少年事件の中間処分:試験観察

少年事件中間処分である試験観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神崎郡市川町に住む少年Aくん(16歳)は、高校に進学したものの学校に馴染めず入学から2か月で辞めてしまいました。
Aくんは、中学時代に不良仲間とバイク窃盗で逮捕され、神戸家庭裁判所姫路支部で保護観察が言い渡された過去があります。
高校を辞めてからも不良仲間とつるむようになり、共同危険行為で逮捕され、保護観察となった矢先、今度は傷害事件で逮捕されてしまいました。
Aくんの家族は、今度は少年院送致となるのではないかと心配して、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

少年保護事件の処分

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が事件を起こした場合、基本的には、家庭裁判所に事件がおくられ、家庭裁判所の調査・審判を経て、何らかの処分が決定されます。
家庭裁判所の取り扱う非行少年に対する事件を「少年保護事件」と呼びます。
家庭裁判所が少年保護事件について行う決定には、事件自体について判断し、最終的な少年の処分を決定する「終局決定」と、終局決定前の中間的な措置としてなされる「中間決定」とがあります。

「終局決定」としては、次の5種類があります。
①審判不開始
②不処分
③保護処分(保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設送致、少年院送致)
④検察官送致
⑤知事又は児童相談所長送致

そして、「中間決定」には、移送決定、観護措置決定、審判開始決定、検察官関与決定などがありますが、ここでは「試験観察決定」について説明します。

試験観察とは

前述の通り、「試験観察」は終局決定前の中間的な措置です。
少年法は、家庭裁判所は、保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもって、相当の期間、少年を調査官の観察に付することができると定めています。
これが、「試験観察」と呼ばれるものです。
試験観察は、少年に対する終局決定を留保し、少年の行動等を観察するために、中間決定をもってとられる措置です。

この試験観察制度の機能については、①調査の機能、そして、②少年の性格矯正・環境調整を図る機能、の2点であると言われています。

①調査の機能
保護処分には、「保護観察」、「児童自立支援施設又は児童養護施設送致」、「少年院送致」と社会内処遇のものから矯正施設内処遇のものまで身体拘束という点だけでも異なる処分が設けられています。
決定された処分は、例外的な場合を除いては取消し・変更はされません。
ですので、少年審判においては、少年の要保護性に関する資料をしっかりと調査し、少年の行動等も観察した上で、慎重かつ適切な判断がされなければなりません。
ですが、審判までの期間では見極めるのに不十分なこともありますので、少年にとって適正な処分は如何なるものか慎重に見極めるためにも十分な調査をする必要があり、試験観察制度が持つ機能のひとつです。

②少年の性格矯正・環境調整を図る機能
試験観察は、終局処分が一旦保留されている状態であり、少年に心理的な影響を与え、更生を促す効果が期待されます。
いわゆる「プロベーション」の一形態といわれます。

試験観察の要件について、少年法は、「保護処分を決定するため必要があるとき」としか規定していません。
しかし、一般的には、以下の4つの要件を満たす必要があるとされます。
①保護処分に付する蓋然性があること。
②直ちに保護処分に付することができないか、または相当でない事情があること。
③調査官の観察活動が必要であり、かつ、その結果、適切な終局決定ができる見込みがあること。
④相当期間内に観察目的を達成する見込みのあること。

試験観察の期間については、「相当の期間」としか少年法には定められていませんが、在宅試験観察の場合、3~4か月程度、補導委託の場合には4~6ヶ月程度となっています。

少年院送致が見込まれる事件であっても、試験観察となったのにち保護観察で社会復帰できる可能性も大いにあります。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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