少年事件の手続(捜査段階)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町の公園にある公衆トイレの個室に火をつけ建物を損傷させたとして、町内に住むAくん(15歳)が兵庫県相生警察署に逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、これからどのような手続となるのか分からず不安で仕方ありません。
すぐにネットで少年事件に強い弁護士を探し、相談電話をすることにしました。
(フィクションです)
20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、事件を起こしてしまった場合、少年法が適用されることは、みなさんご存知だと思います。
しかし、実際にどのような手続がとられることになるのかについてはあまり知られていません。
ですので、ある時、突然あなたの子供が、事件を起こしたと警察から連絡がきたら、今後の流れや、あなたの子供がその後どのような処分を受けることになるのか、先の見通しが立たず、一体どのように対応すればよいのか分からず不安に駆られることでしょう。
今回は、少年事件の捜査段階の手続について説明していきます。
捜査段階における少年事件の手続
まず、捜査段階についてですが、「捜査」というのは、警察をはじめとする捜査機関が、犯罪があると考えるときに、犯人と思われる者(「被疑者」といいます。)を特定・発見して、必要である場合には、その身柄を確保し、証拠を収集・保全するといった一連の手続のことをいいます。
捜査段階の流れとしては、概ね、次の通りです。
①捜査の端緒
捜査が始まるきっかけとなるものには、被害者からの被害届の提出、警察官による職務質問、犯人の自首などがあります。
これらをきっかけに、警察などの捜査機関は、捜査を開始します。
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②捜査の実行
捜査を行うにあたって、原則としては強制ではない処分(「任意処分」)によるものとされます。
例えば、被疑者の了解を得た上で警察署に出頭して取調べを行う方法によるものがあります。
しかし、必要があれば、捜査は強制処分によって行われます。
犯人の身柄を確保する必要性があると判断されれば、犯人を逮捕・勾留することもありますし、関係場所に赴き捜索・差押えを行うこともあります。
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③捜査の終結
警察により一通り捜査がなされると、通常、検察官により事件が処理されます。
検察官は、終局処分として、起訴処分、不起訴処分、家庭裁判所送致のいずれかを行います。
身体拘束の可能性
捜査段階では、少年事件であっても、刑事訴訟法が適用されるため、成人の刑事事件とほとんど同じ手続となります。
そのため、少年であっても、逮捕・勾留される可能性はあります。
ただし、14歳未満の者については、刑事責任を問うことができず犯罪が成立しないため、捜査機関が逮捕することはありません。
勾留について、少年事件においては、「勾留に代わる観護措置」という制度が設けられており、検察官が勾留の要件を満たすと判断した場合においても、この措置の請求をすることができます。
基本的には、勾留に関する規定が準用されますが、勾留に代わる観護措置においては、少年鑑別所収容の観護措置のみならず、家庭裁判所の調査官による観護の方法がとることが可能な点、勾留と異なり、10日間の観護措置期間は延長できない点、そして、勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に収容されていた事件が家庭裁判所に送致されると、当然に家庭裁判所は送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなす点が勾留と異なります。
身体拘束が長期化することで、学校や職場に行くことができず、少年が被る不利益も大きくなるでしょう。
不必要な身体拘束を避けるためにも、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動を行うことが重要です。
全件送致主義
捜査機関による捜査が終了すると、犯罪の嫌疑がある場合や、犯罪の嫌疑はないけれども家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合には、原則として、全ての事件を家庭裁判所に送致することになります。
成人の刑事事件のように、犯罪を行ったという事実を十分に証明することができる場合であっても、公訴を提起しないとする処分(「起訴猶予」)は少年事件ではなされません。
他方、嫌疑がなく、家庭裁判所の審判に付すべき事由もない場合には、不起訴処分となります。
少年が容疑を否認している場合には、嫌疑がないこと、そして、家庭裁判所の審判に付すべき事由もないことをしっかりと主張していくことが必要です。
また、容疑を認める場合であっても、審判に向けて、捜査段階から少年の更生に向けた環境調整を行うことが重要です。
このように、少年であっても捜査段階で身体拘束を受ける可能性も十分ありますし、この段階から家庭裁判所送致後に予定されている審判に向けて準備を始めることも大切です。
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