被告人勾留と保釈

被告人勾留と保釈

被告人勾留保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
大麻取締法違反で逮捕・勾留された大学生のAさん(21歳)は、すぐにでも釈放してほしいと思っています。
勾留に対する準抗告も認められず、勾留満期日まであと少しとなりました。
弁護人からは起訴後すぐに保釈請求すると言われています。
(フィクションです)

被告人勾留

「勾留」とは、被疑者・被告人の身柄を拘束する裁判とその執行をいいます。
この勾留には、被疑者勾留(起訴前勾留)と被告人勾留(起訴後勾留)とがあります。

被告人勾留」は、その名前からも明らかなとおり、起訴後の勾留です。
被告人勾留は、受訴裁判所が行うことが原則です。
ただし、第1回公判期日前は、原則として控訴の提起を受けた裁判所の裁判官で、事件の審理に関与しない裁判官が行います。
その理由は、勾留に関する処分を行うためには、「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」があるかないかを調査する必要があるので、第1回公判期日前から受訴裁判所がおこなうことは、予断排除の原則に反するおそれがあるからです。

被告人勾留の期間は、公訴の提起があった日から2か月と、被疑者勾留の期間よりも長くなっています。
特に必要がある場合には1か月ごとに更新されます。

被告人勾留は、次の3つに分類されます。

(1)被疑者勾留中の起訴
被疑者段階で、逮捕・勾留され、起訴前から既に身体拘束を受けている場合で、勾留期間中に同一の犯罪事実について起訴されると、起訴と同時に被疑者勾留は自動的に被告人勾留に切り替わります。

(2)逮捕後まで勾留されていない被疑者の起訴
勾留が決定する前に、検察官により起訴された被告人については、裁判官が職権で勾留するか釈放するかを決めます。

(3)逮捕・勾留されていない在宅の被疑者の起訴
逮捕も勾留もされていない被疑者が起訴された場合、そのまま在宅事件として手続が進行することが多いですが、裁判官または裁判所は職権で被告人を勾留することもできます。

被告人勾留から解放するための手段としては、以下のものがあります。

①勾留の取消し
②勾留の執行停止
保釈
④抗告、準抗告

保釈制度

保釈」とは、一定額の保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身体拘束を解く裁判とその執行をいいます。
起訴前の被疑者勾留については保釈は認められませんが、起訴後であれば保釈制度を利用することができます。

裁判所が保釈を認めるときには、保釈金額を定めなければなりません。
その金額は、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければなりません。
ですので、保釈保証金の額は被告人の経済状況によって異なります。
一般的なサラリーマンであれば、だいたい200万円程度が保釈保証金の相場となっています。
当然、経済力がある被告人であれば、それ以上の金額になります。
カルロス・ゴーン被告の最初の保釈にかかる保釈金が10億円であったことも記憶に新しいところですね。
過去最高額は、20億円だといいますから、保釈金の額も様々です。

逮捕・勾留されている場合には、既に長期間の身体拘束を強いられていることになります。
それ以上の身体拘束により被る損害が大きくならないよう、早期に保釈請求をし、釈放されるよう動くことが重要です。
ただし、再逮捕が見込まれる事件では、起訴後すぐに保釈に成功したとしても、その後再逮捕されて再度勾留される可能性も大いにありますので、保釈請求をかけるタイミングは慎重に見極めなければなりません。

ご家族が逮捕・勾留されており、保釈で釈放とならないかお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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