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傷害事件、示談で不起訴へ
傷害事件において示談で不起訴となる活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県三木市の居酒屋で会社の同僚と飲んでいた会社員のAさんは、ひょんなことから隣席の男性と口論になりました。
Aさんは、お酒が入っていたこともあり、気が大きくなり、男性からの挑発を受けて拳で男性の顔を殴ってしまいました。
Aさんは会計を済ませ店を出ましたが、後日、兵庫県三木警察署から連絡があり、「△△居酒屋での喧嘩で、相手方さんから被害届が出ています。一度、お話を聞かせてもらえますか。」と言われました。
困ったAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談の予約を入れました。
(フィクションです)
暴行を加えて、相手方に怪我などの傷害を負わせる傷害事件を起こすのは、日頃から気性の荒い人間だけとは限りません。
酒の影響で正常な判断が出来ずに手を出してしまうケースも少なくありません。
傷害罪とは
傷害罪は、刑法204条に規定されている犯罪です。
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪は、他人の身体に対する侵害を内容とする犯罪です。
◇客体◇
傷害罪の客体は、「人の身体」です。
行為者自身の身体の傷害(=自傷)は、罪とはなりません。
◇行為◇
傷害罪の実行行為は、「人の身体を傷害する」ことです。
「傷害」の概念についてですが、判例は、「人の生理的機能に障害を加えること」であるとしています。
傷害として認められたものとしては、
・怒号等の嫌がらせにより、不安・抑うつ状態に陥れること。(名古屋地裁判決、平成6年1月18日)
・性病であることを秘して、被害者女性の性器に自己の性器を押し当て、被害者に性病を感染させたこと。(最高裁判決、昭和27年6月6日)
・キスマークをつけること。(東京高裁判決、昭和46年2月2日)
・皮膚の表皮を剥離すること。(大審院判決、大正11年12月16日)
・暴行、脅迫により外傷後ストレス障害(PTSD)を惹起すること。(最高裁決定平成24年7月24日)
このように、殴る蹴るといった典型的な有形力の行使により、相手方に怪我を負わせる以外にも、傷害に当たる場合があるのです。
傷害の方法については、有形無形を問いません。
◇故意◇
傷害の故意については、傷害罪が暴行罪の結果的加重犯であることから、傷害罪の故意は暴行の認識があれば足りるとするのが判例です。(最高裁判決、昭和25年11月9日)
以上の要件を満たしており、かつ、責任能力も認められ、違法性も阻却されないのであれば、傷害罪が成立することになります。
傷害事件で被疑者となってしまったら
傷害事件で被疑者となった場合、最終的に起訴するかしないかは検察官の判断に委ねられます。
検察官が起訴し有罪となれば、前科が付くことになります。
しかし、検察官が起訴しないとの決定をすれば、被疑者として捜査された前歴は残りますが、有罪判決を言い渡されてはいないので前科が付くことはありません。
検察官が起訴しないとする処分(不起訴処分)には、その理由に応じて様々ですが、不起訴処分となるものの多くが「起訴猶予」です。
起訴猶予は、有罪であることを証明するには十分の証拠があるものの、被疑者の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況等を鑑みて、検察官の裁量によって不起訴とする場合のことです。
被害者がいる事件では、被害者との示談が成立しているか否かも起訴・不起訴を決める際に考慮される重要な要素です。
傷害罪は、被害者等の告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪ではありませんが、被害者との示談が成立し、許しを得ている場合には、不起訴となる可能性を高めることができます。
ですので、傷害事件で被疑者となった場合には、被害者との示談成立に向けて動くことが大切です。
しかし、加害者と被害者が直接示談交渉をすることはあまりお勧めしません。
なぜなら、捜査機関が被害者の個人情報を加害者に教えなかったり、被害者が加害者に直接連絡をとることを拒否することがあるため、連絡すらできない場合が多いことや、事件の当事者が直接話合うと感情的になり交渉が難航することがよくあるからです。
弁護士を介してであれば、捜査機関を通じて被害者と連絡をとることや、冷静な態度で示談交渉に挑み、被害者に対して示談のメリット・デメリットを丁寧に説明した上で、当事者両方が納得のいく形での示談成立に向けて粘り強く交渉することが期待できます。
このような活動は、刑事事件に強い弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に取り合う法律事務所です。
傷害事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
無賃乗車で詐欺罪
無賃乗車で詐欺罪に問われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
岡山県の駅でタクシーを拾ったAさんは、タクシー運転手に「赤穂駅までお願いします。」と告げました。
目的地に到着したため、タクシー運転手はタクシー代を請求したところ、Aさんは「お金がない。」と答えました。
タクシー運転手は、警察に通報し、Aさんは駆け付けた兵庫県赤穂警察署に事情を聴かれています。
Aさんの所持金は1000円でした。
(フィクションです)
無賃乗車
はじめから自分がお金を持っていないことがわかっていながら、タクシーに乗車することを「無賃乗車」といいます。
このように、乗車する前から十分な現金やカードなどを所持していないことを認識しているにもかかわらず、タクシーに乗車し、目的地まで送ってもらった場合には、どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。
詐欺罪について
詐欺罪は、①人を欺いて、②財物を、③交付させたこと、
または、①人を欺いて、②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた
場合に成立します。
◇客体◇
詐欺罪の犯行の対象は、(a)他人の占有する財物、そして、(b)財産上の利益です。
(a)他人の占有する財物
「財物」は、有体物および有体物でなくとも物理的に管理可能なものであり、かつ、価値があるものをいいます。
ここでいう価値とは、主観的・感情的価値でも社会観念上刑法的保護に値するものであれば財物といえ、財産的価値は必ずしも必要とはされません。
(b)財産上の利益
「財産上の利益」とは、財物以外のすべての財産上の利益をいい、該当するものとしては、債務の免除、履行期の延長、債務負担の約束、財産的価値のある役務の提供などがあります。
◇行為◇
詐欺罪の実行行為は、「人を欺いて財物を交付させる」または「人を欺いて財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させる」ことです。
(a)欺く行為として、(b)それに基づき相手方が錯誤に陥り、(c)その錯誤によって相手方が処分行為をし、(d)それによって財物の占有が移転し(あるいは、財産上不法の利益を行為者が得、または他人に得させ)、(e)財産的損害が生ずること、が必要となります。
(a)欺く行為
「欺く」行為とは、人を錯誤に陥らせる行為のことです。
「人」を騙されている状態に陥れることが必要とされるので、「機械」を相手とする行為は該当しません。
欺く行為の手段や方法に制限はなく、言語、態度、動作、文書の方法によっても構いません。
代金を支払う資力も意思もないのに、飲食物を注文する行為、宿泊を申込む行為、タクシーに乗車し行き先を告げる行為は、この欺く行為に該当します。
(b)錯誤
「錯誤」とは、観念と真実の不一致をいい、財産的処分行為をするように動機付けられるものであれば足ります。
(c)処分行為
詐欺罪の本質は、欺く行為により、相手方が錯誤に陥り、その錯誤に基づいて財産的処分行為を行い、財物の交付がなされるという一連の流れにあります。
財産的処分行為が成立するためには、財産を処分する事実と処分する意思が必要となります。
そのため、自己の行動の意味を理解していない幼児や精神障害者を欺き、その財物を取得したとしても、幼児や精神障害者に財産を処分する意思が認められない以上、財産的処分行為がないことになり、その財物の取得は詐欺ではなく窃盗となります。
(d)財物の交付/財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させる
詐欺罪の成立には、相手方の財産的処分行為の結果、行為者に財物の占有が移転すること、あるいは、行為者または一定の第三者が、不法に財産上の利益を取得することが必要となります。
◇主観的要件◇
詐欺罪の成立には、行為者が相手方を欺いて、錯誤に陥らせ、その錯誤に基づく財産的処分行為によって財物を交付させ、自己または第三者が占有を取得すること(財産上の利益を得ること)及びその因果関係を認識・認容すること(=故意)が必要であることに加えて、不法領得の意思が求められます。
不法領得の意思は、条文にはありませんが、判例上認められた要件となっています。
不法領得の意思とは、権利者を排除する意思及び他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用しまたは処分する意思のことをいいます。
以上が詐欺罪が成立する要件となります。
上の事例においても詐欺罪が成立し得るのか否かについて検討してみましょう。
Aさんは、タクシーに乗車し、運転手に行き先を告げており、タクシー運転手はこれによりAさんがタクシー代金を支払う資力と意思があると信じ、目的地を目指して運転しています。
Aさんの所持金は、1000円だったことから、乗車当初からタクシー代を支払う資力も意思もなかったと考えられます。
つまり、Aさんが最初からタクシー代を支払う資力も意思もないのに、それを秘してタクシーに乗車し目的地を告げる行為は、欺く行為であり、それによって錯誤に陥った運転手が目的地に向かって運転している(有償役務の提供という財産的処分行為)ため、2項詐欺罪が成立することになります。
詐欺罪は財産犯であるため、生じた損害を回復させることが最終的な処分にも影響します。
そのため、被害者に対する謝罪及び被害弁償を行い、示談に向けた交渉を行うことが重要です。
被害者との示談交渉は、弁護士を介して行うのが一般的です。
被害者との示談が成立している場合には、不起訴で事件を終了させる可能性を高めることができます。
ご家族が無賃乗車の詐欺事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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覚醒剤輸入事件で故意否認
覚醒剤輸入事件で故意を否認する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県警察は、兵庫県神戸市東灘区に住むAさんを覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)の疑いで再逮捕しました。
約1か月前に税関で化粧品等と申告されていた荷物の中に大量の覚醒剤が見つかりました。
兵庫県警察は中身を他の物に入れ替えて配送し、当該荷物を受け取りに来たAさんを麻薬特例法違反の疑いで現行犯逮捕していました。
Aさんは、調べに対し、「友人から荷物を送るからと言われており、指示通り受け取っただけ。中身が覚醒剤であるとは全く知らなかった。」と容疑を否認しています。
(フィクションです。)
覚醒剤輸入事件
覚醒剤取締法は、「覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行う」ことをその目的としています。
覚醒剤の輸入については、覚醒剤取締法13条で、「何人も、覚醒剤を輸入し、又は輸出してはならない。」と規定されており、その輸出入について絶対的に禁止しています。
これに違反した場合の罰則は、1年以上の有期懲役と厳しいものになっています。
また、営利の目的で輸入した場合は、無期若しくは3年以上の懲役、又は事情により1000万円以下の罰金を併科することとされています。
ここで規制対象となる行為である「輸入」とは、覚醒剤取締法自体で定義してはいませんが、一般的に「輸入」とは国外から日本国内へ物品を搬入することと理解されています。
しかし、どの段階に至ったときに日本国内に搬入されたと考えることができるか、という点については様々な見解がありますが、海路又は空路による場合は、船舶から覚醒剤を日本領土内へ陸揚げした時点又は航空機の場合は機内から地上へ持ち出された時点で日本国内に搬入されたとする陸揚げ説が通説・判例となっています。
故意の否認
覚醒剤輸入罪を含む覚醒剤取締法違反が成立するためには、まず当該犯罪の対象となった薬物が覚醒剤でなければなりません。
これについては、捜査機関が当該対象物件が覚醒剤であるかどうかについて正式な鑑定をすることで明らかになります。
そして、覚醒剤取締法違反は故意犯ですので、罪を犯す意思(=故意)がなければ犯罪は成立しません。
覚醒剤取締法違反の成立には、被疑者が当該対象物件が覚醒剤であることの認識を有していたことが必要となります。
上の事例でいえば、Aさんが受け取った荷物(もしくはその一部)が覚醒剤であると知っていることが求められるのであって、Aさんが覚醒剤であると知らなかった場合には覚醒剤輸入罪は成立しないことになります。
この点、Aさんが覚醒剤であることの認識がどの程度あれば犯罪成立となるのか、が問題となります。
覚醒剤輸入罪については、その構成要件が「覚醒剤を輸入すること」であり、故意としては、自分が輸入する対象物が覚醒剤であることを、少なくとも未必的には認識・認容している必要があります。
故意の内容としては、未必的な認識・認容で足りるため、「これは覚醒剤かもしれないし、他の違法薬物かもしれない。」と認識・認容していた場合には、故意が認められます。
このような故意については、人の心の内のことですので、捜査機関は、故意があったと認定できるような状況証拠を収集し犯罪の立証にかかります。
例えば、Aさんと覚醒剤の送り主などの関係者との事前のやり取り、Aさんや関係者の前科前歴などを収集し、取調べにおいてAさんに送られてきた荷物が覚醒剤であることを知っていたのではないかと問いただすことが想定されます。
しかしながら、全く知らなかった場合には、その旨をしっかりと主張し、自己に不利な供述がとられることがないよう対応する必要があります。
そのためにも、早期に弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族が覚醒剤輸入事件で逮捕されお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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覚醒剤使用で逮捕
覚醒剤使用の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県須磨警察署は、兵庫県神戸市須磨区の路上で不審者がいるとの通報を受けました。
現場に駆け付けた警察官は、不審な言動をしている男性を発見し、薬物を使用しているのではないかと思い、男性に警察署で検査するよう求めました。
検査の結果、覚醒剤反応が出たため、警察はこの男性を覚せい剤取締法違反(覚醒剤使用)の疑いで逮捕しました。
男性は、「知人に体にいいという薬をもらったが、覚醒剤ではない。」と容疑を否認しています。
(フィクションです。)
覚醒剤使用の罪
覚醒剤取締法は、「覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行うことを目的とする。」(覚醒剤取締法1条)法律です。
覚醒剤取締法は、特定の場合以外に覚醒剤を使用することを禁止しており、違反した場合には、10年以下の懲役に処するとしています。
覚醒剤使用の罪が成立するための要件は、
①法定の除外事由がないのに
②覚醒剤を
③使用する
ことです。
①法定の除外事由
覚醒剤の使用は、
(a)覚醒剤製造業者が製造のために使用する場合
(b)覚醒剤施用機関において診療に従事する医師または覚醒剤研究者が施用する場合
(c)覚醒剤研究者が研究のために使用する場合
(d)覚醒剤施用機関において診療に従事する医師または覚醒剤研究者から施用のために交付を受けた者が施用する場合
(e)法令に基づいてする行為につき施用する場合
を除いては、何人も禁止されています。
つまり、以上の事由に当てはまらない場合の使用は一切禁止されているのです。
②覚醒剤
覚醒剤取締法は、規制対象である「覚醒剤」を
(1)フェニルメチルアミノプロパン、フェニルアミノプロパンおよび各その塩類
(2)(1)と同種の覚醒作用を有する物であって政令で指定するもの
(3)(1)と(2)の物いずれかを含有する物
と定義しています。
③使用
「使用」とは、覚醒剤をその用途に従って用いる一切の行為のことをいいます。
他人の身体に覚醒剤を注射する行為も、他人から覚醒剤を受ける行為も「使用」にあたります。
覚醒剤使用の罪は、故意犯であるため、行為者において①~③の要件に該当する事実を認識、認容していることが必要となります。
上記事例では、使用した薬物が覚醒剤であるとは知らなかったと男性が述べています。
故意の内容は、未必的な認識・認容で足りるとされており、「覚醒剤かもしれないし、その他の有害で違法な薬物かもしれないとの認識・認容を有していた」という場合には、故意の内容としては十分であると解されます。
「何らかの違法な薬物」と認識している場合、特段の事情がない限り、その薬物の中に覚醒剤も含まれることになり、結果として、「覚醒剤かもしれないとの認識・認容を有していた」と未必の故意が認められることになります。
「知人から体にいいという薬をもらった」と述べている男性ですが、本当に健康に効果のある薬と信じて使用したのであれば、故意が欠け罪は成立しないことになりますが、暗黙に何らかの違法薬物であると認識していたのであれば故意が認められ罪が成立することになります。
故意は、人の心の中のことですので、立証することは容易ではありませんが、客観的証拠から故意があった、あるいは故意があったとは言えないことを証明することになります。
覚醒剤取締法違反の故意の有無について争いたい場合や、罪は認めるが寛大な処分とならないか心配されている場合には、薬物事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族が覚醒剤取締法違反で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
置き引き事件で逮捕
置き引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県西脇市にあるパチンコ店で、席に置いてあった他人の財布を持ち逃げしたとして、会社員のAさんは兵庫県西脇警察署から取調べのため出頭するよう連絡を受けました。
Aさんは、どのような罪に問われるのか、今後どのように対応すればよいのか不安で仕方ありません。
(フィクションです。)
置き引き事件について
置き引きというのは、一般的に、置いてある他人の荷物を持ち逃げすることをいいます。
例えば、パチンコ店やゲームセンターで置き忘れた財布、スーパーマーケットのトイレに忘れてあったカバンなどを勝手に持ち帰ってしまう行為のことを指します。
このような行為は、窃盗罪もしくは占有離脱物横領罪に当たる可能性があります。
1.窃盗罪とは
窃盗罪は、①他人の財物を、②不法領得の意思をもって、③窃取したこと、により成立する犯罪です。
①他人の財物
「他人の財物」とは、他人の占有する他人の財物を意味します。
ここでいう「占有」というのは、人が財物を事実上支配し、管理する状態のことです。
占有は、「占有の事実」と「占有の意思」の2要素で構成されています。
まず、「占有の事実」というのは、占有者が財物を事実上支配している状態のことです。
事実上の支配があるかどうかは、財物自体の特性、占有者の支配の意思の強弱、距離などによる客観的かつ物理的な支配関係の強弱を考慮して判断されます。
財物が占有者の物理的支配力の及ぶ場所にある場合や、社会通念上その財物の支配者を推知し得る状態にある場合には、占有の事実が認められます。
次に、「占有の意思」についてですが、これは、財物を事実上支配する意欲や意思を指します。
この意思は、包括的な意思であったり抽象的な意思であっても構わず、財物に対する事実的支配が明確な場合には、睡眠中であっても占有の意思が認められます。
②不法領得の意思
窃盗罪の成立には、故意(法定の構成要件たる事実について認識のあること)だけでなく、不法に物を領得する意思があることが必要とされます。
不法領得の意思は、権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思です。
他人の財物を一時使用した後に返還する意思でその占有を侵害する場合や嫌がらせでその物を壊したり隠すつもりで占有を侵害する場合は、不法領得の意思がなく窃盗罪は成立しないことになります。
③窃取
窃盗罪の行為である「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
以上が窃盗罪の構成要件となります。
置き引きが窃盗罪に該当するかは、犯行時、問題となる財物に対して他人の占有が及んでいたと言えるかどうかによります。
置き引きは、置いてある他人の荷物を持ち逃げする行為ですが、その置いてある荷物に対する占有が誰にあるのか、ということが問題となります。
荷物と持ち主の時間的・場所的接近性、置き忘れた場所の見通し情状、置き忘れた場所の状況、持ち主の認識・行動などを事情を総合して、一時的に財物に対する事実上の支配が失われたかのように思える場合でも、事実上の支配が直ちにかつ容易に回復できる状況にあったのであれば、占有が肯定されることもあります。
また、持ち主の占有が失われたとされる場合でも、置き忘れられた場所、例えば店内や銀行内であれば、その管理者の占有に属すると認められることがあるため、持ち主の占有が失われたことをもって直ちに窃盗罪が成立しないとは限りません。
ただ、持ち主の占有が失われたのであり、かつ財物に対しての占有が誰にも属さない場合には、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪が成立することがあります。
2.占有離脱物横領罪とは
占有離脱物横領罪は、①遺失物、漂流物、その他占有を離れた他人の物を、②横領したこと、によって成立する罪です。
これは、他人の占有に属さない他人の物を領得する行為を処罰するものです。
いずれの罪が成立するにせよ、被害者に対してはしっかりと被害弁償をする必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
置き引き事件で検挙され対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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落とし物の取得は窃盗?
他人の落とし物を取得した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
Aさんは、兵庫県豊岡市のホテルに宿泊していました。
Aさんは、ホテルのエレベーター内に財布が落ちているのを見つけ、その財布を拾い上げ自分のポケットに入れました。
後日、Aさんは、兵庫県豊岡北警察署から「△△ホテル内で財布を拾われた件について話を聞きたい。」と連絡を受けました。
ホテルの防犯カメラの映像からAさんが特定されたようですが、Aさんは自分がどのような罪に問われるのか心配しています。
(フィクションです。)
他人の落し物を自分のものとして取った場合、窃盗罪、あるいは占有離脱物横領罪が成立するものと考えられます。
1.窃盗罪
窃盗罪は、他人の財物を、不法領得の意思をもって窃取する罪です。
◇客体◇
窃盗罪の客体は、「他人の財物」です。
「他人の財物」とは、「他人の占有する財物」のことをいいます。
つまり、窃取時に、他人の占有下にある物のことです。
刑法上の「占有」は、支配意思をもって財物を支配することにより、これを事実上支配することをいうとされています。
つまり、「占有」は、占有の事実(客観的要素)と占有の意思(主観的事実)という2つの要素から構成されているものと考えられているのです。
占有の事実については、占有者が財物を事実上支配している状態をいい、事実上の支配の有無の客観的な基準として、財物自体の特性、占有者の支配の意思の強弱、距離などの客観的物理的な支配関係の強弱が考慮されます。
例えば、被害者が身辺約30センチの箇所にカメラを置いたが、バスの列が進んだためカメラを置いたまま前進したものの、カメラを置き忘れたことに気付き置いた場所まで戻ったが既にカメラが持ち去られた事件で、列が動き始めてからその場所に引き返すまでの時間が約5分、カメラを置いた場所と引き返した地点との距離は約19.58メートルにすぎないような場合は、未だ被害者の占有を離れたものとはいえないとした判例があります。(最高裁判決昭和32年11月8日)
占有の意思とは、財物を事実上管理・支配しようとする意欲・意思をいいます。
この意思は、時間的にも対照的にも包括的なもので足りるとされており、着衣内の財布、所持しているカバンの中にある財物、自宅内や事故の経営する会社の事務所内にある財物等といった事故の支配領域内に存在する財物に対しては、一般的に占有の意思があるものと考えられます。
◇行為◇
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
◇主観的要件◇
窃盗罪の成立には、①財物が他人の占有に属していること、および、②その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識すること、つまり、「故意」が必要となります。
加えて、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用、処分する意思」である不法領得の意思も必要となります。
2.占有離脱物横領罪
占有離脱物横領罪は、遺失物、漂流物その他戦y封を離れた他人の物を横領した場合に成立する罪です。
◇客体◇
「遺失物」とは、占有者の意思によらずにその占有を離れ、いまだ誰の占有にも属していないものをいいます。
「漂流物」は、水中にある遺失物のことです。
「占有の離れた」とは、占有者の意思に基づかないでその占有を離れたことを意味します。
◇行為◇
「横領」とは、委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為をいいます。
それでは、上記事例について考えてみましょう。
まず、Aさんのした行為についてどのような罪が成立し得るかを考える際、落とし物である財布に対する「占有」が誰にあるのかについて問題となります。
財布の持ち主については、その者が財布を落としてから財布を落としたことに気が付くまでの時間や、気付いたときに居た場所から財布を落とした場所までの距離や戻るまでにかかる時間等にもよりますが、仮に、持ち主が落としたことに全く気が付かずホテルを出て、だいぶ後になって気が付いたとしたら、持ち主の財布に対する「占有」が失われたと考えられるでしょう。
しかしながら、元の占有者(財布の持ち主)の占有が喪失したからといって、直ちにAさんの行為が占有離脱物横領罪しか該当しないことになるわけではありません。
所有者がその占有を失った場合には、当該領域を支配している者に占有は移行すると考えられるため、旅館内のトイレや脱衣所に忘れた財布に対しては旅館主に占有があるとした判例があり(大判大正8年4月4日)、ホテル内で財布を落としたケースでは、持ち主の占有が喪失した場合には、ホテルに占有が移行するものと考えられます。
よって、Aさんが取得した財布は窃盗の客体になるものと考えられるでしょう。
このように、他人の落し物を取得した場合には、窃盗罪、あるいは占有離脱物横領罪が成立する可能性がありますので、弁護士に相談し、しっかりと対応することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件の被疑者・被告人となり対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
強制わいせつ事件で逮捕されたら
強制わいせつ事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県飾磨警察署は、強制わいせつの疑いで、兵庫県姫路市に住むAさんを逮捕しました。
逮捕容疑は、X年X月X日午後X時X分ごろ、姫路市内の路上で、歩いていた女子高生に後ろから近づき、胸や尻などを触ったということです。
Aさんは容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、今後どうなるのか不安で仕方ありません。
すぐに刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
強制わいせつ事件で逮捕されたら
強制わいせつ罪は、①13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をし、或いは、②13市未満の者に対し、わいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
本罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役となっており、起訴され有罪となればこの範囲内で刑が言い渡されることになります。
ここでは、強制わいせつの容疑で逮捕された場合の流れについて説明していきます。
1)勾留
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者の身柄を証拠や関係書類と共に検察庁に送ります。
これを「送致」と言い、検察庁に送致しない場合には、警察は被疑者を釈放します。
強制わいせつ事件では、警察の段階で釈放されることはあまりありません。
検察庁に送致された後、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放する、或いは裁判官に対して被疑者の勾留を請求します。
「勾留」というのは、逮捕に引き続き比較的長期間身柄を拘束するもので、検察官は、被疑者の取調べを行い、送られてきた証拠や関係書類を検討した結果、引き続き被疑者の身柄を拘束して捜査をする必要があると判断すれば、勾留請求を行います。
検察官からの請求を受けて、裁判官が勾留の判断を行います。
裁判官は、被疑者と面談し、送られてきた証拠等を検討し、当該被疑者を勾留すべきか否かを判断します。
勾留すべきではない場合には、検察官の請求を却下し、被疑者を釈放します。
他方、勾留の決定をした場合には、被疑者は、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を余儀なくされます。
強制わいせつ事件では、電車内でのわいせつ行為のような痴漢類型であれば勾留されない可能性は高い一方、それ以外の類型であれば一般的に勾留される可能性は比較的に高いと言えるでしょう。
しかしながら、被害者と面識がない場合や行為態様が悪質ではない場合には、勾留とならないケースもあります。
ですので、強制わいせつ事件においても、早期に弁護士に相談し、身柄解放に向けて活動することは重要です。
2)起訴
起訴するか否か決めるのは、検察官です。
強制わいせつ罪は親告罪ではありませんが、起訴・不起訴の判断においては、被害者との示談が成立しているか否かといった点が重視されます。
そのため、示談が成立していれば起訴猶予となる可能性が高く、示談できていなければ公判請求となる可能性が高くなります。
つまり、不起訴を獲得するために捜査段階で最も重要な弁護活動のひとつに被害者との示談交渉が挙げられます。
もちろん、これは容疑を認めている場合のことですので、否認している場合には最後まで争い嫌疑不十分での不起訴や無罪獲得を目指した活動を行います。
3)裁判
公判請求された場合、保釈制度を利用し釈放される可能性はあります。
捜査段階で勾留されていた場合でも、起訴後であれば保釈が認められ釈放となるケースは多いので、起訴後すぐに保釈請求できるように準備しておく必要があります。
また、捜査段階で示談が成立しなかった場合でも、粘り強く交渉を続けることは重要です。
裁判までに示談が成立すれば、被告人に有利な事情として考慮してもらえ、言い渡される刑にも影響を及ぼすことになります。
示談が困難であっても、被害弁償、贖罪寄附、供託などの方法を試みることもあります。
一方、事実を争う場合には、被告人の主張が通るよう、被告人に有利な証拠を収集し、無罪獲得に向けた活動を行います。
強制わいせつ罪は、決して軽くはない犯罪です。
前科・前歴、行為態様、被害の程度、被害者との示談の有無などによっては、実刑が言い渡される可能性も十分あります。
容疑を認める場合でも、争う場合でも、早期に弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制わいせつ事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
盗撮で逮捕されたら
盗撮で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
会社員のAさんは、駅構内の階段で、女性のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したところ、後ろにいた男性に、「盗撮しましたよね。」と言われ、腕を掴まれました。
Aさんは、最初は盗撮を否定していましたが、最終的には犯行を認めました。
その後、Aさんは、兵庫県芦屋警察署に迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
Aさんの帰りが遅いことを心配したAさんの母親は、警察署に連絡したところ、Aさんが盗撮で逮捕されたことを知らされました。
Aさんの母親は、ショックを受けたと同時に、この後どのような流れでいかなる処分が言い渡されるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)
盗撮事件は、弊所の扱う刑事事件で最も多い事件のひとつです。
携帯電話やスマートフォンにカメラ機能が付いていることが通常であり、駅のエスカレーターや階段などといった場所で、自分のスマホを用いて、衝動的に盗撮を行うケースから、靴やカバン、さらにはペンなどといった物に小型カメラを仕込んで女性のスカート内を盗撮する計画的な盗撮のケースまで様々です。
メディアなどから得た誤った情報を基に、「盗撮は簡単にできる」、「身体に触れるわけじゃないから、相手もそんな嫌な気持ちにはならないだろう」、「ばれなければ大丈夫」などといった歪んだ認識を持ち、犯行に及ぶ傾向が見られます。
しかしながら、盗撮は犯罪です。
犯罪に軽いも重いもありません。
盗撮で逮捕された場合の流れ
盗撮で逮捕される場合には、2つのケースがあります。
1つは、盗撮を行った際に、被害者や目撃者に身柄が拘束されてしまう場合です。
いわゆる「現行犯逮捕」です。
盗撮事件で逮捕されるケースの多くが、現行犯逮捕となっています。
見つからないと思っていても、不自然な行動は周囲に目立ちやすく、その場で犯行が発覚することが多いのです。
このように犯行現場で逮捕された場合、その後に警察に引き渡されることになります。
もう1つは、盗撮時には誰にも犯行がばれなかった場合や犯行が発覚したものの逃亡に成功した場合であっても、被害者が被害届を提出したり、目撃者が警察に通報するなどし、盗撮が警察に発覚すれば、警察は盗撮事件として捜査を開始します。
被害者や目撃者からの供述や周囲の防犯カメラの映像などから、犯人を特定します。
このように、捜査によって犯人が発覚した場合、かつ、被疑者の身柄を確保する必要があると判断されれば、警察は逮捕状を持って被疑者を逮捕します。
このような逮捕を「通常逮捕」といいます。
通常逮捕の場合、早朝に被疑者の自宅を訪れて逮捕したり、警察へ呼び出した後に逮捕するなどして逮捕が執行されることが多いようです。
どちらのケースであっても、盗撮で逮捕されると、通常の刑事事件と同様に、逮捕後、まずは警察署で取り調べを受けます。
警察は、犯人をさらに拘束して取り調べる必要があると判断すれば、逮捕から48時間以内に、証拠や関係書類と共に被疑者を検察に送ります。
これを「送致」と呼びます。
盗撮事件では、初犯であり、容疑を認めており、家族などの身元引受人がいる場合には、検察に送致されずに、48時間以内に釈放となることも少なくありません。
しかしながら、職場や学校などでの盗撮事件のように、被害者との接触可能性がある場合や、余罪が疑われていたり、盗撮の常習者である場合には、検察に送致されることになるでしょう。
検察に送致されると、今度は検察官による取り調べを受けます。
検察官は、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放するか、裁判官に勾留の請求をするかを決めます。
被疑者をさらに拘束して捜査をする必要があると判断すれば、検察官は裁判官に勾留の請求を行います。
検察官からの請求を受けた裁判官は、被疑者と面談を行った上で、送られてきた事件資料に目を通し、当該被疑者を勾留すべきか否かを判断します。
裁判官が勾留を決定すると、被疑者は検察官が勾留請求を行った日から原則10日間の身体拘束を受けることになります。
他方、裁判官が勾留請求を却下すると、検察官が却下決定に対して不服申し立てを行わない限り、当該被疑者は即日釈放されることになります。
事件について起訴する起訴しないの判断を行うのは、検察官です。
捜査を遂げた結果、被疑者が犯罪を犯したことが証拠上明白であり、その訴追が必要であると判断する場合に、検察官は裁判所に起訴状を提出して起訴します。
逆に言えば、そのような場合でなければ、検察官は起訴しない、つまり不起訴で事件を終了させることになります。
勾留されている場合には、検察官は、勾留期間内に起訴不起訴の判断を行います。
既に釈放されていれば、比較的ゆっくりと捜査が進み、検察官の終局処分判断までにも時間を要します。
検察官による起訴の種類も1つではなく、盗撮の場合には、略式起訴による略式手続に付されることも多いです。
略式手続は、簡略化された手続であり、検察官による簡易裁判所への略式命令の請求により、法廷での審理を行わず、検察官が提出した証拠のみに基づき、簡易裁判所が罰金・科料を科す略式命令を言い渡すものです。
勾留されているケースでは、勾留期間満期日に、検察官に略式手続についての説明を受け、被疑者の了解を得たうえで、即日略式起訴され、罰金を納めて釈放となります。
盗撮などの同種前科があったり、犯行態様が悪質であるなど、略式手続に付するのが相当ではないと判断されれば、検察官は公判請求を行います。
この場合、公開の法廷で審理されることになります。
起訴されると、被疑者段階での勾留が被告人勾留に切り替わり、原則2か月の勾留となります。
起訴後は、保釈制度が利用できるため、捜査段階では身体拘束を解くことが困難であった場合には、起訴後すぐに保釈を請求し、釈放されるよう準備しておく必要があるでしょう。
盗撮で逮捕された後の流れは、以上のようになります。
ただ、盗撮の内容や前科の有無、被害者との示談成立の有無などにより、釈放の可能性や最終的な処分結果も異なります。
ご家族が盗撮で逮捕されたのであれば、早期釈放やできる限り穏便に事件を解決するために、早期に弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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強盗・強制性交等罪で逮捕
強盗・強制性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
Aは、兵庫県高砂市にあるアパートの一室に侵入し、その場にいたVに対し、包丁を突きつけ、「静かにしろ。」などと脅迫し、抵抗できなくなったVに馬乗りになり性交しました。
さらに、Aは、Vが抵抗できなくなっている状態にあることから、「金を出せ。」などと脅迫し、Vから現金2万円を奪って逃亡しました。
翌年、兵庫県高砂警察署の警察官がA宅を訪れ、住居侵入、強盗・強制性交等の容疑でAを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAの家族は、罪名を告げられ、ショックを受けています。
しかし事件の詳細や今後の流れについて分からず不安になったAの家族は、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
強盗・強制性交等罪とは
平成29年の刑法改正以前は、強盗犯人が強姦行為をした場合、強盗強姦罪が成立し、その法定刑は無期懲役または7年以上の有期懲役とされていました。
一方、強姦犯人が強盗行為をした場合、強姦罪と強盗罪の併合罪となり、その法定刑は5年以上30年以下の有期懲役とされており、強盗行為と強姦行為のどちらが先行したかによって刑に差が生じていました。
しかし、平成29年の刑法改正において、同一の機会に、強盗と強制性交等罪の行為が行われた場合につき、その行為の先後関係を問わず、強盗・強制性交等が成立し、その法定刑は無期懲役または7年以上の有期懲役とされました。
刑法第241条
強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪(第179条第2項の罪を除く。以下この項において同じ。)若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は7年以上の懲役に処する。
◇主体◇
強盗・強制性交等罪の犯行の主体は、
①強盗の罪もしくはその未遂罪を犯した者、
②強制性交等の罪もしくはその未遂罪を犯した者
です。
①には、強盗罪の他、事後強盗罪、昏睡強盗罪を含みます。
②には、強制性交等罪の他、準強制性交等罪も含みます。
◇行為◇
強盗・強制性交等罪の実行行為は、
強盗の罪もしくはその未遂罪を犯した者の場合は、①強制性交等の罪もしくはその未遂罪を犯すこと、
強制性交等の罪もしくはその未遂罪を犯した者の場合は、②強盗の罪もしくはその未遂罪を犯したこと、
です。
強盗の罪(未遂を含む。)と強制性交等の罪(未遂を含む。)は、同一の機会に行われていることが必要です。
◇故意◇
強盗・強制性交等罪の成立には、強盗の罪(未遂を含む。)および強制性交等の罪(未遂を含む。)の認識・認容が必要となります。
強盗・強制性交等罪で逮捕されたら
強盗・強制性交等罪で逮捕された場合、非常に重い罪であるため、逮捕後に勾留される可能性は高いと言えるでしょう。
事件について身に覚えがない場合、弁護士を通して冤罪を証明する証拠を収集し、捜査機関の主張が十分な証拠に裏付けられていないことを指摘し、冤罪を主張する必要があります。
また、虚偽の自白がとられることのないよう、弁護士から取調べ対応について的確なアドバイスを受けることも大切です。
他方、容疑を認める場合には、被害者に対して真摯に謝罪し、被害弁償を行うことが重要です。
強盗・強制性交等罪は親告罪ではないため、被害者等の告訴がない場合でも、公訴の提起が可能です。
被害者への被害弁償が済んでいることにより必ずしも起訴されないというわけではありませんが、きちんと被害者に謝罪や被害弁償をしていることが裁判で被告人に有利な事情として考慮されることはありますので、被害者への対応は重要です。
また、強盗・強制性交等事件は、裁判員裁判の対象事件となりますので、裁判員裁判にも豊富な経験を持つ弁護士に弁護を任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族が強盗・強制性交等罪で逮捕されてお困りの方は、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
多目的トイレへの盗撮目的侵入
多目的トイレへの盗撮目的侵入を行った場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県福崎郡市川町に住むAさんは,かねてより女性がトイレをしているところに興味があったことから,
商業施設の多目的トイレに盗撮用のカメラを仕掛けることにしました。
ある日Aさんは,自宅近くにある商業施設に赴き,多目的トイレの中に入って,盗撮用のカメラを設置しました。
しかし,その後にトイレを使用したBさんに,カメラがあることを見抜かれてしまい,兵庫県福崎警察署の捜査もあって,Aさんは逮捕されしまいました。
(フィクションです)
Aさんの行為について,トイレにカメラを設置すること自体は各都道府県の迷惑防止条例によって処罰される場合がありますが,そもそもトイレに入った行為に何らかの犯罪が成立するのでしょうか。
1 多目的トイレについて
商業施設等にある多目的トイレは,男女両方とも使用できるようになっていることが多く,入り口も男女のトイレとは別のところにあるところも多いです。
また,トイレの前にわざわざ係員などが立っているといったこともなく,営業時間内であれば,誰でも自由に立ち入れる様になっています。
2 建造物侵入罪について
人の住居ではない,商業施設等の建造物に侵入する行為は,建造物侵入罪で処罰されます。
建造物侵入罪は,①正当な理由なく②人の看守する建造物に侵入した場合に成立します。
ただ,「正当な理由なく」という要件には,特別な意味はないと考えられており,実際には
①その建物の管理者等の同意がないのに②人の看守する建造物に侵入した場合に罪が成立すると考えられています。
3 管理者の同意の有無
まず,管理者の同意の有無について考えます。
1つ目の問題として,トイレの前には管理者(商業施設の職員)が立っているわけではないのに,同意の有無をどのように考えるかという問題があります。
これは,もしそこに立っていたらどうなるか,ということを基準に考えることになります。
2つ目の問題は,いちいち立入りの理由を告げることはないが,そこをどのように考えるか,という問題です。
たとえば男性が女子トイレに入る行為などは,立ち入る理由が考えづらく,立ち入ることに管理者が同意するとは考えられません。
しかし,盗撮目的で多目的トイレに入る行為は,外から見ているだけでは,本当にトイレを使う目的なのか,そうでないのかがはっきりしません。このような場合に,正当な理由の有無はどのようにして判断するのでしょうか。
これについても,もし本当の目的を知ったら,管理者が同意するのか,という観点から判断することになります。
多目的トイレの中に盗撮用のカメラを仕掛けるということを知っていたら,当然管理者はトイレへの立入りを同意するはずありませんから,管理者の同意はないものと考えられます。
4 人の看守する建造物
「看守」とは,現にそこに人がいて見ているという意味ではなく,その部分を事実上管理・支配していることを言います。
多目的トイレの場合にも,現に警備員や職員が見張っているわけではありませんが,入り口の前の通路には防犯カメラが設置されていたり,
使用を禁止する場合のための鍵などが設置されていることが通常ですから,この部分も人の看守する建造物ということになります。
なお,建造物は,建物全体を念頭に考えても構いませんし,トイレのような一区画を念頭に考えても構いません。
今回のような事例の場合には,そもそも商業施設に立ち入ることさえ,管理者は同意しないでしょうから,商業施設の入り口を入った段階で建造物侵入を認めることもできると思われます。
このように、盗撮目的での多目的トイレへの侵入行為は、建造物侵入罪に該当する可能性があります。
ご家族が盗撮目的での多目的トイレへの侵入で逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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