痴漢事件で自首

痴漢事件で自首

自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県宝塚市に住む会社員のAさんは、通勤で利用する電車で隣に座っていた女性が眠っていたようなので、スカートの上から女性の脚やお尻を触りました。
電車が駅に到着しようとしていたその時、眠っていたと思っていた女性は、「やめてくれますか」とAさんに言ってきたので、Aさんは驚いて思わずそのまま席を立ち、停車駅で降車しました。
その後、家に帰宅したAさんは、「女性が警察に被害届を出し、警察が捜査しはじめたら、きっと防犯カメラに映っている映像から犯人を割り出すだろう。そしたら、逮捕されてしまうかもしれない。」と不安で仕方ありません。
Aさんは、ネットで刑事事件に強い弁護士を探し、翌日相談の電話を入れました。
(フィクションです)

捜査の端緒

捜査は、警察などの捜査機関が、犯罪があると考えるとき、犯人と思われる者を特定・発見し、必要な場合にはその身柄を確保するとともに、証拠を収集・保全する一連の手続をいいます。
捜査機関が「犯罪がある」と考えるきっかけを「捜査の端緒」と呼びます。
捜査の端緒には、以下のものがありま。
・被害者や被害関係者の届出・告訴・告発
・警察官による現認(現に犯罪を行っていることを認知したもの)、職務質問、取調べ(取調べ中に他の犯罪が判明したもの)
・犯人の自首

痴漢事件では、被害者からの被害届の提出や被害者・目撃者等により現行犯逮捕されることをきっかけに事件が発覚するケースが多くなっています。

ここでは、捜査の端緒である「自首」について説明していきます。

自首とは

罪を犯した人が、自ら捜査機関に対して、自分が犯した罪を自発的に申告し、その処分を求める意思表示のことを「自首」といいます。
単に、警察署などに自ら出向くだけでは、法律上の自首が成立するとは限らないのです。

刑法第42条は、自首について規定しています。

罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

つまり、自首の成立要件は、以下の4つになります。
①犯罪を起こした本人自らが自発的に犯罪事実を申告していること
②犯罪を行った本人が自身の罰則や処分を求めていること
③捜査機関に申告していること
④捜査機関が犯罪事実や犯人を特定していない段階で申告していること
これらの要件を充たしている場合に、はじめて自首が成立することになります。

自首が成立すると、刑が減軽される可能性があります。
どの程度刑が減軽されるかについても、刑法第68条が定めています。

法律上刑を減軽すべき1個又は2個以上の事由があるときは、次の例による。
1 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁固又は10年以上の懲役若しくは禁固とする。
2 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、7年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
3 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。
4 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。
5 拘留を減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。
6 科料を減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。

上記ケースの場合、Aさんは女性の服の上から体を触ったので、兵庫県迷惑防止条例違反が成立すると考えられます。
迷惑防止条例違反の痴漢に対する法定刑は、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
常習が認められると、刑が加重され、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
有期懲役の場合、長期及び短期の2分の1に、罰金の場合、多額及び寡額の2分の1に減軽されるので、迷惑防止条例違反の痴漢の場合には、3か月以下の懲役又は25万円以下の罰金(常習の場合、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)の範囲内で刑罰が科されることになります。

痴漢事件を起こしてしまった場合、自首することもひとつの選択肢です。
自首することにより、刑を軽くしてもらえる可能性もありますし、逃亡のおそれがないことをアピールすることにもなり逮捕の可能性を低めることもなります。

痴漢事件でお困りの方、刑事事件を起こして自首をお考えの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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