リベンジポルノと強要罪

リベンジポルノと強要罪

リベンジポルノ強要罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
SNSを通じて知り合った会社員のAさんと高校生のVさん(17歳)は、1年ほど交際していましたが、別れることになりました。
その後しばらくして、Aさんから「会いたい」と連絡がありましたが、Vさんは断りました。
すると、「会わないというなら、お前の裸の写真や動画をネットに拡散するぞ。」と言い、AさんはVさんに面会を強要しました。
怖くなったVさんは、学校の先生に話し、兵庫県川西警察署に相談することにしました。
兵庫県川西警察署は、Aさんを強要未遂容疑で逮捕しました。
(フィクションです)

リベンジポルノって?

交際している間に撮影した交際相手の裸や性行為の写真・動画などは、信頼している相手だから悪用されることはないと信じていませんか?
10~20代の若者の間では、自身の裸の写真を相手に送ったり、性行為の様子を撮影することに同意した経験がある人の数が、他の年齢より多く、知識や経験が乏しく、その危険性を十分に理解していないことが多いようです。
そのような写真や動画は、交際関係が終わっても、データを完全に削除しない限り、相手の手元に残るということをきちんと理解しなければなりません。
近年、交際中に撮影した相手方の裸の写真などをネットに投稿するなどと言って、元交際相手に対して復縁を迫ったり面会するよう求める行為が増えてきています。
このように、離婚した配偶者や別れた元交際相手が、相手から別れを切り出されたことや要求を拒否されたことの仕返しとして、相手の裸の写真や動画など、相手が公開するつもりのない私的な性的画像を無断でネットに公開する行為を「リベンジポルノ」といいます。

リベンジポルノに関連する犯罪とは?

1.リベンジポルノ防止法違反

「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(以下、「リベンジポルノ防止法」)は、リベンジポルノを規制しています。

第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

リベンジポルノ防止法でいう「私事性的画像記録」というのは、
・性交または性交類似行為
・他人が人の性器等を触る行為または人が他人の性器等を触る行為
・服の全部または一部を着けていない姿で、殊更に人の性的な部位が露出されたり強調されたりしているものであって、性欲を興奮させまたは刺激するもの
を撮影した画像で、第三者に見られることに同意が得られていないものです。

このような画像をネットの掲示板などに投稿する行為は、リベンジポルノ防止法違反となります。

2.強要罪

刑法第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

性的な画像を公開することで、相手方の名誉を棄損すると脅し、面会や交際などといった義務のないことを行わせる行為は、強要罪にあたります。
強要罪は未遂でも処罰されます。

3.児童ポルノ法違反

画像等の被写体が18歳未満である場合は、児童ポルノに該当し、児童ポルノ製造・所持罪が成立するでしょう。
また、それらの画像等をネット上に載せた場合には、児童ポルノ公然陳列罪となり、その法定刑は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその併科と非常に重い罪に問われることとなります。

他にも、「性的な画像をばらまくぞ」と脅した場合には脅迫罪が、公開したことで名誉が毀損されたとして名誉棄損罪が成立する可能性もあります。

いずれにせよ、相手の気持ちを無視し、自己の欲求を満たすためにリベンジポルノに走ることはやめましょう。

もし、あなたがリベンジポルノで刑事事件の被疑者として警察に取り調べを受けているのであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
被害者がいる事件では、被害者との示談成立が事件解決に最も有効な手段です。
当事者が直接交渉するのではなく、弁護士を介して行うことで、円滑に示談交渉を進めることができるでしょう。
特に、元配偶者や交際相手といった関係性にある場合には、当事者間での交渉は難航しますので、弁護士を介して行うことをお勧めします。

刑事事件でお困りであれば、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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