あおり運転で刑事事件

2019-09-02

あおり運転で刑事事件

あおり運転での刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

お盆期間中に世間を騒がせた「あおり運転」による傷害事件。
茨城県の常盤自動車道で、「あおり運転」をした上、道路上に車を停車し、後方を走る被害者の車も停車させ、「殺すぞ」などと怒鳴りながら被害者の顔を数回殴り怪我をさせたというものです。
被害者の車に搭載されていたドライブレコーダーの映像から、加害者が運転していた車が割り出されましたが、同様の事件が他にも起きているということです。

2017年6月に起こった、パーキングエリアで駐車方法を注意されたことに腹を立て、被害者家族が乗るワゴン車の前に割り込み、減速して接近させる妨害を繰り返した末、追い越し車線で停止させ被害者に対して暴行を加え、後方からやってきた車による追突事故を引き起こした事件により、「あおり運転」の危険性について再認識したことは記憶に新しいところです。
以後も、「あおり運転」による事故や事件が後を絶ちません。

あおり運転」とは、道路を走行する車に対して、周囲の運転者が運転中に煽ることで、道路における交通の危険を生じさせる行為のことをいいます。
具体的には、前方を走行する車に対して、車間距離を異様に詰める、無理な割込み後の急ブレーキ、ハイビーム・パッシング・クラクション、幅寄せや罵声を浴びせるなどの嫌がらせ行為が挙げられます。

このような「あおり運転」を行ったことにたいしては、どのような犯罪が成立し得るのでしょうか。
あおり運転」は重大事故を引き起こす可能性がある危険な運転です。
そのため、実際に事故にならなくとも、「あおり運転」とみなされる運転行為を行った場合にも「道路交通法違反」や刑法の「暴行罪」が成立する可能性があります。

1.道路交通法違反

道路交通法は、「あおり運転罪」なる罪を設けているわけではありません。
あおり運転」とみなされる個々の運転行為が、道路交通法に違反するのです。
以下、よくある「あおり運転」の行為についてみていきましょう。

(A)車間距離を必要以上に詰める行為:車間距離所持義務違反

第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

車間距離所持義務違反の罰則は、高速道路を走行中のケースでは、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、その他の道路を走行中のケースでは、5万円以下の罰金です。

(B)隣の車線に車を幅寄せする行為:進路変更禁止違反

第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
一 第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
二 第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。

罰則は、5万円以下の罰金です。

(C)急ブレーキをかける行為:急ブレーキ禁止違反

第二十四条 車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

罰則は、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金です。

2.暴行罪

刑法第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、「不法な有形力の行使が人の身体に対して加えられる」場合を指します。
殴る蹴るといった暴力のみならず、狭い四畳半の部屋で在室中の被害者を脅かすために、日本刀の抜き身を振り回す行為も「暴行」に当たります。
あおり運転」の場合、車間距離の接近、幅寄せや威嚇といった行為が「有形力の行使」に当たるとみなされると、暴行罪が適用される可能性があります。

このように、あおり運転とみなされる運転行為を行っただけでも、道路交通法違反や暴行罪が成立し、刑事事件として処理されることになります。

また、あおり運転の結果、相手方に怪我を負わせてしまった、或いは死亡させしまった場合には、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)に該当する可能性があります。

ご家族があおり運転で逮捕されてお困りであれば、交通事件も取り扱う刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。