Archive for the ‘刑事事件’ Category

【事件検討】交番に自転車で突っ込む 器物損壊罪の故意について

2022-05-02

【事件検討】交番に自転車で突っ込む 器物損壊罪の故意について

交番に自転車で突っ込んだ女性が器物損壊罪で逮捕された事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。


 

4月28日に報道された記事によりますと、兵庫県長田警察署は、同警察署新長田駅前交番に自転車で突っ込み、交番の出入口のガラスを割ったとして、器物損壊罪の容疑で女性を逮捕したようです。
逮捕された女性は酒を呑んで酔払っていたようですが、どうして器物損壊罪で逮捕されたのでしょうか?
酔っ払いが自転車の運転操作を過って交番に突っ込んでしまった交通事故ではないのでしょうか?
そこで本日は、この事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の弁護士に解説してもらいましょう。

器物損壊罪

人の物を壊した時に成立する犯罪です。
ガラスを割るといった、今回の事件のように物理的に物を壊す以外に、その物を使えなくする行為も、器物損壊罪でいう損壊に当たります。
例えば、自転車のサドルを外して自転車を使えなくしたり、人のバイクに、勝手にワイヤー錠をかけてバイクを使えなくする行為も器物損壊罪に抵触する可能性があります。

故意

ただ器物損壊罪が成立するには、行為者に物を壊す意思(故意)が必要です。
故意とは結果の認識と、その結果の認容ですが、こういった事をすれば物が壊れてしまうだろうけど、壊れてもいいやという、未必の故意でも器物損壊罪は成立します。
つまり今回の事件で器物損壊罪が成立するには、逮捕された女性に故意、少なくとも未必の故意が存在するかどうかです。

事件を検討

今回の事件は、多くの報道機関の新聞やネットニュースで報じられていましたが、記事になっている内容をまとめると、逮捕された女性は

①交番に勤務する警察官の対応に不満を持っていた。
②抗議のために交番を訪ねた。
③酒に酔って自転車を運転していた。

ようです。
この①~③の客観的な状況を考慮して、現場に居合わせた警察官は、女性に器物破損の故意があると判断して器物損壊罪で女性を現行犯逮捕したのでしょう。
当然、故意とは人の心の中の声ですので、今後の取調べ次第では、故意が認められずに不起訴になる可能性は十分にあると思われます。

このコラムをご覧の方で、器物損壊罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の無料法律相談をご利用ください。
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【速報】播磨町の中学校に不法侵入 リコーダーを盗んだ男が逮捕

2022-04-21

【速報】播磨町の中学校に不法侵入 リコーダーを盗んだ男が逮捕

播磨町の中学校に不法侵入して リコーダーを盗んだ男が逮捕された事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。


事件の概要

兵庫県明石警察署は、播磨町の中学校に不法侵入し、女子生徒のリコーダーを盗んだ容疑で60代の男を逮捕したことを発表しました。
男は、明石市内の小学校に不法侵入した容疑で現行犯逮捕され、その後、小学校でホイッスルを盗んだ疑いでも再逮捕されており、すでに建造物侵入罪と窃盗罪で起訴されていました。
(4月20日に配信された毎日新聞ニュースから抜粋)

中学校に不法侵入

中学校に不法侵入すれば「建造物侵入罪」となります。
建造物侵入罪は、刑法第130条に住居侵入罪や邸宅侵入罪等とともに規定されている犯罪で、その法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
建造物侵入罪でいうところの「建造物」とは、学校や、官公庁の庁舎、工場や倉庫、物置小屋などで、その定義は、邸宅、住居以外の、一般に屋根を有し、壁や柱によって支えられた土地の定着物であって、内部に人が出入りできる構造を有するものです。

リコーダーを盗んだ

リコーダーを盗むと当然「窃盗罪」となります。
刑法第235条の条文では「他人のものを窃取した者は、窃盗罪」と規定されていますが、ここでいう窃取とは、他人の占有する他人の「財物」を、財物の占有者の許可なく、自己の支配下に移転することです。
また窃盗罪が成立するには、窃盗の故意とは別に主観的要件として「不法領得の意思」が必要とされています。
ここでいう「不法領得の意思」とは、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い、利用処分する意思のことです。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

建造物侵入罪と窃盗罪の関係

今回の逮捕罪名が、建造物侵入罪と窃盗罪であれば、逮捕された男に、どのような刑事処分が科されるのでしょうか。
報道されている事件内容からすれば、逮捕された男は、中学校に不法侵入して(建造物侵入罪)、リコーダーを盗んで(窃盗罪)います。
このように数個の犯罪が、手段と目的にある場合を牽連犯といいます。
牽連犯は、数個の犯罪のうち、最も重い罪の法定刑によって処断されるので、今回の逮捕事件に限れば、窃盗罪の法定刑が適用されます。

播磨町の刑事事件に強い弁護士

このコラムをご覧の方で、播磨町の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が建造物侵入罪や窃盗罪で逮捕されてしまっている方は、「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部」にご相談ください。

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明石市の殺人未遂事件で男を逮捕 4階からボウリング球を投げ落とす

2022-04-16

明石市の殺人未遂事件で男を逮捕 4階からボウリング球を投げ落とす

4階からボウリング球を投げ落とした明石市の殺人未遂事件で男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。


事件内容

明石市の集合住宅において、4階からボウリング球を投げ落とされた殺人未遂事件で、13日、この集合住宅に住む男が兵庫県明石警察署に逮捕されました。
報道によりますと、逮捕された男は、4月10日、集合住宅の4階の自室前の通路から、地上に約6.7キロのボウリング球を投げ落としたということです。
けが人はいませんでしたが、ボウリング球が落ちたとみられる場所ではタイルの一部が破損していたということです。
逮捕された男は警察の取調べにおいて、ボウリング球を投げたことは認めているものの、殺意については否認しているとのことです。
(4月13日に配信された神戸新聞NEXTから抜粋しています。)

殺人未遂罪

人を殺害すれば殺人罪となります。
人を殺害する意思をもって実行行為に着手したが、殺害するに至らなかった場合は、殺人未遂罪です。

殺人未遂罪が成立するには、殺人の実行行為の着手がなければなりません。
殺人の実行行為の着手とは、行為者が殺意をもって他人の生命に対する現実的危険性のある行為を開始することです。
今回の事件で捜査当局は、重さ6.7キロものボウリング球を、4階から地上に投げ落とせば、当然、地上にいる人に当たれば死んでしまう認識はあるだろうと判断して、殺人未遂罪を適用したのでしょう。

ちなみに殺人罪でいうところの故意、つまり殺意は、確定的故意に限られているわけではありません。
未必的故意や、条件付故意もしくは概括的故意であっても殺人の故意は認められるので、殺害する相手を事前に特定していなくても、殺人の故意は認められますので、今回の事件で殺人未遂罪が適用されているのは、逮捕の段階では妥当な判断ではないでしょうか。

よく似た殺人未遂事件

実はお隣大阪でも同じような事件が、昨年の11月末に起こっています。
大阪では、商業施設の屋上からお店のショッピングカートを地上に投げ落とした殺人未遂事件で、14歳の少女が殺人未遂罪で警察に逮捕されています。
この事件でもけが人はいませでしたが、殺人未遂罪が適用されているのです。

殺人未遂罪で逮捕されると

殺人未遂罪は非常に重たい犯罪で、起訴されて有罪が確定すれば実刑判決の可能性も十分に考えられます。
少しでも早くから刑事事件専門弁護士の弁護活動を受けることによって、少しでも刑事処分が軽減される可能性があるので、このコラムをご覧の方で、ご家族、ご友人が殺人未遂罪で警察に逮捕されてしまった方は

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三田市のカラオケ店で暴行事件 酒に酔った男を現行犯逮捕

2022-04-13

三田市のカラオケ店で暴行事件 酒に酔った男を現行犯逮捕

酒に酔った男が現行犯逮捕された、三田市のカラオケ店での暴行事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。


カラオケ店で酒に酔った男が店長に暴行 暴行罪で現行犯逮捕

4月10日未明、三田市のカラオケ店で、酒に酔った男が店長に暴行したとして、暴行罪で現行犯逮捕されました。
神戸新聞によりますと、逮捕された男は友人数名とカラオケ店に来店しており、男の個室を被害者の店長が訪ねたところ、男はズボンを脱いで下半身を出した状態だったとのことです。
この事を店長に注意された男が激高して、店長に暴行したようです。
(4月10日の神戸新聞から抜粋しています。)

暴行事件

暴行罪は刑法第208条に規定されている法律です。

暴行罪
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金または拘留若しくは科料に処する。

暴行罪でいうところの「暴行」とは、一般に物理的な力の不法な行使を意味します。
今回の事件では暴行の内容まで報道されていませんが、殴る、蹴る、掴む、押し倒す等、直接的な相手に対する有形力の行使が暴行罪でいうところの「暴行」に当たります。
相手の胸倉を掴んでしまったり、身体を突き飛ばしてしまったといった、怒るとやってしまいそうな軽い行為でも、暴行罪に問われるので注意が必要です。

また直接的に相手に触れなくても、狭い場所で刃物を振り回したり、相手の近くに石を投げつける行為も暴行罪に問われる可能性があります。

ちなみに暴行行為によって相手に怪我をさせると暴行罪ではなく傷害罪となります。

暴行罪の量刑

暴行罪は、結果の発生が重大ではないので、上記したように比較的軽い刑事罰しか定められていません。
初犯であれば、不起訴になる方も少なくありませんが、事件の内容によっては法定刑内で刑事罰が科せられる可能性もあるので、暴行罪でお困りの方は、早めに弁護士に相談しておいた方がよいでしょう。
ちなみに、暴行罪で起訴されて有罪が確定した場合、拘留や科料といった処分であれば前科となりませんが、罰金や懲役は前科となります。
略式起訴による罰金刑や、執行猶予付きの判決の場合でも前科ですので注意してください。

暴行事件の弁護活動は

自らが暴行事件を起こしてしまった方、ご家族、ご友人が暴行事件を起こして警察に逮捕されてしまったという方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にお問い合わせください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件を特化した弁護士が弁護活動を行うことで、前科を免れたり、逮捕されている方の早期釈放が実現するかもしれません。

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【解決事例】知人から3000万円以上を騙し取った詐欺事件で実刑判決

2022-04-11

【解決事例】知人から約3000万円以上を騙し取った詐欺事件で実刑判決

知人から3000万円以上を騙し取った詐欺事件で実刑判決となった事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。


事件の概要

無職のA子さんは、知人に対して「祖母の入院費」や「専門学校の学費」等と嘘をついて、知人から複数回にわたって現金を騙し取った詐欺事件で警察に逮捕され、その後、詐欺罪で起訴されました。
A子さんには、約一年半にわたって一人の被害者から合計3000万円以上も騙し取っており、被害者はA子さんに渡すお金を友人や消費者金融から借金して工面していました。
神戸地方裁判所で開かれた刑事裁判でA子さんは詐欺行為を認め反省の意思を示しましたが、執行猶予は認められず実刑判決となりました。
(実際に起こった事件を基に、事件の発生地等一部変更を加えています。)

詐欺事件

人からお金を騙し取ると詐欺罪となります。
詐欺罪は刑法第246条に規定されている法律で、その条文は

刑法第246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

となっています。

ここでいう「人を欺く」の手段・方法に制限はなく、言語、文書、動作を問いません。
人を欺く行為は一般的には作為的になりますが、不作為による行為でも詐欺罪は成立します。
例えば、スーパーで店員からお釣りを受け取った際に、実際よりも多くのお釣りを受け取ったことに気付いたが、この事を店員に申告せずにお釣りを持ち帰る行為は不作為による詐欺罪が成立します。

詐欺罪が成立しない場合

よく「友達から借りたお金を返せないので詐欺罪で訴えられるのではないか?」というご相談がありますが、借りたお金を返せなくても、ただそれだけで詐欺罪が成立するわけではありません。
友達からお金を借りる際に、友達を騙していた場合は、返済の有無に関わらず詐欺罪が成立しますが、嘘偽りのない理由でお金を借りている場合は、返済できないことだけを理由に詐欺罪が成立するわけではありません。

詐欺罪で実刑判決

まず詐欺罪で起訴されるかどうかは、被害額が大きく影響します。
被害額が少額な場合だと、被害者に対して弁償できていれば不起訴処分となる可能性が高いですが、被害額が100万円を超える場合は、被害弁償できていたとしても起訴される可能性が高いと言えます。
A子さんの場合は、被害額が3000万円を超えていたことから、初犯にも関わらず検察側から懲役5年が求刑され、判決は懲役3年6月でした。

詐欺事件に強い弁護士

詐欺事件は非常に複雑で、その弁護活動には豊富な経験と知識を要します。
このコラムをご覧の方で詐欺事件にお困りの方がいらっしゃいましたら、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の無料法律相談をご利用ください。
またご家族、ご友人が詐欺事件で警察に逮捕されてしまっている方は、そういった方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスをご利用ください。
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刑事裁判の流れ~三田市内の窃盗事件~

2022-03-14

刑事裁判の流れ~三田市内の窃盗事件~

三田市内で窃盗事件を起こした被告人の刑事裁判の流れを、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

三田市内で窃盗事件を起こした被告人

半年ほど前に、三田市内にあるガソリンスタンドの事務所に忍び込み、レジの中から売上金(10万円)を盗み出した窃盗事件で逮捕されたAさんは、10日間の勾留後に起訴されて、現在は保釈によって釈放されています。
刑事手続きについて無知なAさんは、これから自分が受けることになる刑事裁判について刑事事件専門の弁護士に相談しました。
(フィクションです)

公判の概要

公開の法廷で行われる刑事裁判を「公判」と言います。
公判は公開の法廷で行われますので、傍聴人が被告人の後ろにいることになります。
なお、裁判の公開は憲法上の要請です。

公判手続きの流れ~冒頭手続き~

裁判が始まると、実質的な審理を行う前に、最初に形式的な手続きを行います。
これを冒頭手続きと言い、その流れは以下のとおりです。

①人定質問
まず、裁判官の前にいる被告人が、人違いではないかを確かめます。
この手続きを人定質問と呼び、ここで、氏名・生年月日・住所・本籍(国籍)などを尋ねることとなります。
多くの方が本籍地を答えるときに戸惑ってしまいますが、そのような場合には裁判官が起訴状に記載されている本籍地を読み上げ、それで間違いないかを確認することとなります。

②起訴状朗読
次に、検察官が起訴状を読み上げます。
これを起訴状朗読と言います。

③黙秘権告知
その後、裁判官が黙秘権があることを告知します。
黙秘権とは、被告人に対する質問に対し、一切答えなくてもよいという権利です。
もちろん、答えたい質問にだけ答え、答えたくないものには答えないということもできます。
これに加え、裁判官からは、答えた内容は有利にも不利にも考慮されることを注意されます。
ちなみに、被告人質問の際の被告人の受け答えは、それそのものが裁判の証拠として利用されるため、有利不利を問わないのです。

④罪状認否
ここまでを踏まえて、裁判官から、まず被告人に対し、読み上げられた起訴状に間違いがないか確認されます。
これを罪状認否といい、同様の質問は、弁護人に対してもたずねられます。

公判手続きの流れ~証拠調べ~

①冒頭陳述
まず、検察官が証拠により証明しようとする事実を読み上げます。これを冒頭陳述と言います。
冒頭陳述の内容は、起訴状よりも詳しい犯行態様や、起訴状に記載されていなかった犯行に至る動機、被告人の性格等となります。

②証拠調べ手続
次に、検察官が証拠を提出します。
最初に書類や物が提出され、書類の内容が読み上げられたり、物が裁判官に提示されたりします。
そしてその次に、弁護人が証拠を提出することとなります。
書面の証拠調べが終わると、証人が呼ばれ、証人尋問が行われます。
ただ、被告人が罪を認めている事件で検察官が証人を請求することはまれで、多くは弁護人が請求することになります。

③論告・求刑
証拠調べが終わると、検察官が事件に対する見方などを説明します。
これが論告です。
そして、論告の最後には、被告人に科すべき刑を述べることとなっています。

④最終弁論・意見陳述
そして、弁護側も事件に対する見方を説明します。
被告人が罪を認めている事件であっても、被告人に有利な事情を述べ、少しでも処分が軽くなるように意見を述べることとなります。
弁護人が意見を言い終わると、最後に被告人自身が発言する機会を与えられ、事件に対する意見を述べます。
 
被告人が罪を認めている事件の場合、ここまでを1回の裁判で終わらせます。
時間としては40分程度になることが多いです。
もちろん、被告人が争っている場合や、認めていても事件が複数個ある場合などには、複数回の裁判が開かれることとなります。

公判手続きの流れ~判決~

公判の最後に行われるのが、判決言渡しです。
判決言渡しは、被告人が意見陳述をした日とは別の日に行われます。
判決言渡しの日には、判決を言い渡した後、14日以内に控訴できる旨を伝え、そのまま裁判が終了となります。

公判手続きの特例~即決裁判手続~

上記した公判手続きの流れではなく、判決の言い渡しまでが一日で終わる公判手続きがあります。
それが即決裁判手続きです。
即決裁判手続きは

①軽微な犯罪であること
②事案自体も軽微で明白であること
③証拠調べが速やかに終了すること
④被疑者の同意があること
⑤弁護士が選任されていること

等の条件を満たした場合にのみ行うことができます。

公判(刑事裁判)でお困りの方は、これまで多くの刑事裁判において弁護人を務めてきた実績のある弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の弁護士にご相談ください。
公判(刑事裁判)に関するご相談は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

メッセージの連続送信でストーカー規制法違反に

2022-03-03

メッセージの連続送信でストーカー規制法違反に

メッセージの連続送信でストーカー規制法違反に問われてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~

会社員のAさんは、神戸市中央区に住むVさんと交際していましたが、すれ違いにより別れることになりました。
しかし、AさんはVさんへの思いを捨てきれず、Vさんに対してつきまとったり連続して連絡を入れたりしていました。
こうしたことからVさんが兵庫県生田警察署に相談し、Aさんはストーカー規制法に基づいてVさんへの接触禁止命令を受けました。
それでもAさんは「何かあったら連絡してほしい」「幸せになってほしい」といったメッセージをSNSを通じてVさんに送り続けました。
Vさんは、もうやめてほしいとAさんに伝えたものの、Aさんからのメッセージの送信は止むことなく続き、1か月の間に80件のメッセージが一方的にVさんに送られることとなりました。
VさんはAさんに対して恐怖を抱き、最寄りの兵庫県生田警察署に相談。
Aさんは、兵庫県生田警察署ストーカー規制法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和4年2月21日神戸新聞NEXT配信記事を基にしたフィクションです。)

・ストーカー規制法とメッセージの送信

「ストーカーをすることは犯罪である」という認識は世間一般に知られていると思いますが、実際にどういった法律によってストーカー行為が規制されており、どういった行為がその法律に違反するストーカー行為となるのかまで知っているという方は多くないかもしれません。
今回のAさんの逮捕容疑である、いわゆるストーカー規制法(正式名称「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)では、ストーカー行為について以下のように定義されています。

ストーカー規制法第2条
第1項 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
第5号 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
第2項 前項第5号の「電子メールの送信等」とは、次の各号のいずれかに掲げる行為(電話をかけること及びファクシミリ装置を用いて送信することを除く。)をいう。
第1号 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第1号に規定する電気通信をいう。次号において同じ。)の送信を行うこと。
第2号 前号に掲げるもののほか、特定の個人がその入力する情報を電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、その第三者が当該個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものの当該機能を利用する行為をすること。

ストーカー規制法第2条第4項
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第1項第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいう。

つまり、ストーカー規制法では、「つきまとい等」が同じ人に対して繰り返されることで「ストーカー行為」となる構図になっています。
「つきまとい等」の中には、「拒まれたにも関わらず、連続して、(中略)電子メールの送信等をすること」も含まれており、その「電子メールの送信等」の中には、SNSのメッセージ送信も含まれます(ストーカー規制法第2条第2項第2号)。
ですから、SNSを通じてメッセージを連続送信することも、同一の人に対して繰り返せばストーカー規制法の「ストーカー行為」に当たり得るということになります。
ストーカーという言葉からは、物理的に相手の後をついて行くなどの行為が思い浮かびやすいですが、インターネット・SNSを通じたメッセージの送信でもストーカー行為となることに注意が必要です。

こうしたストーカー行為をした場合、ストーカー規制法の以下の条文によって罰せられます。

ストーカー規制法第18条
ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

・ストーカー規制法と接触禁止命令

今回の事例のAさんは、Vさんへのメッセージの連続送信をする前から、ストーカー規制法によるVさんへの接触禁止命令を受けていたようです。
ストーカー規制法では、「つきまとい等」をした者について、以下のように禁止命令等を出すことができるとしています。

ストーカー規制法第5条
都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、第3条の規定に違反する行為があった場合において、当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは、その相手方の申出により、又は職権で、当該行為をした者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項を命ずることができる。
第1号 更に反復して当該行為をしてはならないこと。
第2号 更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項
(※注:「第3条の規定」とは、ストーカー規制法第3条の「何人も、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。」という規定を指します。)

禁止命令では、その「つきまとい等」をしないように命令するということ(第1号)以外にも、「つきまとい等」が行われないようにするためのこと(第2号)も命令できます。
例えば、「つきまとい等」をしていた相手方に近づいたり連絡を取ったりすることを禁止する接触禁止命令などが出されることが考えられます。

今回の事例のAさんは、以前行っていたVさんへの「つきまとい等」についてこのストーカー規制法に基づく接触禁止命令を受けていましたが、その後その接触禁止命令に反する形でメッセージの連続送信を繰り返し、「ストーカー行為」をしているという経緯です。
Aさんはストーカー規制法の禁止命令に違反してストーカー行為をしたということになりますが、こうした場合には、先ほど掲載した、単にストーカー行為を禁止する条文ではなく、以下の条文で罰せられることになると考えられます。

ストーカー規制法第19条
第1項 禁止命令等(第5条第1項第1号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。
第2項 前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。

すでに禁止命令を受けているにもかかわらずその命令に違反してストーカー行為をしたという事情は、単にストーカー行為をするよりもより悪質であると考えられるため、刑罰も重く設定されています。
今回の事例のAさんは、こちらの条文に当てはまると考えられます。

なお、たとえストーカー行為やつきまとい行為等をしていなかったとしても、禁止命令に違反しただけでもストーカー規制法違反となります。

ストーカー規制法第第20条
前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

SNSやインターネット環境が普及している現在、そういったものを通じてのストーカー規制法違反事件は身近な刑事事件の1つです。
被害者に対して繰り返し接触するというストーカー規制法違反事件の特性上、今回の事例のAさんのように、逮捕によって身体拘束される可能性も高いため、ストーカー規制法違反事件の被疑者となってしまったら、早期に弁護士に相談し、サポートしてもらうことが重要と言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、ストーカー規制法違反事件などの刑事事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

神戸市兵庫区の爆発事件 重過失激発物破裂罪で逮捕

2022-01-18

神戸市兵庫区の爆発事件で、男が重過失激発物破裂罪の容疑で警察に逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

神戸市兵庫区の爆発事件

爆発事件が起こったのは昨年年末となる、令和3年2月26日です。
場所は神戸市兵庫区にあるパチンコ店の駐車場で、この駐車場に駐車されていた自動車が突然爆発し、車内にいた男性が顔や手に火傷を負って病院に搬送されたとのことです。
他にも駐車場のガラスが割れる被害があったものの、男性の他に怪我人はいなかったようです。
(令和3年12月26日配信のサンテレビニュースより抜粋)

重過失激発物破裂罪の容疑で男性が逮捕

神戸市兵庫区の爆発事件で、事件当時火傷を負って病院に搬送されていた男性が、重過失激発物破裂罪の容疑で警察に逮捕されました。
警察の発表によりますと、逮捕された男性は、吸引する目的で所持していたカセットボンベのガスが充満している車内で、タバコを付けようとした火が引火して爆発したとのことです。
1月12日に逮捕された男性は、警察の取調べに対して「間違いない。」と容疑を認めているとのことです。
(令和4年1月12日配信のサンテレビニュースより抜粋)

重過失激発物破裂罪とは

重過失激発物破裂罪について説明する前に、激発物破裂罪について説明します。
激発物破裂罪とは刑法に定められている法律で、その内容は「火薬・ボイラーなどの激発すべき物を破裂させる」ことによって成立する犯罪で、今回の事件で爆発した、カセットボンベ(のガス)は、激発物破裂罪でいうところの「激発すべき物」に該当します。
ただ今回の爆発は、逮捕された男性が故意的に起こしたのではなく、男性の不注意による過失によって起こっており、その過失が重大、刑法第117条の2の重過失激発物破裂罪が適用されています。
重過失激発物破裂罪の法定刑は「3年以下の禁固または150万円以下の罰金」が規定されています。

重過失激発物破裂罪で逮捕されるとどうなるの?~留置場生活について~

警察に逮捕されると、釈放されるまで留置場の中で生活しなければなりません。
留置場の中での生活は様々なルールが存在しますが、刑が確定している受刑者ではないので、全ての自由が制限されているわけではありません。
一日三食の食事はきちんと出ますし、毎日というわけではありませんが、お風呂に入ることもできます。
また意外なのは、出される食事に満足できない場合は、自費で弁当類やカップラーメン等を購入したり、菓子やジュース類を購入することもできますし、差し入れられた漫画本や雑誌を読むこともできます。
留置場に収容された経験のある方に話を聞いたところ「取調べ等の捜査を受ける時以外は基本的に留置場の房内で過ごすことになるので、時間を持て余してしまいます。同じ房に気の合う人がいれば雑談をして時間を潰せるのですが、一人だと退屈で、取調べや面会で房の外に出られるのが待ち遠しくなるくらいです。」との事です。
ちなみに逮捕されても病院の診察を受けたり、薬を処方してもらうことは可能ですが、その費用は、公費で支払われることもあれば、私費で実費負担する場合もあります。
また事前に申し込んでおけば散髪してもらうこともできます。

逮捕されてからの刑事手続きの流れについては

刑事事件の流れ

をご覧ください。

過去の重過失激発物破裂事件を参考にした弁護士の見解

重過失激発物破裂罪は、非常に珍しい罪名ですが、私の記憶に残っている事件が一件だけあります。
新聞等で報道されていた内容を思い出してみると、確か今から4~5年前の事件だったはずです。
大手不動産仲介業者の店長が、大量のスプレー缶を噴出させた室内で、給湯器を使用して、室内に充満していたガスに引火して爆発を起こしたという爆発事件です。
今回の事件とは異なり、複数の負傷者が出たのですが幸いにも亡くなった方はいませんでした。
この爆発事件で、重過失傷害罪と重過失激発物破裂罪で起訴された店長は、第一審で、禁錮3年、執行猶予4年の判決を言い渡されたはずです。
当時報道されていた事件現場のニュース映像では建物が倒壊するなどしており、複数の負傷者がいたので、爆発の規模は今回の神戸市兵庫区の爆発事件とは異なりますが、ガスボンベのガスを吸引しているという点で、情状面では今回の事件の方が悪質性が高いと評価されるでしょう。
ですので略式起訴による罰金刑ではなく、正式に起訴される可能性は十分に考えられると思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、あらゆる刑事事件の弁護活動に精通した法律事務所です。
刑事事件に関するご相談や、警察に逮捕されてしまった方への弁護士接見をご希望の方は

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間受付中)

までお気軽にお問い合わせください。

お正月休暇中に逮捕されたら…休暇中も即日対応できる弁護士

2021-12-26

お正月休暇中にご家族等が警察に逮捕された場合の対処方法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部がご案内します。

お正月休暇中の営業について

まず、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の、年末年始のお正月休暇中の営業についてご案内します。
令和3年の年末が近付いてまいりましたが、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、今年の年末から来年にかけてのお正月休暇中も休まず営業しています。
「お正月休暇中にご家族が警察に逮捕されてしまった!!」「急に警察署に呼び出されてしまった!!」「年始早々に検察庁に出頭しなければいけない!!」といった方は、お正月休暇中も休まず営業している弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。

お正月休暇中に家族が逮捕されてしまったら…

それではお正月に逮捕されてしまったという事件をご紹介します。

事件その1

神戸市に住む会社員のAさんには、来春に就職する大学4年生の息子がいます。
大晦日、息子は高校時代の同級生数名と神戸市内の歓楽街にお酒を飲みに行っていたのですが、深夜になっても帰宅しなかったことから、心配になったAさんは、息子の携帯電話に電話しました。
すると警察官が電話口に出て「息子さんを傷害の容疑で逮捕しています。」と言われました。
(フィクションです)

事件その2

Bさんはこれまで何度か盗撮をした経験があり、お正月も、人ごみを狙って盗撮しようと思い、初詣客で賑わっている神社に行きました。
Aさんは、手提げかばんの中に、盗撮用の小型カメラを忍ばせて女性のスカート内を盗撮していたところ、警備員に声をかけられて盗撮していたことがバレてしまいました。
(フィクションです)

逮捕された場合の対処

事件その1の場合

まずはご家族等が警察に逮捕された場合の対処ですが、逮捕されてしまった方は、逮捕されると同時に携帯電話等の持ち物を警察に押収されるので、ご自身で弁護士を探すことはできません。
もし逮捕された方に知り合いの弁護士がいる場合は、その弁護士の名前や所属する事務所名を伝えれば警察から弁護士事務所に連絡してもらうことができますが、そういった弁護士がいない場合は、ご家族等、逮捕の知らせを受けた方が弁護士を探し、その弁護士を逮捕されてしまった方のもとに派遣することしかできません。(当番弁護士制度については後に記載)
ですからAさんのように、ご家族の逮捕を知った方は、早急にお正月休暇中も営業している弁護士事務所に電話して弁護士を派遣することをお勧めします。

事件その2の場合

続いてBさんのように、ご自身が事件を起こして警察に逮捕されそうな方は、そういう状況に陥ってから弁護士を探すのは不可能に近いので、逮捕されて携帯電話が押収されるまでに、ご家族等信頼できる方に電話して弁護士の派遣を依頼すべきでしょう。
ただすでに携帯電話が押収されたりして電話することができなかった場合は、警察官に当番弁護士を呼んでもらうことができます。
当番弁護士を呼ぶのに費用はかからず、接見に来た当番弁護士からご家族等に連絡をしてもらうことができます。
ちなみに当番弁護士とは、逮捕後に要請すれば一度だけ接見に来てくれる弁護士のことで、注意しなければいけないのは、当番弁護士はあらためて弁護活動の委任契約を締結するか、勾留後に国選弁護人実質的な弁護活動は行ってもらえません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は即日対応

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、お正月休暇中も即日対応いたします。
お正月休暇中にご家族が逮捕されてしまった方は、まずは

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間受付)

までお電話ください。
なお、お正月休暇中はフリーダイヤルがつながりにくくなっている場合もございますが、番号を通知してお電話いただいた方には、後ほど担当者から折り返しますのでご安心ください。

詐欺事件で警察に逮捕されたら 

2021-12-15

詐欺事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
婚活サイトで知り合った女性から現金を騙し取ったとして、兵庫県たつの警察署は、Aさんを詐欺の容疑で逮捕しました。
Aさんは、調べに対して、「相手を騙してはいない。返すつもりだった。」と容疑を否認しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、どう対応してよいか分からず、ネットで調べた刑事事件専門の弁護士に相談の電話をかけました。
(フィクションです。)

詐欺罪について

詐欺罪は、
①人を欺いて財物を交付させた
あるいは、
②人を欺いて財産上不法な利益を得、または他人にこれを得させた
場合に成立する罪です。

◇犯行の対象◇

詐欺罪における犯行の対象は、
①他人の占有する財物、
または、
②財産上の利益
です。

①他人の占有する財物
「他人の占有する財物」は、窃盗罪と同じく、他人が事実上支配し管理する状態にある財物のことです。

②財産上の利益
「財産上の利益」とは、強盗罪と同様に、財産以外の全ての財産上の利益のことを意味し、債務の免除、履行期の延期、債務負担の約束、財産的価値のあるサービスの提供などがこれに当たります。
条文上「財産上不法な利益」と規定してありますが、「不法な」利益を得るという意味ではなく、「不法に」財産上の利益を得るという意味です。

◇行為◇

詐欺罪の行為は、
①人を欺いて財物を交付させること、
または、
②人を欺いて財産上不法の利益を得ること、
です。

①人を欺いて財物を交付させる
「人を欺いて財物を交付させ」たと言えるためには、(a)欺く行為をして(欺罔)、(b)それに基づき相手方が錯誤に陥り(錯誤)、(c)その錯誤によって相手方が処分行為をし(財産的処分行為)、(d)それによって財物の占有が移転し(財物の交付)、(e)財産的損害が発生する、という客観的な相当因果関係がなければなりません。
「欺く」とは、一般人をして財物を処分させるような錯誤に陥らせることであり、相手方を騙すことをいいます。
「錯誤」とは、騙されて嘘を本当の話と信じることを意味します。
「財産的処分行為」は、財物などを渡す行為であり、相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を取得することです。
財産的処分行為が成立するためには、財産を処分する事実と処分する意思が必要となります。
財産を処分する事実としての行為は、法律行為のみならず、事実上財産的損失を生じさせる行為であれば構いません。
処分する意思については、財産を処分する意思をまったく有しない幼児や高度の精神障がい者は、財産的処分行為は認められず、このような者を欺いてその財物を奪う行為は詐欺罪ではなく窃盗罪を構成することになります。
「財物の交付」は、相手方の財産的処分行為の結果として、行為者側に財物の占有が移転することを指します。

②人を欺いて財産上不法の利益を得る
①と同じく、欺罔→錯誤→財産的処分行為→財産上不法の利益を得る、という一連の流れが求められます。

◇主観的要素◇

詐欺罪は故意犯であるため、罪を犯す意思(=故意)がなければなりません。
詐欺罪の故意は、行為者が、相手方を欺いて、錯誤に陥らせ、その錯誤に基づく財産的処分行為によって財物を交付させ、自己または第三者が占有を取得する、あるいは財産上の利益を得ること、及びその因果関係を認識・認容することです。
また、故意とは別に、不法領得の意思も詐欺罪の成立に必要となります。
「不法領得の意思」というのは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思のことです。
この点、他人宛の書類を廃棄するだけの意図で他人を装って受領する行為について、不法領得の意思が認められず詐欺罪は成立しないとした判例があります。(最決平16・11・30)

上記事例では、Aさんは「騙してはいない。返すつもりだった。」と詐欺の故意を否認しています。
故意がなければ詐欺罪は成立しませんので、Aさんの主張が認められればAさんに対する詐欺罪は成立しないことになります。
しかしながら、単に「騙すつもりはなかった。」と主張するだけでは、故意がないことが認められることは難しく、行為があった時点で故意がないことを示す客観的な証拠を提出する必要があります。
また、取調べにおいて、Aさんが詐欺の故意があったことを窺わせるような内容の供述調書をとられてしまうと、後にその供述を否定することが難しくなりますので、早期に弁護士に相談し、自己に不利な供述がとられないように対応するのがよいでしょう。

詐欺事件で逮捕されたら

詐欺事件で逮捕された場合、刑法上の犯罪の中でも比較的重い罪であるため、その後に勾留に付される可能性は大いにあります。
また、詐欺罪は、法定刑に罰金がないため、公判請求される可能性もあります。
ただ、個人間での詐欺事件であれば、初犯であり、被害者への被害弁償や示談が成立していれば、不起訴となる場合もあります。
詐欺事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

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