少年審判の流れ

2019-10-26

少年審判の流れ

少年審判の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区に住むAくんは、窃盗の容疑で兵庫県灘警察署に逮捕されました。
その後、釈放され在宅事件として捜査は進み、神戸家庭裁判所に送致されました。
Aくんの両親は、少年審判に向けてどう準備すればよいか分からず弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

少年審判の特徴

刑事事件の公判と比べると、少年審判には、次のような特徴があります。

(1)職権主義的審問構造

刑事裁判では、検察官および被告人・弁護人による主張・立証や意見陳述を公判手続の基本に置き、裁判所の職権的な活動は補充的なものにとどめる「当事者主義」に基いて進められます。
一方、少年審判は、家庭裁判所が自ら審判手続を主導し、少年に関する調査を行い、その結果をもとに審理を行って処分を言い渡すものであり、職権主義的審問構造がとられています。
この理由には、裁判所による合理的な職権行使により、非行事実だけではなく、非行に至る動機・背景、少年の成育歴、家庭環境、性格・資質などを柔軟に調査・考慮することが可能となり、少年一人ひとりに合った審理を行うことで、少年の健全育成の確保という少年法の趣旨に沿うことが挙げられます。

(2)非公開

少年審判は原則として非公開とされています。
成長発達途上にある少年の情操を保護し、社会復帰を円滑に進める必要があること、少年やその家族のプライバシーに深くかかわる要保護性の審理を適切に行うためには、手続内容の秘密性が求められるためです。

(3)証拠法則

予断排除の原則や伝聞法則の適用がなく、裁判官が審判期日の前からあらゆる証拠に触れることができます。

少年審判の流れ

少年審判は、審判手続や進行について裁判官の裁量が大きくなっています。
ですので、審判の進行は裁判官によって異なることもありますが、概ね次の順序により行われます。

①人定質問、黙秘権の告知、非行事実の告知、非行事実に関する少年・付添人の陳述
         ↓
②非行事実の審理(証人尋問、少年本人質問)
         ↓
③要保護性の審理(少年本人質問、保護者・関係者への質問等)
         ↓
④調査官・付添人の処遇意見の陳述、少年の意見陳述
         ↓
⑤決定の言渡し

①人定質問、黙秘権の告知、非行事実の告知、非行事実に関する少年・付添人の陳述

人定質問
裁判官が審判廷の在席者を確認し、少年や保護者等について人定質問(人違いでないかどうかの確認するための質問)が行われます。

黙秘権の告知
少年審判規則は、裁判官が第1回審判期日の冒頭で、少年に対して黙秘権についてわかりやすく説明をしなければならないことを規定しています。

非行事実の告知とこれに対する少年の陳述
裁判官から審判に付すべき事由の要旨が告げられ、これに対する少年の陳述が行われます。

非行事実に関する付添人の陳述
付添人に対しても、非行事実に対する陳述が求められます。

②非行事実の審理

証人尋問
非行事実に争いのある事件では、証人尋問を行うことが多くなっています。
裁判所および付添人は証人に尋問をすることができます。

少年本人質問
次に、裁判官および付添人は、少年に対して質問を行います。

③要保護性の審理

少年本人質問
裁判官および付添人は、要保護性に関する質問を少年に対して行います。
要保護性についての質問は、最後に調査官からも行われます。

保護者・関係者に対する質問
次に、少年の保護者や審判に在席している関係者に対して、要保護性に関連する質問を少年に対して行います。

④調査官・付添人の処遇意見の陳述、少年の意見陳述

調査官の処遇意見の陳述
調査官は、審判において、裁判官の許可を得て意見を述べることができますが、調査官の処遇意見は、事前に裁判所に意見書として提出してあるので、審判時に改めて裁判官が調査官に意見を求めることはそう多くありません。

付添人の処遇意見の陳述
付添人も、審判において、裁判官の許可を得て意見を述べることができます。
付添人の意見も、事前に意見書として裁判所に提出してあります。

少年の意見陳述
最後に、裁判官が少年の意見を求め、少年が意見を述べます。

⑤決定の言渡し

審判の全ての手続が終ると、裁判官が決定を言い渡します。
言渡しでは、少年に対する処分の内容を述べ、次に、処分の理由について説明がなされます。

審判の時間は、非行事実に争いがなく、1回の審判で決定まで言い渡す事件では、だいたい40~60分程度となることが多いでしょう。

少年審判の流れは以上の通りとなりますが、少年に対する処分の決定には、少年審判までの活動が大きく影響します。
特に、審理対象のひとつである要保護性の解消については、審判までにしっかりと環境調整を行い、要保護性が解消されたと調査官や裁判官に認めてもらうことが重要です。

お子様が事件を起こしお困りであれば、少年事件・刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。