強制わいせつ事件を起こしてしまった男性看護師の、看護師資格はどうなるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
Aさん(20代、男性看護師)は、三田市内にある総合病院で看護師をしています。
先日、同じ病棟で勤務する女性看護師と一緒にお酒を飲みに行き、その後、二人でAさんが一人暮らしをするアパートに移動しました。
アパートでも一緒にお酒を飲んでいたのですが、女性看護師が自分に気があると思っていたAさんは、女性看護師を抱き寄せて、キスをしながら胸を触ったりとわいせつな行為に及びました。
行為の間、女性看護師は「嫌だ、やめて。」と小声で言っており、最終的に泣き出したのでAさんは、行為を中断し、それ以上は何もしませんでした。
そしてその後も、二人で話をして過ごしたのですが、その翌日から女性看護師は病院に出勤しておらず、Aさんは上司に呼び出され「●●(女性看護師)さんが警察に訴えると言っている。」と聞かされたのです。
Aさんは、警察沙汰になってしまうと、自分の看護師資格がどうなるのかとても心配です。
(フィクションです。)
Aさんのように、看護師等の国家資格をお持ちの方が、何か刑事事件を起こしてしまうと、その後の刑事罰が、資格にどの様に影響するのかと心配でしょう。
そこで、本日のコラムでは、Aさんの事件を参考に、刑事事件が資格に及ぼす影響について解説します。
刑事罰が資格に及ぼす影響
今回Aさんの行為は、刑法176条に規定されている強制わいせつ罪に当たるでしょう。。
強制わいせつ罪で起訴されて有罪が確定すると「6月以上10年以下の懲役」が科せられます。
強制わいせつ罪は、初犯であれば執行猶予が付く可能性がありますが、犯行態様が悪質な場合は初犯でも実刑判決となる場合があります。
免許取消しを回避するには
看護師等の免許、試験、業務等について定めた保険師助産師看護師法によれば、罰金以上の刑に処せられた場合(第9条1号)、又は看護師として品位を損なうような行為があったときは、免許を取消すことができる旨定めています(第14条3号)。
罰金以上の刑とは、罰金刑、禁錮刑、懲役刑、死刑のことを指し、処せられたとは裁判を受け、その裁判が確定したことを言います。
Aさんの場合、今回の事件で起訴されて有罪となって懲役刑が確定すれば、看護師の資格(免許)を取消されるおそれが出てきます。
資格を守るために
看護師資格を守るためには、刑事罰を回避することが一番です。
一般的には、処分を決める検察官から不起訴処分を獲得することが考えられます。
不起訴処分を獲得するには、まずは何より被害者に謝罪し、示談交渉を始めて示談を締結することが何よりも大切です。
そして示談の結果を処分を決める検察官に示すのです。示談により被害者の処罰感情が緩和されれば、不起訴処分獲得の可能性はより高まると言えるでしょう。
なお、不起訴処分を獲得できたとしても、「看護師として品位を損なうような行為があった」として免許を取消される可能性は残りますが、それでも示談し、不起訴処分を獲得する意義は十分あると考えます。
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