自損事故後にトラックが衝突し同乗者が死亡 過失運転致死罪で執行猶予

自損事故後にトラックが衝突し同乗者が死亡した事故で、自損事故をした運転手に対して 過失運転致死罪で有罪判決が言い渡された裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

事件内容(「居眠り運転で自損事故の母親に有罪判決 後続車追突し2児死傷、因果関係認める 加古川バイパス」を参考にしています。)

昨年1月、加古川バイパスを走行中、ガードレールに衝突する自損事故を起こして停止後に、後続のトラックが追突されて、同乗していた幼い子供が亡くなった事故で、自損事故を起こした車の運転手に、禁固2年執行猶予2年の判決が言い渡されました。
衝突したトラックの運転手にはすでに禁錮3年、執行猶予5年の判決を言い渡されており、裁判官は、自損事故を起こした運転手について、発煙筒や警告板などの設置がなく、後続車が「車が停車していると容易に確認できた状況ではない」と因果関係を認めました。

過失運転致死罪

過失運転致死罪とは、過失によって事故を起こし、その事故によって人が亡くなった特に成立する犯罪で、その法定刑は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。
過失運転致死罪の刑事裁判でよく争点となるのが
①過失の有無
②事故と死亡との因果関係
です。

過失

結果を認識・予見することができたにもかかわらず、注意を怠って認識・予見しなかったり、結果の回避が可能だったにもかかわらず、回避するための行為を怠ることを意味します。
今回の事件ですと、自損事故を起こした後に、その後に起こる事故を予見し、それを回避する措置を講じていたかどうかが問題となりますが、そういった措置を講じなかったことによって、後続のトラックが衝突する事故が起こったのだと認定されたのでしょう。
裁判官の指摘通り、発煙筒や警告板などを設置していれば、過失が認められなかった可能性があります。

因果関係

刑事手続きにおいて「因果関係」というワードをよく耳にしますが、実際に因果関係とはどういった意味なのでしょうか。
簡単にいうと「その行為によって、その結果が生じたと言えるのか」ということです。
自分の行為と、生じた結果に因果関係がなければ、その結果に対する刑事責任を免れることがあります。
例えば、Aさんが、Bさんの顔を殴る暴行をはたらき、後日、Bさんが、足を骨折していたことが判明し、Aさんは傷害罪で追及されることになったとしましょう。
顔を殴って足を骨折するというのはどう考えてもおかしいわけですから、足の骨折はAさんの暴行によって生じた結果とはいえないので、因果関係は認められません。
しかし、顔殴ったことによって、Bさんがバランスを崩して、どこかに足をぶつけてしまい、その際に足が骨折した場合は、Aさんの暴行行為が原因で、Bさんが骨折したと言えるので因果関係が認められる可能性が高いでしょう。
今回の事件は、発煙筒や警告板などを設置するという措置を講じなった過失によって、トラックが衝突する事故が起こり、その事故によって同乗者が亡くなるという結果が生じています。
今回の裁判は、この過失と、同乗者の死亡という結果との間に因果関係は認められる判決となっています。

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