宅で過ごす場合もありますし、親元から離れて、委託先で生活する場合もあります。

 

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今回ご紹介した事件は、改正少年法の施行前の事件ですが、今年の4月1日より、少年法の一部が改正させれていますので、特に18歳、19歳の特定少年の事件に関しては、注意が必要です。
改正された少年法については こちらをクリック

【解決事例】明石市の少年事件 10歳女児に対する強制わいせつ事件~前編~

2022-05-07

【解決事例】明石市の少年事件 10歳女児に対する強制わいせつ事件~前編~

【明石市の少年事件】10歳女児に対する強制わいせつ事件の解決事例の前編を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。


事件の概要

~事件発生から逮捕まで~

高校三年生のA君は、高校からの帰宅途中、明石市内の人気のない路上において、一人で歩いていた女児に声をかけ、スカートの中に手を入れて下着の上から臀部を触りました。
A君は、事件を起こしてからすぐに逃走したのですが、逃走する姿が防犯カメラに映っており、事件を起こしてから約2週間後に、強制わいせつ罪で兵庫県明石警察署に逮捕されました。

~逮捕から家庭裁判所に送致されるまで~

逮捕の二日後に、検察庁に送致されたA君は、その後勾留を請求されてしまい、10日間の勾留が決定しました。
実はA君は、逮捕された事件の他にも、同様の強制わいせつ事件を起こしていることが警察に発覚しており、勾留期間中は余罪についても追及を受けました。
事実を全て認めていたA君は、10日間の勾留後に家庭裁判所に送致されました。

~観護措置の回避~

家庭裁判所に送致されるとともに観護措置を請求されたA君でしたが、大学受験が迫っていること等を理由に、弁護士が少年鑑別所に収容してまでの心身鑑別の必要がない旨を主張したところ、観護措置決定を回避することができました。

~後編に続く~
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)

10歳女児に対する強制わいせつ事件

強制わいせつ罪は、刑法第176条に定められている法律です。
13歳以上の被害者に対しては、暴行や脅迫を用いてわいせつ行為に及ぶことによって成立する犯罪ですが、被害者が13歳未満の場合は、暴行や脅迫といった手段は必要なく、わいせつな行為に及ぶだけで成立します。
強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」ですが、基本的にこの法定刑が適用されるのは成人事件だけで、少年事件の場合は法定刑の適用を受けません。(検察庁に逆送されて刑事裁判によって裁かれる場合を除く。)

強制わいせつ罪で逮捕されると

10歳女児に対する強制わいせつ事件で警察に逮捕されると、少年であっても早期に釈放される可能性は極めて低いでしょう。
つまり、逮捕から48時間に検察庁に送致され、その後、勾留若しくは勾留に代わる観護措置によって、身体拘束を受けたまま警察の取調べを受ける可能性が高いということです。

観護措置

家庭裁判所へ送致された後、家庭裁判所が少年を鑑別所に収容するかどうかを判断します。少年の身体拘束が必要な場合は、少年鑑別所での観護措置という手続きが行われます。 期間は通常4週間として運用されており、最長で8週間とされています。
少年鑑別所は刑務所等とは異なり、少年の資質を調査・分析し、少年の改善更生のための適切な処遇方針が検討されることから、少年の更生を考えるうえで、プラスに働く部分もありますが、やはり身体拘束を受けるという点ではデメリットの方が大きく、A君のように受験等、将来を左右する行事前に観護措置が決定することは絶対に避けたいところです。

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明日のコラムでは、10歳女児に対する強制わいせつ事件の後編~少年審判まで~を解説します。

少年法の一部改正後初適用 特定少年の実名公表

2022-04-14

少年法の一部改正後初適用された、特定少年の実名公表について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

少年法の一部改正

先日のコラムで4月1日から一部改正された少年法が施行されたことをお伝えしました。
改正法が施行されて約2週間が経過しますが、先日、施行後初めて、特定少年の実名が公表されてたことが世間の注目を浴びましたので、本日のコラムではこちらの事件をご紹介します。


実名公表された少年の事件

今回、実名公表されたのは、昨年10月、関東地区の住宅で夫婦を殺害し、住宅に放火したとして警察に逮捕された19歳の少年です。
報道によりますと、この少年は、警察に逮捕後、検察庁に事件送致されてから、刑事責任能力の有無を見極めるために鑑定留置されていたようですが、3月に捜査を終えて、検察庁から家庭裁判所に送致された後、4月4日、家庭裁判所から検察庁に逆送されていたようです。

実名公表される少年事件

改正された少年法によると、実名公表される少年については「特定少年」に限定しており、公表するかどうかを決める検察庁の最上級機関である最高検察庁は、実名を発表する「典型事案」を裁判員裁判の対象事件と位置づける基本的な考え方を全国の検察庁に通知しています。
裁判員裁判の対処事件とは、一定の重大な犯罪で、殺人事件や現住建造物等放火事件、危険運転致死事件等、人の生命に関わるような事件の他、覚醒剤の営利目的の輸入事件も対象となっています。

実名公表されるタイミング

検察庁が特定少年の実名を発表するのは、少年が起訴されるタイミングです。
警察に逮捕されたり、検察庁や家庭裁判所に送致(逆送を含む)されたタイミングでは、推知報道の禁止規定の適用を受けますが、逆送後に検察官が公判請求(起訴)した時点で推知報道禁止規定が適用されなくなるので、このタイミングで検察庁が、特定少年の実名を発表することができるのです。
ちなみに、ネットニュースや、新聞、テレビのニュース等で使用されている顔写真については、報道機関が独自に入手したものが使用されるケースがほとんどです。

特定少年の実名公表に対する見解

まだ改正少年法が施行されて2週間程度しか経過しておらず、特定少年の実名公表が、今後の社会にどのような影響を及ぼすのかは定かではありません。
各報道機関は、少年法の一部が改正されてからも、少年の健全育成や更生を重視しているこの法律の趣旨については変わりがない事を理解した上で、事件の重大性や、社会に及ぼす影響などを総合的に考慮して実名公表すべきだと思います。

このコラムをご覧の方で、4月1日から施行されている少年法の一部改正について詳しく知りたい方は、こちらを⇒⇒クリック

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、数多くの少年事件を扱い、少年の更生に携わってきた実績がございます。
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【解決事例】芦屋市の痴漢事件で逮捕された少年の早期釈放に成功

2022-04-08

【解決事例】芦屋市の痴漢事件で逮捕された少年の早期釈放に成功

芦屋市の痴漢事件で逮捕された少年の早期釈放に成功した解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。


事件の概要

大学生のA君(19歳)は、通学途中、芦屋市内を走行中の路線バスの車内において、痴漢をした容疑で、偶然現場に居合わせた警察官に現行犯逮捕されました。
親御さんからのご依頼でA君の弁護活動を開始した弁護士は、すでに決定していた勾留決定に対して異議を申立て(準抗告)、A君の早期釈放に成功しました。
(実際に起こった事件を基に、事件の発生地等一部変更を加えています。)

痴漢事件

痴漢事件は、各都道府県の迷惑防止条例違反となります。
今回の事件は芦屋市内を走行中のバス内で発生した痴漢事件ですので、兵庫県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(以下「迷惑防止条例」とします。)が適用されました。
兵庫県の迷惑防止条例では痴漢行為に対して「6月以下の懲役若しくは50万円以下」の罰則を規定していますが、19歳のA君には適用されません。

早期釈放

A君のような19歳の少年が刑事事件を起こして警察に逮捕されてしまうと、少年法に基づいて手続きが進みますが、少年事件特有の手続きが始まるのは、警察、検察庁の捜査を終えて家庭裁判所に送致された後です。(一部の事件を除く。)
つまり例え19歳の少年であっても勾留の必要性が認められると成人被疑者と同様に勾留されてしまうのです。
実際にA君も一度は勾留が決定してしまいました。
しかし弁護士は、勾留決定に対して異議を申し立てることができます。
この申し立てが「準抗告」です。
当然、一度なされた裁判官の決定に対して異議を申し立てるので、なかなか認められるものではありませんが、今回は、ご家族にA君の日常生活の監督を約束してもらう等したことによって準抗告が認容され、A君は早期に釈放されることとなりました。

弁護活動を振り返って

少年事件は成人事件とは異なり、手続きは非常に複雑です。
特に、今年の4月1日からは少年法の一部が改正されて、18歳以上の少年事件に関してはより複雑な手続きとなっています。
(少年法の改正については、こちら→→クリック←← で詳しく解説しています。)

このコラムをご覧の方で、少年事件について不安のある方や、逮捕されている少年の早期釈放を希望される方がいらっしゃいましたら、一刻も早く「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部」にご相談ください。
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少年法一部改正(令和4年4月1日施行)

2022-03-25

1 少年法が適用される年齢

令和4年(2022年)4月1日に,改正少年法が施行されることになりました。

これに先行し,民法の成人年齢が現在(2022年3月31日まで)の20歳から,18歳に引き下げられました。これにより,18歳・19歳の人が,自由に売買などの契約をすることができるようになり,責任ある社会の主体と捉えられることになりました。

今回の少年法改正は,成人年齢の引き下げと論理的には関係があるものではありませんが,18歳・19歳の少年(性別にかかわらず,少年と呼びます)を,17歳以下の少年と区別して取り扱うこととしました。

これから,改正少年法でどのような点が変更されたのかを見ていきます。


最初に,少年法が適用される年齢について説明したいと思います。

以下のような例を基に,これまでとこれからの違いを説明していきます。

〔モデルケース〕

神戸市に住むAさんは,お小遣いが十分にもらえないことや,無駄遣いをしてしまったことから,お金に困っていた。しかし,どうしても欲しい商品があったことから,三宮駅近くの繁華街にある衣料品店でTシャツを1枚盗んでしまった。

Aさんが服をカバンに入れた後,たまたま店の店員に見つかってしまい,店員に腕をつかまれたが,このままでは大変なことになると思ったAさんは,とっさに店員を押し倒し,そのまま走って逃げた。

しかし,数日後,防犯カメラなどの証拠を基に捜査した警察が,Aさんを逮捕しに来た。

 

まず,事件日も含め,すべて令和4年4月1日以降を前提に考えていきます(そうでない場合は後述)。

このモデルケースは,窃盗犯人が,逮捕を免れるために暴行を加えたので,事後強盗罪(刑法238条)に当たる可能性もありますし,それよりも軽い窃盗罪+暴行罪という組み合わせとなる可能性もあります。事後強盗罪は,5年以上の懲役刑となる非常に重い罪で,新少年法では原則検察官送致(逆送)事件(新少年法62条2項2号)に該当し,原則成人と同じ裁判を受ける罪です。これに対し,窃盗罪+暴行罪では,原則検察官送致(逆送)事件となりませんから,基本的にはこれまでの少年法と同じ手続きで進んでいきます。

刑事事件の大まかな流れは,改正後の少年法でも変わりがありませんが,少年が罪を犯した場合,①最初に警察などの捜査機関が捜査をし②その後原則的にすべての事件が家庭裁判所に送られ調査等が行われ③調査を踏まえて少年審判が開かれ④場合によっては刑事裁判を受けるという流れで進んでいきます。

少年が対象の場合も①の捜査と④の刑事裁判は刑事訴訟法という法律に基づいて処理されますが,これに少年法が一定の制限を加えています。そして②③はまさに少年法がその手続きを定めています。

これまでの少年法では,事件を起こした時に20歳を超えていたかどうかと家庭裁判所の手続きや少年審判の段階で20歳になっていたかという2つ点から,適用される法律が決まっていました。

それでは,モデルケースを基に,Aさんはどのような法律で審理をされていくのかを見ていきましょう。それには,Aさんが各手続きの段階で何歳であったのかが鍵となってきます。また,一旦は③の段階,つまり少年審判の時点までを考えていきます。③と④の間に18歳を迎えた場合には,そこでも適用される法律が変わってきますが,ここでは③までのことだけを考えていきます。

 

⑴事件を起こした時に18歳未満であり,少年審判を受けるときも18歳未満の場合

これが最も単純な場合です。この場合には,基本的に改正前の少年法と同様,少年法の規定に従って手続きが進んでいきます。そのため,これまでの少年法の解説などに記載されていることが基本的には当てはまります。

⑵事件を起こしたときは18歳未満だったが,その後18歳を迎え,少年審判を受けるときには18歳・19歳となっていた場合

この場合,家庭裁判所の少年審判を受ける際には「特定少年」という扱いになり,そこでは新しい法律による処理が行われます。たとえば,モデルケースよりももっと軽い罪の場合に,検察官送致が行われる可能性があるなどです(後述)。

しかし,最も影響が大きい原則逆送(検察官送致)事件となるかどうか(新少年法62条2項2号)については「その罪を犯すとき特定少年にかかるもの」が対象ですから,事件を起こしたときに18歳未満であれば,罪を犯すときには特定少年となりませんので,新少年法62条1項2号の適用はありません。ただし,同条1項の適用はありますから,絶対に検察官送致にならないというわけではありません。

⑶事件を起こした時は18歳未満だったが,警察が捜査を終了するまでに20歳を超えてしまった場合

何らかの理由で捜査が遅れ,すぐに捜査が始まらなかったような場合には,このようなことが起きます。

これについてもこれまでの少年法と変わりがありません。つまり,事件捜査が終了し,検察庁が処分をする段階で20歳以上となっていると,事件を家庭裁判所に送ることはできず,成人事件と同様検察官が起訴・不起訴を決定します。また,一旦事件が家庭裁判所に送られた後,少年審判を受けるより前に20歳に到達してしまった場合には,その時点で年齢超過により検察官送致となり,同じく検察官により起訴・不起訴が決定されます。

ただし,この場合でも罪を犯した時に特定少年ではありませんから,資格制限の緩和(少年法60条)や推知報道の禁止(少年法61条)の適用があります。新少年法67条6項や68条の適用はありません。

⑷事件を起こした時は18歳・19歳で,20歳までに全手続きが終了する場合

この場合には,罪を犯した時に18・19歳ですので,特定少年となります。

そのため,モデルケースが事後強盗罪となるとすれば,新少年法62条2項2号の適用があり,原則検察官送致すべき事件として処理されます。

また,20歳までに手続きが終了するため,少年審判を受けることになりますが,少年審判で検察官送致決定を受けると,新少年法67条や68条の適用を受け,資格の取得が制限されたり,実名報道が解禁されたりすることになります。

⑸事件を起こした時は18歳・19歳だったが,途中で20歳を超えてしまった場合

この場合は⑶と同じ流れとなり,検察庁が処分をする段階で20歳以上となっていると,成人同様の起訴・不起訴の決定がなされ,家庭裁判所に移った後20歳となった場合には,その時点で年齢超過による検察官送致がなされます。

ただ,⑶と異なるのは,罪を犯した時に特定少年となっていますので,資格の取得制限や,実名報道の解禁などの特則が適用されます。

 

これまでは年齢の基準が20歳かどうかだけでしたが,これからは18歳と20歳の2カ所に基準が設けられ,各手続きの段階で何歳かによって適用される条文がことなるという複雑な状況となりました。

 

2 改正少年法の適用時期

次に,新しい少年法がいつから適用されるかを見ていきます。

ケースは前回と同じケースを用います。

〔モデルケース〕

神戸市に住むAさんは,お小遣いが十分にもらえないことや,無駄遣いをしてしまったことから,お金に困っていた。しかし,どうしても欲しい商品があったことから,三宮駅近くの繁華街にある衣料品店でTシャツを1枚盗んでしまった。

Aさんが服をカバンに入れた後,たまたま店の店員に見つかってしまい,店員に腕をつかまれたが,このままでは大変なことになると思ったAさんは,とっさに店員を押し倒し,そのまま走って逃げた。

しかし,数日後,防犯カメラなどの証拠を基に捜査した警察が,Aさんを逮捕しに来た。

また,Aさんは事件を起こした時にすでに18歳であり,現在もまだ18歳であるものとする。

 

⑴原則検察官送致(逆送)事件として扱われるかどうか

先ほども見た通り,Aさんの行為は事後強盗罪に当たる可能性があり,そうなると新少年法によると原則検察官送致(逆送)となる事件に該当します。では,いつの事件から新少年法が適用されるのかが問題となりますが,少年法等の一部を改正する法律附則2条は

第一条の規定による改正後の少年法(以下「新少年法」という。)第六十二条及び第六十三条の規定は、この法律の施行後にした行為に係る事件の家庭裁判所から検察官への送致について適用する。

と定めています。

つまり,Aさんの事件が,令和4年4月1日以降に発生したものであれば新少年法が適用されることにより,原則検察官送致(逆送)事件として扱われ,反対に令和4年3月31日より前に発生した事件であれば,そのようには扱われません。ただしモデルにした事後強盗罪などの場合には,改正前の少年法20条1項によって検察官送致(逆送)をされる可能性がありますから,改正前の法律であれば必ず保護処分(少年院送致・保護観察処分等)になるというわけではありません。

⑵人の資格の制限について

改正前少年法60条1項では,

少年のとき犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終り、又は執行の免除を受けた者は、人の資格に関する法令の適用については、将来に向つて刑の言渡を受けなかつたものとみなす

とされ,少年のときに犯した罪で検察官送致(逆送)され,刑事罰を受けたとしても,資格取得の制限(たとえば,医師であれば罰金以上で免許が与えられない場合があるなど)を適用しないこととされていました。

しかし,今回の少年法改正により,少年法60条は,特定少年のときに犯した罪により刑に処せられた者には適用しないこととされました(新少年法67条6項)。

この新少年法67条6項には,少年法等の一部を改正する法律附則6条が

十八歳以上の少年のとき犯した罪により刑に処せられてこの法律の施行前に当該刑の執行を受け終わり若しくは執行の免除を受けた者又は十八歳以上の少年のとき犯した罪について刑に処せられた者でこの法律の施行の際現に当該刑の執行猶予中のものに対する人の資格に関する法令の適用については、新少年法第六十七条第六項の規定は、適用しない。

と定めています。

ですので,令和4年4月1日までに,少年のとき(ここでは20歳未満の意味)に犯した罪を理由に刑に処せられた人については,新少年法67条6項の規定はなく,これまで通り少年法60条が適用され,資格取得の制限は適用されません。

しかし,Aさんの事件が,たとえ令和4年4月1日より前に発生した事件であったとしても,その後の少年審判で検察官送致(逆送)決定を受け,Aさんが令和4年4月1日以降に刑を受けることとなった場合には,「特定少年のときに犯した罪」により刑に処せられることには変わりありませんから,新少年法67条6項の規定が適用され,資格取得が制限されることになります。

⑶推知報道の禁止について

これについても⑵とほとんど同じ状況です。

改正前少年法61条では,少年の事件について少年の個人が特定されるような報道(推知報道)は禁止されていました。

しかし,新少年法68条は

第六十一条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない。ただし、当該罪に係る事件について刑事訴訟法第四百六十一条の請求がされた場合(同法第四百六十三条第一項若しくは第二項又は第四百六十八条第二項の規定により通常の規定に従い審判をすることとなつた場合を除く。)は、この限りでない。

と定め,略式起訴を経て略式命令が確定したような場合を除き,報道の禁止を除外しました。

そして,少年法等の一部を改正する法律附則7条は

新少年法第六十八条の規定は、この法律の施行後に公訴を提起された場合について適用する。

と定め,令和4年4月1日以降に起訴された事件で,特定少年の時に犯した罪である場合に,推知報道が解禁されることになっています。

Aさんの事件でいうと,たとえ事件発生が令和4年3月31日より前の日であったとしても,令和4年4月1日以降に家庭裁判所で検察官送致(逆送)決定を受け,検察官により起訴をされた場合には,新少年法68条の適用が認められ,Aさんの事件を成人の事件と同様に報道することが許されることになります。

反対に,Aさんが令和4年3月31日より前に検察官に起訴をされ,裁判をしている途中に令和4年4月1日を迎え,まだ判決の言い渡しがなされていないような場合であっても,公訴の提起(起訴)が令和4年4月1日より前の日ということになるので,新少年法68条は適用されず,推知報道は禁止されたままということになります。

3 検察官送致の特則

〔モデルケース〕

姫路市に住むBさん(18歳 高校3年生)は,これまでに女性と交際したことがなく,性的なことに興味を持ったことから,令和4年8月2日,網干駅近くの路上を歩いていた被害者の女性を無理矢理近くの公園内トイレに押し込み,性交を行った。そのとき,被害者には手や足に全治7日程度のかすり傷が生じた。

 

⑴現在の検察官送致(逆送)事件

少年法が適用され,少年審判を受けると,多くの場合には少年院送致や保護観察といった保護処分を受けることになります。

しかし,一定の重大事件や,道路交通法違反,交通事故といった部類の事件では,少年の教育を主とした保護処分ではなく,成人同様の刑事罰を受けさせることが適当として,事件を再び検察官の手元に戻し,検察官が起訴をした上で,刑事罰を受けることとなることがあります。この,家庭裁判所が事件を検察官に戻す決定のことを,「検察官送致」や「逆送」という名称で呼んでいます。

この検察官送致(逆送)という制度自体は,令和4年3月31日までの少年法にも規定があり,以下のような場合に検察官送致(逆送)されることとなっていました。

第十九条 2 家庭裁判所は、調査の結果、本人が二十歳以上であることが判明したときは、前項の規定にかかわらず、決定をもつて、事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

第二十条 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

1つは,少年法19条2項に基づく検察官送致(逆送)で,事件が家庭裁判所に係属した後,20歳となったような場合です。少年審判を開く要件として,対象者が少年(ここでは20歳未満)である必要がありますから,20歳を超えてしまうと少年審判を開けないため,事件を検察官に戻します。

2つ目に,20条1項の検察官送致で,事件の内容等に照らし,保護処分ではなく刑事処分が相当であると思われるときに検察官送致(逆送)をするものです。どのような事件に適用されるかについては特に指定があるわけではないですが,これまでの例では,過失運転致死傷事件(交通事故)や,軽微な交通違反の事件などが検察官送致(逆送)されることが多くなっていました。

3つ目は,その20条1項の例外規定となる20条2項の検察官送致(逆送)です。殺人・傷害致死・強盗殺人・強制性交等致死・保護責任者遺棄致死など,故意の犯罪行為により,人が死亡するに至った事件について,事件が発生したときに少年が16歳以上であった場合には,原則として検察官送致(逆送)することとなっていました。非常に重い事件については,保護処分ではなく刑事処罰の方が国民感情などに沿うと考えられたからです。ただし,保護処分が相当であると認められる事情があった場合には,検察官送致(逆送)せず,保護処分とすることができます。

これら3つの規定は,改正後もそのまま適用されます。新少年法の検察官送致(逆送)規定は,あくまで18歳・19歳の特定少年に対して特則を定めているだけで,14歳から17歳までの少年や,途中で20歳を迎えた者に対しては,これまで通りの規定が適用されることになります

モデルケースのBさんは,強制性交等致傷に当たり,無期懲役か6年以上の懲役に処せられる極めて重い罪を犯しています。成人であれば,裁判員裁判の対象事件です。しかし,改正前の少年法では,少年法20条2項に該当する事件ではなく,あくまでも20条1項により検察官送致(逆送)するかどうかが判断されていました。

⑵罰金以下のみに当たる罪(20条1項の改正)

改正少年法では,特定少年について検察官送致の対象となる事件が拡大されました。新少年法62条1項は

家庭裁判所は、特定少年(十八歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第二十条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

少年審判を受ける時点で18歳以上となっている場合(事件日の年齢は関係なく),刑事処分を相当と判断されると,検察官送致(逆送)することができるようになりました。

少年法20条では「死刑,懲役又は禁錮に当たる罪」の場合しか検察官送致(逆送)することができませんでした。そのため,罰金以下の刑しかない罪は,検察官送致(逆送)をすることができないことになっていたのですが,18歳・19歳の特定少年が責任ある主体としての立場を有するようなった改正後は,禁錮以上の刑がないというだけで刑事罰の対象から除外することは不適当と考えられ,改正がなされました。

なお,先ほど少し触れたように,実際多くの軽微な道路交通法違反事件では,罰金刑を念頭に検察官送致(逆送)決定が出され,その後検察官が略式起訴等を行い,裁判所で罰金の言渡しを受けることが多くなっていました。このような実情に合わせた面もあります。

⑶原則逆送事件事件の拡大

次に,原則逆送事件が拡大されました。現在の規定では,16歳以上の時に犯した故意の犯罪行為で人が死亡した場合のみが検察官送致(逆送)の対象となっていました。

しかし,新少年法62条2項は

前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

一 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るもの

二 死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)

と定めています。

少年法62条2項が念頭においているのは,少年審判を受ける時点で18歳・19歳の特定少年です。

そして,その特定少年が①16歳以上で故意の犯罪行為により人を死亡させた場合と②特定少年のとき(つまり18・19歳)に死刑・無期懲役・短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯した場合に原則検察官送致(逆送)をする旨決定しています。

①については,少年法20条2項とそれほど違いがありません。

しかし②が新たに加えられた結果,原則検察官送致(逆送)となる事件が飛躍的に増加しました。具体的には,強盗罪・強盗致傷罪・強制性交等罪・強制性交等致傷罪・現住建造物放火罪などが対象となるようになりました。特に,強盗罪などの場合には,窃盗の機会に追いかけてきた被害者を押したような事後強盗罪も同じ罪の重さであるため,比較的単純な事件でも,少年法62条2項の対象事件となってしまいます。

ここで再びモデルケースに戻ります。 モデルケースのBさんの行為は,既に述べた通り強制性交等致傷となり,無期懲役か6年以上の有期懲役となる事件です。

Bさんは,事件当時18歳の高校3年生ですから,特定少年に該当し,かつ無期懲役が定められた罪を犯していますから,新少年法62条2項2号の対象となり,原則検察官送致(逆送)事件となります。これまでであれば保護処分となっていた可能性のある事件でも,これからは検察官送致(逆送)となり,刑事処分を受ける可能性が高まるということができます。

⑷少年法55条の扱い            

事件が検察官送致(逆送)され,検察官により起訴がなされると,刑事裁判が開かれます。しかし,この刑事裁判の中で,やはり刑事処罰より保護処分の方が適当であると判断される場合があります。このときは,少年法55条により

裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。

とされていることから,再び事件が家庭裁判所に戻されることになります。そして,基本的には戻された家庭裁判所では保護処分が言い渡されることになります(決まりはないので,もう一度検察官送致(逆送)になるケースもあります)。

この少年法55条については,今回の改正では一切の変更が加えられていません。

そのため,特定少年が検察官送致(逆送)決定をされ,刑事裁判を受けることになった場合であっても,少年法55条に基づき,家庭裁判所に移送される可能性はあります。

Bさんの事件で,検察官送致(逆送)決定を受けた場合であっても,刑事裁判で少年法55条の決定を受けた場合には,再び事件が家庭裁判所に戻され,多くの場合には保護処分を受けることになると思われます。

4 保護処分の特則

次は,保護処分の特則です。原則検察官送致(逆送)事件は,比較的重い罪を対象としていましたが,この特則は特定少年の事件すべてに適用されます。

新少年法64条1項は,以下のように定めています。

第二十四条第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、第二十三条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、少年が特定少年である場合には、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内において、決定をもつて、次の各号に掲げる保護処分のいずれかをしなければならない。ただし、罰金以下の刑に当たる罪の事件については、第一号の保護処分に限り、これをすることができる。

一 六月の保護観察所の保護観察に付すること。

二 二年の保護観察所の保護観察に付すること。

三 少年院に送致すること。

少年法24条1項は,少年に保護処分を課す際に,保護観察・少年院送致等の処分ができることを規定するものです。しかし,少年法24条1項は,少年がどれだけ更正・教育する必要性があるのかという,要保護性の程度に応じて処分を課すものとなっています。そのため,極端な例でいうと,10円のガム1つを万引きした初犯の少年を,少年院送致することも可能です(成人であれば,おそらく起訴猶予となる可能性が高いです)。

しかし,民法上成人となり,親の監護から外れる18歳・19歳に対し,要保護性を理由に,犯した罪の重さと不均衡な処分を行うことは,責任主義などの要請との関係で許されないと考えられたことから,特定少年に保護処分をする際には,犯した罪の重さを考慮して,「相当な限度を超えない範囲内」という上限を定めることとなりました。

保護観察期間として規定されている6か月,2年という長さは,従前の保護処分の内容と変わりません(18歳の少年が保護観察を受けるときは,その期間は20歳までではなく,原則2年でした)。

また,少年院送致となる期間としてもは,これまで原則は20歳まで,最長で23歳になるまでとされていましたが,新たに審判の際に少年院に収容する期間として 3年以内の期間を定めることとなりました(新少年法64条3項)。

5 ぐ犯の不適用

⑴ぐ犯とは

少年法は,「少年の健全な育成を期し,非行ある少年に対して性格の矯正及び環境の調整」を行うものです。

そのため,現に罪を犯した少年だけではなく,罪を犯す可能性があるような少年に対しても,処分の対象としてきました。この「罪を犯す可能性がある」ことを「ぐ犯」と呼んでいます。

ぐ犯に該当する事由は,少年法3条1項3号に列挙されており

三 次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年

イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。

ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。

ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。

ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

このような事情がある場合には,ぐ犯事件として,実際に罪を犯したのと同じように家庭裁判所で少年審判を受けることとなります。

たとえば,深夜徘徊を繰り返して家に戻らなかったり(イ・ロ),暴力団など反社会的勢力と言われる人と交友関係を持ち,行動を共にしていた場合(ハ)がこれに当たるほか,最初は何らかの犯罪があったとして警察が捜査をしたものの,厳密な事実認定をすることができず,疑わしいような状況だけが残った場合にぐ犯として家庭裁判所に送られることが多くなっています。

⑵ぐ犯の不適用

これに対し,新少年65条1項は

第三条第一項(第三号に係る部分に限る。)の規定は、特定少年については、適用しない。

と規定し,特定少年についてはぐ犯の規定を適用しないことが定められています。

つまり,18歳・19歳の少年が,ぐ犯を理由に家庭裁判所で保護処分を受けることはないということです(ぐ犯の事由は,それ自体はいずれも犯罪ではないので,検察官送致をされたり,刑事処分を受けたりすることもありません)。

これも,民法上成人として扱われる特定少年に対して,監護を前提とするようなぐ犯での処分をすることが妥当ではないと考えられたからです。

なお,18歳になる前にぐ犯として家庭裁判所に送られた後でも,審判を受ける前に18歳に到達すれば,ぐ犯として少年審判を受けることはありません。

6 刑事事件の特則

少年が事件について捜査を受けるときは,基本的には刑事訴訟法に基づいて手続きが進みますが,これに対して少年法が例外を設けています。

たとえば,

・少年を勾留する場合には「やむを得ない場合」でなければならない(43条3項,48条1項)

・少年を留置する場合には他の被疑者・被告人(成人)と分離しなければなない(49条1・3項)

・少年の刑事事件と他の共犯者の事件は基本的に分離して裁判しなければならない(49条2項)

・少年に有期の懲役又は禁錮の実刑判決を言い渡すときは,不定期刑(●年から●年というように,刑の重さを1点に決めないこと)を言い渡すことや,その場合でも上限は15年以下,下限は10年以下とすること(52条)

といった例外が定められています。

改正少年法67条により,これらの規定に変更が加えられました。

検察官送致(逆送)決定を受けた後の特定少年は,「やむを得ない場合」でなくとも,成人と同じ条件で勾留することとなり,他の成人との分離も必要なくなります(新少年法67条1・2項)。

また,特定少年の刑事裁判については,少年であるからという理由での分離は行われず(新少年法67条3項),実刑判決を言い渡す際にも,不定刑ではなく,成人と同様「懲役●年」というような形で刑の重さが1点で決まるようになります(新少年法67条4項)。また,刑の重さの上限などもなくなり,成人同様法定刑の範囲で処断されることになります(同)。

7 資格の取得・推知報道の特則

〔モデルケース〕

豊岡市に住むCさんは,国道178号線沿いの飲食店を放火したとして現住建造物等放火(法定刑:死刑又は無期若しくは5年以上の有期懲役)で逮捕され,家庭裁判所で検察官送致決定を受けました。そしてすぐに検察官により起訴され,この後裁判を受ける予定です。

Cさんは将来国家資格を取りたいと考えており,その資格は懲役刑を受けた場合には取得できないこととされています。また,今後報道されると将来就職できなくなるかと心配しています。

 

⑴資格取得の制限について

少年の更正のため,少年法60条1項は,少年の時に犯した罪に関して特則を設けています。

少年のとき犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終り、又は執行の免除を受けた者は、人の資格に関する法令の適用については、将来に向つて刑の言渡を受けなかつたものとみなす。

たとえば,医師であれば医師法4条3号により,「罰金以上の刑に処せられた者」は医師免許を与えないことがある旨定められています(罰金以上の刑になると,一生医師免許を与えられないというわけではなく,罰金の場合には5年経過するとこの規定が適用されなくなります(刑法34条の2))。また,弁護士であれば弁護士法7条1号により「禁錮以上の刑に処せられた者」は弁護士となる資格を有しない(禁錮の場合には10年経過すると規定の適用が無くなります)こととされています。

このように,罰金以上の刑を受けると,5年か10年の期間,資格の取得が制限されることになります。

少年法60条1項の定めは,少年が刑事処分を受けた場合に,このような資格取得の制限を撤廃するものとなります。ですので,国家試験に合格しほかの欠格事由がなければ,罰金刑を受けてから5年以内であっても医師になることができます。

ただし,これはあくまで「人の資格に関する法令の適用について」のみの話ですから,前科がなかったことになるようなものではありません。

そして,今回の新少年法67条6項は

第六十条の規定は、特定少年のとき犯した罪により刑に処せられた者については、適用しない。

と定め,特定少年の時に犯した罪により刑に処せられた場合には,資格取得の制限の緩和が適用されないことを規定しています。

なお,あくまで「特定少年の時に犯した罪」で刑に処せられる場合ですから,たとえば17歳の時に強盗事件を起こし,その後検察官送致(逆送)決定を受けた後,18歳で懲役刑を受けたような場合には,新少年法67条6項の適用はありません。つまり,この場合には元の少年法60条が適用されますから,資格取得の制限は緩和されることになります。

Cさんの例でいうと,Cさんが17歳のときに放火をし,その後刑事裁判を受けるというような場合には資格取得の制限がありませんから,放火の罪で受けた懲役刑は考えずに資格を取ることができますが,18歳の時に放火をしたのであれば,刑の執行が終了してから10年の間は,資格を取ることができなくなります。

⑵推知報道の禁止の例外

少年の更正,保護のため,新少年法61条では

家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

というように,報道から事件を起こした少年がどこの誰であるかということを推測できるような報道(推知報道)を禁止しています。

しかし,18歳・19歳の特定少年が起こした事件は,責任ある主体が起こした事件であるにもかかわらず,一律に報道を禁止することは適当でないと考えられ,新少年法68条で

第六十一条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない。ただし、当該罪に係る事件について刑事訴訟法第四百六十一条の請求がされた場合(同法第四百六十三条第一項若しくは第二項又は第四百六十八条第二項の規定により通常の規定に従い審判をすることとなつた場合を除く。)は、この限りでない。

と推知報道禁止の例外が定められました。

これは,特定少年のときに犯した罪により,起訴された場合に,推知報道が禁止されなくなることを意味し,実名報道がなされるようになるという意味です。

ただ,あくまでも「公訴を提起された場合」に限りますから,逮捕され,捜査されているときや,少年審判を受けているときなどは,たとえ特定少年であったとしても,推知報道は禁止されています。

また,同条但書記載の通り,略式起訴されたような事件で,正式裁判が開かれなかったような事件については,事件が比較的軽微であることや,少年の更正・社会復帰を支援する観点から,なお推知報道が禁止されています。

そして,⑴と同じことになりますが,特定少年のときに犯した罪により公訴を提起される場合に限られますから,17歳の時に強盗事件を起こし,その後18歳になって起訴されたような場合では,特定少年の時に罪を犯したわけではないので,今まで通り推知報道は禁止されることなります。

なお,この報道について最高検察庁が通知を出しており,実名公表を検討すべき事案としては「犯罪が重大で,地域社会に与える影響も深刻な事案」であり,具体的には裁判員対象事件(殺人,放火,強盗致死傷,強制性交等致死傷)となることが挙げられています。

Cさんの例でいうと,この事件は裁判員裁判対象事件となりますので,Cさんが18歳になってから放火をしていたのであれば,実名での報道がなされる可能性が高いことになります。反対に,Cさんが17歳の時に放火をし,その後刑事裁判を受けるという場合には,同じく裁判員裁判になりますが,推知報道は禁止されるので,実名報道はなされません。

8 付添人選任権者の拡大

改正前の少年法10条では,少年と保護者しか「付添人」を選任することができませんでした。

「付添人」とは,典型的には弁護士ですが,少年の利益を擁護し,適正な審判・処遇決定のために家庭裁判所で活動をする者を指します。

従来は20歳未満は親権に服していたので,保護者が存在しましたが,民法上成人が18歳となったので,18歳・19歳の少年には保護者が存在しないこととなりました。

そこで,新少年法10条では「少年並びにその保護者、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹」が付添人を選任できるようになりました。

 

【少年事件】加古郡播磨町のバイク盗で逮捕

2021-12-20

バイク盗少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~

兵庫県加古郡播磨町の駐輪場に駐車してあったバイクを盗んだとして、町内に住む中学生のAくん(15歳)とBくん(14歳)が兵庫県明石警察署に窃盗の疑いで逮捕されました。
Aくんは、部活を引退した後、地元の不良仲間とつるむようになり、最近では夜中に出歩いたり、無断外泊を繰り返していたようです。
Aくんは、逮捕されたことを受け、自身の軽率な行動について反省しています。
Aくんの母親は、逮捕を知り大変ショックを受け、すぐに父親に連絡をしました。
逮捕の連絡を受けたAくんの父親は、少年事件に対応してくれる弁護士を探すことにしました。
(フィクションです)

刑法犯少年のうち、最も多いのが窃盗犯です。
なかでも、万引き、自転車盗やバイク盗が多く見受けられます。
少年は、単独で行うよりも、複数人と共謀して窃盗を行うケースが多くなっています。
初犯の万引き事件のように比較的軽微な事件であれば、逮捕される可能性は低いでしょう。
しかし、共犯者がいたり、被害金額が多い場合には、少年であっても逮捕され、その後勾留となる可能性はあります。

少年のバイク盗での弁護活動

少年によるバイク盗事件において、弁護士は主に次のような活動を行います。

1.身柄解放

逮捕された少年については、逮捕後勾留を回避すべく、すぐに身柄解放活動に着手します。
逮捕から48時間以内に、少年は検察庁に証拠や関係書類と共に送られます。
そうでなければ、少年は釈放となります。
少年の身柄を受けた検察官は、24時間以内に、少年を釈放するか、裁判官に勾留(又は勾留に代わる観護措置)を請求します。
検察官からの勾留(又は勾留に代わる観護措置)請求を受けた裁判官は、少年を勾留するかどうかを判断します。
裁判官が勾留を決定した場合には、検察官が勾留請求をした日から10日間、少年の身柄は拘束されることになります。
10日間の身体拘束となれば、その間学校や職場に行くことはできませんので、最悪退学や解雇といった事態に陥る可能性があります。
そのような事態を回避するためにも、勾留を阻止し早期に釈放となるよう関係機関に働きかけます。
具体的には、検察庁に送られたらすぐに、担当検察官に対して、少年について勾留請求をしないよう意見書の提出や電話での面談を通じて主張します。
検察官が勾留(又は勾留に代わる観護措置)を請求した場合には、勾留の要件を満たしていない旨を客観的証拠に基づき主張し、裁判官に対して勾留をしないよう働きかけます。
裁判官が勾留を決定した場合であっても、その決定に対して不服申立てを行い、最初の勾留の決定をした裁判官ではない裁判官らに改めて先の決定が間違っている旨を主張し、釈放するよう主張します。
逮捕から勾留までは、長くとも3日で決まってしまいますので、できる限り早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に着手するのがよいでしょう。

2.被害者対応

バイク盗は、被害者のいる事件ですので、被害者への謝罪や被害弁償を行うことが重要です。
被害者は経済的損失以上に少年に対して怒りを感じていることもあるため、少年や少年の家族が直接被害者と連絡を取り合い対応するよりも、弁護士を介して行うほうが、被害者との交渉が感情的にならず、円滑に進む場合が多いと言えます。

3.環境調整

少年の審判では、非行事実に加えて要保護性についても審理されます。
要保護性というのは、簡単に言えば、少年が再び非行を犯すおそれのことです。
その再非行のおそれがないと裁判官に認められれば、少年院送致のような重い処分が言い渡される可能性は低くなります。
逆に言えば、軽微な非行であっても、要保護性が高ければ、少年院送致となる可能性もあるのです。
今回のケースで考えると、Aくんの非行の原因のひとつに、不良仲間との関係性があげられるでしょう。
そのため、彼らとの交流関係を断ち切り、Aくんが再び非行を犯すことのないよう周囲の環境をつくる必要があります。
そのためには、単にAくんの不良仲間との縁を切るよう言い聞かせるだけでは足りないでしょうし、大人側から一方的に言われることに対してAくんが反発することもあるでしょうから、Aくんの家族や学校とも協力して、事件を起こした原因を一緒に考え、解決策を見出す手助けをしていくことが重要です。
弁護士は、少年本人、少年家族や学校、裁判所と密に連携をとりながら、少年の更生に適した環境を調整する役割を担います。

以上のような活動は、少年事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様がバイク盗で逮捕されてお困りの方は、すぐに弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

【少年事件】ぐ犯事件で家庭裁判所送致

2021-11-26

ぐ犯事件で家庭裁判所送致となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
Aさん(16歳)は、深夜に兵庫県神戸市中央区の繁華街にいたところを兵庫県生田警察署の警察官に補導されました。
その際、Aさんが家出をしており、ネットで知り合った男性宅に居候していること、そして、生活費や遊ぶお金を稼ぐために売春行為をしていることが発覚しました。
生田警察署は、Aさんの保護者に連絡を取り、Aさんのことで話が聞きたいので署まで来るように言いました。
Aさんの母親が生田署に行き、警察官と話をしたところ、後々家庭裁判所で審判を受けることになるだろうと言われました。
今後、どのような流れになるのか不安になったAさんの母親は、すぐに少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

ぐ犯事件について

少年法は、その第1条において、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う」ことを目的して定めています。
少年法は、少年が行った過去の犯罪に対する応報として少年を処罰するものではなく、将来二度と犯罪・非行を行わないように少年を改善教育することを目的とするものです。
この目的には、少年が犯罪・非行に陥らないように予防するということも含まれています。
そのため、家庭裁判所が審判の対象とする少年には、
①犯罪少年:罪を犯した少年。
②触法少年:刑罰の定めのある法令に触れる行為をしたけれど、行為時に14歳未満であるため、刑法上罪を犯したことにならない少年。
に加えて、
ぐ犯少年
も含まれます。

ぐ犯少年とは

ぐ犯少年」とは、一定の事由があり、その性格や環境からみて将来罪を犯すおそれのある少年のことをいいます。
具体的なぐ犯少年の要件は、①ぐ犯事由、および、②ぐ犯性、です。

①ぐ犯事由
少年法は、ぐ犯事由として次の4つを挙げています。(第3条1項3号)
イ.保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ.正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと。
ハ.犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること。
ニ.自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

これらの要件の事由のいずれか1つに該当すれば足りますが、実際は複数のぐ犯事由に複合的に該当することが多くなっています。
ぐ犯事由は、いずれも一定期間にわたる行状、性癖でなかればならず、ある特定の時期のみ事由があるというだけでは足りません。

【イ.保護者の正当な監督に服しない性癖のあること】
少年が、保護者の監督を必要とするにもかかわらず、保護者の監督に従わない常習性があること。

【ロ.正当な理由がなく家庭に寄りつかない】
少年の性格・年齢・家庭の状況等を総合して、少年が家庭に戻らないことに正当な理由がない場合のこと。
家庭内で虐待を受けているため、少年が家を出たような場合は該当しません。

【ハ.犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること】
例えば、暴力団、暴走族などの非行を誘発するような反社会的集団に加入したり、不良仲間と交友したり、不健全な風俗営業や遊興施設などに出入りすること。

【ニ.自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること】
社会的・倫理的通年に反する行為を自ら行う、または他人にさせるような常習性があること。
例えば、風俗で働いたり、援助交際をする場合など。

②ぐ犯性
ぐ犯性」というのは、少年の性格や環境に照らして、将来、罪を犯したり、刑罰法令に触れる行為をするおそれがあることです。
このぐ犯性の有無については、将来における事実を予測するものであり、単なる推測だけでは不十分であり、経験則に基づく高度な蓋然性が必要とされます。

ぐ犯事件の流れ

警察などの捜査機関がぐ犯少年を認知した場合、ぐ犯は犯罪ではないため捜査をすることはできませんが、ぐ犯調査を行います。
ぐ犯調査は、少年や保護者、参考人を呼び出して質問をするなどして、事件の事実、原因や動機のほか、少年の性格・行状・経歴・教育程度・家庭や学校などの状況・交友関係などについての調査が行われます。
ぐ犯調査の結果、少年が14歳未満の場合は、児童相談所に通告し、14歳以上18歳未満の場合には、児童相談所に通告する、もしくは、家庭裁判所送致します。

14歳以上の少年が、犯罪少年として捜査の対象となったものの、捜査の結果、犯罪の嫌疑がないと判断された場合でも、ぐ犯が成立すると判断した場合は、捜査機関から家庭裁判所送致されます。

家庭裁判所送致された後の手続は、犯罪少年の場合と同様に、家庭裁判所の調査を行った上で、審判に付されて、最終的な処分が言い渡されます。

ぐ犯事件の場合、問題行為が繰り返し行われているなど、要保護性が高いことが多いため、要保護性の解消に向けた活動、特に環境調整が重要となります。
少年事件において、弁護士には、少年の手続き上の権利を擁護するということに加え、少年の更生に向けた環境調整を行うという重要な役割が期待されます。

ぐ犯事件でお困りの方は、少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

【少年事件】殺人未遂罪で逮捕

2021-11-18

殺人未遂少年逮捕した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県三田市で知人男性を口論になり、Aさん(19歳)は自分の車に乗って立ち去ろうとしました。
ところが、男性が車を停止させようとしたため、Aくんはそのまま車を発進させ、男性をボンネットに乗せたまま1キロ以上を走行しました。
男性は軽傷で済みましたが、ボンネットから降りた後にすぐ警察に通報しました。
翌日、兵庫県三田警察署は、Aさんを殺人未遂の疑いで逮捕しました。
(フィクションです。)

殺人未遂罪について

殺人罪は、故意により人を死亡させる罪です。

刑法第199条は、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と規定しています。
ここでいう「殺」すとは、自然の死期以前に人の生命を断絶する行為をいい、その手段や方法の如何を問いません。
ですので、包丁で人の身体を刺す方法であろうが、毒物を飲ませる方法、あるいは、事例のように車を用いてひき殺すといったものでも構いません。

殺人罪の成立を検討する際に、問題となるのが、故意の有無です。
故意とは、罪を犯す意思のことで、犯罪事実の認識・予見のことを意味します。
殺人罪の故意は、人を殺すことの認識・予見で、行為(殺すこと)の認識は、殺人の手段となる行為により、死の結果が発生可能であることを認識していることです。
故意は、確定的な故意(犯罪事実の発生を確定的なこととして認識・予見している場合)だけでなく、未必の故意(犯罪事実の確定的な認識・予見はないけれど、その蓋然性を認識・予見している場合)も含みます。
そのため、「殺してやる!」と思って車を発進させて人をボンネットに乗せたまま走行する場合だけでなく、「このまま走行したら死んでしまうかもしれないけど、仕方ない。」と思って行為に及んだ場合もまた、殺人の故意が認められることになります。

故意は、人の心の中のことなので、被疑者・被告人が故意を否定する場合には、凶器の種類、行為態様、創傷の部位・程度などの客観的事情や、動機の有無、犯行前や犯行時の言動、犯行後の行動などを総合的に考慮して、結果の発生に対する認識・予見があったか否かが判断されます。

さて、以上が殺人罪が成立する要件となりますが、人を殺そうとして行為に及んだものの、人の死という結果が発生しなかった場合には、殺人未遂罪に問われることになります。
犯罪の実行に着手して犯罪を遂げなかった場合を未遂といいますが、自らの意思によりやめて犯罪を遂げなかった場合を「中止未遂」と呼び、この場合は、刑が減軽されたり、免除されますが、それ以外の理由によって結果が発生しなかった場合(これを「障害未遂」と呼びます。)は、任意的に刑が軽減されるにとどまります。

殺人未遂で少年が逮捕されたら

20歳未満の少年であっても、殺人未遂事件を起こすと、成人の場合と同様に、警察に逮捕されます。
逮捕後には勾留となり、逮捕から約13日、勾留の延長が決まれば最大で約23日もの間、少年の身柄が拘束されることになります。
捜査機関による捜査が終了すると、少年の身柄とともに事件は家庭裁判所に送られます。
捜査段階では、逮捕・勾留による身柄拘束が続いていましたが、家庭裁判所に送られた後は、観護措置がとられ、少年鑑別所に収容される可能性があります。
この観護措置は、少年に審判を円滑に進めたり、少年の処分を適切に決めるための検査をおこなうために必要な場合にとられる措置で、少年を少年鑑別所に送り、少年を一定期間そこに収容するものです。
家庭裁判所は、調査官による調査を行い、審判を開きます。
そして、少年に対する処分を決定します。
審判では、非行事実の他に、要保護性について審理されます。
要保護性は、少年が将来的に再非行に至る可能性のことで、次の3つの要素から成り立つ概念として理解されています。
①犯罪的危険性…少年の性格や環境から、将来非行を繰り返す可能性があること。
②矯正可能性…保護処分によって、少年の犯罪的危険性を除去できる可能性があること。
③保護相当性…少年の処遇にとって、保護処分が有効かつ適切であること。

殺人未遂は重い罪ですので、非行事実は決して軽視することはできませんが、非行事実の内容や要保護性の程度によっては、施設送致や検察官送致を回避できる可能性はあるでしょう。

少年事件は、成人の刑事事件とは異なる手続によって処理されますので、少年事件でお困りであれば、少年事件に強い弁護士に相談されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

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