警察における処理~微罪処分と簡易送致~
微罪処分と簡易送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県西脇市にあるスーパーで商品4点(計3000円相当)を万引きしたとして、Aさんは店の外に出た際に、警備員に取り押さえられました。
Aさんは、兵庫県西脇警察署で取り調べを受けましたが、その日に釈放されました。
Aさんは、警察から「また呼び出すかもしれない。連絡がとれるようにはしておくように。」とだけ言われましたが、数か月なんの連絡もありません。
この先どうなるのか心配になったAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
捜査が終結すると~警察での事件処理~
捜査が開始され、その捜査にも一応の目途がつくと、捜査は終結します。
捜査は、警察または検察官が処理することで終結することになります。
今回は、警察における事件処理についてみていきましょう。
警察が犯罪の捜査をした場合、ある一定の場合以外は、速やかに書類や証拠物とともに事件を検察官に送致することになっています。
その例外として、
①告訴・告発・自首を受けた事件
②身柄拘束の法定期間からくる例外
③少年法41条による例外
④微罪処分
⑤簡易送致
とがあります。
微罪処分について
犯罪が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについて、警察は、事件を送致しないことができます。(刑事訴訟法246条但書、捜査規範198条)
この処分を「微罪処分」といいます。
どの事件が微罪処分の対象となるかは、検事総長の通達に基づいて、各地方検察庁のトップである検事正が一般的指示の形で決まります。
対象となる事件は、各地方検察庁により異なりますが、概ね、被害額や犯情などが軽微であり再犯のおそれがない、窃盗、詐欺、横領、盗品等譲受け等、賭博といったものです。
簡易送致について
簡易送致は、微罪処分に似ていますが、少年事件について行われるものです。
検察官または家庭裁判所があらかじめ指定した事件であり、事実が極めて軽微で、再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分を必要としないものについては、通常の送致の手続をとりません。
簡易送致では、少年事件簡易送致書というものを作成し、1か月分まとめて検察官あるいは家庭裁判所に送致します。
微罪処分・簡易送致ともに、警察段階で事件が終了していますので、前科がつくことはありません。
「前科」というのは、検察官に起訴され、裁判所に有罪判決で刑が言い渡された事実です。
略式起訴で略式命令を受け罰金刑となった場合も、正式裁判で有罪判決(執行猶予判決を含む)を言い渡されたも、前科がつくことになります。
微罪処分・簡易送致で事件が終了した場合、「前科」はつかなくとも、「前歴」はつくことに注意が必要です。
「前歴」とは、刑事事件の被疑者として捜査対象となった事実です。
前歴については、警察および検察の管理するデータに保存されますので、次回犯罪を起こしてしまった場合には、初犯として扱われることはありません。
あなたやあなたの家族が刑事事件を起こしてしまい、対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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