ひき逃げ事件で自首

2019-08-26

ひき逃げ事件で自首

ひき逃げでの自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
深夜、会社から自宅へ車で帰宅中のAさんは、兵庫県西脇市の交差点で右折しようとした際、横断道路を渡っていた自転車に気づかず、自転車と接触してしまいました。
接触後、一旦停車し自転車を見たところ、倒れた自転車を起こしている被害者を確認しました。
「自分で自転車を起こせるくらいだから大したことないだろう。」と思い、Aさんはそのまま自宅へ向かって走り去りました。
帰宅したAさんは、事故のことが気になり、兵庫県西脇警察署に出頭しようかと考え始めました。
この場合、出頭は自首となるのか、出頭すれば逮捕されるのか、いろいろと心配になってきたAさんは、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

ひき逃げとは?

人身事故を起こしたにもかかわらず、被害者の救済や警察への報告をすることなく、現場から立ち去る行為を「ひき逃げ」といいます。
ひき逃げによって成立する犯罪は、道路交通法違反です。
道路交通法第72条第1項は、次のように規定しています。

第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

同条は、次の2つの義務について定めています。

①救護措置義務
交通事故があったときは、運転手や同乗者は、車の運転を停止し、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置をとらなければなりません。
車両等の運転停止、負傷者の救護、道路における危険防止のいずれかでも義務を怠ることにより、当該義務違反となります。

②事故報告義務
上の救護措置義務をとった場合に、運転手に警察官に対して事故について報告しなければなりません。

ひき逃げ事件の上記ケースでは、①の救護措置義務違反が成立することになります。

自首が成立する要件とは?

さて、Aさんは警察への出頭を考えていますが、すべての出頭が「自首」になるとは限りません。
自首」が成立するためには、満たさなければならない要件があります。

(1)犯罪を起こした本人自らが自発的に犯罪事実を申告していること。

「自ら自発的に」自分の犯した犯罪を申告しなければならず、取調べで単に犯罪事実を自白しただけでは自首したことになりません。

(2)犯罪を行った本人が自身の罰則や処分を求めていること。

申告内容が、犯罪事実の一部を隠すためにされたものであったり、自己の責任を否定するようなものであったりした場合には、自首は成立しません。

(3)捜査機関に申告していること。

司法警察員または検察官に対して申告している必要があります。

(4)捜査機関が犯罪事実や犯人を特定していない段階で申告していること。

犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合や、犯罪事実は発覚していたとしても、その犯人が誰であるか発覚していない場合を含みます。
犯罪事実や犯人が誰であるか判明しているけれども、単に犯人の所在だけが不明である場合は、これに含まれません。
犯罪事実の申告を受けた警察官等が犯罪事実を知らなくても、捜査機関の誰かが犯罪事実を知っていた場合には、自首は成立しません。

これらの要件を充たしてはじめて「自首」が成立することになります。

自首するメリットとは?

(1)刑が減軽される可能性。

自首が成立すると、刑が減軽される可能性があります。
どの程度刑が減軽されるかについても、刑法第68条が定めています。
救護措置義務違反の道路交通法違反の法定刑は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
有期懲役の場合、長期及び短期の2分の1に、罰金の場合、多額及び寡額の2分の1に減軽されるので、救護措置義務違反の道路交通法違反の場合には、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金の範囲内で刑罰が科されることになります。
しかし、あくまで「刑を減軽することができる」とありますので、絶対的に軽減されるものではありません。

(2)身体不拘束の可能性

また、自首したことそれ自体が、逮捕の要件である逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれを否定する事情となり、逮捕されず在宅のまま捜査が進む可能性もあります。

刑事事件を起こし、自首しようかお悩みであれば、自首する前に一度刑事事件に強い弁護士にご相談されることをおすすめします。
自首するメリット・デメリットを理解し、自首した後の流れや取調べ対応についてしっかりと説明やアドバイスを受けることにより、取調べに対する不安を少しでも和らげることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお悩みの方は、一度弊所(フリーダイヤル0120-631-881)にご相談ください。