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少年事件と検察官送致

2020-04-02

検察官送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古川市に住むAくん(18歳)は、高性能爆薬を製造したなどとして、爆発物取締罰則違反などの非行内容で神戸家庭裁判所姫路支部に送致されました。
神戸家庭裁判所姫路支部は、刑事処分が相当として、検察官送致する決定を出しました。
AくんとAくんの家族は、今後どのように対応すべきか困っています。
(フィクションです)

検察官送致について

少年の被疑事件は、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されることになっています。
これを「全件送致主義」といいます。
しかし、家庭裁判所での審判までに少年が既に20歳に達していることが判明した場合や、家庭裁判所が刑事処分相当だと判断した場合には、家庭裁判所は事件を検察官に送致し、刑事手続に付すことになります。
これを「検察官送致」と呼んでいます。

家庭裁判所が検察官に送致するのは、次の3つの場合です。
(1)少年が20歳以上であることが判明したとき
(2)刑事処分が相当であると認めるとき
(3)故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯したときに少年が16歳以上であったとき

(1)年齢超過による検察官送致

家庭裁判所は、調査を行った結果、少年が20歳以上であることが判明したときは、審判が開けないので、検察官送致を決定しなければなりません。
年齢の基準は、行為時ではなく、調査・審判時です。
家庭裁判所に送致されたときには20歳にはなっていなくても、審判が開かれるころには20歳になっている可能性がある少年(「年齢切迫少年」といいます。)については、審判までに20歳に達した場合、自動的に検察官送致となってしまうので、対応に注意が必要です。

(2)刑事処分相当による検察官送致

家庭裁判所は、死刑、懲役または禁錮に当たる罪の事件について、調査を行った結果、「罪質及び情状に照らして」刑事処分を相当と認めるときは、検察官送致を決定しなければなりません。

「刑事処分を相当と認めるとき」とは、保護処分では少年の矯正の見込みがないと判断される場合をいいますが、その他にも、事案の重大性、悪質性、社会に与える影響、被害感情なども考慮し、保護処分に振ることが社会的に許容されない場合も、刑事処分相当の場合に含むとされます。

実務においては、保護処分が不相当な場合だけでなく、交通事件等で罰金刑が見込まれる事件のように、刑事処分の方が有効な処遇であるといえる場合にも、検察官送致が行われています。

(3)原則検察官送致

殺人などの重大事件について、原則として検察官送致を行うことを義務付ける規定が、平成12年の少年法改正により新たに設けられました。
行為時に16歳以上の少年が、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件については、家庭裁判所は、原則として、検察官送致の決定をしなければなりません。
ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、検察官に送致せずに保護処分を選択することができます。

検察官送致になった場合

検察官に送致されると、保護処分手続から刑事手続に移行することになります。
嫌疑が存在する限り、成人と同様に起訴され、公判審理を経て、家庭裁判所に再度送致されない限りは、判決により刑罰が科されることになります。
刑事手続に付されると、被告人として再び勾留されることになります。
判決までの間、保釈の可能性はありますが、拘置所で勾留されることとなります。
また、公判は、少年審判とは異なり、公開で審理されます。
そのため、少年の氏名、容貌、事件の内容などが傍聴人や報道関係者に対して明らかにされることとなります。
公判での審理の結果、有罪となり少年に実刑が科されると、少年は少年刑務所に収容されることとなります。
少年刑務所は、刑罰を執行する行政施設であり、矯正教育施設である少年院とは目的が異なります。
刑罰が必ずしも少年の更生に資するとは限りませんので、少年の成長発達や更生にとっての阻害要因となってしまうおそれがあるでしょう。

このような少年にとっての不利益を考えると、可能な限り検察官送致を回避することが望ましいでしょう。

お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件の手続について~家庭裁判所送致後~

2020-03-23

少年事件手続家庭裁判所送致後)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県美方郡香美町に住む中学生のAくん(14歳)は、路上で帰宅途中の女児の身体を触るなどした疑いで兵庫県美方警察署に逮捕されました。
逮捕後、勾留されずに釈放となりましたが、家庭裁判所送致された後に身体拘束される可能性もあると警察から聞いて心配になったAくんの両親は、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

前回は、少年事件の捜査段階の手続について説明しました。
今回は、家庭裁判所送致された後の手続についてみていきましょう。

家庭裁判所への送致

家庭裁判所が事件を受理する経路は、関係機関からの送致と通告があります。
ここでは、送致の経路についてみていきます。

①検察官からの送致

検察官は、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると考えるとき、および、犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があるときには、少年の被疑事件について家庭裁判所送致しなければなりません。

②警察(司法警察員)からの送致

(a)犯罪少年の場合
司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑に当たる犯罪の嫌疑があると考えるときは、事件を家庭裁判所送致しなければなりません。
これを「直送」と呼んでいます。

(b)虞犯少年の場合
少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑はないものの家庭裁判所の審判に付すべき事由があると考えるときは、事件を家庭裁判所送致しなければなりません。

③都道府県知事または児童相談所長からの送致

触法少年や14歳未満の虞犯少年については、都道府県知事または児童相談所長から送致を受けたときに限り、家庭裁判所の審判に付することができます。
触法少年に対する調査が警察により実施された事件については、調査の結果、事件が警察から児童相談所長に送致された場合には、都道府県知事または児童相談所長は原則事件を家庭裁判所送致します。

④簡易送致

司法警察員が捜査した少年事件で、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因および動機、少年の性格、行状、家庭の状況や環境などから見て再犯のおそれがなく、刑事処分や保護処分を必要としないと明らかに認められ、かつ、検察官や家庭裁判所からあらかじめ指定されたものについては、少年ごとに少年事件簡易送致書と捜査報告書を作成し、これを身上調査票などの関係書類を添付して、1か月にまとめて検察官または家庭裁判所送致する処理手続があります。
簡易送致の対象となるのは、窃盗、詐欺、横領、盗品等に関する罪、その他長期3年以下の懲役もしくは禁錮、罰金、拘留、科料に当たる罪であって、被害額がおおむね1万円未満といった法益侵害が極めて軽微なものとされます。

観護措置について

さて、家庭裁判所が事件を受理すると、事件が家庭裁判所に係属している間はいつでも、家庭裁判所は「観護措置」をとることができます。
観護措置は、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置です。

捜査段階で、逮捕・勾留されている少年が家庭裁判所送致された場合、家庭裁判所に到着してから24時間以内に、家庭裁判所は観護措置をとるか否かの決定をしなければなりません。
実務上、捜査段階で逮捕・勾留されていた少年については、家庭裁判所送致されると、引き続き少年鑑別所に収容する観護措置がとられることが多くなっています。

観護措置の要件は、以下の通りです。

①事件の係属
事件が観護措置をとる家庭裁判所に係属していること。

②審判条件
審判条件が満たされていること。

③審判に付すべき事由があることの蓋然性
審判に付すべき事由(非行事実・ぐ犯事由等)が認められることの蓋然性がある。

④審判開始決定を行う蓋然性
審判開始が見込まれる事件であること。

⑤観護措置の必要性
次のいずれかが認められることが必要。
(ア)身柄確保の必要性
   住所不定または逃亡のおそれがあるなど、少年の出頭を確保する必要がある場合や、証拠隠滅のおそれがあり、証拠保全のためには必要である場合。
(イ)緊急保護のための暫定的身柄確保の必要性
   自殺や自傷のおそれがある場合、家族から虐待を受けている場合、暴力団などの反社会的活動を行う集団の悪影響から保護する必要がある場合など。
(ウ)収容鑑別を実施する必要性
   少年の心身の状況や性格傾向などを考慮し、継続的な行動観察や外界と遮断された環境で鑑別する必要がある場合。

以上のような要件を満たし、観護措置がとられた場合、原則2週間、実務上は4週間少年鑑別所に収容されることとなります。

観護措置は長期間の収容となるため、少年は学校や職場を休まざるを得ず、後の生活に大きな影響を及ぼしかねません。
そのため、付添人である弁護士は、家庭裁判所が観護措置を決定する前に、観護措置をとらなうよう意見書を提出したり、裁判官と面談するなどし、観護措置回避に向けて動きます。
逮捕・勾留により捜査段階から身体拘束を受けている場合には、事件が家庭裁判所送致されたタイミングで、意見書を提出し、裁判官が少年と面談する前に少年が抱える事情を考慮してもらう必要があります。
また、捜査段階で身体拘束を受けていない場合でも、事件内容や少年の性格等から観護措置をとる必要があると判断されるケースもありますので、この場合も事件が家庭裁判所送致された段階で、観護措置をとらないよう説得的に主張する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
少年事件でお困りであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください
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少年事件の手続について~捜査段階~

2020-03-22

少年事件手続捜査段階)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町の公園にある公衆トイレの個室に火をつけ建物を損傷させたとして、町内に住むAくん(15歳)が兵庫県相生警察署に逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、これからどのような手続となるのか分からず不安で仕方ありません。
すぐにネットで少年事件に強い弁護士を探し、相談電話をすることにしました。
(フィクションです)

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、事件を起こしてしまった場合、少年法が適用されることは、みなさんご存知だと思います。
しかし、実際にどのような手続がとられることになるのかについてはあまり知られていません。
ですので、ある時、突然あなたの子供が、事件を起こしたと警察から連絡がきたら、今後の流れや、あなたの子供がその後どのような処分を受けることになるのか、先の見通しが立たず、一体どのように対応すればよいのか分からず不安に駆られることでしょう。

今回は、少年事件捜査段階手続について説明していきます。

捜査段階における少年事件の手続

まず、捜査段階についてですが、「捜査」というのは、警察をはじめとする捜査機関が、犯罪があると考えるときに、犯人と思われる者(「被疑者」といいます。)を特定・発見して、必要である場合には、その身柄を確保し、証拠を収集・保全するといった一連の手続のことをいいます。
捜査段階の流れとしては、概ね、次の通りです。

①捜査の端緒
捜査が始まるきっかけとなるものには、被害者からの被害届の提出、警察官による職務質問、犯人の自首などがあります。
これらをきっかけに、警察などの捜査機関は、捜査を開始します。
   ↓
②捜査の実行
捜査を行うにあたって、原則としては強制ではない処分(「任意処分」)によるものとされます。
例えば、被疑者の了解を得た上で警察署に出頭して取調べを行う方法によるものがあります。
しかし、必要があれば、捜査は強制処分によって行われます。
犯人の身柄を確保する必要性があると判断されれば、犯人を逮捕・勾留することもありますし、関係場所に赴き捜索・差押えを行うこともあります。
   ↓
③捜査の終結
警察により一通り捜査がなされると、通常、検察官により事件が処理されます。
検察官は、終局処分として、起訴処分、不起訴処分、家庭裁判所送致のいずれかを行います。

身体拘束の可能性

捜査段階では、少年事件であっても、刑事訴訟法が適用されるため、成人の刑事事件とほとんど同じ手続となります。
そのため、少年であっても、逮捕・勾留される可能性はあります。
ただし、14歳未満の者については、刑事責任を問うことができず犯罪が成立しないため、捜査機関が逮捕することはありません。

勾留について、少年事件においては、「勾留に代わる観護措置」という制度が設けられており、検察官が勾留の要件を満たすと判断した場合においても、この措置の請求をすることができます。
基本的には、勾留に関する規定が準用されますが、勾留に代わる観護措置においては、少年鑑別所収容の観護措置のみならず、家庭裁判所の調査官による観護の方法がとることが可能な点、勾留と異なり、10日間の観護措置期間は延長できない点、そして、勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に収容されていた事件が家庭裁判所に送致されると、当然に家庭裁判所は送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなす点が勾留と異なります。

身体拘束が長期化することで、学校や職場に行くことができず、少年が被る不利益も大きくなるでしょう。
不必要な身体拘束を避けるためにも、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動を行うことが重要です。

全件送致主義

捜査機関による捜査が終了すると、犯罪の嫌疑がある場合や、犯罪の嫌疑はないけれども家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合には、原則として、全ての事件を家庭裁判所に送致することになります。
成人の刑事事件のように、犯罪を行ったという事実を十分に証明することができる場合であっても、公訴を提起しないとする処分(「起訴猶予」)は少年事件ではなされません。
他方、嫌疑がなく、家庭裁判所の審判に付すべき事由もない場合には、不起訴処分となります。

少年が容疑を否認している場合には、嫌疑がないこと、そして、家庭裁判所の審判に付すべき事由もないことをしっかりと主張していくことが必要です。
また、容疑を認める場合であっても、審判に向けて、捜査段階から少年の更生に向けた環境調整を行うことが重要です。

このように、少年であっても捜査段階で身体拘束を受ける可能性も十分ありますし、この段階から家庭裁判所送致後に予定されている審判に向けて準備を始めることも大切です。

あなたの子供が事件を起こして対応にお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

少年事件:学校への対応

2020-03-16

少年事件を起こした場合の学校への対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古郡稲美町に住む高校生のAくんは、ある日、兵庫県加古川警察署に強制わいせつの容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しました。
Aくんの両親は、今後学校にどのように対応すればよいのか分からず困っています。
(フィクションです)

少年事件において、少年本人や少年の家族が懸念する問題のひとつに、事件を起こした少年が、学校に所属する場合、事件が原因で学校を退学せざるを得ない状況になるのではないか、ということがあります。

今回は、少年事件において、どのように学校対応すべきか、また、学校にどのような協力を得る必要があるのか、という点について考えてみましょう。

学校が事件を把握する時期について

事件が学校で起きたり、学校関係者が関与している場合には、すぐに学校側は事件について把握します。
しかし、学校外で起きた事件については、学校もすぐには把握することはできません。

学校が事件について把握する経緯としては、おおまかに次の3つがあります。

①警察から連絡がいく場合

地域によっては、警察と学校が連絡を取り合う制度(「警察・学校相互連絡制度」)が実施されています。
例えば、神戸市では、教育委員会と兵庫県警察本部との間で「学校と警察における相互情報連絡制度に係る協定」を結んでいます。
この協定における連絡対象事案には、犯罪または触法事案、またはそのおそれのある事案が含まれています。
つまり、神戸市の公立学校に所属する少年が何等かの事件を起こした場合、事件について所属の学校に連絡がいくことになっているのです。
この制度によって、少年や保護者が知らないうちに警察から学校に連絡が入り、学校に事件のことを知られるという事態が生じることがあります。
しかし、警察は、必ずしもすべての対象事件について自動的に学校に連絡しているわけではないようですので、学校への連絡を避けるべき事情がある場合や連絡に際して配慮が必要となる場合には、早期に警察にその旨を申し入れ、対応を協議する余地はあるでしょう。

②保護者から連絡する場合

事件を起こした少年の保護者から、学校に連絡を入れることによって学校が事件を把握することもあります。
とりわけ、逮捕・勾留され、学校を欠席せざるを得ない場合に、保護者が学校に事件のことを報告することがあります。

③被害者などから連絡がいく場合

事件の被害者や関係者が、少年の所属先を知っており、学校に連絡することもあります。
被害者が少年と同じ学校に所属している場合には、被害者の保護者から学校に被害申告がなされることが多いようです。

学校に事件が発覚した場合、義務教育中の公立学校の場合には退学はありませんが、私立学校や高校、大学では、事件が原因となり退学となってしまう可能性もあります。
後で説明するように、学校は少年の環境調整においても非常に重要な役割を担いますので、退学により少年の更生を害することにならぬよう慎重に対応する必要があります。

環境調整における学校の位置づけ

環境調整は、保護者を含めた家族との関係の調整、就業先の開拓、帰住先の確保等、少年の社会復帰を円滑にするために少年をとりまく環境を調整することです。
少年審判では、非行事実だけでなく、要保護性についても審理されるため、少年の更生に資する環境調整を行うことは、裁判官が少年に対する処分を検討する上でも重要な要素となります。

調整を行う環境のなかでも、少年が一日の中でも大半を過ごす学校について環境を調整することは必要不可欠です。
学校に在籍する少年の場合、今後も在籍できるかどうか、学校側が少年を受け入れて適切な指導をしてくれるかどうかは、少年の更生を考えるうえで重要な事項となります。
しかしながら、前述したように、学校が少年を退学にするなど、学校の対応が要保護性を解消する上での障害となることも少なくありません。
そこで、学校に関する環境調整を行うにあたっては、少年や保護者から、学校の状況やこれまでの学校や教師との関係性について聞き取った上で、適切に学校にアプローチしていかなくてはなりません。

学校が事件について把握している場合には、少年事件の手続や理念について説明したり、少年が自身の行為を猛省していることや復学を希望していること、少年の更生には学校の協力が必要不可欠であることを伝え、学校側の積極的な受け入れを要請することが必要となるでしょう。

少年事件は、成人の刑事事件とは異なる手続となりますので、少年事件については少年事件に強い弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

お子様が事件を起こし、学校への対応にお困りの方は、少年事件に精通する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談ください。
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少年事件の審判手続について

2020-03-10

少年事件審判手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神崎郡福崎町に住む高校生のAくんは、駅の構内で女子高生のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したとして、兵庫県姫路警察署に逮捕されました。
Aくんは、逮捕された日の夜に、Aくんの母親が警察署に迎えに来て家に帰れることになりました。
その後、Aくんは何度か警察署で取り調べを受け、警察官からは「関係書類を検察に送ってから、家庭裁判所に送られることになる。家庭裁判所で審判を受けて、最終的な処分が決まる。」と言われました。
Aくんは、家庭裁判所の審判とはどのようなものなのか分からず心配になり、翌日、AくんとAくんの母親は、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

少年事件の場合、警察官や検察官は、原則としてすべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
家庭裁判所が事件を受理すると、審判条件や非行事実の存否について捜査機関から送られてきた事件記録によって、書記官や裁判官が法的調査を行います。
法的調査というのは、主に事件記録に基づいて、審判条件と非行事実の存否について、法律的な視点から行われる審査・検査のことです。

法的調査の結果、非行事実が存在することについて、裁判官が蓋然的心証を得た場合、原則として調査官に要保護性の判断のために社会調査を命じます。
要保護性というのは、多義的に用いられる用語ですが、概ね次の要素で構成されるものと理解されています。
①再非行の危険性
少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことによって、再非行の危険性を除去できる可能性。
③保護相当性
保護処分による保護がもっとも有効かつ適切な処遇であること。
調査官は、心理学、教育学、社会学などの専門としており、法律家である裁判官とは異なる観点から、非行少年が持つ問題性を探り、裁判官に調査結果を報告します。

社会調査が終了すると、調査官は、少年鑑別所の鑑別結果通知書などとともに裁判官に調査結果を提出します。
裁判官は、検察官や警察から送られた証拠書類などと併せて、調査官から提出された調査結果を検討してます。
その結果、審判に付することができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない決定をしなければなりません。

他方、少年が非行事実を行った蓋然性があり、調査官による教育的措置を経てもなお少年に要保護性が認められる場合には、審判開始決定がなされます。
ただし、家庭裁判所に事件が送致され、観護措置がとられた事件については、観護措置の要件として審判を開く蓋然性が求められるため、調査命令と共に審判開始決定が出されるのが通例となっています。

少年審判は、刑事裁判とは異なり、審判手続や進行についても裁判官の裁量が大きいのが特徴です。
審判の時間は、非行事実に争いがなく、1回の審判で決定まで言い渡す事件であれば、40~60分ぐらいとなります。
審判の進行は、概ね、次のような順序で行われます。

①人定質問、黙秘権告知、非行事実の告知、それに対する少年・付添人の陳述
開廷後、裁判官は審判廷の在籍者を確認します。
その際、裁判官が少年やその保護者にどこの誰であるかを問い、出廷者が人間違いではないかを確認します。
次に、黙秘権の告知が行われ、裁判官から審判に付すべき事由の要旨が告げられ、これに対する少年の陳述が行われます。
また、少年の付添人に対しても非行事実に対する陳述が求められます。

②非行事実の審理
非行事実に争いのある場合、まずは、非行事実に関する審理を行い、その結果、裁判官が非行事実があるとの心証を得た場合に、要保護性について審理することになります。

③要保護性の審理
要保護性の審理では、少年本人に対する質問から始まり、少年の保護者や審判に在席している関係者に対する質問が行われます。

④調査官、付添人の処遇意見の陳述、少年の意見陳述
調査官と付添人は、裁判官の許可を得て、審判で意見を述べることができます。
最後に、裁判官が少年の意見を求め、少年が陳述します。

⑤決定の言渡し
審判手続がすべて終わると、裁判官が決定を言い渡します。
言渡しでは、まず初めに、裁判官は少年に対する処分の内容について述べます。
その次に、裁判官は、なぜ当該処分を決めたのか、理由を説明します。

概ね、以上のような流れで事件が処理されることになります。

少年事件手続は、刑事事件とは異なりますので、少年事件に精通した弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
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少年事件における私選弁護人・付添人

2020-03-02

少年事件における私選弁護人付添人について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県西宮警察署は、特殊詐欺事件に関与したとして少年Aくん(18歳)を詐欺容疑で逮捕しました。
Aくんは、警察官から、弁護人を付けれることを聞き、国選弁護人を選任することにしました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、刑事事件に強い弁護士に相談し、すぐに接見に行ってもらうことにしました。
両親が依頼した弁護士と接見をしているAくんは、弁護士に国選弁護人私選弁護人の違いについて聞いています。
(フィクションです)

少年事件の流れについて

Aくんは、特殊詐欺に関与したとして兵庫県西宮警察署に逮捕されました。
特殊詐欺の場合、逮捕後勾留となる可能性が高いと言えます。
ですので、事案によって異なりますが、10日間の勾留の後、勾留延長され20日の勾留延長満期日にAくんの身柄と共に事件が家庭裁判所に送致されることになります。
もちろん、行った犯罪の数が多ければ別件で再逮捕され、勾留期間が更に延長となる可能性はあります。
家庭裁判所に送致されると、観護措置がとられ、身柄は少年鑑別所に収容されることになります。
家庭裁判所は事件を受理すると、事件が係属している間いつでも観護措置をとることができます。
観護措置には、家庭裁判所の調査官の観護に付する観護措置と初年鑑別所に収容する観護措置とがありますが、実務上前者はほとんどとられておらず、観護措置という場合には後者を指すものとされます。
捜査段階で逮捕・勾留されている少年の場合、家庭裁判所に送致されるとそのまま観護措置がとられることがほとんどですので、Aくんも送致後少年鑑別所に収容される可能性が高いでしょう。
その後、調査官による調査、少年審判を経て、少年に対して処分が言い渡されることになります。

弁護人と付添人

1.弁護人

弁護人とは、刑事手続において被疑者・被告人が正当に権利を行使し、正当な利益を保護するための支援者・代弁者です。
事件の発覚から家庭裁判所送致までの被疑者段階では、少年と成人の手続に顕著な差異はありません。
少年であっても、少年または少年と一定の関係にある者は、いつでも、弁護人を選任することができます。(刑事訴訟法第30条)

弁護人には、「私選弁護人」と「国選弁護人」とがあります。

◇私選弁護人◇

少年または少年の家族などから選任された弁護人で、弁護士費用は自己負担となります。
身体拘束の有無にかかわらず、被疑者その他の選任権者は、いつでも弁護人を選任することができます。

◇国選弁護人◇

捜査段階においては、少年事件も成人事件と同様に、刑事訴訟法の適用を受けます。
被疑者国選弁護人が選任される要件に該当する場合には、国がその費用を負担する国選弁護人を選任することができます。
被疑者国選弁護人が選任される要件とは、以下のものです。
・対象事件が、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる事件」。
・少年が「貧困その他の事由により弁護人を選任することができない」。
被疑者国選弁護人制度は、逮捕後勾留前の段階では、利用することはできません。
少年事件では、「勾留に代わる観護措置」により少年鑑別所に収容された場合にも、被疑者国選弁護人の選任が可能です。
被疑者国選弁護人制度は、身体拘束されていない在宅事件には適用されません。

少年の場合、学生であれば資力は乏しく、対象事件が該当するのであれば国選弁護人を選任できることが多いでしょう。

2.付添人

付添人は、少年の権利を擁護し、その代弁者としての役割と、少年の更生に向けて家庭裁判所と協力し援助する役割を担う者です。
少年が家庭裁判所に送致された後、少年及び保護者は、家庭裁判所の許可を得て、付添人を選任することができます。
ただし、弁護士を付添人とする場合には、家庭裁判所の許可は要りません。
少年事件においては、捜査段階で弁護人であっても、家庭裁判所送致後に、新たに付添人として選任する必要があります。
付添人にも、「私選付添人」と「国選付添人」とがあります。

◇私選付添人◇

少年及び保護者は、自ら付添人を選任することができます。
捜査段階で私選弁護人を選任している場合であっても、弁護人選任の効力は家庭裁判所送致時に失われるので、同じ弁護士を付添人として選任するのであっても、家庭裁判所送致後に改めて家庭裁判所に付添人選任届を提出しなければなりません。

◇国選付添人◇

私選弁護人の場合と同様に、捜査段階で被疑者国選弁護人の選任効力は失われるので、被疑者国選弁護人が当然に国選付添人になるわけではありません。
平成26年施行の改正少年法によって国選付添対象事件の範囲が拡大し、被疑者国選弁護対象事件と同じ範囲にまで拡大されましたが、国選付添人を選任するか否かは、家庭裁判所の裁量に委ねられています。
家庭裁判所は、犯罪少年又は触法少年のうち、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる罪」に該当する非行に及んだ者について、「観護措置」がとられており、弁護士の付添人がいない場合に、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮して、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付けることができます。
ただし、検察官関与決定がなされた事件で、少年に弁護士である付添人がいないときは、家庭裁判所は弁護士である付添人を付けなければなりません。

少年事件も、成人の刑事事件と同様に、少年の権利・利益の擁護や少年の更生に向けた活動を行う弁護士の役割は大きいと言えるでしょう。
しかし、医者にも内科医や外科医といった専門性があるように、必ずしもすべての弁護士が少年事件・刑事事件に精通しているわけではありません。
少年事件・刑事事件でお困りであれば、専門の弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
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少年事件②:虞犯少年と触法少年

2020-02-22

虞犯少年触法少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区内の路上で、高齢女性をナイフで脅して現金1万円を奪ったとして、県内に住む14歳のAくんが強盗容疑で兵庫県灘警察署に逮捕されました。
13歳のBくんは、Aくんと共謀して事件を起こしたとして、同警察署に補導されました。
警察から連絡を受けたBくんの両親は、Bくんにどのような処分が下るのか不安になり、少年事件に詳しい弁護士に相談しています。
(フィクションです)

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、事件を起こした場合、犯行時の年齢や犯行内容によって、その後の流れは異なります。
前回のブログでは、家庭裁判所の審判対象となる非行少年のうち、「犯罪少年」について説明しました。
今回は、「触法少年」、「虞犯少年」それぞれについて説明していきます。

(2)触法少年

触法少年」とは、14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年のことをいいます。
14歳未満の者は、刑事未成年とされており、刑罰が科されることはありません。
ですので、14歳未満の者が何か刑罰法令に触れる行為を行ったとしても、犯罪は成立しません。
しかし、少年法における審判や保護処分の対象となります。

触法少年の多くが、警察官によって発見されます。
警察官は、触法少年を発見した場合、要保護児童として児童相談所へ通告するか、事件を児童相談所に送致します。
警察は、送致前に、事件の調査を行うことができ、場合によっては少年を一時保護所等に入所させた上で調査を継続することもできます。
被疑者ではないので、逮捕や捜査を行うことはできません。

触法少年については、第一次的に児童相談所による調査や福祉的措置がなされます。
家庭裁判所での審理が必要な事件については、家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所に送致された後の手続については、犯罪少年の場合と同じです。
異なる点は、次の通りです。
・家庭裁判所による観護措置の更新は1回に限られる。
・少年審判に検察官を出席させることができない。
・12歳未満は少年審判の傍聴の対象とならない。
・家庭裁判所は刑事処分を相当として検察官送致決定をすることができない。
おおむね12歳以上であれば、最終処分として少年院送致となる可能性もあります。

(3)虞犯少年

虞犯少年」は、次に挙げる虞犯事由のいずれかに該当し、かつ、その性格または環境に照らして、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年です。
【虞犯事由】
①保護者の正当な監督に服しない性癖のあること、
②正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと。
③犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること。
④自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

虞犯少年については、犯罪少年とは異なる手続が用意されています。

(a)警察官が該当補導等によって虞犯少年を発見する場合
警察官が、街頭補導や少年相談等を通じて、虞犯少年と認められる者を発見した場合、警察官は、当該少年の調査を行います。
少年が14歳以上であり、家庭裁判所の審判に付することが適当と認められるときは、少年を家庭裁判所に送致します。
少年が14歳以上18歳未満であって、保護者がいないとき、又は保護者に監護させることが不適当であると認められ、家庭裁判所に直接送致するよりも、一度児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認められる場合には、少年を児童相談所に通告します。
少年が14歳未満であり、保護者がいない又は保護者に監護をさせることが不適当であると認められる場合、少年を児童相談所に通告します。
14歳未満の虞犯少年は、都道府県知事又は児童相談所長からの送致がない限り、家庭裁判所で審判に付することができないため、まずは児童相談所に通告されます。

(b)司法警察員等が犯罪捜査の過程で虞犯少年を通告・送致する場合
司法警察員等は、14歳以上の少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑はないけれども、虞犯事件として家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
捜査の結果、嫌疑不十分と判断された場合であっても、虞犯として家庭裁判所に送致される可能性もあります。

虞犯少年が家庭裁判所に送致された後の手続は、犯罪少年等と同様です。
必要があれば観護措置がとられ、少年鑑別所に収容されることもありますし、審判の結果、少年院送致となる可能性もあります。

Bくんの場合、触法少年として、児童相談所から家庭裁判所に送致される可能性が高いでしょう。

お子様が事件を起こし、触法少年虞犯少年、犯罪少年として家庭裁判所に送致されて対応にお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件①:犯罪少年

2020-02-21

犯罪少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区内の路上で、高齢女性をナイフで脅して現金1万円を奪ったとして、県内に住む14歳のAくんが強盗容疑で兵庫県灘警察署に逮捕されました。
13歳のBくんは、Aくんと共謀して事件を起こしたとして、同警察署に補導されました。
警察から連絡を受けたBくんの両親は、Bくんにどのような処分が下るのか不安になり、少年事件に詳しい弁護士に相談しています。
(フィクションです)

少年事件の流れについて

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、事件を起こした場合、犯行時の年齢や犯行内容によって、その後の流れは異なります。
以下、家庭裁判所の審判対象となる「犯罪少年」、「触法少年」、「虞犯少年」それぞれについて説明していきます。

(1)犯罪少年

罪を犯した少年を「犯罪少年」といいます。
刑法は、14歳未満の者の行為については罰しないと定めています。
ですので、「罪を犯した」少年とは、14歳以上20歳未満で、犯罪行為を行った者を意味します。

捜査段階では、少年と成人で手続に顕著な差異はなく、少年であっても逮捕・勾留により身体拘束を強いられる可能性はあります。
特に、重大犯罪や共犯事件などは、逮捕・勾留となる可能性が高いと言えます。
少年を勾留するときは、成人と同様の勾留要件(「勾留の理由」と「勾留の必要性」)を充たしていることに加えて、「やむを得ない場合」であることが必要とされます。
少年を警察留置施設で勾留する場合でも、少年を成人とは分離して留置することになっています。
また、検察官は、刑事訴訟上の勾留要件を満たすと判断した場合でも、裁判官に対して「勾留に代わる観護措置」を請求することができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されるのですが、以下の点で勾留とは異なります。

①勾留に代わる観護措置は、少年鑑別所収容のほか、家庭裁判所調査官による観護の方法もとることができます。
②勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が請求した日から10日で、延長は出来ません。
③勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容された少年の事件が、家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。

捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、すべての事件を家庭裁判所に送致します。

勾留されている少年の事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は、裁判所に到着したときから24時間以内に、「観護措置」をとるか否かを決定します。
観護措置は、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置です。
被疑者段階で逮捕・勾留されている少年については、引き続き観護措置がとられることが多いですが、観護措置が必要ではないと判断され、観護措置がとられないケースもあります。
また、捜査段階では在宅で捜査が進められていたとしても、家庭裁判所送致後に、観護措置がとられ、少年鑑別所に収容されることもあります。

家庭裁判所は、事件を受理し、審判に付すべきか否かを判断するために、家庭調査官に対する調査命令を出します。
観護措置がとられている事件については、実務上、調査命令と審判開始決定が同時になされる運用となっています。
調査の結果、審判を開始するのが相当でないと認めるときは、審判不開始決定がなされます。
審判不開始となれば、そこで事件は終了です。

一方、審判開始決定がなされると、審判の期日が決まります。
審判までに、調査官は、少年や保護者に対して面会を行い、少年に関する社会調査を行います。
調査が終了すると、調査官は社会調査の結果を書面で裁判官に報告します。
裁判官は、調査官の報告書と捜査機関から送られてきた法律記録を参考にし、少年の更生に適した処分を決定します。
審判では、最終的に、少年に対する不処分、保護処分、または検察官送致が決定されます。

少年審判では、非行事実および要保護性が審理の対象となります。
非行事実は、刑事事件でいう公訴事実です。
要保護性とは、次の要素で構成されるものとされます。
①再非行の危険性:少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性:保護処分による矯正教育を施すことによって、再非行の危険性を除去できる可能性。
③保護相当性:保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること。

このように、審判では、非行事実および要保護性について審理されるので、非行事実が重大な罪名に該当する場合であっても、要保護性が解消されたと判断された場合には、少年院送致といった矯正施設収容の処分ではなく、保護観察処分となることもあるのです。
上のケースのように、強盗事件であっても、事件後、少年の環境調整がしっかりと行われ、要保護性が解消されたと認められれば、保護観察処分が言い渡される可能性も十分あります。

そのためにも、早い段階から少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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特殊詐欺事件で少年院送致回避

2020-02-11

特殊詐欺事件で少年院送致を回避する活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県小野市の民家を訪れ、弁護士秘書を名乗り、高齢女性からキャッシュカードと窃取したとして、関西地域に住むAくん(17歳)が窃盗の容疑で兵庫県小野警察署に逮捕されました。
Aくんは、他にも2件同様の手口で特殊詐欺事件に関与しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、Aくんが少年院送致となるのではないかと心配し、急いで少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

特殊詐欺事件の終局処分

事件が家庭裁判所に送られると、調査・審判を経て最終的な処分が言い渡されます。
その終局処分には、次のものがあります。
①保護処分決定(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官送致
③不処分
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤審判不開始

⑤の審判不開始は、調査官による調査が終了した後に決定され、審判は開かれません。

少年院とは

終局処分の①保護処分決定には、保護観察、少年院送致、そして児童自立支援施設等送致の3種類があります。
少年が再び非行を犯すおそれが強く、社会内での更生が難しいと判断された場合には、少年を少年院に送致して矯正教育が行われることになります。
この処分を「少年院送致」といいます。

「少年院」は、家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年や懲役・禁錮の言い渡しを受けた16歳に満たない少年を収容し、これらの少年に対して、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育、社会復帰支援等を行う施設です。
少年院には4種類あり、年齢、犯罪傾向の程度、心身の著しい障害の有無に応じて、以下のように区分されています。
●第1種:心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者を収容。
●第2種:心身に著しい障害がない犯罪傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者を収容。
●第3種:心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を収容。
●第4種:少年院において刑の執行を受ける者を収容。

「少年刑務所」や「少年鑑別所」と混同されることがありますが、前者は、懲役又は禁錮の言渡しを受けた少年の相対的不定期刑を執行する施設であり、少年院が少年の矯正教育をその目的とし、少年の健全育成の理念のもとで処遇が実施されるのに対し、少年刑務所はあくまで刑を執行する刑事施設である点で異なります。
また、「少年鑑別所」は、家庭裁判所等の求めに応じて鑑別対象者を鑑別すること、観護措置が執られて少年鑑別所に収容されている者に対して必要な監護処遇を行うこと、そして、非行及び犯罪の防止に関する援助を行う施設です。

少年院送致回避に向けた活動について

特殊詐欺事件は、その被害の大きさに鑑みて、厳しく罰せられる傾向にあります。
被害額や犯行態様によっては、初犯であっても、いきなり実刑となるケースも少なくありません。
少年事件においても、同様の傾向が見られ、これまで非行歴がない少年であっても、少年院送致が言い渡されることもあります。
少年院送致となれば、少年院に収容中は通常の生活を送ることが出来ませんので、退院後の社会復帰にも影響を及ぼす可能性はあります。
そのような事態を回避するためにも、少年院送致ではなく保護観察のような社会内処遇となるよう働くことが重要です。
少年事件では、非行事実とともに要保護性について審判で審理されます。
要保護性というのは、少年が将来再犯するおそれがあり、保護処分によって再犯のおそれが除去できる可能性があり、かつ保護処分が適切であることです。
非行事実を行ったと認定された場合でも、将来、非行を繰り返すおそれがないと判断されれば、保護処分でも保護観察といった社会内処遇となる可能性があります。

特殊詐欺事件について言えば、非行事実が重い罪名の付くもので会ったり、社会的に問題視されているものであっても、要保護性が解消されていると判断されれば、少年院送致ではなく保護観察となることもあるのです。
要保護性の解消には、少年を取り巻く環境をしっかりと調整することが重要です。
少年自身がきちんと反省し、少年が抱く問題点を理解し、解決策を見出すなど、少年本人の内部の環境を調整することや、保護者や学校などと協力し、少年の更生に資する周囲の環境を調整することも大切です。
また、被害者に対して謝罪や被害弁償を行うことも、少年事件においても重要です。

これらの要保護性を解消する活動は、出来る限り早期に着手するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
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住居侵入事件で現行犯逮捕

2020-02-10

住居侵入事件で現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県宝塚市の会社の寮の敷地内に侵入したとして、Aくん(16歳)は、住人からの通報を受けて駆け付けた兵庫県宝塚警察署の警察官に住居侵入の容疑で逮捕されました。
Aくんは、取調べで「スマホでゲームをしようと思ったけど、お金がかからないようにしようとして、Wi-Fiが使えるところがないか探していた。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、ネットで検索し、刑事事件専門の弁護士に相談の連絡をしました。
(実際の事件を基にしたフィクションです。)

住居侵入罪

住居侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入した場合に成立する罪です。

◇正当な理由がない◇

他人の家などを訪問したりすることは日常的に行われることですので、犯罪となるものを構成要件上明らかにしようとする意図から、「正当な理由がないのに」という文言が定められたと解されます。
どのような場合が「正当な理由」があるとされるのかと言えば、警察官が犯人を逮捕する場合に人の住居等に立ち入って捜索するとき、令状を得て屋内で検証するときなどがあります。

◇客体◇

【住居】
人の起臥寝食に使用される場所を「住居」といいます。
旅館やホテルの客室も、滞在者にとっては住居となり、アパートなどでは、その一部屋がその部屋の住人の住居となります。

【邸宅】
「邸宅」とは、住居用の建造物で、住居以外のものをいいます。
例えば、居住者のいない空き家や閉鎖された別荘などがあります。
集合住宅の通路や階段などの共用部分は邸宅です。

【建造物】
住居や邸宅以外の建造物を広く含み、土地に定着し、内部に人が出来るできる構造をもつ家屋その他これに類似した工作物です。

【艦船】
軍艦および船舶をいいます。

邸宅・建造物・船舶については「人の看守する」ものに限られます。
みだりに他人が出入りできないように人を監視させたり、鍵をかけるなどの戸締りをしている場合、「人の看守する」建物に当たります。

住居・邸宅・建造物については、建物自体だけでなく、付属する囲繞地も客体に含まれます。

◇侵入◇

「侵入する」とは、住居の場合は住居者、邸宅・建造物等の場合は看守者の意思に反して立ち入ることをいいます。
住居者や看守者が立入りについて許諾していた場合には、住居侵入罪は成立しません。
しかし、その許諾が欺罔などの錯誤に基づいて付与された場合には、許諾を無効し住居侵入罪が成立するものとされます。

住居侵入事件で現行犯逮捕されたら

住居侵入事件で現行犯逮捕となる場合、犯行時に住居者や看守者に目撃され、彼らに身柄確保されるケースや、通報により駆け付けた警察官に逮捕されるケースなどです。
住居侵入は、窃盗や盗撮など他の目的があって行われることが多く、その点についても取調べで聞かれるでしょう。
単なる好奇心による侵入の場合には、家族による監督が期待できると判断されれば逮捕後に釈放となる可能性はあるでしょう。
しかし、窃盗やわいせつ目的などがある場合には、逮捕後に勾留となる可能性もあります。
勾留されると、逮捕から最大で23日間身柄が拘束されることになりますので、その間学校や会社に行くことができません。
そうなれば、退学や解雇といったおそれも出てきます。

ご家族が住居侵入事件で逮捕されてお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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