公務執行妨害で逮捕

公務執行妨害逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県尼崎市の路上に車を駐車していたAさんは、駐車監視員が自身の車を取り締まっている場面に遭遇しました。
Aさんは駐車監視員に対して、「他の車も駐車しているだろう。なぜ俺のだけ取り締まっているんだ。」などと言ったところ、駐車監視員は相手にしなかったため、怒ったAさんは駐車監視員の男性の顔を殴りました。
通報を受けて駆け付けた兵庫県尼崎東警察署の警察官は、Aさんを公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕しました。
(フィクションです)

公務執行妨害罪

刑法第95条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

◇公務員◇
「公務員」とは、公務員の身分を有する者、及び公務員の身分は有しないが法令により公務に従事する議員・委員その他の職員のことをいいます。
駐車監視員は、放置車両確認事務の業務を委託された民間法人の従業員です。
しかし、警察署長から放置車両確認事務を受託している法人(放置車両確認機関)に従事する役員や駐車監視員は、公務員ではありませんが、業務を行っている最中は公務員とみなされる、いわゆる「みなし公務員」の立場にあります。

◇職務を執行するに当たり◇
「職務」とは、ひろく公務員の職務上取り扱う事務のことをいいます。
職務上の個々の行為のみならず、一定の継続性をもった勤務状態も職務の執行といえます。
「執行に当たり」とは、職務執行に際してを意味します。
まさに職務に着手しようとする場合や、職務の執行直後の職務執行と不可分の関係にある事後行為も含まれますが、職務の執行が終ってしまった後での公務員に対する暴行・脅迫は、公務執行妨害ではなく単なる暴行罪・脅迫罪が成立するにとどまります。

◇暴行・脅迫◇
公務執行妨害罪の成立には、公務の執行を妨害するに足りる「暴行」又は「脅迫」が加えられていることが必要となります。
「暴行」とは、人に対する不法な有形力の行為をいい、「脅迫」とは、恐怖心を起こさせる目的で、他人に害悪を告知することをいいます。
「暴行」は、公務員の身体に直接加えられることは必要ではなく、公務員が携帯している物や公務員の周囲にある物などといった物に対して加えられた有形力の行使であっても、公務員が現に行おうとする行動の自由を侵害するためになされ、それが公務員の身体に感応する作用を持つものであれば、間接的に公務員に対し暴行を加えたことになります。
本罪の「脅迫」は、人を畏怖させるに足りる害悪の告知のすべてを含みます。
暴行・脅迫の結果として、公務員の職務執行が現実に害されたことまでも必要とされません。

◇職務行為の適法性◇
公務執行妨害罪が成立するためには、暴行・脅迫を加えられた公務員の執行している職務が「適法」でなければなりません。
この要件は条文上明示されていませんが、解釈上必要な要件とされています。
職務行為が「適法」とされるためには、次の3つの要件が備わっていることが必要です。
①その行為が、その公務員の一般的権限の範囲内にあること。
②具体的職務行為について法律上の要件を具備していること。
③一定の方式や手続が有効要件とされる行為については、それらを正しく踏んでいること。

◇故意◇
公務執行妨害罪は故意犯であるので、本罪が成立するためには、犯人において、相手方が公務を執行中の公務員であることの認識がなければなりません。
この認識を欠く場合、単に暴行罪や脅迫罪が成立するにとどまります。

公務執行妨害で逮捕されたら

公務執行妨害事件の場合、現行犯逮捕となることがほとんどです。
通常の刑事事件では、逮捕から48時間以内に、被疑者が釈放されるか証拠や関係書類と共に検察庁に送られます。
被疑者の身柄を受けた検察官は、被害者に対して勾留請求をするか否かを決めます。
検察官が勾留請求をした場合、当該被疑者を勾留すべきか否かを裁判官が判断します。
勾留が決定すると、検察官が勾留請求をした日から10日間、被疑者の身柄は拘束されることになります。
公務執行妨害事件の多くが、酒に酔っていたケースやカッとなったやったケースなどであり、そのような場合、本人の住所が定まっており、身元引受人となる家族がいるようであれば、勾留されずに釈放となる可能性が比較的高いと言えます。
ただし、行為態様が悪質であり、罪証隠滅や逃亡のおそれが認められる場合には、勾留となる可能性もあります。

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