強盗と恐喝の区別とは?

2019-09-26

強盗と恐喝の区別とは?

強盗罪と恐喝罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県川辺郡猪名川町の公園で、会社員の男性Vに因縁をつけて金銭を巻き上げようと、Vに対して少年Aは、「ちょっとお金貸してくれませんか?痛い目にあいたくないでしょ。」と鉄バットを手に持った状態でVを脅し、所持金5千円を奪いました。
しかし、少年Aは、Vがもっと金を持っているだろうと思い、「まだ持ってるんやったら、出してくれへん?」と言ったところ、Vがこれを拒否したので、その場でVの顔面等に対して殴る蹴るの暴行を加えて傷害を負わせ、抵抗できなくなったVから現金2万円を奪って逃走しました。
Vはすぐに最寄りの交番に駆け込み、警察官に被害届を出しました。
兵庫県川西警察署は県内に住む少年Aを強盗致傷の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)

カツアゲで成立し得る犯罪とは?

1.恐喝罪

第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

恐喝罪は、人を恐喝して財物を交付させた場合、及び、人を恐喝して、財産上不法の利益を得、又はこれを他人に得させた場合に成立する犯罪です。
恐喝」とは、暴行又は脅迫により被害者を畏怖させることをいい、恐喝は財物又は財産上の利益の交付に向けられたものでなければなりません。
恐喝罪が成立するためには、被害者の意思に基づいて交付行為がなされることが必要となり、畏怖状態を生じさせる暴行・脅迫の程度は、被害者の反抗を抑圧するに至らないものでなければなりません。
つまり、相手方からの暴行・脅迫によって恐れおののいた被害者が、仕方なく自己の財物を相手方に渡したり、支払いを免除する等の財産上不法の利益を得させることが必要となります。

2.強盗罪

第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪は、暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強手した場合、及び、暴行又は脅迫を用いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合に成立する犯罪です。
強盗罪における暴行・脅迫の程度は、判例及び通説によれば、「被害者の反抗を抑圧する程度」のものであることが必要です。
その程度に達していない場合には、強盗罪ではなく恐喝罪が成立するにすぎません。
強盗罪が成立するためには、暴行・脅迫により、被害者の反抗を抑圧して財物を奪取する(=強取)が必要となるのです。
反抗が抑圧された被害者から、その意思に反して財物を奪取する行為、反抗が抑圧された被害者が差し出した財物を受け取る行為、反抗を抑圧され、逃げ出した被害者が放置した物を取る行為も「強取」に当たります。

また、強盗犯人が人を負傷・死亡させた場合には、強盗致死傷罪が成立します。
強盗致死傷罪は、刑法第240条に次のように規定されています。

第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗犯人(既遂・未遂を問わない)が、人を負傷させた場合に、強盗致傷罪が成立します。
死傷の結果は、強盗の手段である行為から生じることを要するとの立場もありますが、判例・通説は、死傷結果は、強盗の機会に行われた行為から生じたもので足りるとする立場をとっています。
法定刑は無期又は6年以上の懲役と厳罰が定められています。

通常、カツアゲ行為であれば恐喝罪が成立します。
上記ケースでは、最初にAは、被害者Vに対して、鉄バットで威嚇しながら金銭を出すように申し付けて脅しています。
この脅迫に畏怖したVは、Aに持っていた5千円を渡しています。
この一連の行為は、恐喝罪が成立します。
さて、その後、更に金を巻き上げることができると思ったAは、再度Vに対して脅迫した上で金銭を要求していますが、Vが拒否したため、Vが抵抗できなくなるまで暴力を振るい傷害を負わせ、Vから現金2万円を奪っています。
この第二の行為に用いられた暴行は、Vの反抗を抑圧する程度のものであり、抵抗できなくなったVから現金を奪っているため、もはや恐喝罪ではなく強盗罪、今回は強盗の結果Vに怪我を負わせていますので、強盗致傷罪が成立するでしょう。
第一の行為では、恐喝罪が、第二の行為では強盗致傷罪が成立することになりますが、同一の被害者に対する同一の犯意に基づく金銭奪取犯罪であるため、恐喝罪は強盗致傷罪に吸収され、強盗致傷罪のみによって処罰されることになるでしょう。

カツアゲ事件で見込まれる処分は?

強盗致傷罪は、刑事事件であれば裁判員裁判の対象となる犯罪です。
少年事件であっても、カツアゲ事件が恐喝罪に当たる場合、共犯がいたり凶器を用いたりと犯情が悪いという場合を除いて、いきなり少年院送致となるケースはそう多くありません。
しかし、強盗罪や強盗致傷罪となれば、初犯であっても少年院送致が言い渡される可能性は高まります。

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