痴漢事件で被害者と示談するには

2019-09-28

痴漢事件で被害者と示談するには

痴漢事件での被害者との示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、電車で通勤していました。
ある夜、会社の飲み会があり、かなりお酒が入った状態で最終電車に乗車しました。
Aさんは、隣に座っていた大学生と思われる女性が眠っていると思い、女性の太ももをさするなどの痴漢行為を行いました。
ところが、Aさんが電車を降りると、さきほどまで隣に座っていた女性に声を掛けられ、振り返ると、「あなた痴漢しましたよね?一緒に駅員室に行きましょう。」と言われ、そのまま駅員室に連れて行かれました。
その後、兵庫県飾磨警察署に行き、Aさんは迷惑防止条例違反の容疑で取り調べを受けることになりました。
Aさんは容疑を認めており、被害者に謝罪したと申し出ましたが、被害女性はAさんと直接連絡とりたくはないようで、警察からは「弁護士にでも相談したらどうか。」と言われました。
(フィクションです)

痴漢事件

弊所が受ける法律相談のなかでも、痴漢事件や盗撮事件に関するものが多くを占めています。
「家族が逮捕されてしまったが、すぐに釈放されないか。」、「今後どのような流れになるのか。どのような刑罰を受けるのか。」、「被害者の方に謝罪や被害弁償をしたいけれども、どうしたらいいのか。」などという相談が多く寄せられています。

痴漢をすると、多くの場合、各都道府県が定める迷惑防止条例違反の罪に問われます。
どこで痴漢行為を行ったかによって、どの都道府県の迷惑防止条例が適用されるかが異なりますが、痴漢に関して言えば各条例の内容にそれほど違いはありません。
痴漢は、各都道府県が定める迷惑防止条例が禁止する「卑わいな言動」に当たります。

以下、兵庫県の迷惑防止条例の該当条項です。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動

公共の場所・乗物において、「不安を覚えさせるような卑わいな言動」を行った場合に成立します。
電車内での痴漢はまさに当該条項違反の典型例です。
当該違反行為に対する刑罰は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
常習として痴漢行為を行った者に対しては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と刑罰は加重されます。

痴漢事件では、逮捕されたとしても、初犯であり、容疑を認めている場合には、家族などの身元引受人が迎えに来ることで釈放される可能性があります。
この点、釈放されたことから、事件が終了したと勘違いされる方もいらっしゃいますが、残念ながら、釈放されたからといって事件が終わるなんてことにはなりません。
在宅事件として、身柄拘束しないまま被疑者としての取調べが続くのです。
警察での捜査が終了すると、事件は検察に送致され、今度は検察官から呼び出され取調べを受けることになります。
その後、検察官が被疑者を起訴するかどうかを決定します。
ここで、起訴しないとする処分(「不起訴処分」)となれば、事件は終了します。
一方、検察官が起訴した場合には、略式手続で略式命令を言い渡され罰金を納める、若しくは、公判請求され公判を経て有罪・無罪が言い渡され、有罪の場合には執行猶予付き判決または実刑判決が下れるという流れになります。
痴漢事件の場合、前科があれば、公判請求される可能性がありますが、そうでなければ、不起訴処分か略式手続で罰金刑となることが多いですのですが、不起訴処分で終わるか、罰金刑で終わるかは、大きな違いと言えるでしょう。

ここでは容疑を認めていることを前提としてお話しますが、この場合の不起訴処分は「起訴猶予」となります。
これは、被疑者が犯罪を行ったと立証するに十分な証拠があるけれども、被疑者の年令・性格・境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況を考慮し、訴追の必要がないため、起訴しないとする処分です。
この判断をする際に、考慮要素となるのが、被害者との示談の有無です。
示談というのは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者が被害届の提出をしない等、当事者間では今回の事件は解決したとする約束のことをいいます。
迷惑防止条例違反は親告罪ではありませんが、初犯であり、被害者との間で示談が成立しており、被害者から許しが得られている場合には、検察官があえて起訴に踏み切る可能性は低いと言えるでしょう。
不起訴処分となれば、前科はつきません。

他方、初犯であっても、被害者との示談が成立していない場合や、件数が多く全ての被害者との示談が困難である場合には、略式起訴され罰金刑を受ける可能性もあります。
略式手続は、公判を開くことなく書面上での手続で終了しますが、罰金刑を受けることになり、有罪の前科が付くことには変わり有りません。

つまり、被害者との示談の有無が、刑事処分に大きく影響し得るのです。

しかしながら、当事者同士で直接示談交渉することは事実上難しい場合が多いのです。
被害者から連絡先を教えたくないと言われるケースや、連絡がとれて直接交渉したとしても、お互いやったやってないの感情論になり交渉がうまくまとまらないケースが多いからです。
そのような場合には、弁護士を介して示談交渉を行うのがよいでしょう。
弁護士限りなら連絡先を教えてもよいと言われることも多く、冷静で粘り強い交渉を行うことで高額な示談金を支払うこと回避し、清算条項や宥恕条項などをきちんと盛り込んだ示談書を作成することができます。

痴漢事件での示談交渉にお悩みであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料の法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881へ。