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兵庫県姫路市の自動車窃盗事件 警察に逮捕されたら…

2022-02-09

兵庫県姫路市の自動車窃盗事件で警察に逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

兵庫県姫路市の自動車窃盗事件で逮捕

兵庫県警捜査三課や兵庫県姫路警察署は、姫路市のみゆき通り周辺のコインパーキングに駐車されているプリウスやレクサス等を盗む自動車窃盗事件を繰り返していた男を逮捕しました。
逮捕された男は「盗んだ車を海外に輸出していた。」と供述しており、被害にあった車はプリウスやレクサス等海外で人気のある車ばかりで、被害総額は1000万円以上にも及ぶようです。
(実際の起こった事件を参考にしたフィクションです。)

自動車窃盗事件

自動車窃盗事件は、刑法第235条の窃盗罪に該当します。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金」です。
窃盗罪は、お店から数百円の商品を盗み出す「万引き」のように軽いものから、他人の家に忍び込んで金品を奪う重いものまで幅が広く、その処分も、微罪処分と言われる検察庁に送致すらされない場合もあれば、前科、前歴がなくても実刑判決となる場合もあります。
自動車窃盗事件は、窃盗罪の中でも「乗物盗」と呼ばれるものに分類されます。
乗物盗は大きく分けて「自転車盗」「オートバイ盗」「自動車盗」に分類され、自転車盗については微罪処分の対象となる事もある軽いものですが、オートバイ盗や、自動車盗は逮捕される可能性の高い比較的重たいものです。
特に自動車盗については、被害額が高額になるが故に処分が重くなる可能性が非常に高く、前科前歴がある場合は、被害者への弁済や示談がなければ実刑判決となる事も珍しくありません。

自動車窃盗事件の現状

10数年前から全国で発生した自動車窃盗事件の認知件数は毎年減少しており、ここ数年は1年間で5000件程度です。
この件数は、10年ほど前の発生件数に比べると4分の1程度の数字です。
車自体の防犯システムが向上し簡単には盗み出せなくなったというのが一番の理由でしょうが、意外なことに、そういった防犯システムが優れている高級車が盗まれやすい現象が起こっており、2019年と2020年と2年連続で、窃盗被害の多い車種は、トヨタプリウスや、クラウン、ランドクルーザー、レクサスLXやLSです。
また兵庫県については、2019年と2020年と2年連続で、発生件数が全国ワースト10に入っています。
ちなみに被害にあいやすいのは一般住宅の駐車場で、それに次いで駐車場、道路上となっています。
近年はリレーアタックと呼ばれる方法での自動車窃盗事件が多発したことから、最近発売された自動車には指紋認証システムが採用されているようです。

自動車窃盗事件から愛車を守るために

自動車を駐車している場所に防犯カメラや照明を設置したり、大きな音を発する警報装置や、ハンドルの固定器具、タイヤのホイールロック等の防犯装置を装着するのが効果的でしょう。
ただ最近は、そういった対策をしていても盗まれる事件が発生しています。
特に窃盗被害にあいやすい自動車に乗っている方は、駐車場にシャッターを設置したりして、外から自動車が見れないように対策すれば被害にあいにくくなるでしょう。

盗まれた自動車はどうなるの?

自動車窃盗事件に詳しい方によると、盗まれた高級車がそのまま国内で使用されることはほとんどありません。
かつてはナンバーを付け替えたり、車体番号を変えたりした盗難車が国内で使用されることもありましたが、最近は海外に輸出されるのがほとんどです。
ですから海外、特に東南アジアで人気のあって高額で取り引きされているレクサスLXやランドクルーザー等の高級SUV車が被害にあいやすいのです。

自動車窃盗事件で逮捕されると・・・

自動車窃盗事件で警察に逮捕されると、勾留される可能性が非常に高いでしょう。
逮捕後の手続きについては

こちら⇒クリック

自動車窃盗事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県姫路市の刑事事件に強いと評判の法律事務所です。
兵庫県内でご家族、ご友人が警察に逮捕されてしまった方や、自動車窃盗事件などの刑事事件を起こして不安のある方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
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神戸市兵庫区の爆発事件 重過失激発物破裂罪で逮捕

2022-01-18

神戸市兵庫区の爆発事件で、男が重過失激発物破裂罪の容疑で警察に逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

神戸市兵庫区の爆発事件

爆発事件が起こったのは昨年年末となる、令和3年2月26日です。
場所は神戸市兵庫区にあるパチンコ店の駐車場で、この駐車場に駐車されていた自動車が突然爆発し、車内にいた男性が顔や手に火傷を負って病院に搬送されたとのことです。
他にも駐車場のガラスが割れる被害があったものの、男性の他に怪我人はいなかったようです。
(令和3年12月26日配信のサンテレビニュースより抜粋)

重過失激発物破裂罪の容疑で男性が逮捕

神戸市兵庫区の爆発事件で、事件当時火傷を負って病院に搬送されていた男性が、重過失激発物破裂罪の容疑で警察に逮捕されました。
警察の発表によりますと、逮捕された男性は、吸引する目的で所持していたカセットボンベのガスが充満している車内で、タバコを付けようとした火が引火して爆発したとのことです。
1月12日に逮捕された男性は、警察の取調べに対して「間違いない。」と容疑を認めているとのことです。
(令和4年1月12日配信のサンテレビニュースより抜粋)

重過失激発物破裂罪とは

重過失激発物破裂罪について説明する前に、激発物破裂罪について説明します。
激発物破裂罪とは刑法に定められている法律で、その内容は「火薬・ボイラーなどの激発すべき物を破裂させる」ことによって成立する犯罪で、今回の事件で爆発した、カセットボンベ(のガス)は、激発物破裂罪でいうところの「激発すべき物」に該当します。
ただ今回の爆発は、逮捕された男性が故意的に起こしたのではなく、男性の不注意による過失によって起こっており、その過失が重大、刑法第117条の2の重過失激発物破裂罪が適用されています。
重過失激発物破裂罪の法定刑は「3年以下の禁固または150万円以下の罰金」が規定されています。

重過失激発物破裂罪で逮捕されるとどうなるの?~留置場生活について~

警察に逮捕されると、釈放されるまで留置場の中で生活しなければなりません。
留置場の中での生活は様々なルールが存在しますが、刑が確定している受刑者ではないので、全ての自由が制限されているわけではありません。
一日三食の食事はきちんと出ますし、毎日というわけではありませんが、お風呂に入ることもできます。
また意外なのは、出される食事に満足できない場合は、自費で弁当類やカップラーメン等を購入したり、菓子やジュース類を購入することもできますし、差し入れられた漫画本や雑誌を読むこともできます。
留置場に収容された経験のある方に話を聞いたところ「取調べ等の捜査を受ける時以外は基本的に留置場の房内で過ごすことになるので、時間を持て余してしまいます。同じ房に気の合う人がいれば雑談をして時間を潰せるのですが、一人だと退屈で、取調べや面会で房の外に出られるのが待ち遠しくなるくらいです。」との事です。
ちなみに逮捕されても病院の診察を受けたり、薬を処方してもらうことは可能ですが、その費用は、公費で支払われることもあれば、私費で実費負担する場合もあります。
また事前に申し込んでおけば散髪してもらうこともできます。

逮捕されてからの刑事手続きの流れについては

刑事事件の流れ

をご覧ください。

過去の重過失激発物破裂事件を参考にした弁護士の見解

重過失激発物破裂罪は、非常に珍しい罪名ですが、私の記憶に残っている事件が一件だけあります。
新聞等で報道されていた内容を思い出してみると、確か今から4~5年前の事件だったはずです。
大手不動産仲介業者の店長が、大量のスプレー缶を噴出させた室内で、給湯器を使用して、室内に充満していたガスに引火して爆発を起こしたという爆発事件です。
今回の事件とは異なり、複数の負傷者が出たのですが幸いにも亡くなった方はいませんでした。
この爆発事件で、重過失傷害罪と重過失激発物破裂罪で起訴された店長は、第一審で、禁錮3年、執行猶予4年の判決を言い渡されたはずです。
当時報道されていた事件現場のニュース映像では建物が倒壊するなどしており、複数の負傷者がいたので、爆発の規模は今回の神戸市兵庫区の爆発事件とは異なりますが、ガスボンベのガスを吸引しているという点で、情状面では今回の事件の方が悪質性が高いと評価されるでしょう。
ですので略式起訴による罰金刑ではなく、正式に起訴される可能性は十分に考えられると思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、あらゆる刑事事件の弁護活動に精通した法律事務所です。
刑事事件に関するご相談や、警察に逮捕されてしまった方への弁護士接見をご希望の方は

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電子計算機使用詐欺事件で逮捕

2022-01-07

電子計算機使用詐欺事件で逮捕

電子計算機使用詐欺事件で逮捕となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県丹波篠山市のスーパーマーケットでは、セルフレジで値引き対象外の商品が値引きされて精算されているという事案が複数回発生しており、頭を悩ましていました。
店は警戒を続けていたところ、警備員が商品に値引きシールを貼っている女性の姿を発見したため、女性がセルフレジで精算を終えたところで声をかけました。
女性は、店の商品に値引きシールを貼りセルフレジで精算する行為を複数回していたことを認めており、通報を受けてスーパーマーケットに駆け付けた兵庫県篠山警察署の警察官はこの女性を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)

電子計算機使用詐欺罪とは

電子計算機使用詐欺罪は、刑法246条の2に規定される罪です。

「前条〔詐欺〕に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。」(〔〕は追記)

刑法上の詐欺罪は、欺く対象が人でなければならず、コンピューターに対して欺く行為を行った場合には成立しません。
しかし、コンピューターの普及に伴い、コンピューターに対する詐欺行為を処罰する必要性が生じたため、昭和62年の法改正で電子計算機使用詐欺罪が新設されました。

◇客体◇

本罪の客体は、「財産上の利益」です。
「財産上の利益」とは、財物以外の財産上の利益の一切をいうとされています。
例えば、債務の免除やサービスの提供を受けることなどです。

◇行為◇

本罪の実行行為は、
①「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り」、又は、「財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して」、
②「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させ」る
ことです。

①不法利益の手段
(a)不実の電磁的記録の作出
「人の事務処理に使用する電子計算機」は、他人がその事務を処理するために使用する電子計算機を指します。
つまり、誰かが業務を行うために使うコンピューターのことです。
スーパーマーケットのセルフレジは、店が精算業務をするために使用するコンピューターですので、「人の事務処理に使用する電子計算機」に当たります。
「虚偽の情報を与え」るとは、事務処理システムにおいて予定されている事務処理の目的に照らし、その内容が事実に反する情報を入力することをいいます。
セルフレジは、商品の精算をするためのものですが、店が設定した値段で精算処理することが予定されており、勝手に値引き価格で精算する行為は、「虚偽の情報を与え」るものと言えるでしょう。
また、「不正な指令を与え」るとは、その電子計算機の使用過程において、本来与えられるべきでない指令を与えることをいいます。
「財産権の得喪若しくは変更に係る電磁的記録」は、財産権の得喪・変更があったという事実又は財産権の得喪・変更を生じさせるべき事実を記録した電磁的記録のことです。

(b)虚偽の電磁的記録の供用
「協議の電磁的記録を人の事務処理の用に供」するとは、行為者が所持する内容が虚偽である電磁的記録を、他人の事務処理用の電子計算機に差して使用させることです。

②財産上不法な利益の取得
①の結果、取得する「財産上不法な利益」とは、財物以外の財産上の不法な利益のことで、セルフレジに値引きを適用させ本来支払うよりも安く商品を購入することは、財産上不法な利益を得たと言えます。

電子計算機使用詐欺罪で逮捕されたら

上記事例においては、逮捕後に勾留されず釈放となる可能性はあります。
しかし、気を付けなければならないのは、釈放されたからといって事件が終了したわけではない、ということです。
釈放後も、捜査は行われます。
警察署や検察庁から、取調べのために出頭するよう要請されます。
捜査を遂げると、検察官は起訴するかどうかを決めます。

電子計算機使用詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役と、他の刑法犯と比べても重い罪となっています。
しかし、例え検察官が有罪を立証するだけの十分な証拠があったとしても、被疑者・被告人の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況を考慮して、裁量により起訴しないとする場合、つまり、起訴猶予となる場合があります。
上の事例について考えれば、初犯であり、被害額は比較的少額にとどまり、被害弁償、更には被害店舗との示談が成立している場合には、不起訴処分となる可能性はあるでしょう。

被害者との示談交渉も含めた不起訴処分に向けた活動は、刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が電子計算機使用詐欺罪で逮捕された、取調べを受けていて対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

お正月休暇中に逮捕されたら…休暇中も即日対応できる弁護士

2021-12-26

お正月休暇中にご家族等が警察に逮捕された場合の対処方法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部がご案内します。

お正月休暇中の営業について

まず、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の、年末年始のお正月休暇中の営業についてご案内します。
令和3年の年末が近付いてまいりましたが、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、今年の年末から来年にかけてのお正月休暇中も休まず営業しています。
「お正月休暇中にご家族が警察に逮捕されてしまった!!」「急に警察署に呼び出されてしまった!!」「年始早々に検察庁に出頭しなければいけない!!」といった方は、お正月休暇中も休まず営業している弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。

お正月休暇中に家族が逮捕されてしまったら…

それではお正月に逮捕されてしまったという事件をご紹介します。

事件その1

神戸市に住む会社員のAさんには、来春に就職する大学4年生の息子がいます。
大晦日、息子は高校時代の同級生数名と神戸市内の歓楽街にお酒を飲みに行っていたのですが、深夜になっても帰宅しなかったことから、心配になったAさんは、息子の携帯電話に電話しました。
すると警察官が電話口に出て「息子さんを傷害の容疑で逮捕しています。」と言われました。
(フィクションです)

事件その2

Bさんはこれまで何度か盗撮をした経験があり、お正月も、人ごみを狙って盗撮しようと思い、初詣客で賑わっている神社に行きました。
Aさんは、手提げかばんの中に、盗撮用の小型カメラを忍ばせて女性のスカート内を盗撮していたところ、警備員に声をかけられて盗撮していたことがバレてしまいました。
(フィクションです)

逮捕された場合の対処

事件その1の場合

まずはご家族等が警察に逮捕された場合の対処ですが、逮捕されてしまった方は、逮捕されると同時に携帯電話等の持ち物を警察に押収されるので、ご自身で弁護士を探すことはできません。
もし逮捕された方に知り合いの弁護士がいる場合は、その弁護士の名前や所属する事務所名を伝えれば警察から弁護士事務所に連絡してもらうことができますが、そういった弁護士がいない場合は、ご家族等、逮捕の知らせを受けた方が弁護士を探し、その弁護士を逮捕されてしまった方のもとに派遣することしかできません。(当番弁護士制度については後に記載)
ですからAさんのように、ご家族の逮捕を知った方は、早急にお正月休暇中も営業している弁護士事務所に電話して弁護士を派遣することをお勧めします。

事件その2の場合

続いてBさんのように、ご自身が事件を起こして警察に逮捕されそうな方は、そういう状況に陥ってから弁護士を探すのは不可能に近いので、逮捕されて携帯電話が押収されるまでに、ご家族等信頼できる方に電話して弁護士の派遣を依頼すべきでしょう。
ただすでに携帯電話が押収されたりして電話することができなかった場合は、警察官に当番弁護士を呼んでもらうことができます。
当番弁護士を呼ぶのに費用はかからず、接見に来た当番弁護士からご家族等に連絡をしてもらうことができます。
ちなみに当番弁護士とは、逮捕後に要請すれば一度だけ接見に来てくれる弁護士のことで、注意しなければいけないのは、当番弁護士はあらためて弁護活動の委任契約を締結するか、勾留後に国選弁護人実質的な弁護活動は行ってもらえません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は即日対応

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、お正月休暇中も即日対応いたします。
お正月休暇中にご家族が逮捕されてしまった方は、まずは

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間受付)

までお電話ください。
なお、お正月休暇中はフリーダイヤルがつながりにくくなっている場合もございますが、番号を通知してお電話いただいた方には、後ほど担当者から折り返しますのでご安心ください。

詐欺事件で警察に逮捕されたら 

2021-12-15

詐欺事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
婚活サイトで知り合った女性から現金を騙し取ったとして、兵庫県たつの警察署は、Aさんを詐欺の容疑で逮捕しました。
Aさんは、調べに対して、「相手を騙してはいない。返すつもりだった。」と容疑を否認しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、どう対応してよいか分からず、ネットで調べた刑事事件専門の弁護士に相談の電話をかけました。
(フィクションです。)

詐欺罪について

詐欺罪は、
①人を欺いて財物を交付させた
あるいは、
②人を欺いて財産上不法な利益を得、または他人にこれを得させた
場合に成立する罪です。

◇犯行の対象◇

詐欺罪における犯行の対象は、
①他人の占有する財物、
または、
②財産上の利益
です。

①他人の占有する財物
「他人の占有する財物」は、窃盗罪と同じく、他人が事実上支配し管理する状態にある財物のことです。

②財産上の利益
「財産上の利益」とは、強盗罪と同様に、財産以外の全ての財産上の利益のことを意味し、債務の免除、履行期の延期、債務負担の約束、財産的価値のあるサービスの提供などがこれに当たります。
条文上「財産上不法な利益」と規定してありますが、「不法な」利益を得るという意味ではなく、「不法に」財産上の利益を得るという意味です。

◇行為◇

詐欺罪の行為は、
①人を欺いて財物を交付させること、
または、
②人を欺いて財産上不法の利益を得ること、
です。

①人を欺いて財物を交付させる
「人を欺いて財物を交付させ」たと言えるためには、(a)欺く行為をして(欺罔)、(b)それに基づき相手方が錯誤に陥り(錯誤)、(c)その錯誤によって相手方が処分行為をし(財産的処分行為)、(d)それによって財物の占有が移転し(財物の交付)、(e)財産的損害が発生する、という客観的な相当因果関係がなければなりません。
「欺く」とは、一般人をして財物を処分させるような錯誤に陥らせることであり、相手方を騙すことをいいます。
「錯誤」とは、騙されて嘘を本当の話と信じることを意味します。
「財産的処分行為」は、財物などを渡す行為であり、相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を取得することです。
財産的処分行為が成立するためには、財産を処分する事実と処分する意思が必要となります。
財産を処分する事実としての行為は、法律行為のみならず、事実上財産的損失を生じさせる行為であれば構いません。
処分する意思については、財産を処分する意思をまったく有しない幼児や高度の精神障がい者は、財産的処分行為は認められず、このような者を欺いてその財物を奪う行為は詐欺罪ではなく窃盗罪を構成することになります。
「財物の交付」は、相手方の財産的処分行為の結果として、行為者側に財物の占有が移転することを指します。

②人を欺いて財産上不法の利益を得る
①と同じく、欺罔→錯誤→財産的処分行為→財産上不法の利益を得る、という一連の流れが求められます。

◇主観的要素◇

詐欺罪は故意犯であるため、罪を犯す意思(=故意)がなければなりません。
詐欺罪の故意は、行為者が、相手方を欺いて、錯誤に陥らせ、その錯誤に基づく財産的処分行為によって財物を交付させ、自己または第三者が占有を取得する、あるいは財産上の利益を得ること、及びその因果関係を認識・認容することです。
また、故意とは別に、不法領得の意思も詐欺罪の成立に必要となります。
「不法領得の意思」というのは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思のことです。
この点、他人宛の書類を廃棄するだけの意図で他人を装って受領する行為について、不法領得の意思が認められず詐欺罪は成立しないとした判例があります。(最決平16・11・30)

上記事例では、Aさんは「騙してはいない。返すつもりだった。」と詐欺の故意を否認しています。
故意がなければ詐欺罪は成立しませんので、Aさんの主張が認められればAさんに対する詐欺罪は成立しないことになります。
しかしながら、単に「騙すつもりはなかった。」と主張するだけでは、故意がないことが認められることは難しく、行為があった時点で故意がないことを示す客観的な証拠を提出する必要があります。
また、取調べにおいて、Aさんが詐欺の故意があったことを窺わせるような内容の供述調書をとられてしまうと、後にその供述を否定することが難しくなりますので、早期に弁護士に相談し、自己に不利な供述がとられないように対応するのがよいでしょう。

詐欺事件で逮捕されたら

詐欺事件で逮捕された場合、刑法上の犯罪の中でも比較的重い罪であるため、その後に勾留に付される可能性は大いにあります。
また、詐欺罪は、法定刑に罰金がないため、公判請求される可能性もあります。
ただ、個人間での詐欺事件であれば、初犯であり、被害者への被害弁償や示談が成立していれば、不起訴となる場合もあります。
詐欺事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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マスク着用を注意されて暴行 傷害の容疑で逮捕!!

2021-12-10

今年の5月、神戸市長田区の駐車場で高齢の男性に暴行して首の骨を折る重傷を負わせたとして25歳の男性が警察に逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

今回紹介する事件は、今年の5月に、神戸市長田区の駐車場で起こった傷害事件です。
各社報道をまとめますと、逮捕された男は、被害者の男性にマスクを着用していないことを注意されたことに逆上し、男性の首を締めながら地面に身体を打ち付ける暴行をはたらいたようです。
そして暴行を受けた男性は首の骨を骨折し、下半身麻痺の後遺症が残る重傷を負ったようです。
事件から半年以上が経過して逮捕された男は、警察の取調べに対して「地面に背中を打ち付けたことは間違いないが、首を絞めたことははっきり覚えていない」と容疑を一部否認しているということです。

傷害事件とは

今回の事件で適用された傷害罪とは、他人に対して暴行を加え、その結果として相手に傷害を負わせるだけでなく、相手に傷害を負わせる意思をもっていれば、暴行等の有形力の行使がなくても、無形的な方法による行為や不作為による行為であっても、相手が傷害を負えば傷害罪が成立することがあります。
また傷害罪でいうところの傷害とは、骨折や裂傷等のいわゆる外傷だけでなく、精神的に追い詰めてストレスを与える等して身体の生理的機能に傷害を負わせる傷害も含まれます。

殴る蹴る等の暴行によって成立する傷害罪についてはイメージしやすいと思いますが、暴行以外によって成立する傷害罪についてはイメージするのが難しいかもしれません。
分かりやすい事件例を挙げますと、嫌がらせの目的で、大音量で騒音を鳴らし続けて近所の住民にストレス性の傷害を負わせた女性にが傷害罪で警察に逮捕され、その後の刑事裁判で実刑判決が言い渡された事件があります。
この事件の裁判で裁判官は「音楽を大音量で鳴らし続ける行為は、被害者に精神的ストレスを与え、身体の生理的機能を害するもので傷害罪にあたる。」と傷害罪を認定しています。

傷害罪の罰則は

傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内で刑事罰が科せられることになります。
同じ傷害罪でも、被害者が擦り傷等の軽傷のような事件もあれば、今回の事件のように後遺症が残るような重傷を負っている場合もありますが、犯情が軽微で、被害者が軽傷の場合は、略式起訴による罰金刑といった軽い処分となるでしょう。
逆に、犯情が悪質であったり、被害者が重傷を負っている場合は、初犯であっても実刑判決となる場合もあります。

報道されている内容から検討いたしますと

①高齢の被害者に対して一方的に暴行している。
②首を締めながら地面に身体を打ち付けている。
③被害者が後遺症の残る重傷を負っている。
④長期間にわたって逃亡している。

ことを考慮すれば、例え逮捕された男が初犯であったとしても実刑判決となる可能性が高いのではないでしょうか。

傷害事件に強い弁護士

被害者に重傷を負わせたような傷害事件を起こして警察に逮捕されると、初犯であっても実刑判決の可能性が高いと言えます。
ただ早期に弁護士を選任することによって、少しでも処分を軽減できるかもしれません。
大切なのは、専門の弁護士に相談して、今後の手続きにのぞむことです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、このような傷害事件に関するご相談を年中無休で対応いたしております。
傷害事件でお困りの方は是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の無料相談をご利用ください。

メンズエステを無許可営業 警察に逮捕

2021-12-06

風営法違反無許可無届営業)で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県神戸市長田区でメンズエステ店を営業していたAさんは、ある日、客が店を出たところで兵庫県長田警察署の警察官とみられる男らから事情を聴かれていることに気が付きました。
Aさんは、風営法の届出が不要なメンズエステ店を経営していましたが、実際は性風俗サービスに当たる営業を行っており、警察に摘発されるのではと心配しています。
逮捕された場合について、事前に弁護士に相談しておこうと思い、急いで刑事事件に強い弁護士を探し、相談の予約を入れました。
(フィクションです。)

風営法違反事件で検挙されるケースの多くが、無許可無届営業によるものです。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、「風営法」といいます。)は、風俗営業などにより、店の周辺の環境や子供の健全な育成に悪影響を及ぼさないように、一定のルールを定めている法律です。
風営法で規制しているビジネスは、「風俗営業」、「性風俗関連特殊営業」、「特定遊興飲食店営業」、「酒類提供飲食店営業」など、です。
この「風俗営業」には、キャバクラ、ホストクラブ等の社交飲食店、照度10ルクス以下の位飲食店、客席の広さが5㎡以下の狭い飲食店、麻雀店やパチンコ店といった遊技場、そしてゲームセンターなど、があります。
「性風俗関連特殊営業」は、ソープランドやファッションヘルスなどの店舗型性風俗特殊営業、デリヘルなどの無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業、無店舗型電話異性紹介営業、の5つに分類されます。

風営法で規制されているビジネスは、きちんと定められたルールを遵守して運営されている限りは普通に営業することができます。
しかしながら、ルールに反して営業している場合には、刑事罰が科せられる可能性があります。

ルールに従った営業を行うことが大前提ですが、そのひとつに、営業の許可や届出があります。

風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別に応じて、営業所ごとにその営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を得ていなければなりません。(風営法第3条第1項)
この許可を得ずに、風俗営業に当たる営業を行っていた場合には、風俗営業の無許可営業となり、起訴され有罪となれば、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はその両方が科せられることになります。

性風俗関連特殊営業についても、営業を行うためには、営業の届出をしなければなりません。
店舗型性風俗関連特殊営業を行うためには、営業の種別に応じて、営業所ごとに、その営業所の所在地を管轄する公安委員会に対して、営業等の届出をしなければなりません。(風営法第27条第1項)
無店舗型性風俗関連特殊営業を営もうとする者は、営業の種別に応じて、営業の本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会に、営業の届出をしなければなりません。(風営法第31条の2第1項)
営業の届出をせずに性風俗関連特殊営業に当たる営業を行っていた場合には、6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方が科せられる可能性があります。

上の事例では、男性を対象としたエステティックサロンとしてメンズエステ店を開業していた、つまり、風営法の規制対象となる営業は行わないものとして営まれていました。
しかしながら、メンズエステ店の実態は、男性客に性的サービスを提供しており、風営法の規制対象となる性風俗関連特殊営業に当たるものと考えられます。
性的サービスを提供するメンズエステ店は、「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」(風営法第2条第6項第2号)の店舗型性風俗特殊営業の定義に該当するため、店舗型性風俗特殊営業の届出をしなくてはなりません。

風俗営業の取り締まりが厳しい昨今、無許可無届営業が発覚すると、内偵捜査の末に、突然店の経営者らが警察に逮捕されることも珍しくありません。
風営法違反無許可無届営業)で逮捕された場合、店の営業に関する資料を収集したり、経営者や従業員など関与する者の供述をとるなどしなければなりませんので、逮捕後に勾留となる可能性は高いでしょう。
容疑を認める場合には、取調べにおいて自己に不利な供述がとられないよう弁護士から適切なアドバイスをもらうことは重要です。
また、弁護士は、できる限り穏便に事件を終わらせられるよう、被疑者に有利な事実を整理し、証拠を収集した上で、検察官に不起訴とするよう、あるいは略式手続に付すよう働きかけます。
他方、容疑を否認する場合、例えば、風営法の規制対象となる営業に当たるのか、被疑者がその経営者と言えるのか、といった点を争う場合には、被疑者に有利な証拠を提示し、不起訴や無罪獲得に向けた活動を行います。

風営法違反無許可無届営業)事件で、逮捕されるのではと心配している方は、すぐに弁護士に相談されることをお勧めします。
「どうせこないだろう。」と甘くみていると、突然逮捕されるケースは少なくありません。
事前に弁護士に相談することで、逮捕を回避することができる可能性を高めたり、逮捕後も冷静に対応することができますので、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

【弁護士にインタビュー①】死亡事故で2回目の不起訴が決定

2021-12-02

死亡事故を起こした男性に対して神戸地検が2回目の不起訴を決定した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の弁護士にインタビューしました。

Q 先生、死亡事故を起こした男性が2回目の不起訴を獲得した事件をご存知ですか?
A 数日前の新聞に掲載されていた事件ですね。
  確か、今年の2月に、神戸市内の路上に寝転がっていた男性が駐車場から出てきた車に轢かれて死亡した事故ですね。
  車を運転していた40代の男性が過失運転致死罪で警察に逮捕されて捜査を受けていましたが、一度は嫌疑不十分を理由に不起訴処分となっ   ていました。
  しかし10月に検察審査会で、不起訴処分は不当だと判断されて再び捜査が行われており、今回はこの再捜査の結果をもって不起訴となったようです。

 

Q どうして不起訴になったのですか?
A 過失運転致死傷罪というのは、自動車等の運転手が必要な注意義務を怠って事故を起こし人を死傷させることによって成立する犯罪です。
  事故を起こして相手を死傷させたからといって、絶対に過失運転致死傷罪に問われるわけではありません。
  十分な安全確認を果たしながら運転していたのに、予期せぬ出来事が原因で起こった事故に関しては、過失運転致傷罪に問われない可能性もあるのです。
  まさに今回の事件は、そういった理由で不起訴になったのではないでしょうか。

 

Q つまり、今回の事故は、十分に注意しながら運転しても防ぐのが難しかったということですか?
A はい。少なくとも検察庁はそのように判断したということになります。

 

Q 死亡事故を起こした方が不起訴になるというのは、よくあるのですか?
A 人が死亡するといった結果の重大性から、死亡事故で不起訴処分というのは珍しいことだと思います。
  特に今回は、検察審査会で不起訴不当だと議決されて再捜査が行われての2回目の不起訴処分なので極めて珍しいケースではあります。

 

Q 先生は交通事故を起こした方の弁護活動も行っているのですか?
A はい。
  一言で「交通事故」と言っても、誰も怪我していない軽微な物損事故もあれば、今回の事故のように、人が亡くなるような大きな事故もありますが、人身事故は刑事事件として扱われますので、刑事事件を専門に扱っている弊所でもお取り扱いできます。

 

Q 交通事故を起こした方で注意すべきことはありますか?
A よくある話しですが、被害者対応を保険会社に任せてしまって刑事手続きに関する対処を何もしないのは危険です。
  加入している保険会社が被害者対応をしているので大丈夫だと思っている方が多いかと思いますが、保険会社の補償で満足する被害者はほとんどいませんし、特約がない限り、保険会社が、刑事手続きで有効となる示談までしてくれることはありませんので、事故を起こしてしまった方で刑事罰の軽減を望むのであれば、専門の弁護士に相談することをお勧めします。

 

Q 車を運転される方に何かメッセージはありますか?
A 車やバイクを運転する方であれば、誰しもが交通事故を起こす可能性がありますし、どんなに注意していても予期せぬことが起こって事故に巻き込まれてしまうこともあります。
大切なのは安全運転をして事故を起こさないように、事故に巻き込まれないようにすることですが、事故を起こしてしまった場合は、負傷者を救護し、警察に事故を届け出て、そして弁護士に相談することです。

【緊急速報】女性歌手が器物損壊罪で逮捕

2021-11-29

救急車を破損させたとして器物損壊罪で逮捕された女性歌手の事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

昨日、人気女性歌手が器物損壊罪で警察に逮捕されました。
テレビやインターネットで報道されているニュースの内容をまとめますと、女性歌手は知人とパチンコ店で遊戯していたところ、知人が体調不良を訴えたために119番通報して救急車を呼んだらしく、そこに駆け付けた救急車を蹴って壊したとのことです。
警察の発表によりますと、逮捕された女性歌手は、「通行人に嫌味を言われて、パニックになり救急車を蹴った。」と供述しているようですが、事件現場からは「逮捕された女性歌手と、その知人は泥酔している様子だった。」という目撃証言もあるようです。

器物損壊罪

さて今回の器物損壊罪とはどの様な犯罪なのでしょうか。
まずは、器物損壊罪について解説します。
器物損壊罪とは刑法第261条に規定されている法律で、簡単に言うと、故意的に他人の物を壊すことによって成立する犯罪です。
器物損壊罪で特殊なのは親告罪だということです。
親告罪とは、被害者等の告訴がなければ起訴できない事件のことで、器物損壊罪の他、過失傷害罪や、名誉毀損罪、侮辱罪等の犯罪があります。
器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」となっています。
とは言うものの、逮捕されたからといってこういった刑事罰を受けるわけではなく、今後の手続き次第では、こういった刑事罰を受けずに済む場合もあります。

逮捕されるとどうなるの

器物損壊罪で逮捕されるとまずは警察署に連行されます。
そこで簡単な取調べを受けて留置場に収容されるのですが、連行された警察署の留置場に収容されるとは限らず、女性の場合は特に、別の警察署等の留置場に収容されることがよくあります。
そして逮捕から48時間以内に、検察庁に送致され、検察官が裁判所に勾留を請求すれば、勾留が決定するかどうかを裁判官が判断します。
器物損壊罪で逮捕された場合、勾留されるかどうかは、逃亡や罪証隠滅のおそれがあるかどうかだけでなく、「壊した物を弁償する意思があるかどうか。」によって左右されるでしょう。

早期釈放を求める

器物損壊罪の容疑だけですと、このまま身体拘束が長引くかどうかは、壊した救急車を弁償する意思があるかどうかによりますが、報道されている内容だけですと、逮捕された女性歌手が救急車を蹴って凹ました事実は間違いないようですので、早期に弁護士を入れて救急車を管理している地方自治体に賠償を約束すれば、勾留されることなく釈放されるでしょう。

刑事事件に強い法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件を専門に扱っている全国でも珍しい法律事務所です。
ご家族やご友人が警察に逮捕された時は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

【少年事件】ぐ犯事件で家庭裁判所送致

2021-11-26

ぐ犯事件で家庭裁判所送致となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
Aさん(16歳)は、深夜に兵庫県神戸市中央区の繁華街にいたところを兵庫県生田警察署の警察官に補導されました。
その際、Aさんが家出をしており、ネットで知り合った男性宅に居候していること、そして、生活費や遊ぶお金を稼ぐために売春行為をしていることが発覚しました。
生田警察署は、Aさんの保護者に連絡を取り、Aさんのことで話が聞きたいので署まで来るように言いました。
Aさんの母親が生田署に行き、警察官と話をしたところ、後々家庭裁判所で審判を受けることになるだろうと言われました。
今後、どのような流れになるのか不安になったAさんの母親は、すぐに少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

ぐ犯事件について

少年法は、その第1条において、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う」ことを目的して定めています。
少年法は、少年が行った過去の犯罪に対する応報として少年を処罰するものではなく、将来二度と犯罪・非行を行わないように少年を改善教育することを目的とするものです。
この目的には、少年が犯罪・非行に陥らないように予防するということも含まれています。
そのため、家庭裁判所が審判の対象とする少年には、
①犯罪少年:罪を犯した少年。
②触法少年:刑罰の定めのある法令に触れる行為をしたけれど、行為時に14歳未満であるため、刑法上罪を犯したことにならない少年。
に加えて、
ぐ犯少年
も含まれます。

ぐ犯少年とは

ぐ犯少年」とは、一定の事由があり、その性格や環境からみて将来罪を犯すおそれのある少年のことをいいます。
具体的なぐ犯少年の要件は、①ぐ犯事由、および、②ぐ犯性、です。

①ぐ犯事由
少年法は、ぐ犯事由として次の4つを挙げています。(第3条1項3号)
イ.保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ.正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと。
ハ.犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること。
ニ.自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

これらの要件の事由のいずれか1つに該当すれば足りますが、実際は複数のぐ犯事由に複合的に該当することが多くなっています。
ぐ犯事由は、いずれも一定期間にわたる行状、性癖でなかればならず、ある特定の時期のみ事由があるというだけでは足りません。

【イ.保護者の正当な監督に服しない性癖のあること】
少年が、保護者の監督を必要とするにもかかわらず、保護者の監督に従わない常習性があること。

【ロ.正当な理由がなく家庭に寄りつかない】
少年の性格・年齢・家庭の状況等を総合して、少年が家庭に戻らないことに正当な理由がない場合のこと。
家庭内で虐待を受けているため、少年が家を出たような場合は該当しません。

【ハ.犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること】
例えば、暴力団、暴走族などの非行を誘発するような反社会的集団に加入したり、不良仲間と交友したり、不健全な風俗営業や遊興施設などに出入りすること。

【ニ.自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること】
社会的・倫理的通年に反する行為を自ら行う、または他人にさせるような常習性があること。
例えば、風俗で働いたり、援助交際をする場合など。

②ぐ犯性
ぐ犯性」というのは、少年の性格や環境に照らして、将来、罪を犯したり、刑罰法令に触れる行為をするおそれがあることです。
このぐ犯性の有無については、将来における事実を予測するものであり、単なる推測だけでは不十分であり、経験則に基づく高度な蓋然性が必要とされます。

ぐ犯事件の流れ

警察などの捜査機関がぐ犯少年を認知した場合、ぐ犯は犯罪ではないため捜査をすることはできませんが、ぐ犯調査を行います。
ぐ犯調査は、少年や保護者、参考人を呼び出して質問をするなどして、事件の事実、原因や動機のほか、少年の性格・行状・経歴・教育程度・家庭や学校などの状況・交友関係などについての調査が行われます。
ぐ犯調査の結果、少年が14歳未満の場合は、児童相談所に通告し、14歳以上18歳未満の場合には、児童相談所に通告する、もしくは、家庭裁判所送致します。

14歳以上の少年が、犯罪少年として捜査の対象となったものの、捜査の結果、犯罪の嫌疑がないと判断された場合でも、ぐ犯が成立すると判断した場合は、捜査機関から家庭裁判所送致されます。

家庭裁判所送致された後の手続は、犯罪少年の場合と同様に、家庭裁判所の調査を行った上で、審判に付されて、最終的な処分が言い渡されます。

ぐ犯事件の場合、問題行為が繰り返し行われているなど、要保護性が高いことが多いため、要保護性の解消に向けた活動、特に環境調整が重要となります。
少年事件において、弁護士には、少年の手続き上の権利を擁護するということに加え、少年の更生に向けた環境調整を行うという重要な役割が期待されます。

ぐ犯事件でお困りの方は、少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

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