兵庫県赤穂郡上郡町の偽装結婚事件で弁護士 問われる刑事責任とは?

兵庫県赤穂郡上郡町の偽装結婚事件で弁護士 問われる刑事責任とは?

偽装結婚で問われる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

日本人男性と中国人女性を偽装結婚させたとして、兵庫県相生警察署はAさんを電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで逮捕しました。
Aさんは、外国人に偽装結婚をあっせんするブローカーグループのリーダー格だったとみられています。
(フィクションです)

偽装結婚の現状

結婚の実態を伴わない結婚を「偽装結婚」と一般的にされますが、明確な定義はありません。
結婚については民法で婚姻としてその成立要件が定められています。
①婚姻の当事者間に婚姻をする合意(婚姻意思の合致)があること、②婚姻の妨げとなる法律上の事由(婚姻障害)が存在しないこと、そして③婚姻の届出をすること、です。
①婚姻が有効であるためには、婚姻意思の合致があることが必要となり、それがない場合には婚姻は無効となります。
婚姻意思の解釈については議論がありますが、社会通念にしたがって夫婦と言えるような生活関係を形成する意思が婚姻意思であると理解されています。
このような婚姻意思が当事者間に存在しないにもかかわらず婚姻届を役所に提出するには、理由があります。
多くの場合、外国人が日本人配偶者等の在留資格を取得すること目的として行われます。
この在留資格では、活動範囲が制限されませんので、日本で長時間働くことが可能となるのです。
出稼ぎ目的で日本に入国した外国人が、この便利な在留資格を得るためにブローカーを介して日本人と偽装結婚をするケースが多くみうけられます。
婚姻意思の合致がないにもかかわらず、これがあるように偽装して、婚姻届を提出すると、公正証書原本不実記載・同行使罪に当たる可能性があります。

公務員に対し虚偽の申立てをし、登記簿・戸籍簿その他の権利義務に関する公正正書の原本に不実の記載をさせ、または権利義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記載をさせる犯罪を「公正証書原本不実記載罪」といいます。
本罪の法定刑は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

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