刑罰はどうやって決められるの?

刑罰はどうやって決められるの?

刑罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県洲本市の民家に侵入し、現金20万円と貴金属などを盗んだとして、兵庫県洲本警察署は無職のAさんを窃盗と住居侵入の容疑で逮捕しました。
Aさんは容疑を認めていますが、どのような刑罰が科せられるのか不安です。
Aさんは、接見にやってきた弁護士に、どのような刑罰が科せられる可能性があるのか聞こうと考えています。
(フィクションです)

刑罰の種類

刑罰には、死刑、懲役、罰金、拘留、科料の5種類があります。
刑の重さは、上の並び順となります。
逮捕に引き続き行われる「勾留」と、刑罰としての「拘留」とは異なりますので、ご留意ください。

刑法を含めた刑罰法令は、「この罪名で有罪となった場合には、この範囲内で刑罰を科すことができる」と定めており、この法律に記載のある刑罰を「法定刑」と呼んでいます。
上記の事例でみていると、

刑法第235条 窃盗 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
刑法第130条 住居侵入 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金

という形で法定刑が定められています。

法定刑は、あくまで、罪名と刑の対応となります。
そのため、具体的に事件の内容によって実際にどのような刑の範囲が適当かは異なります。
例えば、複数の事件が同時に発生した場合には、どのような範囲で刑を科せばよいかが問題となります。
法律では、具体的事件の形に合わせて、実際に処罰することが可能な刑の範囲を定めます。
この範囲を「処断刑」といいます。
処断刑の定め方は、いろいろありますが、今回は複数の事件がある場合の刑の定め方についてみていきます。

(1)原則(併合罪加重)
原則として、複数の事件が発生した場合、以下のような形で処罰します。
・最も重い法定刑が定められている罪で処罰する。
・刑の範囲は、法定刑を基準に、懲役であれば1.5倍、罰金であれば複数の罪の合計額を限度とします。ただし、懲役の場合には、元の罪の懲役の合計を超えてはなりません。
このような処罰の形を「併合罪加重」といいます。

(2)例外
併合罪加重は原則ですが、法律は様々な例外についても定めています。

a 牽連犯
2つの行為が目的と手段の関係にある場合には、併合罪加重はせず、重い方の罪の法定刑を遮断刑とするとされています。
これを「牽連犯」といいます。
例えば、上記ケースのように家に入って盗みをした場合には、住居侵入と窃盗が成立しますが、目的(窃盗)と手段(住居侵入)の関係にあるので、処断刑は、窃盗の罪の法定刑がそのまま用いられることになります。

b 包括一罪
法律に定めはありませんが、同じ目的をもって、時間的場所的に近接している状況で、同じ事件を反復継続して起こしている場合には、まとめて1罪として処罰します。
街頭募金詐欺は、被害者は募金をした一人ひとりなので、複数の詐欺罪が成立することになりますが、同じ場所で同じ時間、同じ目的で詐欺をしていますので、まとめて1つの詐欺罪として扱われた事例があります。

このように、実際にどのような刑が科せられるかは、起こした事件の内容により異なります。

刑事事件を起こし、どのような罪に問われ、どのような刑罰が科され得るのかご不安な方は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。
フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。

keyboard_arrow_up

0120631881 無料相談予約はこちら LINE予約はこちら