現金を強取した女が逮捕された赤穂市のコンビニ強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
事件内容
兵庫県赤穂警察署は、赤穂市内のコンビニにカッターナイフを持って押し入り、店員に対して「刺されたくなかったらレジのお金を全部出せ。」と脅して、レジ内にあった現金約15万円を強取した女を逮捕しました。
兵庫県赤穂警察署は、コンビニ店内に設置されていた防犯カメラの映像を解析して女を割りだして今回の逮捕に至ったようです。
逮捕された女は警察の取調べに対して「生活保護費だけでは生活が苦しかった。」と事実を認めています。
(実際に起こった事件を基にしたフィクションです。)
強盗罪とは
強盗罪は、他人に暴力を振るったり(暴行)、脅したり(脅迫)して無理やり財産を奪った場合に成立する犯罪です。
強盗罪は、殺人、放火、強制性交罪と並ぶ凶悪犯罪であるため、「未遂」や「予備」の段階であっても処罰の対象となります。(強盗未遂罪・強盗予備罪)
強盗罪は刑法第236条に定められており、1項で財物についての強盗を、2項で財産上不法の利益についての強盗を規定しており、前者を「1項強盗」、後者を「2項強盗」と呼ぶのが一般的です。
本日は1項強盗について解説します。
強盗罪の成立要件について
強盗罪が成立するには、客観的に
①暴行又は脅迫を用いて
②他人の財物を
③強取した
必要があります。
①の「暴行」と「脅迫」について
強盗罪でいう「暴行」は、暴行の概念の中でも最狭義です。
また強盗罪でいう「脅迫」は、脅迫罪の「脅迫」とは異なり、本人又は親族の生命・身体・自由・名誉又は財産に害を加えることを要件としない害悪の告知行為ですので、害悪を加えられるべき人や法益の範囲は広くなります。
「暴行」や「脅迫」の程度は?
強盗罪が成立するにはどの程度の「暴行」や「脅迫」が必要なのでしょうか?
法律的には「犯行を抑圧する程度」の暴行や脅迫が必要とされています。
「犯行を抑圧する程度」とは、被害者が精神的あるいは身体的に自由を完全に失うまでは必要とされませんが、少なくとも、暴行や脅迫によって自由が著しく制圧される事は必要とされるでしょう。
単に「怖かった」という畏怖の念を抱く程度であれば恐喝罪が成立するにとどまるでしょう。
②他人の財物とは
他人の財物とは、相手方が占有している所有物のことをいいます。
③強取とは
強取とは、暴行又は脅迫により、相手方の反抗を抑圧し、その意思によらずに財物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
つまり、強取といえるためには、「暴行・脅迫」、「反抗抑圧」、「財物奪取」との間に因果関係が必要になります。
強盗罪の「故意」について
強盗罪の故意とは、暴行脅迫を用いて財物を奪取することの認識、認容をいいます。
また、条文には書かれていませんが、奪取罪であるため強盗罪の成立には、不法領得の意思が必要とされています。
不法領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に、その経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいうものとされています。
強盗罪に強い弁護士
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