少年事件の手続について~家庭裁判所送致後~

2020-03-23

少年事件手続家庭裁判所送致後)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県美方郡香美町に住む中学生のAくん(14歳)は、路上で帰宅途中の女児の身体を触るなどした疑いで兵庫県美方警察署に逮捕されました。
逮捕後、勾留されずに釈放となりましたが、家庭裁判所送致された後に身体拘束される可能性もあると警察から聞いて心配になったAくんの両親は、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

前回は、少年事件の捜査段階の手続について説明しました。
今回は、家庭裁判所送致された後の手続についてみていきましょう。

家庭裁判所への送致

家庭裁判所が事件を受理する経路は、関係機関からの送致と通告があります。
ここでは、送致の経路についてみていきます。

①検察官からの送致

検察官は、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると考えるとき、および、犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があるときには、少年の被疑事件について家庭裁判所送致しなければなりません。

②警察(司法警察員)からの送致

(a)犯罪少年の場合
司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑に当たる犯罪の嫌疑があると考えるときは、事件を家庭裁判所送致しなければなりません。
これを「直送」と呼んでいます。

(b)虞犯少年の場合
少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑はないものの家庭裁判所の審判に付すべき事由があると考えるときは、事件を家庭裁判所送致しなければなりません。

③都道府県知事または児童相談所長からの送致

触法少年や14歳未満の虞犯少年については、都道府県知事または児童相談所長から送致を受けたときに限り、家庭裁判所の審判に付することができます。
触法少年に対する調査が警察により実施された事件については、調査の結果、事件が警察から児童相談所長に送致された場合には、都道府県知事または児童相談所長は原則事件を家庭裁判所送致します。

④簡易送致

司法警察員が捜査した少年事件で、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因および動機、少年の性格、行状、家庭の状況や環境などから見て再犯のおそれがなく、刑事処分や保護処分を必要としないと明らかに認められ、かつ、検察官や家庭裁判所からあらかじめ指定されたものについては、少年ごとに少年事件簡易送致書と捜査報告書を作成し、これを身上調査票などの関係書類を添付して、1か月にまとめて検察官または家庭裁判所送致する処理手続があります。
簡易送致の対象となるのは、窃盗、詐欺、横領、盗品等に関する罪、その他長期3年以下の懲役もしくは禁錮、罰金、拘留、科料に当たる罪であって、被害額がおおむね1万円未満といった法益侵害が極めて軽微なものとされます。

観護措置について

さて、家庭裁判所が事件を受理すると、事件が家庭裁判所に係属している間はいつでも、家庭裁判所は「観護措置」をとることができます。
観護措置は、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置です。

捜査段階で、逮捕・勾留されている少年が家庭裁判所送致された場合、家庭裁判所に到着してから24時間以内に、家庭裁判所は観護措置をとるか否かの決定をしなければなりません。
実務上、捜査段階で逮捕・勾留されていた少年については、家庭裁判所送致されると、引き続き少年鑑別所に収容する観護措置がとられることが多くなっています。

観護措置の要件は、以下の通りです。

①事件の係属
事件が観護措置をとる家庭裁判所に係属していること。

②審判条件
審判条件が満たされていること。

③審判に付すべき事由があることの蓋然性
審判に付すべき事由(非行事実・ぐ犯事由等)が認められることの蓋然性がある。

④審判開始決定を行う蓋然性
審判開始が見込まれる事件であること。

⑤観護措置の必要性
次のいずれかが認められることが必要。
(ア)身柄確保の必要性
   住所不定または逃亡のおそれがあるなど、少年の出頭を確保する必要がある場合や、証拠隠滅のおそれがあり、証拠保全のためには必要である場合。
(イ)緊急保護のための暫定的身柄確保の必要性
   自殺や自傷のおそれがある場合、家族から虐待を受けている場合、暴力団などの反社会的活動を行う集団の悪影響から保護する必要がある場合など。
(ウ)収容鑑別を実施する必要性
   少年の心身の状況や性格傾向などを考慮し、継続的な行動観察や外界と遮断された環境で鑑別する必要がある場合。

以上のような要件を満たし、観護措置がとられた場合、原則2週間、実務上は4週間少年鑑別所に収容されることとなります。

観護措置は長期間の収容となるため、少年は学校や職場を休まざるを得ず、後の生活に大きな影響を及ぼしかねません。
そのため、付添人である弁護士は、家庭裁判所が観護措置を決定する前に、観護措置をとらなうよう意見書を提出したり、裁判官と面談するなどし、観護措置回避に向けて動きます。
逮捕・勾留により捜査段階から身体拘束を受けている場合には、事件が家庭裁判所送致されたタイミングで、意見書を提出し、裁判官が少年と面談する前に少年が抱える事情を考慮してもらう必要があります。
また、捜査段階で身体拘束を受けていない場合でも、事件内容や少年の性格等から観護措置をとる必要があると判断されるケースもありますので、この場合も事件が家庭裁判所送致された段階で、観護措置をとらないよう説得的に主張する必要があります。

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