美人局で恐喝事件

美人局恐喝事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
大学生のAさんは、友人のBさん、交際相手のCさん(17歳)と共謀し、出会い系アプリで知り合った男性とCさんとがホテルに入ろうとしたところを狙い、「俺の妹に何してくれてんねん。こいつ17やで。犯罪やで。どないしてくれるねん。」などといい、解決金名目で20万円を男性に要求し、ATMで現金を下ろさせて奪取したとして、恐喝容疑で兵庫県小野警察署に逮捕されました。
(フィクションです)

インターネットの普及に伴い、容易に見ず知らずの人と連絡がとれるようになりました。
便利である一方で、それが犯罪に利用されることも増えています。
上記ケースのように、若者が出会い系アプリを利用して、成人を未成年者と出合わせ、ホテルへ行こうとするところにその未成年者の交際相手や親族と名乗る者が現れ、示談金名目に高額な金銭を要求するといった事件が後を絶ちません。
金銭を要求された側も、実際に未成年といかがわしいことをしようとしていた手前、警察に被害を届け出ることは少なく、実際にどのくらい美人局が行われているのかは定かではありません。

美人局を行った場合、強盗罪、恐喝罪、詐欺罪、脅迫罪、強要罪などといった罪に問われる可能性があります。
今回は、恐喝罪について説明します。

恐喝罪

第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

恐喝罪は、人を恐喝して財物または財産上の利益を交付させる罪です。

1.財物恐喝罪(刑法第249条第1項)

◇客体◇
本罪の客体は、他人の所有する財物です。
この財物には、不動産を含むとされます。

◇行為◇
本罪の構成要件的行為は、「人を恐喝して、財物を交付させる」ことです。

恐喝
恐喝」というのは、脅迫または暴行を手段として、その反抗を抑圧するに足りない程度に相手方を畏怖させ、財物の交付を要求することです。
ここでいう「脅迫」とは、人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。
また、「暴行」は、人に対する不法な夕景力の行使を意味します。
「強盗罪」においても、「暴行または脅迫」を用いて行うことが求められますが、強盗罪における暴行・脅迫の程度は、犯行を抑圧する程度であることを必要とされ、恐喝罪のそれは相手方を抑圧するに足りない程度でよいとされています。

交付行為
「交付させた」とは、恐喝行為の結果、畏怖した相手方の処分行為に基づく交付によって、財物の占有を取得することをいいます。
よって、恐喝行為と財物の交付との間には、因果関係がなければなりません。

◇主観的要件◇
本罪の故意は、「他人を恐喝して、畏怖に基づく処分行為により、財物又は財産上不法の利益を得もしうは他人に得させること」の認識です。
この他、判例は、不法領得の意思も必要だとしています。

2.利益恐喝罪(同条第2項)

◇客体◇
本罪の客体は、財産上の利益です。
財産上の利益とは、財物以外の財産的利益のすべて、つまり、債券や担保権の取得、労務・サービスを提供させることだけでなく、債務免除や支払猶予も含みます。

◇行為◇
利益恐喝罪においても、相手方を恐喝した結果、相手方が畏怖し、相手方の意思に基づいて財産上の利益を移転させる処分行為が必要となります。

さて、上記ケースでは、Aさんは、BさんとCさんとグルになって、出会い系アプリで知り合った男性に対して、「未成年者とホテルにいこうとした」ことをネタに解決金名目で20万円を要求し、取得しています。
Aさんは、男性に対して、「俺の妹に何してくれてんねん。こいつ17やで。犯罪やで。どないしてくれるねん。」などと申し向けています。
この手のケースでは、未成年者とのいかがわしい行為は犯罪であることを主張し、そのことを公にしたくなければ金銭で解決すること提案するといったものがほとんどです。
相手方も、自分の行為を公にはしてほしくないですので、「もし暴露されたら大変だ!」と恐れおののき、高額な金銭を恐喝相手に渡してしまうのです。
つまり、脅迫を用いて、相手方を畏怖し、相手方の意思に基づいて、お金を交付させており、恐喝罪が成立するものと考えられます。

恐喝罪の法定刑は、10年以下の懲役です。
恐喝罪で起訴され、有罪となれば、実刑となる可能性があるということです。

そのような事態を回避するためにも、早期の段階から刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、適切な弁護活動を行うこと重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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