入管法違反事件の刑事手続
入管法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
日本で生活していた外国籍のAさんは、かつて偽造パスポートで入国したことが発覚し、兵庫県美方警察署に入管法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの友人は、今後Aさんは起訴されてしまうのか、今後の手続はどうなるのか不安になり、外国人事件にも対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)
入国管理法違反事件~不法入国等の罪~
偽造したパスポートを使って日本に入国した場合、不法入国罪が成立する可能性があります。
第七十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
一 第三条の規定に違反して本邦に入つた者
第三条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入つてはならない。
一 有効な旅券を所持しない者(有効な乗員手帳を所持する乗員を除く。)
二 入国審査官から上陸許可の証印若しくは第九条第四項の規定による記録又は上陸の許可(以下「上陸の許可等」という。)を受けないで本邦に上陸する目的を有する者(前号に掲げる者を除く。)
「有効な旅券」というのは、権限ある官憲により適式に発行され、形式と実体の両面から見て有効である旅券のことです。
不法入国罪の時効は、3年です。
不法入国したときから3年が経過すれば、不法入国の罪には問われないことになりますが、不法に在留する行為について不法在留罪が成立することになります。
不法入国罪で逮捕・勾留された場合、最大で逮捕から23日間身柄が拘束されることになります。
起訴するか否かの判断は、検察官が行います。
その時の政策が、起訴・不起訴の判断にも影響を与えるようです。
起訴された場合、初犯であり、かつ、余罪等もなければ、執行猶予となる可能性が高いでしょう。
また、不起訴となった場合でも、不法在留の状態は続いているので、入国管理局に移送され、退去強制の手続がとられることになります。
即決裁判手続
軽微な入管法違反事件においては、「即決裁判手続」がとられる場合があります。
即決裁判手続は、争いのない簡易かつ明白な事件につき、簡易で迅速な裁判を可能とすることで、手続の合理化・迅速化を図る制度です。
略式手続と異なり、罰金や科料だけでなく、懲役や禁錮の言渡しも可能ですが、略式手続と同じく、被疑者の同意が手続の前提となっています。
懲役・禁錮を言い渡す場合は、必ず執行猶予が付されます。
退去強制手続
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。
一 第三条の規定に違反して本邦に入つた者
不法入国は、退去強制事由となり、特段の事情がない限りは、退去強制となります。
しかし、母国での迫害等から逃れてきた難民申請者の場合には、不法入国罪の刑が免除されます。
そのような場合には、即決裁判手続ではなく、正式裁判手続を選択することになります。
基本的に、被疑者が外国人であっても、弁護人に求められる弁護活動は、日本人である場合と変わりありません。
しかし、言語や文化が異なることで、手続がうまく理解できず、外国の方が日本人以上に不安を感じることでしょう。
そのような場合には、すぐに刑事事件・外国人事件にも対応する弁護士に相談し対応を依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
弊所は、依頼者との綿密な連絡と報告、十分な報告を行い、刑事手続の段階から、その後の在留資格の問題や見通しと対処法についてアドバイスし、外国人の様々な不安を解決できるよう努めております。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881へお問い合わせください。