窃盗事件で審判不開始決定
審判不開始決定について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町に両親と同居しているAくん(17歳)は、地元の高校を中退し、飲食店でアルバイトとして勤務していました。
Aくんは、友人Bくんと駐車中のバイクを盗んだとして、兵庫県相生警察署で取調べを受けました。
Aくんの両親は、どのような処分が下されるのか心配になり、少年事件に強い弁護士に相談し、弁護を依頼することにしました。
その後、事件は神戸家庭裁判所姫路支部に送致されましたが、審判不開始決定となりました。
(フィクションです)
家庭裁判所が事件を受理すると
原則、すべての少年事件は、捜査機関による捜査が終了すると、家庭裁判所に送致されます。(「全件送致主義」)
少年事件においては、科学的な調査機関を有する家庭裁判所が、専門的に少年の処遇を選択するのが相当であることから、全件送致主義が採られています。
家庭裁判所は、事件を受理すると、書記官と裁判官が事件記録に基づいて、審判条件や非行事実の存否について審査・検討を行います。(「法的調査」)
この法的調査では、管轄、少年の年齢などといった審判条件や、事件が原則検察官送致事件・検察官関与対象事件・国選付添人対象事件・被害者審判傍聴対象事件・被害者配慮制度の案件対象事件などに該当するか否か、少年が非行事実を否認しているか否か、自白事件について補強証拠の有無といった事実認定上の問題の有無などについて、事前に事件記録を精査します。
成人の刑事事件では、公判当日まで裁判官は証拠を見ることはありませんが、少年事件では、裁判官は、捜査機関や付添人から送致された証拠書類等を精査し、非行事実の存否に関して一応の心象を得た上で審判に臨みます。
法的調査の結果、非行事実が存在することについて裁判官が蓋然的心証を得た場合には、家庭裁判所の調査官に要保護性の判断をするための調査(「社会調査」)をするように命じます。
調査官は、社会学・心理学・教育学などを専門とし、法律の専門家である裁判官とは異なる観点から少年の問題性を探り、少年の更生に最も適した処分について意見を出します。
社会調査が終了すると、調査官は、裁判官に対して調査結果を提出し、裁判官は、法律記録と共に検討します。
その結果、家庭裁判所は、審判に付することができない(形式的審判不開始)、又は、審判に付するのが相当でないと認める場合(実体的審判不開始)には、審判を開始しない決定をしなければなりません。
この決定を「審判不開始決定」といいます。
審判に付することが出来ない場合というのは、法律上又は事実上審判に付することが出来ない場合です。
審判条件の不存在や非行事実の不存在、事実上の審判不能などの場合です。
審判に付するのが相当でない場合というのは、審判条件や非行事実の存在が認められ、審判を行うことは可能であるが、保護処分等を行うことが妥当ではなく、裁判官による直接審理の必要性もない場合のことをいいます。
例えば、事実が軽微な場合、別件保護中の場合、保護的措置による要保護性解消の場合などがあります。
審判不開始をめざす付添人活動
捜査段階から弁護人として活動していた場合には、それまでの弁護活動の成果を早期に家庭裁判所に伝え、審判不開始を求める意見書を提出するなどの活動を行います。
審判不開始の多くは、実体的審判不開始であるので、家庭裁判所の調査や付添人の活動により、要保護性が解消されており、あえて審判を行う必要はないことを、裁判官に説得的に主張する必要があります。
例えば、既に被害者への被害弁償が済んでおり示談が成立していることや、少年が真摯に反省していること、保護者や学校による監督が期待できること、また、カウンセリングに通うなどして更生に向けた環境が整っていることなどが、要保護性が解消されたと認める重要な要素となります。
このような活動は、少年事件に強い弁護士に任せることをお勧めします。
お子様が事件を起こしてお困りであれば、少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお電話ください。