チケット不正転売禁止法が6月14日施行

2019-07-08

チケット不正転売禁止法が6月14日施行

チケット不正転売禁止法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
某人気アイドルのコンサートチケットをオークションサイトでファンクラブ価格7,500円のところ5万円で転売したとして兵庫県尼崎東警察署は、無職のAさんをチケット不正転売禁止法違反の容疑で逮捕しました。
Aさんは、「業として行っていない」と容疑を否認しています。
(フィクションです)

チケットの転売行為で成立し得る犯罪とは?

人気歌手やアイドルのコンサートチケットは、ファンクラブ会員であってもそう簡単に入手することはできません。
ですが、熱烈なファンであれば、何とか手に入れたいと思うものでしょう。
一昔前であれば、コンサート会場の周囲で、チケット転売する、いわゆる「ダフ屋行為」が頻繁に見受けられていたようですが、ネットが普及した近年では、ネットオークションや転売サイト、SNSなどを通じて個人間で転売されるケースが多くなっているようです。
しかし、「自分が行くために買ったけど、用事で行けなくなってしまったから、他の人に譲ろう」といった理由ではなく、もともと原価よりも高値でチケットを他人に有償で譲り渡し利益を得ようと企み、チケットを購入する人間が少なからずいるのです。
転売目的でチケットが大量に購入され、本当のファンがチケットを入手することが非常に困難となることで、ファンからは不正転売行為の取り締まりを求める声が上がっていました。

では、チケット転売行為はどのような犯罪となるのでしょうか。

1.迷惑防止条例違反

「兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(以下、「迷惑防止条例」という。)は、「公共の場でのチケット等の不正転売行為」を禁止しています。

第5条 何人も、入場券、観覧券その他の公共の娯楽施設を利用することができる権利を証する物又は乗車券、急行券、指定券、寝台券、乗船券その他の公共の乗物を利用することができる権利を証する物で発売数が制限されているもの(以下「入場券等」という。)を不特定の者に転売するため、又は不特定の者に転売しようとする者に交付するため、公共の場所(入場券等を公衆に発売する場所を含む。次項において同じ。)又は公共の乗物において、入場券等を、買い、又は人に立ちふさがり、付きまとい、若しくは呼び掛け、ビラその他の文書若しくは図画を配り、若しくは掲示し、若しくは公衆の列に加わって買おうとしてはならない。
2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、転売するために得た入場券等を不特定の者に、売り、又は人に立ちふさがり、付きまとい、若しくは呼び掛け、ビラその他の文書若しくは図画を配り、若しくは掲示し、若しくは入場券等を展示し、若しくは提示して売ろうとしてはならない。

ここでは、不特定多数の者への転売目的で公共の場や乗物で入場券等を購入するなどの行為や、不特定多数の者に対して公共の場で入場券等を転売することが禁じられています。
典型例としては、会場付近でチケット転売しようと人に声をかける行為が挙げられます。
迷惑防止条例では、「公共の場」における転売行為を禁止対象とているのでネット上でのやり取りは除外されます。

2.チケット不正転売禁止法違反

チケット不正転売禁止法は、特定興行入場券の不正転売を禁止し、違反行為に対しての罰則が設けられています。
今年の6月14日から施行されました。

第三条 何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。

第四条 何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。

違反者は「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」(第9条第1項)する。

「特定興行入場券の不正転売」は、第2条4項において、「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの」と定義されています。
つまり、3条違反となるには、「業として」「コンサートの主催者が設定するチケット価格を上回る価格で」チケットを他人に売ったことが必要となります。
「業として」に該当するには、「反復継続の意思をもって行う」ことが必要であり、利益を上げようと不正転売を繰り返すケースのみならず、反復継続の意思があることが明らかであれば1回の不正転売行為でも該当する可能性があります。

このように、個人であっても、チケット不正転売に該当するとチケット不正転売禁止法違反となり、捜査機関に逮捕される可能性もあるのです。

新たに施行された法律ですが、自分の行為もチケット不正転売禁止法違反にあたるのか心配されているのであれば、刑事事件専門の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
豊富な経験と知識に基づいた迅速かつ適切な弁護活動をご提供いたします。