窃盗事件で間接正犯

窃盗事件で間接正犯

窃盗事件での間接正犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県芦屋市のコンビニで、Aは、幼稚園児の実の子供Bに商品棚に並んでいたパンを渡し、「これもって外に出てて。」と言い、Bは会計を済ませずにパンを店外に持って出ました。
売上金額と商品の在庫数が合わないことから、店長が防犯カメラをチェックすると、子供が会計せずにパンを外に持ち出している姿と、その後に続く女性の姿を確認しました。
後日、AとBが再度来店した際に、店長は兵庫県芦屋警察署に通報し、Aさんは駆け付けた警察官に逮捕されました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

間接正犯とは

犯罪とは、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」をいいます。
つまり、犯罪が成立するには、以下の要件を満たす必要があるのです。
①問題となる行為が構成要件に該当すること。
②構成要件に該当する行為が違法であること。
③構成要件に該当し、違法である行為が有責に行われたこと。

要件①の構成要件については、様々な見解がありますが、基本的には「立法者が犯罪として法律上規定した行為の類型」と理解されます。
構成要件該当性が認められる場合には、行為者が実行行為を自ら行い結果を直接引き起こす場合(直接正犯)と、他人に行わせ、その他人によって結果が引き起こされる場合(間接正犯)とがあります。
間接正犯は、外見上、実行行為を自ら行っていないにもかかわらず、自らが行った場合と同視するものであるので、如何なる場合に同視し得るのかが問題となります。
間接正犯が認められるためには、他人の行為を「自己の犯罪実現のための道具として利用した」といいうることが必要となります。
それでは、どのような場合に他人の行為を「自己の犯罪実現のための道具として利用した」といえるのか、以下類型ごとに説明します。

(1)被害者の行為の介入
行為者の行為後、自由で瑕疵のない意思に基づく被害者の行為が介入した場合、間接正犯の成立は認められません。
しかし、行為者が被害者の行為をもたらし、その被害者に構成要件的結果についての認識が欠ける場合、被害者が欺罔により錯誤に陥っている場合、被害者の行為を強制した場合には間接正犯が成立します。

(2)非故意行為の介入
行為者が、構成要件的結果について故意のない媒介者の行為を介入させた場合、媒介者を「道具のように利用」して構成要件を実現させたとみることができ、間接正犯の成立を肯定することができると解されます。

(3)責任なき行為の介入
行為者が意思能力を欠く者を媒介して構成要件的結果を生じさせた場合、その者を思うがまま「道具のように利用」していたといえるので、間接正犯が成立すると解されます。
媒介者が責任能力が欠ける者(心神喪失)であっても、この者が是非弁別能力に欠けるときには、間接正犯が成立するものと解されます。
媒介者が14歳未満の刑事未成年者の場合であっても、是非弁別能力があるときには、意思の抑圧などの事情が存在しない限り、間接正犯の成立を肯定することはできません。

(4)構成要件非該当行為の介入
媒介者に構成要件要素である身分や目的がないため、媒介者の行為に構成要件該当性を肯定することができない場合、媒介者に結果を引き起こす認識・意思があったとしても間接正犯が成立し得ると考えられてきました。

上記ケースのように、幼稚園児に指示し窃盗行為をさせた場合には、当該児童は意思能力を欠く者であり、児童を「道具のように利用」したといえるので、Aの間接正犯は成立すると考えられるでしょう。

このように、直接自分が実行行為に着手していなくとも、正犯として刑事責任が問われることもあります。
どのような場合に間接正犯が成立するのかは、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

兵庫県の窃盗事件で間接正犯に問われてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐお問い合わせください。
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