強盗殺人事件と時効

強盗殺人事件と時効

強盗殺人事件と時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
今から30年前、兵庫県佐用郡佐用町にある住宅に住む女性宅に何者かが侵入し、女性を殺害して財布などを奪う事件が起こりました。
兵庫県佐用警察署は、強盗殺人容疑で犯人を探していましたが、事件発生から30年後に犯人と思われる男性Aの身柄を確保しました。
(朝日新聞デジタル 2019年1月21日19時3分配信記事を基にしたフィクションです)

時効とは

刑事法においては、時効には、「刑の時効」と「公訴時効」があります。
刑の時効というのは、死刑を除く刑の言い渡しが確定した後、刑が執行されないまま一定期間を経過したときに、刑の執行を免除するものです。
一方、公訴時効とは、一定の期間が経過することで、公訴の提起ができなくなる制度のことをいいます。
公訴時効が完成した場合、判決で免責の言い渡しをしなければなりません。
公訴時効の期間は、刑の軽重に応じて定められています。

第二百五十条 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年
二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年
三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年
○2 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 死刑に当たる罪については二十五年
二 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年
三 長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
七 拘留又は科料に当たる罪については一年

まず、「人を死亡させた罪であり禁固以上の刑に該当するもの」については、
①無期懲役・禁錮に該当する罪(強制わいせつ致死罪):30年
②長期20年の懲役・禁錮に該当する罪(傷害致死罪、危険運転致死罪):20年
③上の①②以外の罪(業務上過失致死罪、過失運転致死罪):10年
の期間が経過すると、時効が完成します。
また、「人を死亡させた罪であり禁固以上の刑に該当する以外の罪」については、
①死刑に該当する罪(現住建造物放火罪):25年
②無期懲役・禁錮に該当する罪(強盗致傷罪、強盗・強制性交罪):15年
③長期15年以上の懲役・禁錮に該当する罪(強制性交等罪、強盗罪、傷害罪):10年
④長期15未満の懲役・禁錮に該当する罪(強制わいせつ罪、窃盗罪、詐欺罪、恐喝罪、業務上横領罪、覚せい剤所持・使用):7年
⑤長期10年未満の懲役・禁錮に該当する罪(収賄罪、監禁罪、横領罪、大麻所持):5年
⑥長期5年未満の懲役・禁錮又は罰金に該当する罪(暴行罪、住居侵入罪):3年
⑦拘留・科料に該当する罪(侮辱罪、軽犯罪法違反):1年
の期間が経過すると、時効が完成します。

しかし、「人を死亡させた罪であり死刑に該当する罪」(強盗致死罪、強盗・強制性交致死罪、殺人罪、強盗殺人罪など)に時効はありません。
ですので、上記ケースのような強盗殺人事件においては、事件発生から30年後であっても、公訴を提起することは可能なのです。
時効は、犯罪行為が終わった時から進行します。

このように、一定の凶悪犯罪については、時効の対象とはなりません。

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