置き引き事件で逮捕

置き引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県西脇市にあるパチンコ店で、席に置いてあった他人の財布を持ち逃げしたとして、会社員のAさんは兵庫県西脇警察署から取調べのため出頭するよう連絡を受けました。
Aさんは、どのような罪に問われるのか、今後どのように対応すればよいのか不安で仕方ありません。
(フィクションです。)

置き引き事件について

置き引きというのは、一般的に、置いてある他人の荷物を持ち逃げすることをいいます。
例えば、パチンコ店やゲームセンターで置き忘れた財布、スーパーマーケットのトイレに忘れてあったカバンなどを勝手に持ち帰ってしまう行為のことを指します。
このような行為は、窃盗罪もしくは占有離脱物横領罪に当たる可能性があります。

1.窃盗罪とは

窃盗罪は、①他人の財物を、②不法領得の意思をもって、③窃取したこと、により成立する犯罪です。

①他人の財物
「他人の財物」とは、他人の占有する他人の財物を意味します。
ここでいう「占有」というのは、人が財物を事実上支配し、管理する状態のことです。
占有は、「占有の事実」と「占有の意思」の2要素で構成されています。

まず、「占有の事実」というのは、占有者が財物を事実上支配している状態のことです。
事実上の支配があるかどうかは、財物自体の特性、占有者の支配の意思の強弱、距離などによる客観的かつ物理的な支配関係の強弱を考慮して判断されます。
財物が占有者の物理的支配力の及ぶ場所にある場合や、社会通念上その財物の支配者を推知し得る状態にある場合には、占有の事実が認められます。

次に、「占有の意思」についてですが、これは、財物を事実上支配する意欲や意思を指します。
この意思は、包括的な意思であったり抽象的な意思であっても構わず、財物に対する事実的支配が明確な場合には、睡眠中であっても占有の意思が認められます。

②不法領得の意思
窃盗罪の成立には、故意(法定の構成要件たる事実について認識のあること)だけでなく、不法に物を領得する意思があることが必要とされます。
不法領得の意思は、権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思です。
他人の財物を一時使用した後に返還する意思でその占有を侵害する場合や嫌がらせでその物を壊したり隠すつもりで占有を侵害する場合は、不法領得の意思がなく窃盗罪は成立しないことになります。

③窃取
窃盗罪の行為である「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。

以上が窃盗罪の構成要件となります。
置き引きが窃盗罪に該当するかは、犯行時、問題となる財物に対して他人の占有が及んでいたと言えるかどうかによります。
置き引きは、置いてある他人の荷物を持ち逃げする行為ですが、その置いてある荷物に対する占有が誰にあるのか、ということが問題となります。
荷物と持ち主の時間的・場所的接近性、置き忘れた場所の見通し情状、置き忘れた場所の状況、持ち主の認識・行動などを事情を総合して、一時的に財物に対する事実上の支配が失われたかのように思える場合でも、事実上の支配が直ちにかつ容易に回復できる状況にあったのであれば、占有が肯定されることもあります。
また、持ち主の占有が失われたとされる場合でも、置き忘れられた場所、例えば店内や銀行内であれば、その管理者の占有に属すると認められることがあるため、持ち主の占有が失われたことをもって直ちに窃盗罪が成立しないとは限りません。
ただ、持ち主の占有が失われたのであり、かつ財物に対しての占有が誰にも属さない場合には、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪が成立することがあります。

2.占有離脱物横領罪とは

占有離脱物横領罪は、①遺失物、漂流物、その他占有を離れた他人の物を、②横領したこと、によって成立する罪です。
これは、他人の占有に属さない他人の物を領得する行為を処罰するものです。

いずれの罪が成立するにせよ、被害者に対してはしっかりと被害弁償をする必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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