少年法の一部改正後初適用された、特定少年の実名公表について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
少年法の一部改正
先日のコラムで4月1日から一部改正された少年法が施行されたことをお伝えしました。
改正法が施行されて約2週間が経過しますが、先日、施行後初めて、特定少年の実名が公表されてたことが世間の注目を浴びましたので、本日のコラムではこちらの事件をご紹介します。
実名公表された少年の事件
今回、実名公表されたのは、昨年10月、関東地区の住宅で夫婦を殺害し、住宅に放火したとして警察に逮捕された19歳の少年です。
報道によりますと、この少年は、警察に逮捕後、検察庁に事件送致されてから、刑事責任能力の有無を見極めるために鑑定留置されていたようですが、3月に捜査を終えて、検察庁から家庭裁判所に送致された後、4月4日、家庭裁判所から検察庁に逆送されていたようです。
実名公表される少年事件
改正された少年法によると、実名公表される少年については「特定少年」に限定しており、公表するかどうかを決める検察庁の最上級機関である最高検察庁は、実名を発表する「典型事案」を裁判員裁判の対象事件と位置づける基本的な考え方を全国の検察庁に通知しています。
裁判員裁判の対処事件とは、一定の重大な犯罪で、殺人事件や現住建造物等放火事件、危険運転致死事件等、人の生命に関わるような事件の他、覚醒剤の営利目的の輸入事件も対象となっています。
実名公表されるタイミング
検察庁が特定少年の実名を発表するのは、少年が起訴されるタイミングです。
警察に逮捕されたり、検察庁や家庭裁判所に送致(逆送を含む)されたタイミングでは、推知報道の禁止規定の適用を受けますが、逆送後に検察官が公判請求(起訴)した時点で推知報道禁止規定が適用されなくなるので、このタイミングで検察庁が、特定少年の実名を発表することができるのです。
ちなみに、ネットニュースや、新聞、テレビのニュース等で使用されている顔写真については、報道機関が独自に入手したものが使用されるケースがほとんどです。
特定少年の実名公表に対する見解
まだ改正少年法が施行されて2週間程度しか経過しておらず、特定少年の実名公表が、今後の社会にどのような影響を及ぼすのかは定かではありません。
各報道機関は、少年法の一部が改正されてからも、少年の健全育成や更生を重視しているこの法律の趣旨については変わりがない事を理解した上で、事件の重大性や、社会に及ぼす影響などを総合的に考慮して実名公表すべきだと思います。
このコラムをご覧の方で、4月1日から施行されている少年法の一部改正について詳しく知りたい方は、こちらを⇒⇒クリック
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