少年事件と少年鑑別所の役割

2019-08-09

少年事件と少年鑑別所の役割

~ケース~
兵庫県姫路市に住むAくん(16歳)は、知人のBくんと共謀し、市内の路上で高齢者の持っていた鞄をひったくるという窃盗行為を行いました。
Aくんは逮捕・勾留され、兵庫県姫路警察署に留置されていましたが、その後神戸家庭裁判所姫路支部に送致されると、神戸少年鑑別所に収容されることになりました。
(フィクションです)

少年鑑別所って?

少年鑑別所は、医学・心理学・教育学・社会学その他の専門的知識に基づいて、少年の資質の鑑別を行う法務省管轄の施設です。

少年が何かの罪を犯したり、非行があったりした場合に、警察や検察、或いは児童相談所を経て、事件は家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所は、調査・審判を経て、少年の最終的な処分を決定します。
その審判を開始する前に、少年について詳しく調べる必要があると判断する場合に、家庭裁判所は少年の身柄を少年鑑別所に引き渡し、収容します。
このような調査・審判を行うために少年の心情の安定を図りながら少年の身体を保護してその安全を図る措置を「観護措置」といいます。
観護措置の要件について、少年法は「審判を行うため必要があるとき」と規定しているだけですが、一般的には、以下の要件を満たす必要があるといわれています。

①審判条件があること
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる事情があること
③審判を行う蓋然性があること
④観護措置の必要性が認められること

「観護措置の必要性」については、以下のいずれかの事由がある場合に認められるとされています。
・調査、審判および決定の執行を円滑、確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。(住所不定、証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあり、身体を確保する必要性がある場合)
・緊急に少年の保護が必要であること。(自殺や自傷のおそれがある場合、家族からの虐待のおそれがある場合など)
・少年を収容して心身鑑別をする必要があること。

少年鑑別所の役割

少年鑑別所では、主に、技官との面接や各種の検査などによる資質鑑別と、鑑別所内での行動観察が行われます。
入所するとすぐに身体検査やインテーク面接、集団方式の心理検査などが行われ、その結果に基づいて鑑別方針が設定され、少年の特性に応じた個別の鑑別が実施されます。
資質鑑別と行動観察の結果を踏まえて、鑑別所内で判定会議が開かれ、その議論に基づき鑑別所としての鑑別結果の判定が行われます。
この判定結果は、鑑別結果通知書にまとめられ、家庭裁判所に提出されます。
鑑別結果通知書には、少年が非行を犯してしまった原因や、更生するためにはどのようなことが必要であるのかを分析した上で、どのような処分が適当なのかについての意見が付されます。
このように、少年鑑別所は少年の処分を決める審判を開くうえで重要な役割を果たしています。

また、少年鑑別所においては、日々の日課として、少年は作文や日記を書くことになっており、その作業を通じて自分のしたことと向き合い、同じ失敗をしないためにはどのようにすればよいのか考える機会が与えられます。
少年鑑別所は、少年が事件への内省を深める場所でもあります。

家庭裁判所に送致され、観護措置がとられた場合、少年鑑別所に収容される期間は、通常4週間となっています。
この期間、少年は学校や職場に行くことはできないので、最悪の場合には退学や解雇となってしまう可能性もあります。
このような結果は、少年の更生に妨げとなってしまうこともあり、不要な収容措置は回避しなければなりません。
しかし、少年鑑別所に収容されることで、外部環境と断絶された静かな環境でゆっくりと自分自身を見つめ直す時間を持つことができ、長期的に少年の更生に資することもあります。
特に、家庭環境や交友関係に問題があり、非行の原因であると考えられる場合には、少年鑑別所収容という観護措置が少年の更生のためには必要となることもあります。

お子様が事件を起こし、少年鑑別所に収容されるか心配されておられるのであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。