逃走の罪で逮捕されたら

逃走の罪で逮捕されたら

逃走の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

保釈中の逃走、刑務所や留置場からの逃走など、昨今は「逃走」に関するニュースが大きく世間を騒がせました。
今回は、刑法に規定されている逃走の罪についてご紹介していきたいと思います。

逃走の罪は、国家の拘禁作用を保護法益としています。
逃走の罪には、被拘禁者が自ら逃走する場合と、被拘禁者を他者が逃走させる場合とがあります。

1.単純逃走罪

第九十七条 裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。

単純逃走罪は、期待可能性の程度が低いため、法定刑は低くなっています。

単純逃走罪の主体は、「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」です。
「裁判の執行により拘禁された既決の者」というのは、確定判決によって、刑事施設に拘禁されている者のことです。
具体的に言えば、懲役・禁錮・拘留に処せられ拘禁されている者、死刑の言渡しを受けて執行に至るまでの間拘置されている者、罰金又は科料を納めることができず一定期間労役場に留置されている者です。
「裁判の執行により拘禁された未決の者」とは、勾留状によって、刑事施設又は警察留置場に拘禁されている被告人又は被疑者をいい、逮捕された者は含まれません。

単純逃走罪の行為である「逃走」とは、拘禁から離脱すること、つまり、看守者の実効的支配から脱することを意味します。
刑事施設等の外へ脱出するなど、看守者の実効的支配を脱した時点で既遂となります。

2.加重逃走罪

第九十八条 前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

加重逃走罪の主体は、①刑法97条(単純逃走罪)に規定する者、又は②勾引状の執行を受けた者、です。
②については、一定の場所に引致するために発せられる勾引状の執行を受けた被告人、身体検査の対象者、証人などが該当します。
ここでいう「勾引状」は、一定の場所で身体の自由を拘束する令状を広く指すとの理解より、逮捕状により逮捕された被疑者、収容状・勾留状の執行を受けたが拘禁される以前の者などを含むとの見解が有力とされています。

加重逃走罪の行為は、①拘禁場若しくは拘束の為の器具を損壊し、②暴行若しくは脅迫により、又は③2人以上通謀して、逃走することです。

3.被拘禁者奪取罪

第九十九条 法令により拘禁された者を奪取した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

「法令により拘禁された者」とは、確定判決により刑事施設に拘禁されている者、勾留状によって刑事施設・警察留置場に留置されている被疑者・被告人、勾引状の執行を受けた者、逮捕状により逮捕された被疑者、収容状・勾留状の執行を受けた者、現行犯逮捕された被疑者、緊急逮捕され逮捕状が発せられる前の者、逃亡犯罪人引渡法上の拘禁・仮拘禁に付された者、出入国管理及び難民認定法により入国者収容所等に収容された者などが含まれます。
「奪取」は、被拘禁者を自己又は第三者の実力的支配化に移すことをいいます。

4.逃走援助罪

第百条 法令により拘禁された者を逃走させる目的で、器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項の目的で、暴行又は脅迫をした者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

逃走援助罪は、法令により拘禁された者を逃走させる目的で、器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為をした場合に成立します。
現実に逃走させたことは必要ではなく、逃走の危険を有する行為が行われたことで足ります。

5.看守者等による逃走援助罪

第百一条 法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者を逃走させたときは、一年以上十年以下の懲役に処する。

看守者や護送者が拘禁者の逃走を援助したさいに成立する罪で、看守者・護送者を主体とする逃走援助罪の加重的形態です。

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