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少年事件:学校への対応
少年事件を起こした場合の学校への対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県加古郡稲美町に住む高校生のAくんは、ある日、兵庫県加古川警察署に強制わいせつの容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しました。
Aくんの両親は、今後学校にどのように対応すればよいのか分からず困っています。
(フィクションです)
少年事件において、少年本人や少年の家族が懸念する問題のひとつに、事件を起こした少年が、学校に所属する場合、事件が原因で学校を退学せざるを得ない状況になるのではないか、ということがあります。
今回は、少年事件において、どのように学校に対応すべきか、また、学校にどのような協力を得る必要があるのか、という点について考えてみましょう。
学校が事件を把握する時期について
事件が学校で起きたり、学校関係者が関与している場合には、すぐに学校側は事件について把握します。
しかし、学校外で起きた事件については、学校もすぐには把握することはできません。
学校が事件について把握する経緯としては、おおまかに次の3つがあります。
①警察から連絡がいく場合
地域によっては、警察と学校が連絡を取り合う制度(「警察・学校相互連絡制度」)が実施されています。
例えば、神戸市では、教育委員会と兵庫県警察本部との間で「学校と警察における相互情報連絡制度に係る協定」を結んでいます。
この協定における連絡対象事案には、犯罪または触法事案、またはそのおそれのある事案が含まれています。
つまり、神戸市の公立学校に所属する少年が何等かの事件を起こした場合、事件について所属の学校に連絡がいくことになっているのです。
この制度によって、少年や保護者が知らないうちに警察から学校に連絡が入り、学校に事件のことを知られるという事態が生じることがあります。
しかし、警察は、必ずしもすべての対象事件について自動的に学校に連絡しているわけではないようですので、学校への連絡を避けるべき事情がある場合や連絡に際して配慮が必要となる場合には、早期に警察にその旨を申し入れ、対応を協議する余地はあるでしょう。
②保護者から連絡する場合
事件を起こした少年の保護者から、学校に連絡を入れることによって学校が事件を把握することもあります。
とりわけ、逮捕・勾留され、学校を欠席せざるを得ない場合に、保護者が学校に事件のことを報告することがあります。
③被害者などから連絡がいく場合
事件の被害者や関係者が、少年の所属先を知っており、学校に連絡することもあります。
被害者が少年と同じ学校に所属している場合には、被害者の保護者から学校に被害申告がなされることが多いようです。
学校に事件が発覚した場合、義務教育中の公立学校の場合には退学はありませんが、私立学校や高校、大学では、事件が原因となり退学となってしまう可能性もあります。
後で説明するように、学校は少年の環境調整においても非常に重要な役割を担いますので、退学により少年の更生を害することにならぬよう慎重に対応する必要があります。
環境調整における学校の位置づけ
環境調整は、保護者を含めた家族との関係の調整、就業先の開拓、帰住先の確保等、少年の社会復帰を円滑にするために少年をとりまく環境を調整することです。
少年審判では、非行事実だけでなく、要保護性についても審理されるため、少年の更生に資する環境調整を行うことは、裁判官が少年に対する処分を検討する上でも重要な要素となります。
調整を行う環境のなかでも、少年が一日の中でも大半を過ごす学校について環境を調整することは必要不可欠です。
学校に在籍する少年の場合、今後も在籍できるかどうか、学校側が少年を受け入れて適切な指導をしてくれるかどうかは、少年の更生を考えるうえで重要な事項となります。
しかしながら、前述したように、学校が少年を退学にするなど、学校の対応が要保護性を解消する上での障害となることも少なくありません。
そこで、学校に関する環境調整を行うにあたっては、少年や保護者から、学校の状況やこれまでの学校や教師との関係性について聞き取った上で、適切に学校にアプローチしていかなくてはなりません。
学校が事件について把握している場合には、少年事件の手続や理念について説明したり、少年が自身の行為を猛省していることや復学を希望していること、少年の更生には学校の協力が必要不可欠であることを伝え、学校側の積極的な受け入れを要請することが必要となるでしょう。
少年事件は、成人の刑事事件とは異なる手続となりますので、少年事件については少年事件に強い弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。
お子様が事件を起こし、学校への対応にお困りの方は、少年事件に精通する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
略式手続で正式裁判を回避
略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市兵庫区の駅構内の階段で、女子学生のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したとして、会社員のAさんは迷惑防止条例違反で兵庫県兵庫警察署に逮捕されました。
翌日、Aさんは釈放されました。
ある日、神戸地方検察庁に呼び出されたAさんは、担当検察官から略式手続についての説明を受けました。
そのまま同意していいか判断できなかったAさんは、いったん保留にしてもらい、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
略式手続とは
「略式手続」というのは、簡易裁判所が、その管轄事件につき、検察官の請求のより、公判手続を経ないで、主として検察官の提出した証拠を審査して、一定額以下の罰金または科料を科す簡易裁判手続のことです。
事件の捜査を終えると、検察官は被疑者を起訴するか否かを決めます。
起訴するとした際も、検察官は正式裁判を請求することもできますし、略式命令を請求することもできます。
略式手続の特徴
略式命令の請求は、公訴の提起と同時に書面でしなければなりません。
また、被疑者が略式手続によることについて異議がないことことを書面で明らかにしなければならず、これを略式命令の請求書に添付しなければなりません。
略式手続は、非公開で、検察官が提出する書面や証拠物を審査した上で、略式命令が言い渡されます。
公判請求のように、起訴状一本主義の適用はなく、必要な書類・証拠物も裁判所に差し出さなければなりません。
略式命令では、100万円以下の罰金または科料を科すことができ、刑の執行を猶予することもできます。
略式命令を受けた者または検察官は、略式命令の告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができます。
略式手続のメリット・デメリット
被疑者から見た略式手続のメリットは、早期に社会復帰しやすいという点です。
公判請求された場合、裁判所に出廷しなければなりませんし、そのための準備に時間や労力を割くことになります。
また、裁判は公開で行われますので、身から出た錆とは言えども、自身が行った犯罪について世間に知られてしまうことになります。
この点、略式手続であれば、裁判所に何度も足を運ぶ必要はなく、普段の生活にそれほど支障をきたすことなく事件を終了させることができます。
特に、在宅事件であれば、事件について会社に発覚せずに事件が処理される可能性もあるでしょう。
逮捕・勾留されたとしても、略式手続がとられれば、その日に罰金を納めて釈放となりますので、早期に社会に復帰することができ、事件後の生活に大きな支障をきたすのを防ぐこともできます。
一方、略式手続がとられることのデメリットは、前科が付くということです。
略式手続といっても、裁判所に有罪判決が下されて、罰金または科料が科されるので、前科が付くことになります。
前科が付くことで日常生活に直接何らかの不利益が生じるのかと言えばそうではありませんが、ある一定の職に就く場合や資格を得る際に、欠格事由に該当してしまうこともあります。
また、検察官が略式命令を請求する前には、必ず被疑者に略式手続について詳しく説明し、被疑者の了解を得なければなりませんが、略式手続においては、被疑者被告人が自身の主張を行う機会はありません。
以上のように、略式手続には、メリットおよびデメリットがありますので、そられをよく考えた上で、略式手続に同意するか否かを判断しなければなりません。
そうはいっても、刑事手続には疎く、自分のケースではどちらがいいのかすぐには判断できないという方も多くいらっしゃるでしょう。
そのような場合には、略式手続に同意する前に、一度刑事事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。
上のケースのような初犯の盗撮事件であれば、被害者との示談が成立した場合には不起訴処分となる可能性も十分あります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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盗撮事件で不起訴処分に
盗撮事件で不起訴処分となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県伊丹市のゲームセンターで、女子高生のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したとして、ゲームセンターの従業員に取り押さえられたAさん。
その後、通報を受けて駆け付けた兵庫県伊丹警察署の警察官に、迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
Aさんは容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、事件について詳しいことが分からず不安になり、刑事事件に強い弁護士に接見を頼みました。
弁護士から接見の報告を受けたAさんの家族は、不起訴処分の可能性について弁護士に聞いています。
(フィクションです)
不起訴処分とは
目撃者や被害者からの通報、被害届の提出、職務質問などを端緒とし、事件が捜査機関に発覚すると、警察による捜査が始まります。
警察が犯人を特定し、逃亡や罪証隠滅のおそれがあると判断されれば、犯人を逮捕することもあります。
警察は、証拠や関係資料を、身体拘束している場合には犯人の身柄と一緒に、検察庁に送ります。
そして、検察官は警察から送られてきた証拠などを検討し、追加の捜査が必要な場合は、警察に支持し捜査を行います。
捜査を終えると、検察官は犯人を起訴するか否かを決めます。
検察官は、全ての事件について起訴するのではありません。
犯人がある罪を犯したと疑う十分な証拠がある場合であっても、起訴しないとする決定を行うこともあるのです。
起訴しないとする決定を「不起訴処分」といいます。
不起訴処分には、主に以下の種類があります。
①罪とならず
そもそも犯罪が成立しない場合には、罪とはならないので、検察官は不起訴とします。
②嫌疑なし
犯罪を認定する証拠がない場合や人違いのケースがこれに当たります。
③親告罪の告訴取り下げ
被害者等による告訴がなければ公訴を提起することができない罪を「親告罪」といいます。
親告罪について、被害者等が告訴を取り下げた場合には、起訴することができませんので、不起訴となります。
④起訴猶予
犯罪を起こしたことが事実であり、その証拠もあるけれども、犯人の年齢や境遇、性格や犯罪
の軽重、情状、犯罪後の情状などを考慮し、公訴の提起を猶予し不起訴とするものです。
不起訴処分の大半は④起訴猶予によるものと言われています。
犯人が初犯で、自分の罪を認めて素直に反省している場合には、起訴猶予に向けた弁護活動を行うことが重要です。
盗撮事件で不起訴処分を獲得するには
痴漢や盗撮事件では、他の犯罪と比べ起訴猶予が認められる可能性が高いので、起訴猶予での不起訴処分獲得を目指した弁護活動を行います。
被害者のいる犯罪については、被害が金銭面で回復されたか、被害者が被疑者に対してどのような感情を抱いているのかといった点が、検察官が処分を決めたり、裁判官が宣告刑を決めるにあたって重要な意味を持ちます。
ですので、盗撮事件のように被害者がいる場合、起訴猶予に向けた最も有効な弁護活動は、被害者と示談をすることと言えます。
示談は、加害者が被害者に対して被害弁償を行い、被害者からの許しをえ、今回の事件については当事者間で解決したとする合意のことです。
示談交渉を行うにあたって、まずは、被害者の連絡先を把握する必要があります。
通常、事件の担当検察官や警察官を通じて、被害者の連絡先を教えてもらうことになりますが、性犯罪事件の場合、検察官や警察官が被疑者やその家族に被害者の連絡先を教えることはありません。
被疑者が直接被害者と連絡をとることで、罪証隠滅のおそれが生じるからです。
また、性犯罪の被害者が直接加害者と連絡をとることに応じるケースは少なく、弁護人限りで、加害者には連絡先は伝えないと約束することで、弁護人に連絡先を教えてくれることが多いです。
被害者との示談交渉にあたっては、被害者の感情に配慮しつつ、加害者の謝罪の言葉や被害弁償の意思を誠実に伝える必要があります。
そのうえで、被害者が示談をするメリット・デメリットを丁寧に説明し、被害者および加害者の両者が納得のいく内容で示談が成立するよう粘り強く交渉していかなければなりません。
被害者との示談交渉には、刑事事件や示談交渉に長けた弁護士に依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件を起こしてお困りの方、被害者との示談交渉にお悩みの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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少年事件の審判手続について
少年事件の審判手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神崎郡福崎町に住む高校生のAくんは、駅の構内で女子高生のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したとして、兵庫県姫路警察署に逮捕されました。
Aくんは、逮捕された日の夜に、Aくんの母親が警察署に迎えに来て家に帰れることになりました。
その後、Aくんは何度か警察署で取り調べを受け、警察官からは「関係書類を検察に送ってから、家庭裁判所に送られることになる。家庭裁判所で審判を受けて、最終的な処分が決まる。」と言われました。
Aくんは、家庭裁判所の審判とはどのようなものなのか分からず心配になり、翌日、AくんとAくんの母親は、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
少年事件の場合、警察官や検察官は、原則としてすべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
家庭裁判所が事件を受理すると、審判条件や非行事実の存否について捜査機関から送られてきた事件記録によって、書記官や裁判官が法的調査を行います。
法的調査というのは、主に事件記録に基づいて、審判条件と非行事実の存否について、法律的な視点から行われる審査・検査のことです。
法的調査の結果、非行事実が存在することについて、裁判官が蓋然的心証を得た場合、原則として調査官に要保護性の判断のために社会調査を命じます。
要保護性というのは、多義的に用いられる用語ですが、概ね次の要素で構成されるものと理解されています。
①再非行の危険性
少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことによって、再非行の危険性を除去できる可能性。
③保護相当性
保護処分による保護がもっとも有効かつ適切な処遇であること。
調査官は、心理学、教育学、社会学などの専門としており、法律家である裁判官とは異なる観点から、非行少年が持つ問題性を探り、裁判官に調査結果を報告します。
社会調査が終了すると、調査官は、少年鑑別所の鑑別結果通知書などとともに裁判官に調査結果を提出します。
裁判官は、検察官や警察から送られた証拠書類などと併せて、調査官から提出された調査結果を検討してます。
その結果、審判に付することができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない決定をしなければなりません。
他方、少年が非行事実を行った蓋然性があり、調査官による教育的措置を経てもなお少年に要保護性が認められる場合には、審判開始決定がなされます。
ただし、家庭裁判所に事件が送致され、観護措置がとられた事件については、観護措置の要件として審判を開く蓋然性が求められるため、調査命令と共に審判開始決定が出されるのが通例となっています。
少年審判は、刑事裁判とは異なり、審判の手続や進行についても裁判官の裁量が大きいのが特徴です。
審判の時間は、非行事実に争いがなく、1回の審判で決定まで言い渡す事件であれば、40~60分ぐらいとなります。
審判の進行は、概ね、次のような順序で行われます。
①人定質問、黙秘権告知、非行事実の告知、それに対する少年・付添人の陳述
開廷後、裁判官は審判廷の在籍者を確認します。
その際、裁判官が少年やその保護者にどこの誰であるかを問い、出廷者が人間違いではないかを確認します。
次に、黙秘権の告知が行われ、裁判官から審判に付すべき事由の要旨が告げられ、これに対する少年の陳述が行われます。
また、少年の付添人に対しても非行事実に対する陳述が求められます。
②非行事実の審理
非行事実に争いのある場合、まずは、非行事実に関する審理を行い、その結果、裁判官が非行事実があるとの心証を得た場合に、要保護性について審理することになります。
③要保護性の審理
要保護性の審理では、少年本人に対する質問から始まり、少年の保護者や審判に在席している関係者に対する質問が行われます。
④調査官、付添人の処遇意見の陳述、少年の意見陳述
調査官と付添人は、裁判官の許可を得て、審判で意見を述べることができます。
最後に、裁判官が少年の意見を求め、少年が陳述します。
⑤決定の言渡し
審判手続がすべて終わると、裁判官が決定を言い渡します。
言渡しでは、まず初めに、裁判官は少年に対する処分の内容について述べます。
その次に、裁判官は、なぜ当該処分を決めたのか、理由を説明します。
概ね、以上のような流れで事件が処理されることになります。
少年事件の手続は、刑事事件とは異なりますので、少年事件に精通した弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
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強制性交等事件と中止犯
中止犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース①~
兵庫県兵庫県須磨区の路上で、Aさんは深夜に帰宅途中の若い女性を背後から襲い、近くの空き地に連れて行き、服を無理やり脱がした上で、行為に及ぼうとしました。
しかし、女性の悲痛な顔を見たことで、「可哀そうだ。」と我に返ったAさんは、その場から逃亡しました。
後日、兵庫県須磨警察署は、Aさんを強制性交等未遂の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)
~ケース②~
兵庫県神戸市須磨区の路上で、Aさんは深夜に帰宅途中の若い女性を背後から襲い、近くの空き地に連れて行き、服を無理やり脱がした上で、行為に及ぼうとしました。
しかし、その夜は非常に寒かったため、女性の身体に鳥肌がたっており、これを見たことで、性欲が減退したAさんは、その場から逃亡しました。
後日、兵庫県須磨警察署は、Aさんを強制性交等未遂の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)
中止犯とは
ケース①もケース②も、いずれもAさんは性交するに至らず、いずれも強制性交等未遂罪で逮捕されています。
未遂犯の場合、既遂(最終的に結果まで発生されたもの。強制性交等罪の場合には、実際に性交した場合をいいます)と比較して、その法定刑を減軽することが「できる」とされています(刑法43条)。
強制性交等罪の場合、法定刑は5年以上の懲役ですので、強制性交等未遂罪の法定刑が、2年6月以上の懲役という形で減軽される「こともある」ということになります。
これに対して、「自己の意思により犯罪を中止したとき」は、「刑を減軽し、又は免除する」とされており(刑法43条但書)、単なる未遂犯の場合と異なり、必ず法定刑が減免されることになっています。
このような場合を、一般に、中止犯と呼んでいます。
なお、中止犯は、自己の意思によって犯罪を中止しなければいけませんから、犯罪が既遂に達しているときには中止犯には当たり得ません。
未遂犯であることが前提となります。
中止犯の減免根拠
なぜ中止犯の場合に、刑が必ず減免されることになっているかについては、学説が分かれています。
よく説明に用いられるのは、政策説と呼ばれるものです。
法律は、できる限り結果の発生を避けることを目標としていますが、犯罪の実行に着手した犯人にも、できる限り最後の結果発生前に思いとどまってほしいと考えています。
そのため、「後戻りのための黄金の架け橋」として中止犯規定を設けておき、犯人に対して、犯罪を途中でやめるよう働きかけをしているというのが、この説の内容です。
これだけですべてを説明できるものではないかもしれませんが、中止犯というのは刑事政策的に設けられた規定であることは否定できないように思えます。
任意性
それでは、「自己の意思により犯罪を中止した」とはどのような場面でしょうか。
先ほど述べた通り、中止犯の規定は、刑事政策的な意図に基づいて設定されているものですから、刑の減免をするのに相応しい場面が選択されることになります。
一般に、この要件を「任意性」と呼んでおり、どのような場合が任意に犯罪を中止したといえるのかについて、判例や学説の集積があります。
この点について裁判例では、同じ立場に立たされた一般人であれば、通常犯行の継続を思いとどまらせるような状況であったかどうかということを基準に判断をしているものがあります。
しかし、判例上明確な定義などはなく、個別具体的な場面に応じて判断されるというほかありません。
中止行為
中止犯が成立するためには、「中止した」ことが要件となります。
実行行為自体が途中である場合には、それ以上行為を継続しなければ結果は発生しないため、行為を止めること自体で中止行為といえますが、既に実行行為が終了して結果が発生する前のような場合には、結果発生を防止するような行為を行う必要があります。
例えば、殺人のため、時限爆弾を仕掛けたというような場合には、実際にその爆弾を撤去するなどしなければ、中止行為として認められないということになります。
それでは、それぞれのケースについて中止犯の規定が適用されるかどうかを考えます。
①のケースは、Aさんが被害者の顔を見てかわいそうと考え、犯行を中止したというものです。一旦強制性交等罪に着手した以上、周りに人がいるとか、被害者に抵抗されるというような事情がない限り、犯人にとって、性交することに特段の障害があったとはいえません。
しかし、今回の場合には、かわいそうに思うという、犯人特有の事情により、犯罪の実行を中止ししたといえるでしょうから、
ケース①の場合には中止犯の規定が適用されると思われます。
これに対し、ケース②は、被害者の鳥肌をみて性欲が減退したというものです。
もちろん、この場合も物理的な障害があったというわけではありませんが、同じ状況に置かれた一般人であっても、性欲が減退するということは十分考えられます。
そのため、このような場合まで、中止犯の規定の恩恵を与えることは適当ではありません。
よって、ケース②の場合には中止犯規定は適用されないと思われます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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勾留阻止に成功する私選弁護人
私選弁護人と勾留阻止に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
通勤電車内で、女性(20代前半)の胸部等を触るなどのわいせつ行為をしたとして、兵庫県高砂警察署は、会社員のAさんを迷惑防止条例違反で逮捕しました。
Aさんには、パート勤務の妻と、大学進学予定の長男、高校生の長女がおり、最近ローンで家を購入したばかりです。
会社に発覚すれば解雇の可能性もあるため、Aさんは、早期に釈放してもらえないかと不安で仕方ありません。
(フィクションです)
勾留阻止に向けた活動
刑事事件を起こし逮捕されてしまった場合、「いつ釈放になるのか?」と心配になされることでしょう。
逮捕された方自身だけでなく、逮捕の連絡を受けた家族もまた、釈放の有無について気になるところでしょう。
というのも、事件のことが会社に発覚してしまうと、最悪、懲戒解雇となる可能性があるからです。
職を失ってしまえば、場合によっては再就職も難しいこともありますので、その後の生活が困窮してしまうおそれがあります。
また、家族がいる場合には、家族の生活や、子供の教育など、様々な面まで影響が及ぶ可能性もあります。
そこで重要なのが、身柄解放に向けた活動です。
逮捕後に、勾留となると、逮捕から最大で約23日間身柄が拘束されることになります。
逮捕から勾留までは、3日で決まってしまいます。
ですので、勾留が決定する前に迅速に関係各所に働きかける必要があります。
1.警察から検察に送致された場合
警察がAさんを検察に送致した場合、弁護士は、担当検察官に対して勾留請求をしないよう働きかけます。
具体的には、Aさんは勾留要件を満たしていない旨を主張した意見書を担当検察官に提出します。
意見書には、Aさん作成の誓約書、Aさんの家族作成の上申書や身元引受書を付せ、客観的に罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを主張します。
これにより、検察官が裁判官に対して勾留請求をしないよう働きかけます。
2.検察官が勾留請求した場合
上の働きかけにもかかわらず、検察官が勾留請求をした場合には、弁護士は、今度は裁判官に対して勾留決定をしないよう働きかけます。
勾留要件をを満たしていない旨を意見書を通じて裁判官に主張します。
兵庫県では、おおむね警察から検察に送致された日に勾留決定までが行われます。
勾留を阻止するためには、送致から勾留決定までの間に上記の活動を行う必要があります。
このような活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。
私選弁護人を選任するメリット
さて、上のような勾留阻止に向けた活動は、弁護士が担う重要な活動のひとつですが、いつ弁護人を選任することができるのでしょうか。
それは、選任する弁護人の種類によって異なります。
弁護人には、私選弁護人と国選弁護人の2種類あります。
両者の違いを簡単に言えば、前者は、被疑者・被告人が自分で弁護費用を負担しなければならないのに対して、後者は、その費用を国が負担する点です。
経済的観点から、「国選弁護人を選んだ方が得なのでは?」と思われる方もいらっしゃいますが、国選弁護人の選任にも、幾つか満たさなければならない要件があります。
国選弁護人の選任要件には、資力要件があり、資産が50万円を下回る場合です。
また、勾留状が発せられていなければ国選弁護人を選任することはできません。
つまり、勾留されて初めて、国選弁護人を選任することができるのです。
ですので、早期釈放を望む場合、勾留が決定してしまった後でしか、弁護人に身柄解放活動をお願いすることができませんので、準抗告という手段もありますが、釈放までに更に時間がかかってしまうおそれがあります。
この点、私選弁護人はいつでも選任することができますので、逮捕後すぐに身柄解放に着手してもらうことも可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こしご対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
刑事事件に強い弁護士であれば、刑事事件の流れや提出すべき書面・資料をきちんと把握していますので、素早く的確に動くことが期待されます。
未成年との性交で刑事事件に発展!?
未成年との性交で刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社員のAさんは、SNSを通じて知り合ったVさん(15歳)と会って食事をすることになりました。
食事の後、カラオケに行くことになったAさんとVさんは、カラオケでいい雰囲気になり、そのまま性交をしました。
Aさんは、その後もVさんと連絡をとりあっていましたが、ある日突然連絡が取れなくなりました。
不思議に思っていたAさんでしたが、突然兵庫県川西警察署から連絡があり、Vさんの件で話が聞きたいと言われました。
今後の自分の処遇について心配になったAさんは、警察に行く前に刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
未成年者との性交で成立し得る犯罪とは?
未成年者でも18歳に満たない者と性交を行った場合には、どのような罪に問われ得るでしょうか。
成立し得る犯罪としては、(1)淫行条例違反、(2)児童買春罪、(3)強制性交等罪が挙げられます。
(1)淫行条例違反
「淫行条例」とは、各都道府県が定める青少年保護育成条例の中で、18歳未満の青少年との「淫行」を禁止する条文の通称のことです。
兵庫県では、青少年愛護条例の第21条に規定されています。
第21条 何人も、青少年に対し、みだなら性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
ここでいう「みだらな性行為又はわいせつな行為」とはいったいどのような行為を指すのか、という点が気になるところでしょう。
各都道府県が規定する淫行条例の文言は「淫行」「みだなら性行為」「わいせつな行為」「みだらな性交」等、若干の違いはありますが、青少年との「淫行」について規定している点で共通しています。
そこで、「みだらな性行為又はわいせつな行為」について、最高裁判所による福岡県青少年保護育成条例における淫行条例の解釈を参照してみたいと思います。
(淫行条例の)趣旨は、一般に青少年が、その心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的に未だ十分に安定していないため、性行為等によつて精神的な痛手を受け易く、また、その痛手からの回復が困難となりがちである等の事情にかんがみ、青少年の健全な育成を図るため、青少年を対象としてなされる性行為等のうち、その育成を阻害するおそれのあるものとして社会通念上非難を受けるべき性質のものを禁止することとしたものであることが明らかであつて、右のような本件各規定の趣旨及びその文理等に徴すると、本条例一〇条一項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。【最高裁昭和60年10月23日大法廷判決】
「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められない」と判断される場合の明確な線引きは難しいですが、性交等に至るまでの経緯や両者の関係性などの要素を考慮して判断されることになります。
上記ケースのように、よく素性も分からないネットで知り合った相手と会ってすぐに性交する場合には、当該要件を満たしていると判断される可能性があるでしょう。
他方、両親も当事者の交際を認めており、結婚を前提にしているといった場合やそれに近い関係性が認められる場合には、淫行条例違反とはならないでしょう。
兵庫県において、淫行条例違反に対する罰則は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
(2)児童買春罪
お金を払う等して児童と性交等を行うことを「児童買春」といい、児童買春は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(通称:児童買春・児童ポルノ禁止法)」により禁止され、罰則規定も設けられています。
児童買春・児童ポルノ禁止法における「児童」とは、18歳未満の者をいいます。
そして、問題となる「児童買春」については、以下のように定義されています。
第二条
2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為とし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
まず、児童買春が成立するためには、①児童本人、児童買春の斡旋者、児童の保護者等に対して、金銭などを渡したり、その約束をして、②児童と性交等を行う、ことが必要となります。
児童買春罪の法定刑は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。
(3)強制性交等罪
相手児童が13歳未満であった場合、暴行・脅迫を用いずとも、金銭のやりとりがなくとも強制性交等罪が成立することになります。
強制性交等の法定刑は、5年以上の有期懲役です。
18歳未満の者と性交をしたからといって、必ずしも何らかの罪に問われるとは限りませんが、上記の犯罪のいずれかの構成要件を充たす場合には、刑事事件として発展し刑事責任に問われる可能性もあります。
そのような場合には、早期に弁護士に相談し、今後の流れや取調べ対応について適切なアドバイスを得ることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
男女間トラブル:強制性交等罪となる場合
男女間トラブルから強制性交等罪に問われ得る場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
出会い系アプリで知り合った女性Vさんと食事をすることになったAさん。
食事の後、カラオケに行き、いい雰囲気になったところで、AさんはVさんにキスをしました。
Vさんも嫌がる様子はなく、Aさんはそのまま性交をしようとしました。
Vさんは、「ちょっとそれは」と言っていましたが、はっきりと拒絶する態度をとらなかったので、Aさんは「これはOKだということだな。」と思い、そのまま続けました。
その後、普通に会話し、カラオケ店を後にした二人は、また会う約束をして別れました。
しかし、後日、Vさんから「同意なくされた。あれはレイプだ。警察に相談する。」という内容のメッセージが送られてきました。
驚いたAさんは、Vさんと連絡をとろうとしましたが、返事がありません。
心配になったAさんは、このまま刑事事件に発展する可能性があるのか、刑事事件に詳しい弁護士に相談しに行きました。
(フィクションです)
強制性交等罪について
男女間トラブルから刑事事件に発展するケースがあります。
DV事件であれば、暴行罪や傷害罪に問われることが多く、強制性交等罪や強制わいせつ罪などの性犯罪に問われる場合には、男女間で同意があったか否かが問題となるケースがよく見受けられます。
最近では、出会い系アプリを通じて知り合った男女がその場の雰囲気で肉体関係をもち、後に同意がなかったと相手方から主張されるケースが多く、男女間での同意の認識の違いから事件に発展しています。
それでは、強制性交等罪が成立する場合について説明していきます。
強制性交等罪は、刑法第177条に規定される罪です。
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
強制性交等罪は、平成29年の刑法改正により、強姦罪に替えて新設されました。
◇暴行・脅迫◇
13歳以上の者に対する場合は、「暴行又は脅迫」を加えた場合に限り本罪が成立します。
この「暴行・脅迫」は、相手の反抗を抑圧する程度に達しなくてもよいが、反抗を著しく困難にならしめる程度に達することが必要です。
反抗を著しく困難ならしめるものか否かの判断は、暴行・脅迫それ自体だけでなく、相手の年齢・性別、犯人の素行・経歴等や暴行・脅迫が行われた時間・場所の四囲の環境その他具体的な事情と相まって判断されます。
13歳未満の者に対する場合は、暴行・脅迫の要件はありませんので、それらを用いずとも、例え相手方が同意していたとしても本罪は成立します。
この点、未必的であれ相手方が13歳未満であると認識していることが必要です。
◇性交等◇
「性交等」は、「性交」、「肛門性交」と「口腔性交」と合わせた呼称です。
「性交」は、陰茎を膣内に没入することで、射精まで要しません。
「肛門性交」とは、肛門内に陰茎を入れる行為で、「口腔性交」は、口腔内に陰茎を入れる行為のことです。
◇未遂◇
強制性交等罪は、未遂も処罰されます。
暴行・脅迫を加えたものの強制性交等に取り掛からなかった場合、強制性交等に取り掛かったが没入しなかった場合であっても、強制性交等の目的をもって行ったのであれば強制性交等未遂となります。
◇故意◇
強制性交等罪は、故意犯です。
つまり、相手方(13歳以上の者)に対して、暴行又は脅迫を手段として性交等を行う認識があった場合に限り、本罪が成立します。
相手方も同意していると思っていたのであれば、暴行・脅迫を用いて性交等をしたとは認識していないので、故意がなく本罪が成立しないことになります。
もっとも、加害者側が単に「同意があった」と主張するだけでは、同意があったと認められることは難しいでしょう。
同意があった旨を主張するのであれば、それを裏付ける客観的な証拠が必要となります。
強制性交等事件の加害者となってしまったら
「同意があったと思っていた。」、「いけるだろうと思っていた。」のに、相手方からレイプだと非難されるケースは少なくありません。
出会い系などで知り合った相手の場合、そのまま放置して事なきを終えようとするケースもありますが、相手方が被害届を提出すれば、捜査機関により身元が特定されてしまう可能性もあります。
警察からの呼び出しを受けているのであれば、今後どのような手続となるのか、取調べでどのように対応すればよいのかについて弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
強制性交等事件で対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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トイレでの盗撮事件
トイレでの盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社員のAさんは、兵庫県三木市にある商業施設内の男子トイレで小便中だった小学生の男児の横に立ち、スマートフォンで男児を盗撮しました。
Aさんの行為に気づいた男児は、すぐにトイレの外で待っていた母親に知らせ、母親は商業施設の警備員に通報しました。
警備員はすぐにトイレに駆け付け、近くにいたAさんに任意同行を求め、Aさんのスマートフォンを確認したところ画像が残っていたため、兵庫県三木警察署に通報し、Aさんは駆け付けた警察官に逮捕されました。
(フィクションです)
トイレでの盗撮事件~成立し得る罪名は?~
盗撮は、盗撮場所、対象、態様によって成立する罪が異なります。
ほとんどの場合、盗撮行為は各都道府県が定める迷惑防止条例違反となります。
兵庫県では、盗撮を禁止する条文が次のように規定されています。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
兵庫県の迷惑防止条例では、次の行為を禁止し、違反者に対する罰則を定めています。
①公共の場所・乗物における盗撮行為および盗撮目的でのカメラ等の設置行為。
②不特定多数の者が利用する場所・乗物における盗撮行為、盗撮目的でのカメラ等の差し入れおよび設置。
③人が通常衣類の全部または一部を着けない状態でいるような場所での盗撮行為、盗撮目的でのカメラ等の差し向けおよび設置。
違反者に対しては、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、常習として違反した者には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
盗撮の対象が18歳未満の者であった場合には、児童ポルノ規制法違反に当たる可能性もあります。
児童ポルノ規制法(正式名称:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)は、第7条5項において盗撮による児童ポルノの製造を禁止しています。
5 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
当該条項に違反した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
盗撮事件で逮捕されたら
盗撮事件で逮捕された場合、主に次のような弁護活動を行います。
◇身柄解放活動◇
逮捕後に勾留となると、最大で逮捕から23日もの間身体が拘束されるおそれがあります。
長期間の身体拘束は、解雇や退学の可能性を生じさせますので、できる限り回避する必要があります。
ですので、逮捕されたら早期に弁護士に相談・依頼し、勾留を回避するよう関係各所に働きかけてもらうことが重要です。
◇被害者との示談交渉◇
盗撮事件のように被害者が存在する事件では、被害者との示談を成立させることが事件を穏便に解決するための重要な要素となります。
上で挙げた罪名のどちらも親告罪ではありませんので、被害者との示談が成立したからといって必ずしも検察官が起訴しないとは限りません。
しかし、検察官が起訴・不起訴の判断をする際、被害者との示談が成立しているか否かという点を十分考慮しますので、早期に被害者との示談を成立させる必要があります。
捜査機関が被疑者に直接被害者の連絡先を教えることはありませんし、被害者も被疑者に自身の連絡先を教えることには消極的です。
ですので、代理人である弁護士を介して被害者との示談交渉を行うのが一般的です。
このような活動は、刑事事件に精通した弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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痴漢事件の身柄解放活動
痴漢事件の身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社の飲み会の帰りに電車に乗車したAさんは、膝上のスカートをはいた若い女性の隣に座りました。
酒に酔っていたこともあり、Aさんは気が大きくなって、眠っている様子の女性の太ももやお尻を手で何度も触りました。
電車を乗り換えるため下車したAさんでしたが、後から女性が追いかけてきて、「痴漢しましたよね。駅員室に行きましょう。」と声をかけられ、女性に腕を掴まれたAさんは、抵抗することなく駅員室に行きました。
その後、Aさんは駆け付けた警察官に逮捕され、兵庫県芦屋警察署に連れて行かれました。
翌朝、逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、会社には「体調が悪く休む。」とだけ連絡を入れましたが、このまま釈放されなければ会社に発覚してしまうのではと大変心配しています。
Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に身柄解放活動について相談しました。
(フィクションです)
刑事事件を起こし逮捕されたら
あなたが何らかの罪を犯したとしましょう。
被害者から被害届が提出された、目撃者からの通報を受けた、警察の職務質問から発覚した、などなど、事件が捜査機関に発覚するケースは幾つか考えられますが、捜査機関が事件を認知すると、捜査が開始されます。
被疑者が特定されれば、被疑者に対する取調べが行われることになりますが、被疑者の身体を拘束する理由や必要性があると判断された場合には「逮捕」されます。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも、被疑者の身柄、書類や証拠物とともに事件を検察に送る(これを「送致」といいます。)かを決めます。
検察に送致した場合には、検察官が被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放する、もしくは勾留請求を行います。
検察官が勾留請求を行うと、今度は、請求を受けた裁判官が被疑者を勾留するか否かを判断します。
裁判官が勾留を決定した場合、被疑者は、検察官が勾留請求を行った日から原則10日、延長が認められれば最大で20日もの間、留置場で身柄が拘束されることになります。
身柄解放活動
このように、逮捕から勾留まで3日ほどしかありません。
「逮捕された!」と思ったら、あっという間に勾留となり、長期間の身体拘束を余儀なくされてしまう可能性があるのです。
長期の身体拘束は、退学や解雇といった結果を生じさせる可能性も高く、その後の生活にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。
そのような事態を回避するためにも、早期の釈放に向けた身柄解放活動を行うことが重要です。
(1)勾留が決まる前
勾留が決まる前の段階においては、検察官や裁判官に対して勾留請求・勾留をしないよう働きかけることが重要です。
具体的には、勾留の要件を満たさないことを主張した意見書を客観的な証拠と共に検察官や裁判官に提出したり、検察官や裁判官と面談しその旨を伝えます。
これにより、検察官が勾留請求をせず被疑者を釈放したり、検察官が勾留請求したとしても裁判官がこれを却下することにより被疑者が釈放される可能性を高めることができます。
(2)勾留が決まった後
一旦勾留が決まってしまっても、勾留を決定した裁判に対する不服申立てを行うことが法律で認められています。
ここでも、勾留の要件を満たさないため勾留とした原裁判は取り消されるべきであり、検察官が行った勾留請求も却下されるべきであるとの主張を展開することになります。
痴漢事件の場合、容疑を認めており、家族などの身元引受人による釈放後の監視監督が期待できるなど、逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断されれば、早期に釈放される可能性はあります。
逆に言えば、痴漢事件であっても、否認している場合や、被害者に接触するおおれがあると判断されると、身体拘束が長引く可能性もあります。
ですので、痴漢事件だと軽く考えずに、ご家族が逮捕されたのであれば、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談し、身柄解放活動を依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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