神戸市垂水区で緊急逮捕

2019-02-19

神戸市垂水区で緊急逮捕

~ケース~
兵庫県神戸市垂水区にある交番を訪れたAさんは、対応した警察官に対して「覚せい剤を打った」と申告しました。
警察官は、Aさんを兵庫県垂水警察署に任意同行し、尿検査をしたところ、覚せい剤の陽性反応が出たため、Aさんを覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで緊急逮捕しました。
Aさんは、「仕事でのストレスが原因で覚せい剤を使用した」と供述しているとのことです。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

緊急逮捕とは

一定の重大犯罪について、充分な嫌疑があり、急速を要する場合に、逮捕後「直ちに」逮捕状を請求することを条件として認められる無令状の逮捕を「緊急逮捕」といいます。
緊急逮捕をする際には、その理由を告げることが必要とされます。
その理由には、被疑事実の要旨および急速を要する事情にあることが含まれます。

第二百十条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

緊急逮捕の要件
①死刑・無期・長期3年以上の懲役もしくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があること。
②急速を要し、裁判官の逮捕状を請求することができないこと。
③理由を告知したこと。
④逮捕後直ちに逮捕状請求の手続きをすること。
⑤逮捕の必要性があること。

このように、緊急逮捕には厳しい要件が課されています。

逮捕状によらず被疑者を逮捕することができるとする刑事訴訟法210条は、現行犯逮捕のみを例外とする逮捕状による逮捕の原則を規定している日本国憲法33条に反するとの主張が過去にありました。

第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

これに対し、最高裁判所は、緊急逮捕は合憲であるとする判決を下しました。

「しかし刑訴二一〇条は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足る充分な理由がある場合で、且つ急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができるとし、そしてこの場合捜査官憲は直ちに裁判官の逮捕状を求める手続を為し、若し逮捕状が発せられないときは直ちに被疑者を釈放すべきことを定めている。かような厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急已むを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件とし、被疑者の逮捕を認めることは、憲法三三条規定の趣旨に反するものではない、されば所論違憲の論旨は理由がない。」(最判昭30・12・14)

上記ケースでは、Aさんは、覚せい剤取締法違反(使用)を自ら申告しており、尿検査でも陽性反応が出ています。
覚せい剤取締法違反(使用)の法定刑は、10年以下の懲役です。
ですので、①の要件はクリアしています。
次に、②の要件ですが、逮捕状を請求している間に被疑者が逃亡してしまうおそれ、また証拠隠滅されるおそれがある場合には、当該要件を満たしていると言えるでしょう。
同じく、⑤の要件についても、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断される場合に、当該要件を満たすと言えます。
更に、③および④を欠く場合には、違法逮捕となってしまいますので、これらの要件も満たしていれば、Aさんに対する緊急逮捕は適法であると言えるでしょう。

緊急逮捕された後の流れは、警察は、逮捕時から48時間以内に釈放するか検察に送致されるか判断します。
検察に送致された場合には、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか勾留請求するかを決めます。
勾留請求がされると、裁判官は被疑者を勾留するか釈放するかを決定し、勾留された場合には、検察官が勾留請求した日から原則10日間(延長されると最大で20日間)身体拘束となります。

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