Archive for the ‘刑事事件’ Category

【事件速報】タクシーを乗り去った女 窃盗罪で緊急逮捕

2023-05-18

【事件速報】タクシーを乗り去った女が、窃盗罪で緊急逮捕された事件を参考に緊急逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

事件内容5月18日配信の神戸新聞NEXTを引用

17日の夜、神戸市灘区において、客として乗車していたタクシーの運転手がタクシーから降りたすきに、そのままタクシーを運転して乗り去り、タクシーを盗んだとして、30代の女が、窃盗容疑で警察に緊急逮捕されました。

刑事事件を報道するニュースなどでよく「緊急逮捕」という言葉を聞きますが、緊急逮捕とは、通常の逮捕とは何が違うのでしょうか?
上記の窃盗事件を参考に、緊急逮捕ついて解説します。

逮捕は3種類

警察が犯人を逮捕する場合、その逮捕の種類は大きく分けると

  • 通常逮捕
  • 現行犯逮捕
  • 緊急逮捕


の3種類です。
警察官に「令状(逮捕状)が出てるから逮捕する。」と言われて、令状(逮捕状)を示されて逮捕されるのが、いわゆる通常逮捕で、通常逮捕は、裁判官の発付した逮捕状がなければ逮捕することができない、令状主義に基づく逮捕です。
そして、この令状主義の例外として認められているのが現行犯逮捕です。
現行犯逮捕は、まさに事件を起こしたり、事件を起こした直後の犯人にしかできない逮捕で、令状(逮捕状)は必要とされません。
またその現行犯逮捕は、その特徴から、犯人と間違えて逮捕する可能性が低いことから一般人でも逮捕することができます。

緊急逮捕

それでは緊急逮捕について解説します。
緊急逮捕は、その名前のとおり、緊急性を要する時にしか許されない逮捕で、逮捕できる事件(罪名)が限定されているのが特徴で、逮捕時には裁判官の発する逮捕状は必要とされませんが、逮捕後に、裁判官に逮捕状を請求しなければならず、その際に裁判官が逮捕状を発付しなかった場合は、すぐに逮捕した犯人を釈放しなければなりません。
ここでいう緊急性を要するとは、どのような場合かというと、裁判官に逮捕状を請求していては犯人が逃げて逮捕できなくなってしまうような場合を意味します。
また緊急逮捕できる犯罪は、その法定刑が「死刑又は無期若しくは3年以上の懲役若しくは禁錮」に該当する犯罪(罪名)に限られています。
今回の場合「窃盗罪」で緊急逮捕されており、窃盗罪の法定刑(10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)はこれに該当します。

緊急逮捕された場合の対処

ご家族が警察に緊急逮捕された方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、逮捕された方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスを提供していますので、初回接見サービスのご予約は
フリーダイヤル0120-631-881(24時間対応中)
までお電話ください。

キセルの刑事責任は?不正乗車が刑事事件に発展

2023-05-15

キセル(不正乗車)が刑事事件に発展した場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

参考事件

姫路市に住むAさんは、バスや電車を利用してアルバイト先まで通っています。
アルバイト先から交通費は支給されていないことから、Aさんは交通費をうかすために、これまで何度も、バスや電車にキセル(不正乗車)しています。
そんなある日、改札を抜けようとしたところ、駅員に声をかけられて持っていたICカードを確認されてキセル(不正乗車)が発覚してしまいました。
その日は正規の電車賃を支払うことで帰宅することができましたが、今後、これまでのキセル(不正乗車)が発覚して警察沙汰になるのではないか不安です。
(フィクションです。)

キセル(不正乗車)

バスや電車の不正乗車をキセルと言います。
かつては乗車券を改札に立っている駅員に提示して改札を抜けていましたが、最近は、ほぼ全ての駅に自動改札機が設置されて、切符を挿入したり、ICカードをかざすだけで改札を通過することができます。
また電車内における、乗務員による乗車券の確認も新幹線や特急電車など、乗車券の他に特急券や指定席券が必要な場合しか行われていません。
このように時代の変化と共にバスや電車の乗車方法も進化していますが、いつの時代でも、正規の乗車賃を支払わずにバスや電車に不正乗車すればキセルとなります。

それではキセル(不正乗車)が刑事事件関した場合の刑事責任について解説します。

詐欺罪

公共交通機関での不正乗車は、犯行の態様によって適用されるのは、鉄道営業法や軽犯罪法等様々な法律があり、一概に取り締まられる法律が定まっていないと言えます。
常習的に不正乗車を繰り返し正規の乗車料金を支払っていないことが立証された場合は、詐欺罪の適用を受ける可能性があります。
人を騙して財物を得ることによって成立する詐欺罪は、刑法第246条に規定された法律で、起訴され有罪判決を受けると「10年以下の懲役」が科せられることになります。

絶対にキセル(不正乗車)に詐欺罪が適用されるとは限りません。
そもそも詐欺罪は人を騙して財物を得たり、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合に成立する犯罪です。
そのため、その成立には「欺罔行為(人を騙す行為)」が必要不可欠となります。
しかし自動改札機が普及している現代、キセル(不正乗車)の全てに、この行為が存在するとは限りません。。

鉄道営業法違反

キセル(不正乗車)は、鉄道営業法が適用される可能性があります。
鉄道営業法第29条には、有効な乗車券をなくして乗車することを禁止しています。
これに違反した者には2万円以下の罰金又は科料が科せられる可能性があります。
詐欺罪とは天と地ほど違う罰則規定に驚いた方もいるのではないでしょうか。

まずは弁護士に相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
兵庫県内の刑事事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の無料法律相談をご利用ください。

【事件速報】反則切符に元同僚の名前を署名 有印私文書偽造・同行使罪で逮捕

2023-05-12

【事件速報】反則切符に知人の名前を署名したとして、有印私文書偽造・同行使で逮捕された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

事件内容5月10日配信の神戸新聞NEXT引用

2019年9月2日、兵庫県葺合警察署管内で歩行者妨害の交通違反をしたとして警察官の取締りを受けた際に、「家に置いてきた」と偽って免許証の提示を免れ、元同僚の名前と生年月日を告げて警察官に反則切符を作成させ、署名や指印をしたとして、神戸市須磨区の男が、有印私文書偽造・同行使罪逮捕されました。
警察の発表によりますと、逮捕された男は、違反をした際は既に無免許だったようですので、無免許の発覚をおそれての犯行だと思われます。
なおこの事件は、名前を使われた元同僚が、免許更新のはがきに思い当たらない違反者講習の表記があったため、同署に問い合わせて発覚したようです。

有印私文書偽造・同行使罪

私文書を偽造し、その偽造私文書を行使することで成立するのが、有印私文書偽造・同行使罪です。
私文書とは、権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画のことをで、こういった私文書の作成権限がない者が、他人名義の文書を作成した場合に成立します。

反則切符は私文書なの?

交通反則切符自体は公文書ですが、その中の供述書欄に「上記違反をしたことに相違ありません」という不動文字で示された供述を内容とする「事実証明に関する文書」ですので、取締り対象の私人が自署することが予定されている私文書です。

有印私文書偽造・同行使罪で逮捕されると…

有印私文書偽造・同行使罪で逮捕されると、48時間は裁判官の許可なく身体拘束を受けることになり、裁判官が勾留を決定した場合はその後も身体拘束が続くでしょう。
法律的に、勾留の期間は10日~20日です。
今回の事件では、偽造された反則切符は警察が押収しているでしょうし、共犯者がいるような事件でもありませんので、証拠隠滅の可能性は低いと考えられるでしょうし、犯行に至る動機面もハッキリしていると思われます。
そういった意味で、逃走のおそれがなければ勾留を阻止できる可能性もあるでしょう。

刑事事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
兵庫県内の刑事事件にお困りの方、ご家族、ご友人が警察に逮捕されて身体拘束を受けている方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部無料法律相談初回接見サービスをご利用ください。

万引き事件の再犯 常習累犯窃盗罪とは・・・~②~

2023-04-21

~昨日の続き~

常習累犯窃盗罪

万引きなどの窃盗は再犯率の高い犯罪です。
窃盗を常習的に繰り返す「常習累犯窃盗罪」が特別法(「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律」)で規定されています。

第三条 

常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル

かなり昔に制定された法律なのでこの条文を読んだだけでは理解しずらいでしょう。
この条文を分かりやすくまとめると、常習としての窃盗等を行う習癖を有する者に対して、行為前の一定の前科を考慮し、その習癖のない者より重く処罰することが規定されており、常習累犯窃盗とは

①過去10年間に、窃盗罪等で6月以上の懲役刑を3回以上受けた者が
②常習として窃盗を行うこと

です。

①について、過去10年の内に、窃盗罪等で実刑判決を3回受けていれば当てはまるのですが、例えば、一回目が懲役6月の執行猶予判決、二回目が懲役1年の保護観察付執行猶予判決、三回目が懲役2年の実刑判決であった場合、一回目と二回目の執行猶予が取り消され、三回目の懲役2年の刑の執行後に、引き続き一回目と二回目の刑の執行を受けた場合においても、それらは合計3回の刑の執行を受けたことになる点に留意が必要です。
①の要件に加えて、「反復して犯罪行為を行う習癖」があるか否かという②の要件を満たして初めて常習累犯窃盗が成立するというわけです。

常習累犯窃盗罪の法定刑は「3年以上の有期懲役」です。
前回のコラムで解説した、刑法で規定されている窃盗罪の法定刑に比べると非常に厳しいものとなっているので注意しなければなりません。

まずは弁護士に相談を

万引きの前科前歴が多数あり、常習累犯窃盗にあたるのではとお困りであれば、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
初回無料の法律相談や、初回接見のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受付しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

万引き事件の再犯 常習累犯窃盗罪とは・・・~①~

2023-04-18

万引き事件の再犯を起こしてしまった方の事件を参考に、常習累犯窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

参考事件

無職のAさんは、2週間ほど前に加東市内のスーパーで食料品を万引きしたところ、店内を巡回中の警備員に捕まり、警察に通報されました。
Aさんは万引きの事実を認めて、盗んだ食料品の代金を支払ったことから逮捕されずに済みましたが、Aさんは、万引きの前科前歴があり、刑務所に服役した経験があることから、在宅で警察の取り調べを受けています。
以前逮捕された際に選任していた弁護士から「次に万引きをしたら、窃盗罪ではなく常習累犯窃盗罪で起訴される可能性が高い。」と言われていたことから、Aさんは今後の手続きが不安です。
(フィクションです)

窃盗罪

当然、お店の商品を盗めば「万引き」となり、これは「窃盗罪」に当たります。
窃盗罪とは、「他人の財物を窃取」する犯罪です。
「他人の財物」は、他人の占有する他人の財物です。つまり、他人が事実上支配し管理している他人のものをいいます。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
窃盗罪が成立するには、これらの要件に加えて、次の主観的要件を満たす必要があります。

窃盗罪の故意

財物が他人の占有に属していること、及び、その占有を排除して財物を自己又は第三者の占有に移すことを認識すること。

不法領得の意思とは

不法領得の意思の要否については争いがありますが、判例では、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物として経済的用法に従い利用処分する意思」をいうと解されています。
つまり、窃盗罪の成立要件には、故意に加えて、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として扱う意思(排除意思)と、他人の物をその経済的用法に従い、利用又は処分する意思(利用意思)から構成される「不法領得の意思」が求められます。

窃盗罪の量刑

窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
あなたが万引きで捕まり、検察官に起訴され、有罪判決を言い渡された場合には、10年以下の懲役あるいは50万円以下の罰金の範囲内での刑事罰が科されることになります。

万引きの場合、初犯であり、被害金額も少額で、被害弁償が済んでいれば、微罪処分として事件が処理されるケースも多く、検察官によって起訴されずに事件終了となることが多いでしょう。

~明日に続く~

「馬刺し」と称し牛肉を販売 不正競争防止法違反で略式命令

2023-04-13

加熱調理用の牛肉を「馬刺し」と称し販売した肉屋が不正競争防止法違反で略式命令を受けた事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

事件内容4月13日配信のITVあいテレビの記事を引用

とある肉屋と肉屋の社長が、「馬刺しあります!」などと記載した広告を掲げ、「馬刺し」と称する牛肉計4点を販売したという犯罪事実で起訴され、不正競争防止法違反で罰金90万円(会社に対して60万円、社長に対して30万円)の略式命令を受けるという事件が報道されました。
この肉屋は、加熱調理用の牛肉を「馬刺し」と称して販売したとして、保健所から営業禁止処分を受けていたようです。

不正競争防止法

不正競争防止法とは、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律です。(不正競争防止法第1条から引用)
簡単に言うと、不正競争防止法は事業者間の公正な競争の実現を目指す法律で、詐欺罪や商標法違反にまで該当しない行為であっても、事業者間の公正な競争を阻害する悪質な行為を処罰の対象としています。
今回の事件のように、誤解を招くような紛らわしい表示の商品や、他社の商品を模倣した商品を販売したり、営業秘密等を侵害する行為が規制の対象となっています。

今回の事件については、摘発を受けた肉屋は、一定の基準を満たさない生牛肉の販売が規制されているために、牛肉を「馬刺し」と偽って販売していたものと思われますが、この行為は、商品について誤認を生じさせる表示と言えますので、不正競争防止法でいうところの「品質等誤認惹起行為」となります。

不正競争防止法違反の罰則

今回のような不正競争防止法違反で摘発された場合、5年以下の懲役500万円以下の罰金懲役刑と罰金刑の両方が科せられる可能性があり、会社に対しても3億円以下の罰金の可能性があります。
この法定刑を考えると、今回の事件で略式命令は軽かったと言えるでしょう。

まずは弁護士に相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、このような刑事事件の弁護活動を専門にしている法律事務所です。
このような刑事事件でお悩みの方は是非ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、初回の相談を無料で受け付けているだけでなく、逮捕されてしまった方のもとに弁護士を派遣する 初回接見サービス にも即日対応していますので、サービスのご利用にあたっては フリーダイヤル0120-631-881 までお問い合わせください。

伊丹市の強盗事件 定員を殴って料金を踏み倒し!2項強盗ってどんな罪?

2023-03-26

伊丹市の強盗事件 定員を殴って料金を踏み倒した伊丹市の強盗事件を参考に、2項強盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

参考事件

無職のAさん(30歳)は、父親から仕事をしていないことを指摘されたことで親子喧嘩になり、数週間前に自宅を飛び出してからは、伊丹市内のマンガ喫茶等で寝泊りしていますが、ついに所持金が少なくなってきました。
そんな中、宿泊したネットカフェの料金を踏み倒そうと、店員のすきを見て、店外に飛び出したところ、追いかけてきた店員に捕まってしまいました。
そこで逃げたい一心のAさんは、Aさんの服を掴んでいる店員の顔面を殴って逃走したのです。
(この事例はフィクションです)

2項強盗ってどんな罪?

強盗罪を定めている刑法第236条には、「強盗」と聞いて皆さんがすぐに思いつく第1項と、今回のAさんの事件のような第2項の2種類の強盗行為が規定されています。

刑法第236条 強盗

1項
「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」
2項
「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする」

強盗罪は上記の様に規定されており、2項では財産上の利益を得ることも処罰の対象としています。
今回の事件でAさんは漫画喫茶の利用料金の支払いを免れるために店員に暴行を加えているので、2項での強盗罪が成立することになるでしょう。
条文上の「暴行又は脅迫」については相手方の反抗を抑圧するに足りる程度であることが必要とされ、これは客観的に判断されます。
強盗罪の罰則は「5年以上の有期懲役」と規定されているので、もし起訴されてしまうと無罪を除き、刑の減免がなければ執行猶予も付けられなくなり、実刑判決を受けることになってしまいます。

2項強盗罪となってしまう、よくある事件の例としては、タクシーでの料金トラブルでタクシー運転手に暴行脅迫を行ってしまい代金を支払わなかった場合が挙げられます。
他にも暴行脅迫を用いてキャッシュカードの暗証番号を聞き出した場合に2項強盗罪が成立した裁判例があります。
一方で2項強盗罪が成立しなかった例としては、相続を受けるために両親を殺害しようとした強盗殺人未遂事件や経営者を殺害して経営を継承したという事件があります。
このような場合には2項強盗罪は成立しないと判断されました。

強盗致傷罪の可能性も

さらに、今回のAさんが殴った行為により店員がけがをしていると、強盗致傷罪となってしまう可能性があります。
強盗致傷罪となってしまうと「無期又は6年以上の懲役」が規定されているので起訴されてしまうと裁判員裁判となってしまいます。

強盗事件の弁護活動

弁護士は被害者と示談交渉を行ったり、検察官と意見を交わしたりといった活動で不起訴を目指していきます。
示談交渉は被害者と接触しなければならないので、加害者本人が行うのは非常に難しいです。
示談交渉は専門家である弁護士に依頼するようにしましょう。
そしてもしも、強盗致傷起訴されてしまい、裁判員裁判になってしまったとしても刑事事件を専門に扱っている弁護士ならば、しっかりと対応することが可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では刑事事件を専門に扱っている弁護士が初回接見、無料法律相談を行っています。
伊丹市で強盗事件裁判員裁判対象事件でお困りの方はフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお電話ください。

作業中に歩行者に怪我をさせてしまった…(重)過失傷害罪で起訴

2023-03-23

作業中に歩行者に怪我をさせてしまったとして、(重)過失傷害罪で起訴されてしまった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

参考事件(フィクションです。)

土木建築関連の会社で作業員をしているAさんは、現在は、兵庫県三木市で道路拡張工事をしています。
そんな中、Aさんは工事で使用する鉄骨製の資材を運んでいたところ、誤って、近くにいた歩行者にぶつけてしまいました。
鉄骨は、歩行者の頭に当たり、歩行者は頭蓋骨を骨折する重傷を負いました。
Aさんは、兵庫県三木警察署において取調べを受けており、刑事さんから「重過失傷害罪に当たる。」と言われています。

暴行や、相手に傷害を負わせる気がなくても、Aさんのように、不注意によって人に怪我をさせると、過失傷害罪や重過失傷害罪といった刑事責任を追及される可能性があります。

過失傷害罪

過失傷害罪とは、過失によって人に怪我をさせた時に成立する犯罪です。
過失傷害罪が成立するには、法律上の注意義務に違反してなされた行為であることを要し、その行為は作為、不作為であるが問われません。
当然、その行為時に傷害の結果や、暴行についての認識がある場合は「過失」とは言えないので単なる傷害罪となります。

また過失傷害罪が成立するには、実行行為者の注意義務違反の行為と傷害の結果との間に因果関係があることが必要とされていますが、その因果関係を具体的に予見することまでは必要とされておらず、予見可能性が認められれば、過失犯としての刑事責任に問われる可能性があります。

重過失傷害罪

そして、その注意義務違反が重大であった場合は「重過失傷害罪」となります。
重過失傷害罪の「重」は、結果の重大性をいうのではなく、注意義務違反の重大性を意味するのです。

過失傷害罪と重過失傷害罪の違い

過失傷害罪と重過失傷害罪では「法定刑」が異なります。
過失傷害罪の法定刑は「30万円以下の罰金又は科料」と非常に軽いものですが、重過失傷害罪罪の法定刑は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」と厳しいものです。
また過失傷害罪は、親告罪であるのに対いて、重過失傷害罪は非親告罪です。
つまり過失傷害罪は、被害者等の刑事告訴がなければ刑事罰を受けることがないのに対して、重過失傷害罪は非親告罪なので、被害者等の刑事告訴がなくても、刑事責任を問われます。

(重)過失傷害罪の弁護活動

わざとじゃなくても、過失が認められると刑事責任を問われる可能性があります。
過失傷害罪重過失傷害罪で警察の取調べを受けている方は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、刑事事件専門弁護士による法律相談を初回無料で承っていますので、是非この機会に、無料法律相談をご利用ください。

覚醒剤所持事件で執行猶予を獲得できるの?一部執行猶予について~②~

2023-03-20

~本日のコラムでは一部執行猶予について解説します。~

一部執行猶予

薬物事件を犯した者に対する一部執行猶予については、「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律(以下「法律」)」に規定があります。
一部執行猶予判決を受けるには次の要件が必要です(法律3条)。

①薬物使用等の罪を犯したこと
②本件で、1の罪又は1の罪及び他の罪について3年以下の懲役又禁錮の判決の言い渡しを受けること
③刑事施設における処遇に引き続き社会内において規制薬物等に対する依存の改善に資する処遇を実施することが、再び犯罪をすることを防ぐために「必要」であり、かつ、「相当」であること

なお、薬物使用等の罪については、他の犯罪と異なり、前科の要件は必要とされていませんので、Aさんのような累犯前科を持つ方であっても、一部執行猶予判決の対象となり得ます。

対象となる事件

法律第2条2項には列挙されている対象となる薬物事件とは

  • 大麻の所持又はその未遂罪(2号)
  • 覚醒剤の所持、使用等又はこれらの罪の未遂罪(4号)
  • 麻薬及び向精神薬取締法の所持罪等(5号)


です。

全部執行猶予との違いは?

一部執行猶予判決がついてもあくまで「実刑判決」の一部であることに変わりはありません。
刑の執行を猶予された期間以外は刑務所に服役しなければなりませんが、刑務所に服役する期間が短くなるというメリットがあります。

まずは弁護士に相談を

兵庫県加古川市薬物事件において執行猶予付きの判決を望んでいる方は、一度、薬物事件の一部執行猶予に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、薬物事件に関するご相談をフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

覚醒剤所持事件で執行猶予を獲得できるの?一部執行猶予について~①~

2023-03-19

覚醒剤所持事件で起訴された方の執行猶予獲得と、一部執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

参考事件
  
兵庫県加古川市に住むAさんは、去年の春ごろまで覚醒剤所持の容疑で刑務所に2年間服役していました。
実はAさんは、出所後も覚醒剤を使用しており、出所直後からこれまでずっと覚醒剤を使用し続けています。
そんな中、車を運転中に交通事故を起こしてしまったAさんは、このままだと警察に覚醒剤の使用が発覚してしまうと思い、車を放置して事故現場から逃走してしまいました。
事故処理の際に、Aさんが乗り捨てた車の中から覚醒剤が発見されたようで、事故を起こして2週間ほどしてAさんは、覚醒剤所持の容疑で、兵庫県加古川警察署逮捕されました。
Aさんは起訴されることを覚悟しており、執行猶予が獲得できないまでも一部だけでも執行猶予を獲得できないものかと期待しています。
(フィクションです)

執行猶予

執行猶予とは、裁判官が犯罪を認め有罪を認定したものの、言い渡した刑事罰(懲役刑、罰金刑)の執行を一定期間猶予することをいいます。
執行猶予には「全部執行猶予」「一部執行猶予」の2種類があります。

全部執行猶予

全部執行猶予を受けるための要件は、刑法に規定されており、その内容は下記のとおりです。

刑法第25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる
第1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
第2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

この内容を要約すると、執行猶予を受けるためには
①3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
②上記1号、あるいは2号に該当すること
③(執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること

ことが必要となります。

Aさんの事件を検討

1号の「前に禁錮以上の刑に処せられた」とは、判決前に、禁錮以上の刑の言渡しを受け、その刑が確定していることを意味します。
Aさんは懲役2年の実刑判決を受け刑務所に服役している歴があるので、1号には当たりません。
続いて2号に当たるか検討します。
「執行を終わった日」とは刑の服役期間が満了した日をいい、Aさんの場合、去年の8月に刑務所を満期出所していますので、2号の要件も満たしていません。

つまりAさんは、法律的にも全部執行猶予を得ることは不可能でしょう。

~明日のコラムでは一部執行猶予について解説します。~

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 無料相談予約はこちら LINE予約はこちら