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少年事件:家庭裁判所送致されたら

2019-11-16

少年事件:家庭裁判所送致されたら

少年事件として家庭裁判所送致された後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加東市に住むAさんは、乾燥大麻を所持した疑いで兵庫県加東警察署に逮捕されました。
10日の勾留の後に、神戸家庭裁判所姫路支部送致されました。
Aさんの両親は、逮捕の連絡を受けてすぐに少年事件に精通する弁護士に弁護を依頼しており、家庭裁判所送致後も同弁護士に付添人として動いてもらうよう頼んでいます。
(フィクションです)

捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合であっても、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を管轄の家庭裁判所送致しなければなりません。
これを「全件送致主義」と呼び、少年保護の専門機関である家庭裁判所に、少年に対して如何なる処遇が適当であるかの判断をゆだねるものです。
少年事件では、成人の刑事事件における起訴猶予や微罪処分のような捜査機関で事件が終了するといったことはありません。

被疑者段階で逮捕・勾留されている少年が家庭裁判所送致されると、家庭裁判所は、裁判所に到着したときから24時間以内に、「観護措置」をとるか否かを決定します。

観護措置について

「観護措置」は、家庭裁判所が調査・審判を行うため、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に、終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護する措置です。
観護措置には、家庭裁判所調査官の観護に付する措置(在宅観護)と、少年鑑別所に送致する措置(収容観護)の2種類がありますが、実務上前者はほとんど活用されていません。
被疑者段階で身体拘束を受けた少年については、家庭裁判所送致後も引き続き少年鑑別所に収容する観護措置がとられることが多くなっています。

調査について

家庭裁判所では、審判に付すべき少年について、事件の調査が行われます。
実施される調査には、非行事実の存否等に関する調査(法的調査)と要保護性に関する調査(社会調査)とがあります。
社会調査は、家庭裁判所の調査官によって行われます。
調査官は、少年や少年の保護者と面会したり、学校に文書等で照会を行う等して調査を行います。
調査官は、実施した調査の結果とそれに基づく処遇意見をまとめた少年調査票を作成し、裁判官に提出します。
調査官の意見は、裁判官が少年に対する処分を決定する際に参考にされるため、最終的な処遇に大きく影響します。

審判について

家庭裁判所は、調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときには、審判開始決定をしなければなりません。
観護措置がとられている事件については、調査官に対する調査命令と審判開始決定が同時になされ、審判期日が指定されるのが実務上の運営となっています。
審判開始決定がなされると、審判期日が指定されます。
審判には、裁判官、書記官、調査官、少年本人、少年の保護者、付添人が出席します。
審判では、非行事実についての審理が行われた後に、要保護性の審理が行われます。
続いて、調査官・付添人の処遇意見の陳述が行われ、少年の意見陳述が続きます。
最後に、裁判官より決定が言い渡されます。
審判にかかる時間は、非行事実に争いがなく、1回の審判で決定まで言い渡す事件の場合、40~50分程度となります。

少年事件は、成人の刑事事件とは異なる手続に基づいて処理されるため、少年事件についての相談・依頼は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

電磁的記録不正作出の少年事件

2019-11-14

電磁的記録不正作出の少年事件

電磁的記録不正作出罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県高砂市の飲食店にアルバイトとして勤務しているAくんは、アルバイト中に客が会計に使用したクレジットカードの情報を盗み取り、スマートフォン決済サービスに登録しました。
Aくんは、家電量販店で無断で登録したスマートフォン決済サービスを使用し、商品を購入しました。
身に覚えのない支払い請求に気づいたクレジットカードの所有者が、クレジットカード会社に問い合わせたことで不正利用が発覚しました。
Aくんは、詐欺および電磁的記録不正作出・同供用の容疑で逮捕されました。
(実際の事件に基づいたフィクションです)

キャッシュレス決済は、現金を持ち歩く必要がないので、盗難や紛失といった心配がないですし、スマートフォン決済サービスはスマートフォンでQRコードを読み取るだけで決済ができるので非常に便利だと言われています。
今回ご紹介する事例は、そのスマートフォン決済サービスを悪用した事件です。
手軽に決済できる利点がある一方、情報が外に漏れると便利なサービスが悪用される可能性があるといったことが心配されます。

上記ケースでは、Aさんは詐欺罪および電磁的記録不正作出・同供用罪に問われています。
電磁的記録不正作出・同供用罪について、あまり聞き慣れない犯罪ですが、今回はこの罪についてみていきたいと思います。

電磁的記録不正作出罪・同供用罪

電磁的記録不正作出罪・同供用罪は、刑法第161条の2に規定されています。

第百六十一条の二 人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
4 前項の罪の未遂は、罰する。

1.電磁的記録不正作出罪

電磁的記録不正作出罪は、刑法第161条の2第1項および2項に規定されています。
1項は電磁的記録の不正な作出を処罰し、2項では公務所または公務員により作られる公電磁的記録について刑を加重しています。

本罪の客体は、人の事務処理の用に供する権利、義務または事実証明に関する電磁的記録です。
まず、「電磁的記録」というのは、電子的方式、時期的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録のことで、コンピューターによる情報処理の用に供されるものをいいます。
ハードディスクなどの記録媒体の上に、情報やデータが記録・保存された状態を指します。
「権利義務に関する電磁的記録」は、銀行の預金元帳ファイルの残高記録、プリペイドカードの残額記録、自動改札機用定期券の磁気記録などが含まれます。
「事実証明に関する電磁的記録」は、キャッシュカードの磁気ストライブ部分の記録、パソコン通信のホストコンピューター内の顧客データベースファイルの記録、売掛金その他の会計帳簿ファイルの記録などが含まれます。

本罪の構成要件的行為は、人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務または事実証明に関する電磁的記録を不正に作ることです。
「人の事務処理を誤らせる目的」についてですが、これは、不正に作られた電磁的記録を用いて他人の事務処理を誤らせる目的のことを意味します。
「人の事務処理」について、「人」は行為者以外のすべての者をいい、「事務処理」とは、財産上、身分上その他人の生活に影響を及ぼし得るすべての仕事をいいます。
「不正に作る」とは、事務処理を行おうとする者の意思に反して無権限あるいは権限を濫用して電磁的記録を作出することをいいます。

上記ケースについてみると、Aくんは客が提示したクレジットカードの情報を利用してスマートフォン決済サービスの登録をしました。
登録に際しては、個人情報、決済に必要な銀行口座やクレジットカードの情報を決済サービス会社に申請しなければなりません。
Aくんは、不正に入手した他人のクレジットカードの情報を自分のものかのように偽って申請しています。
ですので、Aくんは、人の事務処理(=スマートフォン決済サービス)を誤らせるために、その事務処理のために使用する事実証明に関する電磁的記録(=クレジットカードの情報)を偽って申請しスマートフォン決済サービスに登録したので、Aくんに対して電磁的記録不正作出罪が成立するものと考えられます。

2.不正作出電磁的記録供用罪

不正に作られた権利、義務または事実証明に関する電磁的記録を、人の事務処理を誤らせる目的で、人の事務処理の用に供する犯罪です。

「人の事務処理の用に供する」とは、不正に作出された電磁的記録を、人の事務処理のために、これに使用されるコンピューターにおいて用い得る状態に置くことをいいます。

少年が電磁的記録不正作出・同供用事件を起こした場合、成人の刑事事件と同様に、捜査機関に逮捕される可能性は高いでしょう。
その後、家庭裁判所に送致され、調査・審判を経て少年の更生に適した処分が決定されることになります。
少年事件の手続は、成人の刑事事件のものと異なりますので、少年事件でお困りであれば、少年事件に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年に対する処分③~検察官送致~

2019-11-03

少年に対する処分③~検察官送致~

少年に対する処分のうちの検察官送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aくん(17歳)は、無免許でしたが、友人B(18歳)の車を借りて、兵庫県宝塚市の県道を車で走っていました。
山道の大きなカーブに差し掛かったところ、スピードを出しすぎて曲がり切れず、対向車線にはみ出し、対向車に衝突してしまいました。
幸い、対向車の運転手に命の別状はありませんでしたが、全治3か月の大けがを負わすことになりました。
Aくんは、兵庫県宝塚警察署に過失運転致傷および道路交通法違反の疑いで現行犯逮捕されました。
Aくんは、接見に訪れた弁護士から「検察官送致」という言葉を初めて耳にしました。
(フィクションです)

検察官送致について

捜査機関は、少年の被疑事件について、捜査の結果、犯罪の嫌疑がある場合、及び犯罪の嫌疑が認められないが家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合には、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
事件を受理した家庭裁判所は、少年に対して適切な処分を決定します。
家庭裁判所が決定する処分のひとつに「検察官送致」というものがあります。

検察官送致は通称「逆送」と呼ばれ、少年に保護処分ではなく刑事処分を科すことが相当であると判断した場合、家庭裁判所が検察官に事件を送致することをいいます。

捜査機関により犯罪の嫌疑と審判の必要性が認められ、いったんは家庭裁判所に事件を送ったものの、家庭裁判所が調査・審判を行った結果、やはり当該少年には保護処分よりも刑事処分のほうが適切だと判断され、もう一度捜査機関に事件が送られるというものです。

検察官送致は、次の2つに分けられます。

(1)刑事処分相当を理由とする検察官送致

犯行時14歳以上の少年の事件で、死刑・懲役・禁錮に当たる罪を犯した少年について、その罪質・情状に照らして刑事処分が相当と認める場合、家庭裁判所は逆送の決定をすることができます。
また、家庭裁判所は、犯行時に16歳以上の少年で、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に該当する事件は、原則、検察官送致としなければなりません。
しかし、この場合でも、調査の結果、犯行の動機・態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認める場合は、検察官送致以外の処分を決定することができます。

(2)年齢超過を理由とする検察官送致

審判時に少年が20歳に達している場合、家庭裁判所は検察官送致の決定をしなければなりません。
家庭裁判所に送致された時点では20歳未満であっても、終局処分が決定する前に20歳に達してしまった場合には、審判時に20歳未満ではなくなってしまい審判条件を欠くため、家庭裁判所で審判を受けることができません。

家庭裁判所から検察官送致された事件について、一定の場合を除いて、検察官は起訴しなければなりません。
しかし、検察官が起訴した場合でも、裁判所は、事実審理の結果、少年を保護処分に付するのが相当であると認めるときには、事件は再び家庭裁判所に送致され、保護処分がなされる可能性もあります。

検察官送致となれば、ほとんどの場合、起訴されることになります。
起訴されると、有罪となる可能性は高く、有罪となれば前科が付くことになります。
ですので、検察官送致となるのを回避し、保護処分となるよう家庭裁判所に働きかけることが必要となります。
一方、家庭裁判所の終局処分が少年院送致となり、長期の身体拘束を強いられるよりも、検察官送致により略式手続で罰金刑となるほうが、前科は付くものの、身体拘束の期間が短く、より早く社会復帰できるという点もあります。
どのような処分少年の更生に適しているのかは、事件の内容や少年の性格や周りの環境によっても異なりますので、少年事件でお困りであれば、一度少年事件に詳しい弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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少年に対する処分②~保護処分~

2019-11-02

少年に対する処分②~保護処分~

少年に対する処分保護処分)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

前回のブログでは、少年に対する処分のうち、中間処分である試験観察、そして終局処分の審判不開始決定および不処分決定について紹介しました。
今回は、終局処分である保護処分について解説していきます。

保護処分

家庭裁判所に送致された少年を構成させるために行われる少年法上の処分です。
保護処分には、①保護観察、②少年院送致、③児童自立支援施設または児童養護施設送致、の3つがあります。

1.保護観察

保護観察処分は、少年が保護観察官や保護司の指導監督の下、社会内で更生できると判断された場合に付される保護処分です。
保護観察に付された場合、少年は決められた遵守事項を守りながら家庭等で生活し、保護観察官や保護司と定期的に面会し現状報告した上で、彼らから生活や交友関係などについて指導を受けることになります。

保護観察の期間は、原則として、少年が20歳に達するまでです。
ただし、決定時から少年が20歳になるまでの期間が2年に満たない場合は、2年となります。
また、少年の改善更正に役立つと判断される場合には、期間を定めて保護観察を一時的に解除することもあり、保護観察継続の必要性がなくなったと認められるときは、保護観察は解除されます。

2.少年院送致

少年院送致は、再非行のおそれが高く、社会内での更生が期待できない場合に、少年院に収容して矯正教育を受けさせる保護処分です。
収容される少年院は、第1~4種少年院があり、どの少年院に収容されるかは、保護処分として少年院送致となる少年の入院時の年齢、犯罪的傾向の程度、心身の状況等に応じて家庭裁判所が決定します。

●第1種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者が収容されます。

●第2種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者が収容されます。

●第3種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者が収容されます。

●第4種少年院
少年院において刑の執行を受ける者が収容されます。

少年院に収容することができる期間は、原則として少年が20歳に達するまでですが、少年院送致決定時に少年が19歳を超えている場合には、決定の日から1年間に限り、収容を継続することができます。
収容期間は本来不定期ですが、標準的な期間は2年以内とされており、第1種少年院については、6ヶ月以内とするものもあります。
家庭裁判所が、収容期間について処遇勧告を行う場合があります。
家庭裁判所から短期間または特別短期間の処遇勧告があった場合には、少年院はこれに従うとされています。
特段、収容期間について勧告がなされていない場合には、収容期間はおおむね1年となる傾向にあります。
①特別短期間
収容期間は、4か月以内で、一般短期処遇の少年よりも非行の傾向が進んでいない少年が該当します。
②短期間
収容期間は、原則6ヶ月以内で、少年が抱く問題がそれほど大きいものではなく、短期間の少年院での矯正教育により、矯正と社会復帰が期待できる少年が対象となります。
③長期間
収容期間は、原則2年以内です。第1種少年院で家庭裁判所の処遇勧告がない場合と、第2種及び第3種少年院では、長期間となります。

3.児童自立支援施設または児童養護施設送致

児童自立支援施設は、不良行為をなし、またはなすおそれのある児童および家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、または保護者の下から通わせて、ここの児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者についてその他の援助を行うことを目的とした施設です。
児童自立支援施設送致が選択される場合は、年齢が中学生相当の少年で、少年自身の非行性はさほど進んでいないが、保護者が養育を放棄していたり、少年を虐待しているなど家庭環境に大きな問題がある場合が多くなっています。
児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童、その他環境上養護の必要がある児童を入所させ、これらの児童を養護し、退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行う施設です。
実務上、児童養護施設送致が選択されるケースはそう多くありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、経験豊富な少年事件・刑事事件専門の弁護士が、少年やご家族としっかりとコミュニケーションズをとしながら、少年の更生にとって最善となるよう尽力していきます。

少年に対する処分①~試験観察、審判不開始、不処分~

2019-11-01

少年に対する処分①~試験観察、審判不開始、不処分~

少年に対する処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

少年が事件を起こしたら

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、犯罪行為を行った場合、捜査機関による捜査が終了すると、おおむねすべての事件が家庭裁判所に送られます。
家庭裁判所は、調査の結果、審判を開始するか否かを決定します。
審判開始の決定がされた場合は、家庭裁判所は審判を経て、少年に対する処分を決定します。
家庭裁判所が決定する処分には、中間処分と終局処分とがあります。

中間処分

終局処分決定前に、中間的な措置としてなされる中間決定です。

試験観察

終局処分の決定を一定期間保留する中間処分で、少年を家庭などに戻し、その経過を見た上で、終局処分を決定するものです。
試験観察には、少年を家庭に戻す在宅試験観察と、適当な施設、団体や個人に少年の補導を委託する補導委託とがあります。
前者の措置では、普段の生活を送りながら、定期的に家庭裁判所に出向き調査官と面接をすることが求められることが多く、試験観察の期間は、おおむね3~6ヶ月となっています。
後者の措置は、家庭環境や交友関係が非行の原因となっているなど、少年を元の生活に戻すと更生に支障をきたすのではないかという不安がある一方、少年院に収容するよりも社会内での処遇が適切である事案などで、補導委託先に少年を預け、その指導監督のもとでの更生に期待してとられるものです。
こちらの期間は、通常6ヶ月ほどです。
試験観察は、少年院送致とするか決めかねる際にとれらることが多く、期間中問題がなければ、最終審判で不処分や保護観察となるケースが多くなっています。

終局処分

1.審判不開始

家庭裁判所は、調査の結果、審判に付すことができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければなりません。
この決定を「審判不開始決定」といいます。
審判不開始の決定には、次の2種類があります。

①審判に付することができない場合
法律上または事実上、審判に付することができない場合であって、以下の場合です。
(1)非行事実なし
(2)所在不明等
(3)その他(審判条件が存在しないとき等)

②審判に付するのが相当でない場合
審判に付するべき事由はあるけれども、少年の要保護性が既に解消し、不処分、保護処分、児童福祉法上の措置、刑事処分のいずれも必要がなく、審判をする必要がない場合であって、以下の3つに分けられます。
(1)保護的措置
調査官からの訓戒、教育的指導、被害者について考えたり話を聞く機会を設け少年の内省を求めるなどの保護的措置によって、少年の要保護性が既に解消した場合。
(2)別件保護中
少年が他の事件で既に保護処分に付されており、本件では特に保護処分に付する必要がない場合。
(3)事案軽微
非行事実が極めて軽微で、警察・家庭・学校などで適切な措置がとられており、既に要保護性が解消され再非行のおそれもない場合。

2.不処分

家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければなりません。
この決定を、「不処分決定」といいます。
審判不開始決定とは異なり、調査官による調査を経て、審判が開かれます。

不処分の決定には、次の2つに分けられます。

①保護処分に付することができない場合
法律上または事実上、保護処分に付することができない場合であって、以下の場合です。
(1)非行事実なし
(2)住所不明等
(3)その他(審判条件が存在しないとき等)

②保護処分に付する必要がない場合
審判を行った結果、要保護性が認められず、保護処分、児童福祉法上の措置、刑事処分のいずれの必要もない場合です。
審判不開始と同様に、保護的措置、別件保護中、事案軽微の3つに分けられます。

非行事実を認めている場合、審判不開始不処分となるには、調査又は審判時に、要保護性が解消されていると判断されることが必要です。
そのためには、できるだけ早い段階から要保護性解消に向けて少年や家庭・学校などに働きかける必要があります。
少年事件への対応には、少年事件に精通した弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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少年審判の流れ

2019-10-26

少年審判の流れ

少年審判の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区に住むAくんは、窃盗の容疑で兵庫県灘警察署に逮捕されました。
その後、釈放され在宅事件として捜査は進み、神戸家庭裁判所に送致されました。
Aくんの両親は、少年審判に向けてどう準備すればよいか分からず弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

少年審判の特徴

刑事事件の公判と比べると、少年審判には、次のような特徴があります。

(1)職権主義的審問構造

刑事裁判では、検察官および被告人・弁護人による主張・立証や意見陳述を公判手続の基本に置き、裁判所の職権的な活動は補充的なものにとどめる「当事者主義」に基いて進められます。
一方、少年審判は、家庭裁判所が自ら審判手続を主導し、少年に関する調査を行い、その結果をもとに審理を行って処分を言い渡すものであり、職権主義的審問構造がとられています。
この理由には、裁判所による合理的な職権行使により、非行事実だけではなく、非行に至る動機・背景、少年の成育歴、家庭環境、性格・資質などを柔軟に調査・考慮することが可能となり、少年一人ひとりに合った審理を行うことで、少年の健全育成の確保という少年法の趣旨に沿うことが挙げられます。

(2)非公開

少年審判は原則として非公開とされています。
成長発達途上にある少年の情操を保護し、社会復帰を円滑に進める必要があること、少年やその家族のプライバシーに深くかかわる要保護性の審理を適切に行うためには、手続内容の秘密性が求められるためです。

(3)証拠法則

予断排除の原則や伝聞法則の適用がなく、裁判官が審判期日の前からあらゆる証拠に触れることができます。

少年審判の流れ

少年審判は、審判手続や進行について裁判官の裁量が大きくなっています。
ですので、審判の進行は裁判官によって異なることもありますが、概ね次の順序により行われます。

①人定質問、黙秘権の告知、非行事実の告知、非行事実に関する少年・付添人の陳述
         ↓
②非行事実の審理(証人尋問、少年本人質問)
         ↓
③要保護性の審理(少年本人質問、保護者・関係者への質問等)
         ↓
④調査官・付添人の処遇意見の陳述、少年の意見陳述
         ↓
⑤決定の言渡し

①人定質問、黙秘権の告知、非行事実の告知、非行事実に関する少年・付添人の陳述

人定質問
裁判官が審判廷の在席者を確認し、少年や保護者等について人定質問(人違いでないかどうかの確認するための質問)が行われます。

黙秘権の告知
少年審判規則は、裁判官が第1回審判期日の冒頭で、少年に対して黙秘権についてわかりやすく説明をしなければならないことを規定しています。

非行事実の告知とこれに対する少年の陳述
裁判官から審判に付すべき事由の要旨が告げられ、これに対する少年の陳述が行われます。

非行事実に関する付添人の陳述
付添人に対しても、非行事実に対する陳述が求められます。

②非行事実の審理

証人尋問
非行事実に争いのある事件では、証人尋問を行うことが多くなっています。
裁判所および付添人は証人に尋問をすることができます。

少年本人質問
次に、裁判官および付添人は、少年に対して質問を行います。

③要保護性の審理

少年本人質問
裁判官および付添人は、要保護性に関する質問を少年に対して行います。
要保護性についての質問は、最後に調査官からも行われます。

保護者・関係者に対する質問
次に、少年の保護者や審判に在席している関係者に対して、要保護性に関連する質問を少年に対して行います。

④調査官・付添人の処遇意見の陳述、少年の意見陳述

調査官の処遇意見の陳述
調査官は、審判において、裁判官の許可を得て意見を述べることができますが、調査官の処遇意見は、事前に裁判所に意見書として提出してあるので、審判時に改めて裁判官が調査官に意見を求めることはそう多くありません。

付添人の処遇意見の陳述
付添人も、審判において、裁判官の許可を得て意見を述べることができます。
付添人の意見も、事前に意見書として裁判所に提出してあります。

少年の意見陳述
最後に、裁判官が少年の意見を求め、少年が意見を述べます。

⑤決定の言渡し

審判の全ての手続が終ると、裁判官が決定を言い渡します。
言渡しでは、少年に対する処分の内容を述べ、次に、処分の理由について説明がなされます。

審判の時間は、非行事実に争いがなく、1回の審判で決定まで言い渡す事件では、だいたい40~60分程度となることが多いでしょう。

少年審判の流れは以上の通りとなりますが、少年に対する処分の決定には、少年審判までの活動が大きく影響します。
特に、審理対象のひとつである要保護性の解消については、審判までにしっかりと環境調整を行い、要保護性が解消されたと調査官や裁判官に認めてもらうことが重要です。

お子様が事件を起こしお困りであれば、少年事件・刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

少年保護事件と観護措置

2019-10-21

少年保護事件と観護措置

少年保護事件観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県丹波市に住むAくん(16歳)は、同級生の女子児童に対して無理わいせつな行為をしたとして、兵庫県丹波警察署に強制わいせつの容疑で逮捕されました。
その後、勾留され、神戸家庭裁判所に送致後、観護措置がとられました。
(フィクションです)

観護措置について

観護措置」というのは、家庭裁判所が調査や審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、少年の心身の鑑別をしたり、緊急に少年の保護が必要である場合に、終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置です。

この観護措置には、2種類あります。
ひとつめが、家庭裁判所調査官の保護に付する措置です。
これを「調査官観護(または在宅観護)」といいます。
調査官観護は、少年の身柄を拘束することなく、少年を家庭等に置いたまま、調査官が随時少年と接触しながら、調査官の人格的影響力により、少年に一種の心理的拘束を与えることなどにより、観護の目的を達成しようとするものです。
しかし、調査官観護は、少年の身柄の保全としての実効性に乏しく、実務上調査官観護はめったにとられることはありません。

ふたつめは、少年鑑別所に送致する措置で、単に「観護措置」といったり「収容観護」と呼んだりします。
実務上は、「観護措置」といえば少年鑑別所に収容する措置を指すことが通例となっています。
観護措置は、少年を少年鑑別所に送致し、現実に少年を少年鑑別所に収容し身柄を保全しようとするものです。
少年鑑別所は、観護措置により送致された者等を収容し、医学・心理学・教育学・社会学その他の専門的知識及び技術に基づいて少年の鑑別を行うとともに、必要な監護処遇等を行うため、法務大臣の管理する国立の施設です。

観護措置の要件

観護措置は、少年保護事件の継続している家庭裁判所が、適正妥当な調査・審判を行うために少年の身柄を保全する措置です。
この観護措置は、「審判を行うため必要があるとき」にとり得ることができると抽象的かつ包括的に少年法第17条1項に規定されています。
このように条項の文言では観護措置の要件は明らかではありませんが、実務上では、次のような要件が必要であると言われています。

1.審判条件があること

観護措置は、審判を行うためにとられる措置であるので、審判条件がある場合でなければなりません。

2.少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること

観護措置は、少年の意に反してその身柄を拘束する強制的措置であることから、人権保障の観点から非行事実の存在について、勾留の場合と同様の心証が必要であるとされています。

3.審判を行う蓋然性があること

観護措置は「審判を行うため必要があるとき」とされていることから、審判を行う蓋然性のある場合でなければなりません。

4.観護措置の必要性が認められること

観護措置をとる実質的な必要性として、次の事由のうちいずれかの事由が存在していればよいとされています。
(ア)調査、審判及び決定の執行を円滑かつ確実に行うため、少年の身柄を拘束する必要があること。
具体的にいえば、勾留の理由と同様に、住所不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかに該当し、身柄を確保する必要性があることです。
(イ)緊急的に少年の保護が必要であること。
少年が保護を必要とする状態にある場合、これを放置するのは相当ではなく、終局決定に至る間においても保護的措置をとる必要があります。
例えば、自殺自傷のおそれがある場合、家庭環境が劣悪で、家庭で虐待を受けたり悪影響を受けるおそれがある場合、不良集団等の影響により審判までに少年の非行性が急速に進行するおそれがある場合などです。
(ウ)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。
心身鑑別の必要性とは、少年の更生に向けて、相応の心理検査や継続的な行動観察を踏まえて、その有する問題性全般について詳細な鑑別を行う必要性が高い場合をいうとされています。
心身鑑別に必要性のみで観護措置がとれるかについては、これを否定する見解もありますが、これを肯定するのが通説となっています。

観護措置は、家庭裁判所に事件が係属中であれば、いつでもとることができます。
一般的には、逮捕・勾留により身柄拘束中の少年の事件の場合は、当該事件が家庭裁判所に送致されたときに観護措置をとることが多くなっています。
逮捕・勾留されていな少年であっても、家庭裁判所に送致された後に、観護措置をとる必要性が認められれば、観護措置がとられる可能性もあります。

観護措置において、少年鑑別所に収容する期間は、原則2週間、更新が必要な場合にはさらに2週間更新されることになります。
しかし、実務上は、少年鑑別所において行われる行動観察や心身鑑別に相当の日時を要することから、通常の事件については、1回更新することが多く、ほとんどの事件で収容期間は1か月ほどとなっています。

このような長期間少年鑑別所に収容されることになると、当然少年が社会に戻った後の生活にも影響が出てきます。
ですので、不要不当な身体拘束は回避する必要があります。
一方、観護措置の趣旨は、少年の心情の安定を図りながら心身鑑別等を行うことにあることを考慮すると、少年にとって外界から離れた環境で事件や自分自身と静かにゆっくりと向き合うことができる重要な機会とも言えます。
どちらが少年の更生にとって適切であるかは、少年や事件によっても異なりますので、少年事件に詳しい弁護士にぜひご相談ください。

お子様が事件を起こしてしまい対応にお困りであれば、少年事件・刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

ぐ犯少年と家庭裁判所

2019-10-20

ぐ犯少年と家庭裁判所

ぐ犯少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県宍粟市に住むAさんは、現在公立中学の3年生です。
Aさんは、2年生の3学期から学校に行かず、夜遅くまで遊び回り、両親の再三の注意にも耳を貸さず、春からは家出をし、反社会的組織の一員であるBの自宅に寄宿しています。
Aさんは、生活費を稼ぐため、Bの仲介のもと売春を行っていました。
その事件でAさんは警察官に補導され、ぐ犯少年として神戸家庭裁判所姫路支部に送致されました。
(フィクションです)

家庭裁判所が取り扱う非行少年の事件を少年保護事件といいます。
家庭裁判所は、審判において、非行を犯したとされる少年について非行の事実があったか否かを確認し、非行を犯した少年に対して、その性格や環境の問題点に応じて、処分を決定します。
審判の対象となる少年は、
①審判の時に20歳未満である者で、②非行のある少年
です。
非行少年は、次の3つの分類されます。

(1)犯罪少年
犯罪少年は、罪を犯した少年です。

(2)触法少年
触法少年は、刑罰法令に反する行為を行った14歳未満の少年です。
刑法では、14歳未満の者は責任能力のない者として扱われますので、本来は犯罪となる行為を行ったとしても責任能力がないため犯罪は成立しません。
そのため、捜査機関に逮捕されることはありませんが、都道府県知事または児童相談所長から家庭裁判所に送致された場合、家庭裁判所は「触法少年」の少年保護事件として取り扱うことになります。

(3)ぐ犯少年
ぐ犯少年は、犯罪とはならないけれども、「ぐ犯事由」に該当し、その性格や環境から将来罪を犯すおそれがある少年です。
このようなぐ犯少年家庭裁判所の審判に付するとしているのは、今は未だ犯罪や刑罰法令に触れるような行為を行っていない不良少年を早期に発見し、少年の行状、性格、環境等から犯罪的危険性が察知される場合には、少年の適切な保護を加え、少年の健全な育成を図るとともに、犯罪の発生を未然に防止する目的です。

「ぐ犯事由」は、以下の通りです。

ア)保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
少年が、自身に保護者の監督を必要とする行状があるにもかかわらず、保護者の法律上、社会通念上正当な監督に服しない行動傾向があること。
イ)正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
少年が家庭に寄りつかないことが、その家庭の実体からして別段非難するに値しない場合には、正当な理由がないとは言えません。
例えば、虐待が行われているなどの理由で家に帰らない場合は、この事由に該当しません。
ウ)犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
例えば、反社会的集団に加わっていたり、不良仲間と付き合っている、若しくは、不良のたまり場や不健全な遊興施設等に出入りすること。
エ)自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
性格的な危険性を示す事由であり、社会的倫理的な通念に外れる行為をすること。

ぐ犯事由は、いずれも一定期間にわたる行状、性癖を指します。
ぐ犯事由があるというためには、上の1つでも該当すれば足ります。

罪を犯すおそれ(「ぐ犯性」)については、その内容は、少年の性格や環境に照らして、抽象的、一般的にみて将来少年が特定の犯罪を犯す可能性があると予測できるという程度では十分ではなく、将来当該少年が特定の犯罪を犯す蓋然性が高いと認められることが必要です。

上記ケースでは、Aさんは家出をし、反社会的組織に属する者の下、売春をしてお金を稼いでいました。
Aさん自身は罪を犯していませんが、両親の監督に服さない、犯罪性のある人物と交際している、売春行為を行っているなど、複数のぐ犯事由に該当しています。
また、Bと生活を共にしており、Bの指示の下売春に手を出しており、このままではBと共謀して犯罪を起こす可能性も高いと言えるでしょう。
このような状況下では、警察はAさんを児童相談所を経由せず直接家庭裁判所に送致する可能性も大いにあります。

お子様がぐ犯少年として家庭裁判所に送致されて対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで!

少年の刑事事件~家庭裁判所送致前~

2019-10-19

少年の刑事事件~家庭裁判所送致前~

家庭裁判所送致前少年刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市長田区の路上で、帰宅途中の女性に対して背後から抱きつき、胸などを触るなどしたとして、同市に住む中学生のAくん(14歳)が兵庫県長田警察署に強制わいせつの疑いで逮捕されました。
逮捕後、Aくんは勾留に代わる観護措置で神戸少年鑑別所に収容されることになったと連絡を受けたAくんの両親は、今後どのような流れになるのか分からず少年事件に詳しい弁護士に相談の連絡を入れました。
(フィクションです)

少年法第1条は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して保護処分を行うとともに、少年刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする旨を規定しています。

少年の犯罪事件は、原則、成人の刑事事件の場合と同様に被疑事件として捜査機関による捜査が行われ、その後、全事件が家庭裁判所送致されます。
これを「全件送致主義」といいます。
少年法は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合及び犯罪の嫌疑はなくとも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合には、全ての事件を家庭裁判所送致することを義務付けています。
これは、非行事実が軽微なものであったとしても、その背後には様々な問題がある場合が多いため、家庭裁判所に全ての事件を送致させ、そこで行われる少年に対する調査を踏まえて保護処分と刑事処分のいずれが相当かを判断させようという趣旨に基づくものです。
ただし、犯罪の嫌疑がなく、ぐ犯少年にも該当しないときには、不起訴処分に付されることもあります。

少年刑事事件というのは、「少年の犯罪事件」が
家庭裁判所送致される以前の段階における少年の被疑事件
家庭裁判所から検察官への逆送から刑事裁判所へ公訴を提起される以前の段階における少年の被疑事件
③公訴提起後の被告事件
をいいます。

20歳未満の者であっても、犯罪を犯したと疑われる場合には、成人の場合と同様に逮捕されることがあります。
犯罪を犯した少年を「犯罪少年」といいます。
ただし、14歳未満の者は、刑事責任を問われませんので、犯罪とはならず逮捕されることもありません。
(もちろん、都道府県知事または児童相談所長から家庭裁判所送致されると、少年審判を受け保護処分が言い渡される可能性はあります。)
犯罪を犯した14歳未満の少年を「触法少年」と呼びます。

犯罪少年が警察に逮捕された後の流れは、基本的に成人の刑事事件と同じです。
逮捕から48時間以内に、検察に送致される、若しくは釈放されます。
検察に送致されると、検察官は少年の身柄を受けてから24時間以内に裁判官に対して勾留請求をする、あるいは釈放するかを決めます。
勾留請求を受けた裁判官は、少年と面談した上で、少年を勾留するか釈放するかを判断します。
勾留となった場合には、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、勾留延長が認められると最大で20日間身柄が拘束されることになります。

勾留に代わる観護措置について

少年法は、刑法、刑事訴訟法、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律等の一般法に対する特則を定めている。
身体拘束に関するものでいえば、「拘留に代わる観護措置」の手続が設けられています。

検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合でも、裁判官に対して、勾留に代わる観護措置を請求することができ、裁判官は、当該措置をとることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されていますが、以下の点が勾留と異なります。
・身体拘束を伴う少年鑑別所収容の観護措置のほかに、家庭裁判所調査官による観護措置の方法もとることができるとされています。
・勾留は延長することができるのに対し、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官の請求した日から10日で、延長は認められません。
・勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容されていた事件が家庭裁判所送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。

少年事件の場合、成人の刑事事件の手続と異なる点もありますので、少年事件については専門の弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
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刑事事件で逮捕~緊急逮捕~

2019-10-08

刑事事件で逮捕~緊急逮捕~

刑事事件緊急逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県洲本警察署は、殺意を持ち、ゴルフクラブで男性Vさんの頭部を殴ったとして、兵庫県洲本市に住む少年Aくんを殺人未遂容疑で緊急逮捕しました。
Aくんは、「Vさんとトラブルになりカッとなって殴ってしまったが、殺すつもりはなかった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、急いで接見に行ってくれる弁護士を探しました。
(フィクションです)

被疑者の身柄を拘束し、引き続き短時間その拘束を続ける強制処分である「逮捕」には、3種類あり、前回はそのうちの「通常逮捕」について説明しました。

今回は、「緊急逮捕」についてみていきたいと思います。

逮捕」や「現行犯逮捕」というワードは、ニュースなどで頻繁に耳にしているとは思いますが、「緊急逮捕」についてはあまり聞き慣れない言葉ではないでしょうか。

緊急逮捕とは、一定以上の重大な罪の嫌疑が高い場合、急速を要して、裁判官に対して逮捕状を請求することができないため、ひとまず被疑者の身柄を確保した上で、その後、直ちに逮捕状を請求するものです。

緊急逮捕については、刑事訴訟法第210条に次のように規定されています。

第二百十条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
○2 第二百条の規定は、前項の逮捕状についてこれを準用する。

当該条項の趣旨は、現行犯以外の場合で、犯人であることが明らかであるが、事前に逮捕状が必要であるとすると、その手続をしている間に被疑者が逃亡し、その後の逮捕が極めて困難になる場合もあるため、事実発見の観点から、一定の重い罪について厳重な制限の下に無令状の逮捕を認めた点にあります。

この緊急逮捕は、令状主義との関係で、憲法に反しているのではないかとの議論がありましたが、この点、最高裁判所は、「厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急やむを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件都市、被疑者の逮捕を認めることは、憲法33条規定の趣旨に反するものではない」とし、その合憲性を認めています。(最大判昭30・12・14)

緊急逮捕をする際には、被疑者に「その理由を告げて」行わなければならないとありますが、「その理由」には被疑事実の要旨および急速を要する事情にあることが含まれます。

緊急逮捕の要件は次の通りです。

①一定の重大犯罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があること。
死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁固に当たる罪が対象となります。
この「罪」は特定されている必要があります。
そして、そのような重大犯罪を犯したことに対して、単なる疑いがあるだけでは足りず、通常逮捕においては「相当な」とあるのに対して、緊急逮捕では「充分な」とあるため、より高い嫌疑が必要です。
②急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないこと。
「急を要し」とは、被疑者が逃走しまたは証拠を隠滅するおそれが高く、逮捕状を請求している時間的余裕がないことをいいます。
③理由の告知をすること。
逮捕後、直ちに逮捕状請求の手続をすること。
逮捕の必要性があること。
通常逮捕と同様に、逮捕時に逮捕の必要があることが前提となります。

このように、緊急逮捕の要件は通常逮捕よりも厳しいものになっています。
通常逮捕や現行犯逮捕と比べると、緊急逮捕で身柄確保となる件数は少なくなっています。
しかし、緊急逮捕された後の流れも、他の逮捕と同様に、逮捕から48時間以内に警察は被疑者を釈放するか、検察に送致するかを決めます。
警察が検察に被疑者の身柄と証拠書類等を送致した場合、検察官は被疑者を取り調べた上で、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか、裁判官に対して勾留請求を行うかを決定します。
検察官が勾留請求をすると、裁判官は被疑者と面談をし、被疑者を勾留するか、釈放するかを判断します。
裁判官が勾留を決定した場合、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。

そのような長期の身体拘束を避けるためにも、逮捕されたら早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に動くのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件で逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

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