痴漢事件で逮捕されたら
痴漢事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県西宮市にある学校に通う高校生のAくんは、通学で利用する電車で女子高生の臀部を触ったとして、兵庫県西宮警察署に迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
電車を降りようとした際に、女子高生に「お尻触りましたよね」と言われ、怖くなったAくんは、そのまま足早にホームから改札口に向かって逃げました。
被害者の証言や防犯カメラの映像から身元が特定されたようです。
Aくんの両親は、Aくんの早期身柄解放を希望しており、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
迷惑防止条例違反の痴漢事件
兵庫県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(通称、迷惑防止条例)は、ダフ屋行為、ショバ屋行為、景品買い行為、粗暴行為、押売行為、不当客引き行為、かたり行為、行楽地等の危険行為などの他に、痴漢行為や盗撮行為、ストーカー規制法では処罰できないつきまとい行為などを取り締まりの対象としています。
弊所に相談に来られる方で、最も多い相談内容のひとつが「痴漢行為」です。
痴漢行為は、その態様により、刑法上の強制わいせつ罪に問われることもあり得ますが、ほとんどの場合は、わいせつとまではいえないケースで、迷惑防止条例違反として処理されます。
兵庫県の迷惑防止条例では、「卑わいな行為等の禁止」と題して、以下のように規定されています。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
痴漢行為が問題となるのは、「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」です。
「不安を覚えさせるような」とは、卑わいな言動によって身体に対する危険を感じさせ、あるいは心理的圧迫を与えることをいい、脅迫に至らないものをいいます。
行為者の言動が、客観的に、他人を不安を覚えさせるようなもので足り、現実に他人に不安を覚えさせることは必要となりません。
「卑わいな言動」というのは、一般人の性的道義観念に反し、他人に性的羞恥心、嫌悪を覚えさせ、又は不安を覚えさせるようないやらしくみだらな言語、動作をいいます。
この「卑わいな言動」の中には、刑法第174条の「わいせつな行為」も含まれ、「卑わいな言動」は「わいせつな行為」よりも広いと解されます。
また、迷惑防止条例は、このような「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」は、「公共の場所又は公共の乗物」において行われることを規制対象としています。
「公共の場所」とは、不特定かつ多数が自由に利用し、又は出入りすることができる場所をいいます。
道路、公園、広場、駅、桟橋、ふ頭、デパート、飲食店、興行場なども公共の場所に含まれます。
「公共の乗物」は、電車や乗り合いバス、船舶、航空機その他不特定多数の者が利用するための乗物を指します。
痴漢事件で逮捕されたら
痴漢で逮捕されると、逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも被疑者の身柄を検察に送るかを判断します。
警察から検察に送致された場合、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、検察官は被疑者を釈放するか、あるいは裁判官に対して勾留請求を行うかを決めます。
被疑者を勾留する必要があるとし、裁判官に対して勾留請求を行うと、勾留請求を受けた裁判官は、被疑者を勾留するか、それとも釈放するかを決定します。
勾留決定がなされると、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長されれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。
被疑者が少年の場合には、基本的に成人の刑事事件と同じ流れとなりますが、勾留に代わる観護措置がとられる場合があります。
勾留に代わる観護措置は、留置場所が警察署から少年鑑別所になり、期間も10日と延長はありません。
しかし、勾留に代わる観護措置がとられた場合、その後家庭裁判所に送致されると、当然に観護措置がとられ、逮捕から審判終了までの約1か月半もの間身柄が拘束されることになる点に注意が必要です。
このように、逮捕されるとあっという間に勾留となり長期間の身体拘束を余儀なくされてしまう可能性があります。
刑事事件は、迅速に対応する必要がありますので、身柄解放をお望みであれば、できる限り早い段階から弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
お子様が痴漢で逮捕されてしまったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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