刑事事件と時効の成立

2019-10-22

刑事事件と時効の成立

刑事事件時効の成立について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県川西警察署は、平成21年に10代の女性に性的暴行を加えたとして、兵庫県内に住むAさんを強姦の疑いで逮捕しました。
時効成立まで27時間と差し迫っており、警察は逮捕後すぐに神戸地方検察庁にAさんを送致し、検察はAさんを時効完成直前に起訴しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

時効について

一定の事実状態が一定の期間継続することにより、権利を取得しあるいは喪失するという法律効果を認める制度を「時効」といいます。
時効は、大きく分けて、民法上の時効と刑法上の時効とがあります。
今回は、刑法上の時効についてみていきましょう。

刑法上の時効

刑法上の時効には、刑の時効と公訴の時効の2種類があります。

刑の時効

死刑を除く刑の言渡しが確定した後、刑が執行されずに一定の期間が経過したときに、刑の執行を免除する制度です。

公訴の時効

「公訴時効」とは、一定の期間が経過したことによって公訴の提起ができなくなるという制度です。
公訴時効が完了した場合には、判決で免訴の言渡しをしなければなりません。

この公訴時効の本質については、いろいろと論じられていますが、時の経過によって生じる状態に着目して説明する考え方と、公訴時効制度の機能面から説明する考え方とがあります。
前者には、時の経過によって犯罪に対する社会の応報・必罰感情が沈静し、刑の威嚇力や特別予防力が微弱になるため、刑罰権が消滅するとする実体法説、証人の記憶が曖昧になり、証拠も散逸するため、刑事訴追が困難になるとする訴訟法説、そして、実体法説と訴訟法説とが挙げる両方の現象が併存すると説明する混合説とに考え方が分かれています。
しかし、時の経過によって社会の応報感情が必ずしも弱まっていくわけではないし、証拠の観点からの考え方では、刑の軽重に応じて時効期間を定めている点が十分説明できていないとの批判がなされてきました。
一方、機能面から公訴時効の本質を説明する立場には、犯人が一定期間訴追されていない状態が訴追の利益に優先するという新訴訟法説、そして、長期間訴追されないという事実が処罰制限の根拠となるとする新実体法説とがあります。

公訴時効の期間は、刑の軽重に応じて決められています。

刑事訴訟法
第二百五十条 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年
二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年
三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年
○2 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 死刑に当たる罪については二十五年
二 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年
三 長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
七 拘留又は科料に当たる罪については一年

以前は人を死亡させた罪であって死刑にあたるものについても公訴時効は適用されていましたが、平成22年の改正法により、これらの罪については時の経過により一律に公訴権を消滅させることは適当ではないとして、公訴時効の対象から除外されました。

時効期間は、訴因として掲げられた犯罪事実の法定刑を基準にして算定されます。
法定刑が複数ある場合は、最も重い刑に従い、刑を加重減軽すべき場合には、処断刑ではなく法定刑に従って算定されます。

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