出待ちとつきまといの線引き

2019-02-23

出待ちとつきまといの線引き

出待ちつきまといの線引きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
アイドルグループのVさんのファンであるAさんは、Vさんに会うため、コンサート等で移動する際、駅や空港で出待ちしたり、執拗に追いかけてカバンの中にプレゼントを入れたり、手を握ったり、挙句の果てには、プライベートでの外出先に押し掛け、飲食店の隣の席に座るなどの行為を行っていました。
Aさんの行為に困り果てたVさんは、会社から警察に相談してもらい、警察はAさんに警告をしました。
しかし、Aさんの行為は止むことがなく、むしろエスカレートしていきました。
ついに、兵庫県神戸市中央区で開催されたコンサートで出待ち中のAさんは、兵庫県生田警察署に逮捕されることとなりました。
Aさんは、自身の行為はストーカー行為ではなく、出待ち行為だと容疑を否認しています。
(フィクションです)

ストーカー行為で刑事事件

ファンの行き過ぎた追っかけや出待ち行為が、時に犯罪となることもあります。
ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)は、ストーカー行為を規制する法律です。
本法でいう「ストーカー行為」とは、以下のように定義されます。

同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。(ストーカー規制法第2条3項)

つまり、「つきまとい等」を「反復して」行うことを「ストーカー行為」といいます。

ここで問題となる「つきまとい等」についてですが、以下の要件を満たすものをいいます。

特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。(ストーカー規制法第2条1項)

「ある人に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」をもって、「その人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に対して、第1号から8号に該当するような行為をすることが「つきまとい等」となります。

さて、ファンの「出待ち」だけで「ストーカー行為」に当たってしまうのでしょうか。
通常、ファンの「出待ち」とは、その有名人が劇場、テレビ局、コンサート会場などでの公演が終わり、その施設から出てくるのを見たり、声をかけるために、当該施設の出入り口で待機することをいいます。
この行為自体は、第1号に当たりそうですが、これには「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる」場合に限定されていますので、単にテレビ局やコンサート会場付近で、サインを求めるために出待ちする程度では該当せず、「ストーカー行為」には当たらないでしょう。
しかし、上記のケースのAさんの行為は、単なる出待ちを超えてしまっており、Vさんに「不安を覚えさせるような方法」で繰り返し待ち伏せ等をしているわけですから、ストーカー行為に当たるでしょう。

ファンの「出待ち」行為と「ストーカー行為」の明確な線引きは、なかなか難しいものがありますが、あきらかに度を越えた行為は、ストーカー行為となり、刑事事件化することもあります。
刑事事件化してしまった場合には、早急に刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ストーカー規制法違反事件を含めた刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、0120-631-881までご連絡ください。