執行猶予中の再犯

2019-01-30

執行猶予中の再犯

執行猶予中の再犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~

過去に人身事故を起こし、過失運転致傷罪で執行猶予付き判決を受けたAさん。
執行猶予期間中であるにもかかわらず、無免許運転で友人の車を運転してしまい、一旦停止を怠ったとして兵庫県川西警察署に車を停止させられ、免許証の提示を求められました。
Aさんは、無免許であることを申告すると、そのまま兵庫県川西警察署に連れて行かれました。
Aさんは、執行猶予期間中であることから、執行猶予が取り消され、刑務所に収容されてしまうのではないかと心配でなりません。
釈放となったAさんは、慌てて交通事件や刑事事件に強い弁護士に相談しに行きました。
(フィクションです)

執行猶予とは

執行猶予というのは、判決を言い渡す際に、犯人の情状を考慮し、一定期間犯罪を犯さず無地に経過したときは刑罰権を消滅させる制度のことをいいます。
例えば、裁判官が被告人に「懲役2年執行猶予4年」の判決を言い渡したとしましょう。
この場合、刑罰は2年の懲役となりますが、直ちにこれを執行するのではなく、4年間の間犯罪を犯さずに過ごすことができれば、その刑罰はなかったことになる、ということです。

(刑の全部の執行猶予)
第二十五条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

刑の全部の執行猶予には、初度の場合(1項)と再度の場合(2項)とがあります。

初度の場合の要件
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがないこと、又は(b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金の言い渡しをする場合であること。
③執行猶予を相当とするに足りる情状があること。

再度の場合の要件
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
②1年以下の懲役又は禁錮の言い渡しをする場合であること。ただし、刑の執行猶予中保護観察に付され、その保護観察期間内に更に罪を犯した場合には、執行を猶予することは許されません。
③情状が特に酌量すべきものであること。

執行猶予が付されても、執行猶予が取り消されてしまうことがあります。
まず、必ず執行猶予が取り消されるのは以下の場合です。
必要的取消事由(刑法第26条)
1.猶予の期間内に罪を更に犯して禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
2.猶予の言い渡し前に犯した他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
3.刑に処せられてから5年を経た者及び刑に処せられ執行を猶予された者を除き、猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
次に、裁量的に執行猶予の言渡しの取り消しができるのは以下の場合です。
裁量的取消事由(刑法第26条の2)
1.猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
2.保護観察付きの執行猶予になった者が遵守事項を遵守せず、情状が重いとき。
3.猶予の判決確定前に、他の罪について執行猶予付きの禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

上記ケースの場合、無免許運転ですので、法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。(道路交通法第117条の2の2)
ですので、執行猶予が取り消されるのは、必要的取消事由の1「猶予の期間内に罪を更に犯して禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。」の場合が考えられるでしょう。
しかし、「その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき」ですので、再度の執行猶予で今回の罪について全部の刑が猶予となれば、直ちに刑務所に入ることにはなりません。
ただ、再度の執行猶予の要件は厳しく、言い渡される刑が1年以下の懲役・禁錮であり、かつ、「情状が特に酌量すべきもの」とは、初度の場合の要件である通常の情状では足りません。
そうするしかなかった特段の理由が必要となります。

再度の執行猶予の可能性の有無については、事案によって異なりますので、執行猶予中に刑事事件を起こしてお悩みの方は、交通事件を含めた刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお電話ください。