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不正作出支払用カード電磁的記録供用事件で接見禁止

2019-11-17

不正作出支払用カード電磁的記録供用事件で接見禁止

不正作出支払用カード電磁的記録供用罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市中央区にあるブランド店で、偽造クレジットカードを使用してバックなどの商品を購入したとして、県内に住むAさんを不正作出支払用カード電磁的記録供用と詐欺の疑いで逮捕されました。
カード会社からの情報提供を受け、本件が発覚しました。
Aさんは、「電話で指示されてやった」と容疑を認めています。
逮捕後、勾留となったAさんは、同時に接見禁止が付されており、Aさんの家族は面会することができず困っています。
(フィクションです)

支払用カード電磁的記録に関する罪

支払用カード電磁的記録に関する罪は、平成13年の刑法改正により新設されました。

支払用カード電磁的記録に関する罪には、支払用カード電磁的記録不正作出等罪(刑法第163条の2)、不正電磁的記録カード所持罪(第163条の3)、支払用カード電磁的記録不正作出準備罪(第163条の4)、そして未遂罪(第163条の5)があります。
今回は、支払用カード電磁的記録不正作出等罪の「不正作出支払用カード電磁的記録供用罪」に問われていますので、これについて解説していきたいと思います。

支払用カード電磁的記録不正作出等罪は、刑法第163条の2に規定されています。

第百六十三条の二 人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。
2 不正に作られた前項の電磁的記録を、同項の目的で、人の財産上の事務処理の用に供した者も、同項と同様とする。
3 不正に作られた第一項の電磁的記録をその構成部分とするカードを、同項の目的で、譲り渡し、貸し渡し、又は輸入した者も、同項と同様とする。

不正作出支払用カード電磁的記録供用罪」は、上の第2項に規定されています。
本罪の客体である「不正に作られた前項の電磁的記録」というのは、「不正に作出された人の財産上の事務処理の用に供する電磁的記録で、①クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するもの、②預貯金の引出用のカードを構成するもの」です。
対象となるカードのうち①は、商品の購入・役務の提供等の取引の対価を現金払いに変えて決済するために用いるカードのことをいい、クレジットカード以外にもプリペイドカードやETCカード、カード型電子マネーなどがこれに含まれます。
②については、キャッシュカードが該当し、ローンカードや生命保険カード、証券カード、ポイントカード、マイレージカードなどは支払用カードには当たりません。
本罪が成立するためには、「人の財産上の事務処理を誤らせる目的」が必要となります。
ですので、単に身分証明書としてクレジットカードを呈示する目的など、非財産的な事務処理を誤らせる目的の場合は該当しません。
本罪の構成要件的行為については、「人の財産上の事務処理の用に供する」ことです。
「供用」とは、不正に作出された支払用カードを構成する電磁的記録を、他人の財産上の事務処理のため、それに使用されている電子計算機において用い得る状態に置くことをいいます。
電磁的記録の内容が電子計算機により読み取り可能となった時点で本罪は既遂となります。

不正作出支払用カード電磁的記録供用罪」の法定刑は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

不正作出支払用カード電磁的記録供用罪で逮捕されると、その後勾留となる可能性が高いでしょう。
また、組織的な犯行が疑われた場合には、関係者と接触し証拠隠滅を図ることを阻止するために、弁護士以外との接見を禁止する接見禁止が付されることも多くなっています。
接見禁止となれば、被疑者の家族であっても面会することは出来ません。
そのような場合であっても、弁護士であればいつでも接見することができますので、家族が逮捕され接見禁止となり面会が出来ずお困りであれば、弁護士に接見を依頼されるのがよいでしょう。
また、家族は事件と一切関係がなく、証拠隠滅のおそれもないことを裁判官に主張し、家族との接見禁止を解除してもらうよう働きかけることも重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こし逮捕されお困りであれば、今すぐ弊所にご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年事件:家庭裁判所送致されたら

2019-11-16

少年事件:家庭裁判所送致されたら

少年事件として家庭裁判所送致された後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加東市に住むAさんは、乾燥大麻を所持した疑いで兵庫県加東警察署に逮捕されました。
10日の勾留の後に、神戸家庭裁判所姫路支部送致されました。
Aさんの両親は、逮捕の連絡を受けてすぐに少年事件に精通する弁護士に弁護を依頼しており、家庭裁判所送致後も同弁護士に付添人として動いてもらうよう頼んでいます。
(フィクションです)

捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合であっても、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を管轄の家庭裁判所送致しなければなりません。
これを「全件送致主義」と呼び、少年保護の専門機関である家庭裁判所に、少年に対して如何なる処遇が適当であるかの判断をゆだねるものです。
少年事件では、成人の刑事事件における起訴猶予や微罪処分のような捜査機関で事件が終了するといったことはありません。

被疑者段階で逮捕・勾留されている少年が家庭裁判所送致されると、家庭裁判所は、裁判所に到着したときから24時間以内に、「観護措置」をとるか否かを決定します。

観護措置について

「観護措置」は、家庭裁判所が調査・審判を行うため、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に、終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護する措置です。
観護措置には、家庭裁判所調査官の観護に付する措置(在宅観護)と、少年鑑別所に送致する措置(収容観護)の2種類がありますが、実務上前者はほとんど活用されていません。
被疑者段階で身体拘束を受けた少年については、家庭裁判所送致後も引き続き少年鑑別所に収容する観護措置がとられることが多くなっています。

調査について

家庭裁判所では、審判に付すべき少年について、事件の調査が行われます。
実施される調査には、非行事実の存否等に関する調査(法的調査)と要保護性に関する調査(社会調査)とがあります。
社会調査は、家庭裁判所の調査官によって行われます。
調査官は、少年や少年の保護者と面会したり、学校に文書等で照会を行う等して調査を行います。
調査官は、実施した調査の結果とそれに基づく処遇意見をまとめた少年調査票を作成し、裁判官に提出します。
調査官の意見は、裁判官が少年に対する処分を決定する際に参考にされるため、最終的な処遇に大きく影響します。

審判について

家庭裁判所は、調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときには、審判開始決定をしなければなりません。
観護措置がとられている事件については、調査官に対する調査命令と審判開始決定が同時になされ、審判期日が指定されるのが実務上の運営となっています。
審判開始決定がなされると、審判期日が指定されます。
審判には、裁判官、書記官、調査官、少年本人、少年の保護者、付添人が出席します。
審判では、非行事実についての審理が行われた後に、要保護性の審理が行われます。
続いて、調査官・付添人の処遇意見の陳述が行われ、少年の意見陳述が続きます。
最後に、裁判官より決定が言い渡されます。
審判にかかる時間は、非行事実に争いがなく、1回の審判で決定まで言い渡す事件の場合、40~50分程度となります。

少年事件は、成人の刑事事件とは異なる手続に基づいて処理されるため、少年事件についての相談・依頼は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

偽造有価証券行使事件で逮捕

2019-11-15

偽造有価証券行使事件で逮捕

偽造有価証券行使事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市兵庫区にある金券ショップの店長が、最近店で買い取った5千円のギフトカード10枚が偽物であることに気づきました。
店長はすぐに兵庫県兵庫警察署に通報し、同署は捜査を開始しました。
ほどなくして、警察は県内に住むAさんをはじめとした計6人を偽造有価証券行使などの疑いで逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、面会を申し入れましたが、面会することができず不安になり、刑事事件に精通する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

有価証券偽造の罪について

刑法第18章は、有価証券偽造・変造・虚偽記入等を処罰するものです。

第百六十二条 行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
2 行使の目的で、有価証券に虚偽の記入をした者も、前項と同様とする。

第百六十三条 偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。

本章における「有価証券」とは、財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につきその正面の占有を必要とするものをいいます。(最判昭32・7・25)
その証券が取引上流通性を有すると否とを問いません。
具体的には、乗車券、定期券、宝くじ、郵便為替証券などです。
他方、切手、無記名提起預金証書、郵便貯金通帳、ゴルフクラブの入会保証金預託証書は有価証券に当たらないとされます。
さて、上記ケースで問題となっている「ギフトカード」についてですが、これは、商品やサービスの購入代金支払いの際に利用するための一定金額の価値を有するカード型の金券であり、「有価証券」に該当します。

1.有価証券偽造・変造罪

本罪の構成要件的行為は、行使の目的で、有価証券を「偽造し、又は変造」することです。
偽造」とは、作成権限のない者が、他人の名義を冒用して有価証券を作成することをいいます。
形式や外観において一般人が真正な有価証券であると誤信する程度のものであることが必要となります。
「変造」とは、権限を有しない者が、真正に成立した他人名義の有価証券の非本質的部分に変更を加えることをいいます。
これもまた、一般人が真正なものとして誤信する程度の外観・形式を備えていることが必要です。
また、主観的要件として、故意の他に「行使の目的」が必要です。
「行使の目的」とは、その用法に従い、真正なものとして使用する目的をいいます。

2.有価証券虚偽記入罪

行使の目的をもって、有価証券に虚偽の記入をする罪です。
「虚偽記入」の意義について、判例は、既成の有価証券に対するかどうかにかかわらず、有価証券に真実に反する記載をするすべての行為を指すものであり、手形に関しては、基本的な振出行為を除いた、いわゆる附属的手形行為の偽造等をいうものと理解するのが相当であるとしています。

3.偽造有価証券行使等罪

本罪は、偽造もしくは変造の有価証券または虚偽の記入がある有価証券を「行使・交付・輸入」する犯罪です。
行使」は、偽造・変造または虚偽の記入をした有価証券を真正または内容の真実なものとして使用することです。(大判明44・3・31)
通貨偽造の場合と異なり、流通におくことは必要とされません。
そのため、事故の資産信用状態を誤信させるために、見せ手形として使用する場合も行使にあたります。
「交付」とは、情を知らない他人に偽造・変造または虚偽の記入をした有価証券であることの情を明かして、または情を知っている他人にこれを与えることをいいます。
なお、「交付」および「輸入」は、「行使の目的」で行われることが必要です。

以上の罪に関する法定刑は、懲役刑のみとなっており、重く処罰される可能性があります。
また、複数人で共謀し犯行に及んでいることも多く、逮捕・勾留となれば、接見禁止が付く場合もあるでしょう。

ご家族が偽造有価証券行使事件で逮捕されたら、すぐに刑事事件に精通する弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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電磁的記録不正作出の少年事件

2019-11-14

電磁的記録不正作出の少年事件

電磁的記録不正作出罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県高砂市の飲食店にアルバイトとして勤務しているAくんは、アルバイト中に客が会計に使用したクレジットカードの情報を盗み取り、スマートフォン決済サービスに登録しました。
Aくんは、家電量販店で無断で登録したスマートフォン決済サービスを使用し、商品を購入しました。
身に覚えのない支払い請求に気づいたクレジットカードの所有者が、クレジットカード会社に問い合わせたことで不正利用が発覚しました。
Aくんは、詐欺および電磁的記録不正作出・同供用の容疑で逮捕されました。
(実際の事件に基づいたフィクションです)

キャッシュレス決済は、現金を持ち歩く必要がないので、盗難や紛失といった心配がないですし、スマートフォン決済サービスはスマートフォンでQRコードを読み取るだけで決済ができるので非常に便利だと言われています。
今回ご紹介する事例は、そのスマートフォン決済サービスを悪用した事件です。
手軽に決済できる利点がある一方、情報が外に漏れると便利なサービスが悪用される可能性があるといったことが心配されます。

上記ケースでは、Aさんは詐欺罪および電磁的記録不正作出・同供用罪に問われています。
電磁的記録不正作出・同供用罪について、あまり聞き慣れない犯罪ですが、今回はこの罪についてみていきたいと思います。

電磁的記録不正作出罪・同供用罪

電磁的記録不正作出罪・同供用罪は、刑法第161条の2に規定されています。

第百六十一条の二 人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
4 前項の罪の未遂は、罰する。

1.電磁的記録不正作出罪

電磁的記録不正作出罪は、刑法第161条の2第1項および2項に規定されています。
1項は電磁的記録の不正な作出を処罰し、2項では公務所または公務員により作られる公電磁的記録について刑を加重しています。

本罪の客体は、人の事務処理の用に供する権利、義務または事実証明に関する電磁的記録です。
まず、「電磁的記録」というのは、電子的方式、時期的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録のことで、コンピューターによる情報処理の用に供されるものをいいます。
ハードディスクなどの記録媒体の上に、情報やデータが記録・保存された状態を指します。
「権利義務に関する電磁的記録」は、銀行の預金元帳ファイルの残高記録、プリペイドカードの残額記録、自動改札機用定期券の磁気記録などが含まれます。
「事実証明に関する電磁的記録」は、キャッシュカードの磁気ストライブ部分の記録、パソコン通信のホストコンピューター内の顧客データベースファイルの記録、売掛金その他の会計帳簿ファイルの記録などが含まれます。

本罪の構成要件的行為は、人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務または事実証明に関する電磁的記録を不正に作ることです。
「人の事務処理を誤らせる目的」についてですが、これは、不正に作られた電磁的記録を用いて他人の事務処理を誤らせる目的のことを意味します。
「人の事務処理」について、「人」は行為者以外のすべての者をいい、「事務処理」とは、財産上、身分上その他人の生活に影響を及ぼし得るすべての仕事をいいます。
「不正に作る」とは、事務処理を行おうとする者の意思に反して無権限あるいは権限を濫用して電磁的記録を作出することをいいます。

上記ケースについてみると、Aくんは客が提示したクレジットカードの情報を利用してスマートフォン決済サービスの登録をしました。
登録に際しては、個人情報、決済に必要な銀行口座やクレジットカードの情報を決済サービス会社に申請しなければなりません。
Aくんは、不正に入手した他人のクレジットカードの情報を自分のものかのように偽って申請しています。
ですので、Aくんは、人の事務処理(=スマートフォン決済サービス)を誤らせるために、その事務処理のために使用する事実証明に関する電磁的記録(=クレジットカードの情報)を偽って申請しスマートフォン決済サービスに登録したので、Aくんに対して電磁的記録不正作出罪が成立するものと考えられます。

2.不正作出電磁的記録供用罪

不正に作られた権利、義務または事実証明に関する電磁的記録を、人の事務処理を誤らせる目的で、人の事務処理の用に供する犯罪です。

「人の事務処理の用に供する」とは、不正に作出された電磁的記録を、人の事務処理のために、これに使用されるコンピューターにおいて用い得る状態に置くことをいいます。

少年が電磁的記録不正作出・同供用事件を起こした場合、成人の刑事事件と同様に、捜査機関に逮捕される可能性は高いでしょう。
その後、家庭裁判所に送致され、調査・審判を経て少年の更生に適した処分が決定されることになります。
少年事件の手続は、成人の刑事事件のものと異なりますので、少年事件でお困りであれば、少年事件に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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公文書偽造・同行使事件で逮捕

2019-11-13

公文書偽造・同行使事件で逮捕

公文書偽造罪同行使罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県多可郡多可町の県道を自家用車で走行していたAさんは、一旦停止を怠ったとして兵庫県西脇警察署の警察官に呼び止められました。
免許証の提示を求められたAさんは、所持していた免許証を提示しました。
しかし、実は、Aさんの免許は去年に更新時期を迎えていたにもかかわらず更新手続をしておらず、所持していた免許証は更新日を偽った不正なものだったのです。
警察官に提示した際には、不正が発覚しませんでしたが、いつか発覚するのではないかと不安になり、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

公文書偽造罪等について

公文書偽造等罪は、刑法第155条に規定されています。

第百五十五条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

上の第1項は有印公文書偽造、2項は有印公文書変造、3項は無印公文書偽造・変造に関する規定です。

公文書は、私文書と比べると証拠力が強く、公衆の信用度も高く、偽造による被害も私文書よりも大きいことが予想されるため、私文書の偽造・変造よりも重く処罰されます。

(1)有印公文書偽造罪・有印公文書変造罪

【客体】
本罪の客体は、公務所・公務員の作成すべき文書(公文書)や図画(公図画)です。
つまり、公務所・公務員がその名義をもって権限内で所定の形式に従って作成すべき文書・図画のことです。
「公務所」というのは、官公庁その他公務員が職務を行う場所のことです。
公文書の具体例としては、運転免許証、旅券、印鑑登録証明書などを挙げることができます。
運転免許証は、公安委員会が発行しますので、「公文書」にあたりますし、公安委員会の印章が使用されているので「有印」となります。
一方、公務員により作成された文書であっても、職務権限に基づいてその職務に関し作成されたものでない場合、公文書ではありません。
この点、役場書記の退職願は、職務の執行について作成すべきものではないため、公文書にはあたらないとする判例があります。(大判大10・9・24)

【構成要件的行為】
有印公文書偽造罪・有印公文書変造罪の行為は、行使の目的をもって、①公務所・公務員の印章・署名を使用して、公文書・公図画を偽造・変造すること、または、②偽造した公務所・公務員の印章・署名を使用して公文書・公図画を偽造・変造すること、です。

「印章」とは、公務所・公務員の人格を表象するために物体上に顕出された文字・符号の影蹟をいいます。
つまり、判子です。
当該公務員が公務上の印として使用するものであれば、公印、私印、職印を問いません。

「偽造」とは、作成権限を有しない者が、他人の名義を許可なく使用して文書を作成することです。
「変造」とは、真正に作成した文書に変更を加えることをいいます。
文書の本質的部分に変更を加えて、既存の文書と同一性を欠く新たな文書を作出した場合は、変造ではなく偽造または虚偽文書作成となります。

有効期限の経過した真正な運転免許証の有効期限の年月日を不正に修正した場合、「偽造」にあたると考えられます。
有印公文書変造罪も有印公文書偽造罪と同様に処罰されますので、法定刑は1年以上10年以下の懲役となり、罰金刑はありません。

【主観的要素】
有印公文書偽造罪・有印公文書変造罪は、目的犯ですので、行使の目的がなければ成立しません。
単に、観賞用に作っただけでは罪には問えません。

以上の偽造・変造された公文書を真正文書または内容の真実な文書として他人に認識させ、または認識し得る状態においた場合は、偽造公文書行使等罪が成立する可能性があります。

先述しましたが、有印公文書偽造等罪の法定刑は懲役刑のみと重いものとなっています。
有印公文書偽造等事件を起こしお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。

刑事事件(水道汚染罪)で取調べ

2019-11-12

刑事事件(水道汚染罪)で取調べ

水道汚染罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県相生市にある賃貸マンションに設置された受水槽に入り泳いでいたとして、水道設備会社の従業員AさんとBさんは、兵庫県相生警察署取り調べを受けました。
警察からは、受水槽で遊泳する行為は、水道汚染罪にあたるため刑事事件として捜査していると言われました。
今後の流れや取り調べ対応について不安を感じたAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(実際の事件に基づいたフィクションです)

受水槽で遊泳する行為は何の罪になるの?

少し前に起きた事件ですが、福岡県にある賃貸マンションの屋上に設置された受水槽で、施工を依頼した水道設備会社の従業員らが遊泳している様子を撮影した動画が流出した事件がありました。
遊び半分でやった行為だとは思いますが、このような行為も犯罪に当たる可能性があることに注意が必要です。
それでは、受水槽で遊泳する行為は、一体どのような罪に問われ得るのでしょうか。

水道汚染罪

水道汚染罪は、刑法第143条に規定されています。

第百四十三条 水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源を汚染し、よって使用することができないようにした者は、六月以上七年以下の懲役に処する。

水道汚染罪は、水道浄水またはその水源を汚染し、公衆の飲用を阻害する行為を処罰するものです。

「水道」とは、浄水をその清浄さを保ったまま一定の地域・場所に導くための人工的施設・設備をいいます。
人の飲料に適し得る程度の清潔な水を「浄水」といいます。
人工の全く加えられていない天然の水路は、そこを流下する浄水を人が飲料として使用していても水道にはあたりません。

「公衆」とは、不特定または多数人のことであり、1世帯程度では足りないと解されます。
「供給する飲料の浄水」は、水道施設・設備の中にあって供給途上にある飲料としての浄水を意味します。
また、「水源」とは、水道に流入する以前の水のことです。

「汚染」の意義についてですが、浄水を不潔にする一切の行為を含みます。
毒物など人の健康を害するような物を用いる場合は、浄水毒物等混入罪(刑法第144条)が成立することになりますので、それ以外の方法によるのであればその如何は問われません。

そして、「使用することができない」状態というのは、物理的・生理的・心理的なものであるとを問いません。
浄水に放尿する、異物を混入するといった行為は、それをそのまま飲料として使用することには抵抗があるのが一般的ですから、そのような状態にすれば、「使用することができない」と言えます。
また、一見すると特段の変化を認識することができず、供給を受けた者が汚染の事実を知らずに現に飲料として使用した場合であっても、汚染行為があったことを知ったならば、通常これを飲むことをためらうようであれば「使用することができない」状態となります。

マンションなどに設置される「受水槽」は、水道の配水管から水を引き込み、水道水を貯水する設備です。
飲料用に使われることも多く、常にメンテナンスと管理が必要です。
飲料としても使用される水道水が貯蔵された受水槽に、人が泳いでいたとしたら、その水を誰が飲みたいと思うでしょうか。
通常、そのような行為があったと知れば飲料として使用したいとは思わないですよね。
よって、受水槽で遊泳する行為が水道汚染罪に当たる可能性はあるでしょう。

軽い気持ちで遊び半分で行う行為が、実は犯罪となるなんてこともあるのです。

あなたやあなたの家族が、刑事事件で被疑者として取調べを受けてお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

住居侵入事件で不起訴

2019-11-11

住居侵入事件で不起訴

住居侵入事件で不起訴獲得に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県芦屋市のマンションのベランダに侵入したとして、兵庫県芦屋警察署は、県内に住むAさんを住居侵入の容疑で逮捕しました。
Aさんは容疑を認めていますが、接見に来た弁護士に不起訴処分について質問しています。
(フィクションです)

住居侵入罪とは

刑法
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

住居侵入罪(刑法第130条前段)は、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入した場合に成立する犯罪です。

住居侵入罪の客体:人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船
(ア)人の住居
「住居」は、人の起臥寝食に使用される場所です。
放火罪に関するものですが、判例は、人の住居に使用する建造物とは、現に人の起臥寝食の場所として日常使用される建造物をいうと解しています。(大判大2・12・24)
使用は、一時的なものでもよく、旅館やホテルなどの客室については、その利用が短時間であっても、起臥寝食に使用されるものである限り「住居」にあたるとされます。(名古屋高判昭26・3・3)
「人の」住居とは、自分が居住者でない住居という意味で、かつて移住していたとしても、住居から離脱した者が、現に居住する者の許諾なく立ち入る場合には、住居侵入罪が成立する可能性があります。
(イ)人の看守する邸宅、建造物、艦船
「人の看守する」とは、人が事実上管理、支配していることをいいます。
「邸宅」は、人の住居の用に供される家屋に付属し、主として居住者の利用に供されるために区画された場所のことで、集合住宅の通路や階段といった共有部分が該当します。
「建造物」とは、住居、邸宅以外の建造物とこれに付属する囲繞地をいいます。
また、「艦船」は、軍艦・船舶のことです。

住居侵入罪の行為:正当な理由がないのに侵入する
(ア)侵入
判例は、管理権者の意思に反した建造物への立入りをいうと解しています。(最判昭和58・4・8)
邸宅・建造物・艦船については、看守者が管理権者となり、住居については、居住者がそれとなります。
住居侵入罪の成否は、立入りについての管理権者の有効な許諾の有無によって決まるため、立入りの許諾が欺罔などによる錯誤に基づいて与えられた場合、有効な許諾が認められるかが問題となります。
この点、判例は、同意があっても、それが錯誤に基づく場合には、住居侵入罪が成立するとの立場に立っています。
例えば、被害者において顧客を装い来店した犯人の申出を信じて店内に入ることを許容したからといって、強盗殺人の目的をもって店内に入ることを承諾したとはいえないので、当該侵入行為は本罪を構成するとした判例があります。(最判昭23・5・20)
(イ)正当な理由がないのに
「正当な理由がないのに」とは、違法にという意味です。

住居侵入は、他の犯罪行為を実行する手段として行われることが多い犯罪です。
多いのが、侵入盗による窃盗罪と住居侵入罪ですが、これらの罪は牽連犯となり、その最も重い刑により処断されることになります。

住居侵入事件で不起訴を獲得するには

住居侵入事件は、住居等に侵入された被害者がいますので、被害者との示談成立に向けた活動は最も重要な弁護活動のひとつです。
被害者との示談が成立した場合には、検察官が不起訴処分で事件を処理する可能性が高くなります。
ですので、住居侵入事件で不起訴処分獲得を目指すのであれば、早期に被害者対応に着手する必要があります。
被害者との示談交渉は、当事者間で行うのではなく、弁護士を介して行うのが一般的です。

住居侵入事件を含めた刑事事件でお困りの方、被害者との示談交渉でお悩みの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

通貨偽造罪・同行使等罪で逮捕

2019-11-10

通貨偽造罪・同行使等罪で逮捕

通貨偽造罪・同行使等罪逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、自宅でインクジェットプリンターを使い、一万円札10枚を偽造し、偽造した一万円札を使用して兵庫県伊丹市にある店でブランドの時計を購入したとして、兵庫県伊丹警察署通貨偽造罪・同行使等罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

通貨偽造罪とは

10月の増税や来年のオリンピック・パラリンピックの開催を機に、キャッシュレス決済が推進される今日ですが、私たちの生活において、お金は必要不可欠です。
物やサービスを購入するためには、お金を支払う必要があります。
お金には価値があるとの信用があるからこそ、私たちの経済取引は主にお金を用いて行われています。
しかし、もしそのお金の偽物が多く出回り、お金に対する信用が失われたとしたら、私たちの生活は様々な面でうまく回らなくなってしまいます。
そこで、お金の価値やその信用性を守るため、刑法は通貨偽造の罪を規定し、通貨の偽造等を処罰の対象としています。

通貨偽造の罪としては、通貨偽造罪・同行使等罪、外国通貨偽造罪・同行使等罪、偽造通貨等収得罪、以上の罪の未遂罪、収得後知情行使罪、通貨偽造等準備罪が規定されています。
ここでは、通貨偽造罪・同行使等罪について解説します。

通貨偽造罪・同行使等罪は、刑法第148条に次のように規定されています。

第百四十八条 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

通貨偽造罪

通貨偽造罪は、行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した場合に成立する罪です。

(1)客体:通用する貨幣、紙幣又は銀行券
「通用する」とは、事実上流通していることではなく、日本において強制通用力を有するという意味です。
古銭や廃貨は強制通用力を失っているので、通貨ではありません。
「貨幣」は、いわゆる硬貨で、「紙幣」とは、政府のは行する貨幣に代用される証券のことですが、現在紙幣は発行されていません。
「銀行券」とは、政府の認許によって日本銀行が発行している貨幣に代用される証券のことで、一般に紙幣と呼ばれているのはこの銀行券です。
通貨偽造罪における「通貨」は、貨幣・紙幣・銀行券の総称です。

(2)行為:行使の目的をもって偽造し、または変造すること
行使目的の「行使」は、神聖な通貨として流通におくことです。
他人に行使させる目的でもよく、行使目的があれば偽造通貨が流通に置かれる有意な危険が発生するので、成立要件とされています。
「偽造」とは、通貨の製造・発行権限を有しない者が、一般人をして、真貨と誤信させるような外観のものを作り出すことをいいます。
ですので、真貨に似てはいるけれども、一般人の注意力をもってすれば真貨と誤認しない場合は偽造ではなく、模造となります。
また、「変造」とは、通貨の製造・発行権限を持たない者が、真貨に加工して真貨に似た物を作成することをいいます。

偽造通貨行使等罪

偽造・変造した通貨を行使、又は行使目的で人に交付し、若しくは輸入した場合に成立する罪です。

(1)客体:偽造又は変造された貨幣、紙幣又は銀行券
行使の目的をもって偽造・変造されたことを必要とせず、また、誰によって偽造・変造されたかは問われません。

(2)行為:行為、行使目的による交付、行使目的による輸入
ここでいう「行使」というのは、偽貨を真貨として流通に置くことをです。
人に対して直接行使される場合だけでなく、自動販売機での使用も行使に含まれます。
「交付」とは、偽貨であることを告げ、又は偽貨であることを知る者に偽貨の占有を移転することをいいます。
また、「輸入」は、国外から国内に搬入することをいいます。

偽造通貨行使等罪は、偽貨を真正なものとして流通に置いた時点でただちに既遂となります。

通貨偽造罪・同行使等罪は、その法定刑が「無期又は三年以上の懲役」であり、裁判員裁判対象事件です。
裁判員裁判は、通常の刑事裁判と異なる手続となりますので、早期に刑事事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。

美方郡新温泉町の往来危険事件

2019-11-09

美方郡新温泉町の往来危険事件

往来危険罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県美方郡新温泉町のJR山陰本線久谷-浜坂間で、普通電車が、線路上に置かれた石と接触し、緊急停車しました。
乗客約20名に怪我はありませんでした。
異音に気づいた運転手が、線路を確認したところ、線路脇に石の砕粉が残っていました。
兵庫県美方警察署は、何者かが故意に石を線路に置いたとみており、往来危険の疑いで捜査しています。
(実際の事件に基づいたフィクションです。)

往来危険罪とは

あまり聞き慣れない「往来危険罪」とは、どのような犯罪なのでしょうか。

往来危険罪は、刑法第125条に次のように規定されています。

第百二十五条 鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 灯台若しくは浮標を損壊し、又はその他の方法により、艦船の往来の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。

往来危険罪は、汽車・電車・艦船といった現代の主要交通機関の往来の安全を害する行為を、一般の往来妨害よりも重く処罰するものです。

「鉄道」は、レールだけでなく、構造上これと密接不可分の関係にあり、汽車、電車の走行に直接役立っているものすべて、例えば、枕木、鉄橋、トンネルなど、を含みます。
「標識」は、信号機その他運行のための目標を指します。
また、「灯台」とは、夜間、艦船の航行の利便を図るために灯火をもって示した陸上の標識であり、「浮標」とは、艦船の航行上安全か否かや、水の深さを表示する水上の目標、標示物をいいます。

往来危険罪の実行行為は、鉄道、標識、灯台、浮標を「損壊」し、またはその他の方法で、汽車、電車、艦船の往来の危険を生じさせることです。
「損壊」とは、物理的に破壊して、その効用を損なわせることをいいます。
そして、「その他の方法」とは、上の「損壊」以外の方法で、汽車、電車、艦船の往来の危険を生じさせることをいいます。
その手段や方法は問いません。
判例は、無人電車を使用する行為や、鉄道軌道上に石塊その他の障害物を置くことも「その他の方法」に当たるとしています。(大判大9・2・2)

往来危険罪の成立には、交通の妨害を生じさせた程度では足りず、交通機関の往来に危険な結果を生ずるおそれのある状態を発生させることが必要です。
つまり、汽車・電車・艦船の衝突・脱線・転覆・沈没・破壊など交通の安全を害するおそれのある状態が生じたことが必要となります。
この点、判例は、実害が発生するおそれについては、一般的可能性で足り、その必然性や蓋然性は必要ではないとしています。(大判大11・12・1)
電車の線路上に石塊をおくことにより、その上を走行した電車が脱線し横転する可能性が生じますので、上記ケースでは、損壊以外の「その他の方法」により汽車・電車の往来の危険を生じさせたと言えるでしょう。

いたずらのつもりで線路に石を置いたとしても、往来危険罪という犯罪が成立する可能性がありますので、いたずらでは済まされません。
また、往来危険罪を犯し、よって汽車・電車を転覆させたり、破壊した場合、または艦船を転覆・沈没・破壊させた場合には、より重い往来危険による汽車転覆等罪が成立する可能性があります。

往来危険事件を含めた刑事事件・少年事件でお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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失火罪で刑事事件に

2019-11-08

失火罪で刑事事件に

失火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県養父市の山林で、Aさんは焚火をしていました。
しかし、その日は風が強く、焚火の最中に火が広がり、山や他人の住宅まで延焼させてしまいました。
兵庫県養父警察署は、失火の疑いで、Aさんへの取調べを開始しました。
(フィクションです)

刑法は、第9章を「放火及び失火の罪」と題して、放火罪と失火罪について規定しています。

まず、放火罪のうち、「現住建造物等放火罪」、「非現住建造物等放火罪」、そして「建造物等以外放火罪」は次のように規定されています。

(現住建造物等放火)
第百八条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
(非現住建造物等放火)
第百九条 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
(建造物等以外放火)
第百十条 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

これら3罪に共通する実行行為である『「放火」して客体を「焼損」したこと』についてですが、「放火」とは、故意によって不正に火力を使用し物件を焼損させることをいいます。
積極的な放火行為だけでなく、判例は、事故の過失により物件を燃焼させた者が、その既発の火力により建物が焼損されることを認容する意思をもって、あえて必要かつ容易な消火措置をとらないことは、不作為の放火行為といえるとして、不作為による放火行為を認めています。
また、「焼損」の意義については、幾つかの見解が主張されていますが、判例は、火が媒介物を離れ、目的物が独立に燃焼を継続するに至った状態を損傷と解する独立燃焼説を採っています。

一方、失火罪は、次のように規定されています。

第百十六条 失火により、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を焼損した者は、五十万円以下の罰金に処する。
2 失火により、第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。

失火罪は、
失火により、現住建造物等または他人の所有に係る非現住建造物等を焼損した場合、
または、
失火により、自己が所有する非現住建造物等または建造物等以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた場合、
に成立する犯罪です。

失火」とは、過失により出火させることをいいます。
ここでいう「過失」は、火気の取扱上の落度をいい、出火して目的物を焼損するに至るべき事情があるときに、
①当該事情を認識できたにもかかわらず認識しなかったこと、
②当該事情から出火の危険性がないと軽信したこと、
により出火防止のための適切な手段をとらずに結果を生じさせたことを意味します。

重大な過失による場合は、重失火罪となり、法定刑は3年以下の禁錮または150万円以下の罰金となります。

放火罪の法定刑に比べると、失火罪は50万円以下の罰金刑となっています。

放火罪と失火罪の大きな違いは、故意に火をつけたか否かというところでありますが、先述したように、火をつけるつもりがなく不注意によって火をつけてしまった場合であっても、火災を予防・消火するための積極的措置をとらなければならない立場にいる者が、そのままでは建物等を焼損させてしまう可能性があることを分かっていながら、必要な消化措置をとらなかった、通報しなかったのであれば、「放火」に当たる可能性もあります。

放火罪・失火罪を含め刑事事件でお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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