外国人事件と退去強制
外国人事件と退去強制について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県加古川市の会社に勤務している外国籍のAさんは、大麻を国際郵便で輸入しようとしたとして兵庫県加古川警察署に逮捕されました。
Aさんは容疑を認めていますが、今後どのような流れになり、どのような処分を受けるのか、退去強制となるのか非常に不安です。
(フィクションです)
外国人が刑事事件を起こすと…
外国人が犯罪行為を行った場合でも、取られる手続は通常の刑事事件と同じです。
検察官が被疑者の起訴・不起訴を決定し、公判請求された場合には、公開での審理を経て有罪無罪が言い渡されます。
これらの手続はすべて日本語に基づいて進められますが、日本語を理解することができない方、若しくはある程度は日本語力がある方でも複雑な手続や法律の専門用語などがきちんと理解することが難しい場合には、通訳人を介して手続を進める必要があります。
外国人の方が事件を起こしてしまった場合に、一体今後どのような流れになり、如何なる処分を受けるのか、といったことについて心配なさることでしょう。
言語や文化などの違いから、日本人以上に不安を感じられるでしょう。
そのような場合、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談し、丁寧な説明やアドバイスを受けることが重要です。
また、外国人の方が刑事事件を起こしてしまった場合に、懸念されるのが、事件終了後も日本に滞在可能かどうかという点です。
つまり、「退去強制」となるか否かという問題です。
退去強制について
「退去強制」とは、「出入国管理及び難民認定法」に定められた行政処分の一つで、日本に滞在している外国人を強制的に日本から退去させることをいいます。
出国管理及び難民認定法第24条では、日本社会において強制的に退去させるべき者を事由ごとに列挙しています。
上記ケースのように薬物事件に関しては、同法第24条第4項(チ)に規定されています。
チ 昭和二十六年十一月一日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せヽいヽ剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)又は刑法第二編第十四章の規定に違反して有罪の判決を受けた者
Aさんは、大麻輸入の容疑で逮捕されており、Aさんは容疑を認めています。
大麻の輸入は、大麻取締法によって規制されていますので、大麻取締法違反で有罪判決を受けた場合には、退去強制事由に該当することになり、退去強制となる可能性があります。
有罪判決ですから、執行猶予判決であってもアウトです。
退去強制事由に該当する場合、特別な事情がない限りは、退去強制させられることとなります。
ただし、日本人の配偶者がいる場合や、日本人の子がいる場合などは、在留特別許可が認められることもあります。
先述の通り、薬物犯罪で有罪判決を受けたことは、退去強制の要件になっていますが、判決の確定までが必要です。
執行猶予付き判決が言い渡された場合、判決宣告時には勾留からも解放され、退去強制事由にも当たらないため、身体拘束は解かれます。
判決が確定した後に、入国管理局から出頭を命じる呼び出しが来て、退去強制の手続がすすめられます。
一方、実刑判決が言い渡された場合には、原則として、日本国内の刑務所に服役することになります。
刑期満了後又は仮釈放後に入国管理局に移送され、強制送還を待つことになります。
退去強制事由は様々で、事件内容や滞在資格によっては退去強制とならないこともあります。
ですので、外国人の方が事件を起こしてしまった場合には、刑事事件及び退去強制手続にも詳しい弁護士に相談されるのがよいでしょう。
ご家族が事件を起こし逮捕・勾留されてお困りであれば、刑事事件・少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。