犯人隠匿等事件で逮捕

2019-11-06

犯人隠匿等事件で逮捕

犯人隠匿等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社役員のAさんは、スピード違反の疑いで兵庫県加古川警察署から呼び出しを受けました。
Aさんは、知人のBさんに身代わり出頭を頼み、Bさんは了承し、兵庫県加古川警察署に出頭しました。
しかし、後日、BさんがAさんの身代わりで出頭したことが明らかになり、Bさんは犯人隠避罪で逮捕されることになりました。
(フィクションです)

前回のブログで取り上げた「逃亡の罪」とも関連する「犯人隠匿等罪」。
あおり運転で指名手配されていた男をかくまったとして、犯行時に車に同乗していた女が「犯人隠匿等罪」で逮捕されたニュースは、記憶に新しいところではないでしょうか。

犯人隠匿等罪とは

刑法第103条 
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

犯人隠匿等罪は、罰金以上の刑にあたる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた場合に成立する犯罪です。
犯人隠匿等罪について規定する刑法第103条の保護法益は、国家の刑事司法作用の適正な運用です。
犯人や拘禁中の者を蔵匿・隠避する行為は、そのような者の発見や身柄確保を妨げ、捜査や審判、刑の執行などに支障をきたすことになり、刑事司法作用が適切に運用できなくおそれを生じさせるからです。

客体

犯人隠匿等罪の客体は、①罰金以上の刑にあたる罪を犯した者、または、②拘禁中に逃走した者、です。

①罰金以上の刑にあたる罪を犯した者
「罰金以上の刑にあたる罪」とは、法定刑に罰金以上の刑が含まれている罪をいいます。
法定刑として拘留や科料だけが規定されている侮辱罪や軽犯罪法違反といった軽微な罪は除外されます。
「罪を犯した者」の意義については、判例は、司法作用を妨害する者を処罰する立法目的に照らし、犯罪の嫌疑によって捜査中の者も含むと解しています。

②拘禁中に逃走した者
逃走罪の主体として処罰の対象となる者である必要はなく、被拘禁者奪取罪の客体として奪取された者をも含みます。
つまり、法令により拘禁された者であって、出入国管理及び難民認定法により入国者収容所等に収容された者も含みます。

行為

犯人隠匿等罪の実行行為は、犯人等を①蔵匿し、または②隠避させることです。

①蔵匿
「蔵匿」とは、官憲の発見・逮捕を免れるべき隠匿場を供給してかくまうことをいいます。

②隠避
「隠避」は、蔵匿以外の方法により官憲の発見・逮捕を免れさせる一切の行為です。
判例によれば、隠避にあたる行為としたものに、逃走するための資金を供与すること、情報を提供したりすること、犯人が偽名を使えるように他人の戸籍謄本等を供与すること、犯人をハイヤーに載せて潜伏予定場所まで送ること、犯人の所在について警察官に虚偽の陳述をすること、参考人が犯人に依頼されて捜査官に虚偽の供述をすること、身代わり犯人として自首すること、などがあります。

故意

客体である被蔵匿者が罰金以上の刑にあたる罪を犯した者であること、または、拘禁中逃走した者であることを認識し、かつ、これを蔵匿・隠避することを認識していなければ、犯人隠匿等罪は成立しません。
罰金以上の刑にあたることの認識については、判例は、単に、実際上、罰金以上の刑にあたる犯人(例えば、殺人犯人、窃盗犯人など)であるといった認識があれば足りるとしています。

上記ケースのような身代わり出頭は、Aさんがスピード違反(速度違反の程度により、法定刑が罰金以上となります)で警察から呼び出されていることを知っていたにもかかわらず、BさんはAさんと偽って、もしくは、Bさんが自分が運転していたと虚偽の供述をして、真犯人であるAさんの発覚を妨げる行為を行っていますので、犯人を隠避したと言え、犯人隠避罪に問われることになります。

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