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勾留阻止に成功する私選弁護人

2020-02-24

私選弁護人勾留阻止に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
通勤電車内で、女性(20代前半)の胸部等を触るなどのわいせつ行為をしたとして、兵庫県高砂警察署は、会社員のAさんを迷惑防止条例違反で逮捕しました。
Aさんには、パート勤務の妻と、大学進学予定の長男、高校生の長女がおり、最近ローンで家を購入したばかりです。
会社に発覚すれば解雇の可能性もあるため、Aさんは、早期に釈放してもらえないかと不安で仕方ありません。
(フィクションです)

勾留阻止に向けた活動

刑事事件を起こし逮捕されてしまった場合、「いつ釈放になるのか?」と心配になされることでしょう。
逮捕された方自身だけでなく、逮捕の連絡を受けた家族もまた、釈放の有無について気になるところでしょう。
というのも、事件のことが会社に発覚してしまうと、最悪、懲戒解雇となる可能性があるからです。
職を失ってしまえば、場合によっては再就職も難しいこともありますので、その後の生活が困窮してしまうおそれがあります。
また、家族がいる場合には、家族の生活や、子供の教育など、様々な面まで影響が及ぶ可能性もあります。

そこで重要なのが、身柄解放に向けた活動です。
逮捕後に、勾留となると、逮捕から最大で約23日間身柄が拘束されることになります。
逮捕から勾留までは、3日で決まってしまいます。
ですので、勾留が決定する前に迅速に関係各所に働きかける必要があります。

1.警察から検察に送致された場合

警察がAさんを検察に送致した場合、弁護士は、担当検察官に対して勾留請求をしないよう働きかけます。
具体的には、Aさんは勾留要件を満たしていない旨を主張した意見書を担当検察官に提出します。
意見書には、Aさん作成の誓約書、Aさんの家族作成の上申書や身元引受書を付せ、客観的に罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを主張します。
これにより、検察官が裁判官に対して勾留請求をしないよう働きかけます。

2.検察官が勾留請求した場合

上の働きかけにもかかわらず、検察官が勾留請求をした場合には、弁護士は、今度は裁判官に対して勾留決定をしないよう働きかけます。
勾留要件をを満たしていない旨を意見書を通じて裁判官に主張します。

兵庫県では、おおむね警察から検察に送致された日に勾留決定までが行われます。
勾留阻止するためには、送致から勾留決定までの間に上記の活動を行う必要があります。
このような活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

私選弁護人を選任するメリット

さて、上のような勾留阻止に向けた活動は、弁護士が担う重要な活動のひとつですが、いつ弁護人を選任することができるのでしょうか。
それは、選任する弁護人の種類によって異なります。
弁護人には、私選弁護人と国選弁護人の2種類あります。
両者の違いを簡単に言えば、前者は、被疑者・被告人が自分で弁護費用を負担しなければならないのに対して、後者は、その費用を国が負担する点です。
経済的観点から、「国選弁護人を選んだ方が得なのでは?」と思われる方もいらっしゃいますが、国選弁護人の選任にも、幾つか満たさなければならない要件があります。
国選弁護人の選任要件には、資力要件があり、資産が50万円を下回る場合です。
また、勾留状が発せられていなければ国選弁護人を選任することはできません。
つまり、勾留されて初めて、国選弁護人を選任することができるのです。
ですので、早期釈放を望む場合、勾留が決定してしまった後でしか、弁護人に身柄解放活動をお願いすることができませんので、準抗告という手段もありますが、釈放までに更に時間がかかってしまうおそれがあります。
この点、私選弁護人はいつでも選任することができますので、逮捕後すぐに身柄解放に着手してもらうことも可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こしご対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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刑事事件に強い弁護士であれば、刑事事件の流れや提出すべき書面・資料をきちんと把握していますので、素早く的確に動くことが期待されます。

覚せい剤使用の否認事件

2020-02-23

覚せい剤使用否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県尼崎市の路上をふらつきながら歩く女性Aさんを警ら中の兵庫県尼崎東警察署の警察官が発見し、職務質問を行いました。
Aさんの言動から薬物使用を疑った警察官は、Aさんを警察署に連れて行き、尿検査を実施したところ、覚せい剤の陽性反応が出ました。
Aさんは、覚せい剤取締法違反(覚せい剤使用)容疑で逮捕されましたが、Aさんは容疑を否認しています。
Aさんの供述によれば、昨夜交際相手から無理やり何等かの薬物を注射器で打たれたということです。
Aさんは、否認事件にも対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

覚せい剤使用罪

覚せい剤取締法は、覚せい剤の使用を以下の場合を除いて禁止しています。

①覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合。
②覚せい剤施用期間において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合。
③覚せい剤研究者が研究のため使用する場合。
④覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合。
⑤法令に基づいてする行為につき使用する場合。

覚せい剤使用罪が成立するための要件は、以下の通りです。
(1)法定の除外事由がないのに、
(2)覚せい剤を
(3)使用する。

「使用」の意義については、覚せい剤をその用途に従って用いる一切の行為をいうとされます。(札幌高判昭54・7・3)
その目的や方法の如何については問いません。

裁判で、「使用」に当たるとされた事例をいくつかご紹介します。
・覚せい剤結晶を、自分の虫歯の痛みを緩和させようとして、虫歯内に詰め込んで、覚せい剤を嚥下して使用した事例。(宇都宮地判昭53・2・3)
・覚せい剤若干量を含有する水溶液を、自分の膣内に注入して使用した事例。(東京地判昭55.10.21)
・覚せい剤粉末を陰部に塗布して使用した事例。(松江地判昭53・2・23)
・覚せい剤結晶性粉末を唾液で溶かして自己の亀頭、尿道口などに塗布して使用した事例。(新潟地判昭55・12・23)

さて、先ほども述べたように、覚せい剤取締法における「使用」とは、覚せい剤をその用途に従って用いる一切の行為をいいます。
そのため、他人の身体に覚せい剤を注射する行為も、その注射を受ける行為も「使用」に当たります。
一方の依頼を受けて他方が注射をした場合、注射をした者および注射をされた者との関係は、一般的に使用罪の共同正犯が成立すると考えられるでしょう。
依頼した者が、覚せい剤だと知りながら、それを自分に注射するように頼み、依頼された者もまた同様に、覚せい剤だと知りながら、それを相手方に注射している場合、両者が意思を相通じて使用罪を共同して実行したことになるからです。
しかし、一方が他方の意思に反して覚せい剤を注射した場合は、注射された者に対して使用罪は成立しません。
覚せい剤使用罪も、故意犯ですので、同罪の成立には、覚せい剤の使用を認識・認容したことが必要となります。
ですので、無理やり注射された場合、覚せい剤を使用することを認容していないので、覚せい剤使用罪は成立しないことになります。

他人から知らない間に覚せい剤を飲まされた、あるいは、無理やり覚せい剤を注射された場合には、被疑者本人に覚せい剤使用の認識・認容がなかったことを主張していくことになります。
否認事件の弁護活動は、刑事事件に精通する弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

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少年事件②:虞犯少年と触法少年

2020-02-22

虞犯少年触法少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区内の路上で、高齢女性をナイフで脅して現金1万円を奪ったとして、県内に住む14歳のAくんが強盗容疑で兵庫県灘警察署に逮捕されました。
13歳のBくんは、Aくんと共謀して事件を起こしたとして、同警察署に補導されました。
警察から連絡を受けたBくんの両親は、Bくんにどのような処分が下るのか不安になり、少年事件に詳しい弁護士に相談しています。
(フィクションです)

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、事件を起こした場合、犯行時の年齢や犯行内容によって、その後の流れは異なります。
前回のブログでは、家庭裁判所の審判対象となる非行少年のうち、「犯罪少年」について説明しました。
今回は、「触法少年」、「虞犯少年」それぞれについて説明していきます。

(2)触法少年

触法少年」とは、14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年のことをいいます。
14歳未満の者は、刑事未成年とされており、刑罰が科されることはありません。
ですので、14歳未満の者が何か刑罰法令に触れる行為を行ったとしても、犯罪は成立しません。
しかし、少年法における審判や保護処分の対象となります。

触法少年の多くが、警察官によって発見されます。
警察官は、触法少年を発見した場合、要保護児童として児童相談所へ通告するか、事件を児童相談所に送致します。
警察は、送致前に、事件の調査を行うことができ、場合によっては少年を一時保護所等に入所させた上で調査を継続することもできます。
被疑者ではないので、逮捕や捜査を行うことはできません。

触法少年については、第一次的に児童相談所による調査や福祉的措置がなされます。
家庭裁判所での審理が必要な事件については、家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所に送致された後の手続については、犯罪少年の場合と同じです。
異なる点は、次の通りです。
・家庭裁判所による観護措置の更新は1回に限られる。
・少年審判に検察官を出席させることができない。
・12歳未満は少年審判の傍聴の対象とならない。
・家庭裁判所は刑事処分を相当として検察官送致決定をすることができない。
おおむね12歳以上であれば、最終処分として少年院送致となる可能性もあります。

(3)虞犯少年

虞犯少年」は、次に挙げる虞犯事由のいずれかに該当し、かつ、その性格または環境に照らして、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年です。
【虞犯事由】
①保護者の正当な監督に服しない性癖のあること、
②正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと。
③犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること。
④自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

虞犯少年については、犯罪少年とは異なる手続が用意されています。

(a)警察官が該当補導等によって虞犯少年を発見する場合
警察官が、街頭補導や少年相談等を通じて、虞犯少年と認められる者を発見した場合、警察官は、当該少年の調査を行います。
少年が14歳以上であり、家庭裁判所の審判に付することが適当と認められるときは、少年を家庭裁判所に送致します。
少年が14歳以上18歳未満であって、保護者がいないとき、又は保護者に監護させることが不適当であると認められ、家庭裁判所に直接送致するよりも、一度児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認められる場合には、少年を児童相談所に通告します。
少年が14歳未満であり、保護者がいない又は保護者に監護をさせることが不適当であると認められる場合、少年を児童相談所に通告します。
14歳未満の虞犯少年は、都道府県知事又は児童相談所長からの送致がない限り、家庭裁判所で審判に付することができないため、まずは児童相談所に通告されます。

(b)司法警察員等が犯罪捜査の過程で虞犯少年を通告・送致する場合
司法警察員等は、14歳以上の少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑はないけれども、虞犯事件として家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
捜査の結果、嫌疑不十分と判断された場合であっても、虞犯として家庭裁判所に送致される可能性もあります。

虞犯少年が家庭裁判所に送致された後の手続は、犯罪少年等と同様です。
必要があれば観護措置がとられ、少年鑑別所に収容されることもありますし、審判の結果、少年院送致となる可能性もあります。

Bくんの場合、触法少年として、児童相談所から家庭裁判所に送致される可能性が高いでしょう。

お子様が事件を起こし、触法少年虞犯少年、犯罪少年として家庭裁判所に送致されて対応にお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件①:犯罪少年

2020-02-21

犯罪少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区内の路上で、高齢女性をナイフで脅して現金1万円を奪ったとして、県内に住む14歳のAくんが強盗容疑で兵庫県灘警察署に逮捕されました。
13歳のBくんは、Aくんと共謀して事件を起こしたとして、同警察署に補導されました。
警察から連絡を受けたBくんの両親は、Bくんにどのような処分が下るのか不安になり、少年事件に詳しい弁護士に相談しています。
(フィクションです)

少年事件の流れについて

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、事件を起こした場合、犯行時の年齢や犯行内容によって、その後の流れは異なります。
以下、家庭裁判所の審判対象となる「犯罪少年」、「触法少年」、「虞犯少年」それぞれについて説明していきます。

(1)犯罪少年

罪を犯した少年を「犯罪少年」といいます。
刑法は、14歳未満の者の行為については罰しないと定めています。
ですので、「罪を犯した」少年とは、14歳以上20歳未満で、犯罪行為を行った者を意味します。

捜査段階では、少年と成人で手続に顕著な差異はなく、少年であっても逮捕・勾留により身体拘束を強いられる可能性はあります。
特に、重大犯罪や共犯事件などは、逮捕・勾留となる可能性が高いと言えます。
少年を勾留するときは、成人と同様の勾留要件(「勾留の理由」と「勾留の必要性」)を充たしていることに加えて、「やむを得ない場合」であることが必要とされます。
少年を警察留置施設で勾留する場合でも、少年を成人とは分離して留置することになっています。
また、検察官は、刑事訴訟上の勾留要件を満たすと判断した場合でも、裁判官に対して「勾留に代わる観護措置」を請求することができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されるのですが、以下の点で勾留とは異なります。

①勾留に代わる観護措置は、少年鑑別所収容のほか、家庭裁判所調査官による観護の方法もとることができます。
②勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が請求した日から10日で、延長は出来ません。
③勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容された少年の事件が、家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。

捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、すべての事件を家庭裁判所に送致します。

勾留されている少年の事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は、裁判所に到着したときから24時間以内に、「観護措置」をとるか否かを決定します。
観護措置は、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置です。
被疑者段階で逮捕・勾留されている少年については、引き続き観護措置がとられることが多いですが、観護措置が必要ではないと判断され、観護措置がとられないケースもあります。
また、捜査段階では在宅で捜査が進められていたとしても、家庭裁判所送致後に、観護措置がとられ、少年鑑別所に収容されることもあります。

家庭裁判所は、事件を受理し、審判に付すべきか否かを判断するために、家庭調査官に対する調査命令を出します。
観護措置がとられている事件については、実務上、調査命令と審判開始決定が同時になされる運用となっています。
調査の結果、審判を開始するのが相当でないと認めるときは、審判不開始決定がなされます。
審判不開始となれば、そこで事件は終了です。

一方、審判開始決定がなされると、審判の期日が決まります。
審判までに、調査官は、少年や保護者に対して面会を行い、少年に関する社会調査を行います。
調査が終了すると、調査官は社会調査の結果を書面で裁判官に報告します。
裁判官は、調査官の報告書と捜査機関から送られてきた法律記録を参考にし、少年の更生に適した処分を決定します。
審判では、最終的に、少年に対する不処分、保護処分、または検察官送致が決定されます。

少年審判では、非行事実および要保護性が審理の対象となります。
非行事実は、刑事事件でいう公訴事実です。
要保護性とは、次の要素で構成されるものとされます。
①再非行の危険性:少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性:保護処分による矯正教育を施すことによって、再非行の危険性を除去できる可能性。
③保護相当性:保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること。

このように、審判では、非行事実および要保護性について審理されるので、非行事実が重大な罪名に該当する場合であっても、要保護性が解消されたと判断された場合には、少年院送致といった矯正施設収容の処分ではなく、保護観察処分となることもあるのです。
上のケースのように、強盗事件であっても、事件後、少年の環境調整がしっかりと行われ、要保護性が解消されたと認められれば、保護観察処分が言い渡される可能性も十分あります。

そのためにも、早い段階から少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。

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刑事事件:窃盗と器物損壊

2020-02-20

窃盗器物損壊について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、兵庫県神戸市長田区の店に勤務していましたが、解雇されました。
解雇されたことを逆恨みしていたAさんは、「看板を壊してやろう。」と思い立ち、店のスタンド看板を持ち去って、1キロほど先の公園で看板を叩き割って投棄しました。
後日、兵庫県長田警察署から連絡があり、「看板の件で話が聞きたい。」と言われ、1週間後に出頭することになりました。
Aさんは、自分の行為がどのような罪になるのか、今後どのように対応すべきか分からず不安になったので、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

盗んだ物を使用する目的がない持ち去りは何罪?

他人の物を勝手に持ち去る行為は、通常「窃盗」に当たります。
盗んだ物を使用・利用するためがほとんどですが、中には、嫌がらせ目的など使用・利用する目的以外で他人の物を持ち去るケースもあり、そう珍しいことではありません。
それでは、盗んだ物を積極的に使う目的のない場合も、窃盗罪が成立するのでしょうか。

まずは、窃盗罪(刑法第235条)についてみていきましょう。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取したこと
により成立する罪です。

◇客体:他人の財物◇

他人の占有する他人の財物が、窃盗罪の客体です。
「占有」とは、人が財産を事実上支配し、管理する状態をいいます。

◇行為:窃取◇

窃盗罪の行為は、「窃取」です。
「窃取」は、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを意味します。(大判大4・3・18)

◇主観的要件:故意と不法領得の意思◇

窃盗罪の故意は、①財物が他人の占有に属していること、および、②その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識・認容していることです。
故意は、次の「不法領得の意思」とは別の要件です。
目的物を遺失物と誤認していた場合には、窃盗の故意を書き、遺失物横領の限度でしか認められません。(東京高判昭35・7・15)
また、目的物を自己の所有物と誤認していたが、他人が占有していることを認識・認容していれば、窃盗の故意は認められます。

不法領得の意思は、条文にはありませんが、判例上認められる要件です。
不法領得の意思とは、「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」です。(最判昭26・7・13)
この不法領得の意思は、窃盗と一時使用行為や毀棄隠匿とを区別する上で重要です。

次に、器物損壊罪(刑法第261条)について説明します。

第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は、
①他人の物を
②損壊又は傷害した
場合に成立します。

◇客体:他人の物◇

器物損壊罪の客体は、他人の所有する財物で、公用文書、私用文書、建造物・艦船以外の物です。
財物には動物も含みます。

◇行為:損壊・傷害◇

「損壊」とは、広く物の効用を害することをいい、物理的に破壊するなどして効用を害する他に、事実上や感情上使用できなくさせて効用を害することも含まれます。
「傷害」は、動物を殺傷することの他、飼っている動物を逃がすなど本来の効用を失わせる行為も含みます。

◇主観的要件:故意◇

器物損壊罪の故意は、他人の財物を損壊・傷害することの認識・認容です。
窃盗罪には、故意とは別に、不法領得の意思が必要となりますが、器物損壊罪の成立には必要とされません。

さて、Aさんの行為を分析してみましょう。
Aさんは、店の看板を「壊す」ために、看板を盗み、実際に壊しています。
看板は店が所有するものですので、看板を勝手に持ち去る行為は、窃盗の行為である「窃取」に当たるでしょう。
と同時に、Aさんは店の看板を壊していますので、器物損壊の「損壊」にも該当することとなります。
それでは、Aさんの行為は、窃盗罪と器物損壊罪のどちらが成立することになるのでしょうか。
この点、不法領得の意思があるか否かが判断の分かれ目となります。
つまり、Aさんに「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」があったかどうかという点です。
「権利者を排除」する点では、窃盗器物損壊も同じですが、持ち去った物を「経済的用法に従って利用し又は処分する意思」があったか否かが判断の分かれ目です。
「経済的用法に従って利用・処分する意思」は、経済的に利益を受ける意思、その物の用途にかなった使用をする意思、財物から生じる何等かの効用を受ける意思を意味します。(最判昭33・4・17)
この点、Aさんは、解雇されたことへの逆恨みで、嫌がらせ目的で看板を持ち去り、看板を何ら使用することなく壊しているので、看板を利用する意思はなく、また何ら効用も得ていないため、不法領得の意思がなく、窃盗ではなく器物損壊が成立するものと考えられます。

どのような罪が成立するかは、事件内容によって異なることがありますので、刑事事件を起こしてお困りであれば、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

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DV事件で刑事事件に発展したら

2020-02-19

DV事件で刑事事件に発展した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県南あわじ市に住むAさんは、ある夜、妻のVさんと家計のことや子供の教育について口論となりました。
会社の飲み会で帰宅が遅くなったAさんに、Vさんは暴言を吐くので、カッとなったAさんは、Vさんに対して殴る蹴るの暴行を加えました。
Vさんは、そのまま家を出て、近所の交番に駆け込みました。
その後、警察官がAさん宅に訪れ、Aさんに事情を聞いた後、兵庫県南あわじ警察署に連れていってしまいました。
「警察に説教してもらって反省すればいいわ。」と思っていたVさんでしたが、警察からAさんを逮捕したとの連絡を受けて、驚いています。
(フィクションです)

DV事件で刑事事件に発展する可能性は?

配偶者や子供、交際相手などに暴力を振るった場合、暴行罪や傷害罪といった罪に問われる可能性があります。
一昔前までは、家庭内の問題への介入に警察は消極的でしたが、DV事件から殺人や傷害致死といった大きな事件に発展するケースが増え、今日では警察もDV事件に対して厳しく対処しています。

警察に事件が発覚する経緯としては、次のようなものが挙げられます。

●子供に暴力を振るい、身体にあざや怪我が残った場合、学校が不審に思い、児童相談所などに報告することで、事件が発覚する。
この場合、子供は児童相談所に一時保護される可能性があります。
また、児童相談所から警察に連絡がいき、警察は被疑事件として捜査を開始するでしょう。
被疑者と被害者の関係性から、身体拘束の必要性が生じ、逮捕される可能性も否定できません。

●配偶者や交際相手が、直接警察に通報・相談することで、事件が発覚する。
暴力を受けた配偶者や交際相手が、警察などに通報・相談することで、刑事事件に発展するケースも少なくありません。
診断書や被害届を提出した場合には、警察は刑事事件として捜査に着手します。
被害届を提出するケースでは、DV被害を受けた配偶者や交際相手が関係解消を望んていることが多いでしょう。
しかし、相手に反省してもらおうと警察に通報・相談した場合であっても、状況によっては駆け付けた警察官により被疑者が現行犯逮捕される可能性もあります。

DV事件で逮捕されたら

DV事件で逮捕されたら、通常の刑事事件と同様の手続を踏むことになります。
逮捕から、48時間以内に、被疑者は釈放される、若しくは、検察に送致されることになります。
検察に送致されたら、今度は検察官が被疑者の身柄を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか、あるいは勾留請求を行うかを決めます。
検察官が勾留請求した場合、裁判官は勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。

このように、逮捕から比較的短時間で勾留の有無が決まってしまいます。

配偶者や交際相手の身体拘束まで求めていない場合、長期身体拘束によって生じうる解雇等の不利益は、被疑者だけでなく被害者やその家族も被ることになってしまいます。
このように、被害者が刑事事件化や被疑者の身体拘束を望まない場合には、その旨をきちんと捜査機関や裁判所に理解してもらうことが重要です。
その結果、早期釈放や不起訴で事件を終える可能性を高めることができるでしょう。

他方、配偶者や交際相手が被疑者との関係解消を望んでおり、身体拘束について特に不利益がない場合には、逮捕後勾留となり、身体拘束が長期化する可能性があります。
しかし、相手方との示談を成立させることにより、事件を早期に終了させ、釈放となる可能性もあります。
離婚や交際関係解消が絡んだ示談交渉は、当人同士や家族同士で行うと、感情的になり上手く進まないことが多々ありますので、そのような交渉は弁護士を介して行うのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお悩みであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
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逮捕・監禁事件で逮捕

2020-02-18

逮捕監禁罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県豊岡市にある学習塾で講師をしているAさんは、兵庫県豊岡南警察署逮捕監禁の疑いで逮捕されました。
Aさんの生徒であるVさんが、Aさんに手錠で両足を固定されたまま個別指導を2時間受けたことをVさんの母親に話し、驚いた母親が豊岡南警察署に相談したことで事件が発覚しました。
警察は、早朝にAさん宅を訪れ、家宅捜索後にAさんを豊岡南警察署に連れて行きました。
自宅にいたAさんの妻は、警察から詳しいことを聞かされず、Aさんを警察署に連行した数時間後に「Aさんを逮捕した。」との連絡を受けました。
今後どうなるのか全く分からず不安に駆られたAさんの妻は、ネットで検索して刑事事件に強い弁護士に接見を依頼することにしました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

逮捕・監禁罪について

逮捕監禁罪は、刑法第220条に規定される罪です。

第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

本条の前段は逮捕罪について、後段は監禁罪について規定しています。

逮捕監禁罪の客体は、身体活動の自由を有する自然人です。
逮捕監禁罪の保護法益は、身体活動の自由ですので、意思に基づく身体の活動能力を有しない嬰児や意識喪失状態の者は逮捕監禁罪の客体には含まれません。

◇逮捕罪◇
逮捕」は、人の身体を直接的に拘束して、その身体活動の自由を奪うことです。
その方法は、縄で縛るといった有形的手段でも詐欺や脅迫などの無形的手段でも構いません。
また、不作為であってもよく、第三者や被害者自身の行為を利用する間接正犯であってもよいとされます。
逮捕」という行為に加えて、逮捕罪が成立するためには、人の身体活動の自由を奪うことについての認識が必要となります。

◇監禁罪◇
監禁」とは、人の身体を間接的に拘束して、その身体活動の自由を奪うこと、つまり、人が一定の区画された場所から脱出することを不能または著しく困難にすることをいいます。
例え、両腕を縛っていても、場所的移動の自由が害されていない限り、暴行罪は成立するとしても、逮捕罪は成立しないことになります。
監禁方法については、逮捕罪の場合と同様、有形的方法でも無形的方法でも構いません。
脱出方法があったとしても、社会通念上人が脱出するのに困難を感じさせる方法で、身体活動の自由を奪うときは、「監禁」に当たると解されます。(最決昭30・9・29)
監禁罪の成立には、逮捕罪と同様に、人の身体活動の自由を奪うことについての認識が必要となります。

◇同意と錯誤◇
場所的移動の自由が失われることについて、被害者が自由な意思により同意を与えている場合には、逮捕監禁罪は成立しません。
しかし、この同意が欺罔や偽計によって得られた場合、逮捕監禁罪が成立し得るのかが問題となります。
騙されて脱出困難な部屋に連れてこられた場合や、脱出不可能だと騙されて部屋に留まった場合に、監禁罪が成立するものと解されます。
また、判例は、場所的移動の自由が失われることについての同意が瑕疵あるものであった場合、本当のことを知っていたなら、逮捕監禁されなかった場合には同意の有効性を否定する立場をとっています。(最決昭33・3・19)

逮捕・監禁事件で逮捕されたら

逮捕監禁事件で逮捕された場合、逮捕後勾留となる可能性が高いでしょう。
特に、上記ケースのように、被疑者と被害者が学習塾の講師と生徒という関係であった場合、被疑者が被害者の連絡先や住所を把握している可能性が高く、被疑者を逮捕後に釈放することになれば、被疑者が被害者に働きかけ罪証隠滅を図るおそれがあると判断され、勾留となる可能性は高いと言えるでしょう。

とは言っても、長期間の身体拘束によって被疑者やその家族が被る影響は計り知れません。
少しでも身体拘束が短くなることを希望されるでしょう。
早期釈放のために、被疑者が釈放されても逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを検察官や裁判官に認めてもらう必要がありますので、被疑者の家族による徹底した監督が期待できることなどを主張し、勾留前であれば勾留としないよう関係先に意見し、勾留後であれば勾留決定を取消し勾留請求を却下するよう申立てを行うことが重要です。
また、被害者がいる事件ですので、早期に被害者との示談交渉に着手し、示談を締結することで事件を穏便に終了させ、釈放となる可能性を高めることも重要でしょう。

逮捕から勾留までは3日ほどで決まってしまいます。
刑事事件はスピードが重要ですので、弁護活動は刑事事件に精通する弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件で逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡

交通事件(人身事故)での身体拘束

2020-02-17

交通事件人身事故)での身体拘束の可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
自家用車を運転していたAさんは、兵庫県丹波篠山市の交差点で左折しようとしたところ、自転車で横断歩道を横断していたVさんと衝突してしまいました。
Aさんは、車を停めて、窓を開けてVさんの様子を確認しましたが、すぐに起き上がり自転車を押して横断したため、「大丈夫だったんだな。」と思い、そのまま現場を離れました。
後日、兵庫県篠山警察署の警察官がAさん宅を訪れ、過失運転致傷と道路交通法違反の容疑でAさんを逮捕しました。
Aさんの家族は、すぐに交通事件にも対応する弁護士に連絡を入れました。
(フィクションです)

交通事件(人身事故)で逮捕される場合

人身事故を起こしてしまった場合、多くのケースでは、過失運転致死傷罪に問われることになります。

過失運転致死傷罪とは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)の第5条に規定される罪です。

第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

「自動車の運転上必要な注意を怠り」とは、自動車の運転者が、自動車の各種装置を操作して、そのコントロール下において、自動車を動かす上で必要とされる注意義務を怠ることをいいます。
前方不注意やスピードの出しすぎ、周囲の歩行者や走行車両などの確認を怠ったなどは、自動車を運転する上で遵守すべき義務に違反する行為と言えるでしょう。

運転行為の中でも特に危険性の高いもので危険運転に該当する場合には、より刑罰が重い危険運転致死傷罪が適用される可能性もあります。

人身事故を起こした場合、駆け付けた警察官に現行犯逮捕される可能性が高いでしょう。
しかし、容疑を認めており、罪証隠滅や逃亡のおそれがないと判断されれば、逮捕後に勾留されずに釈放となるケースも少なくありません。
一方、人身事故を起こしたにもかかわらず、警察に通報せずに現場を離れた場合には、ひき逃げ事件とみなされ、後日犯人を特定して通常逮捕される可能性が高いでしょう。

逮捕されたら

逮捕された後の流れは、概ね次のとおりです。

●逮捕後、警察署にて取調べを受ける。
      ↓
●逮捕から48時間以内に、釈放or証拠や書類と一緒に検察庁に送致される。
      ↓
●検察庁に送致された場合、被疑者は検察庁で取調べを受ける。被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、検察官は被疑者を釈放するor勾留請求をする。
      ↓
●検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、被害者と面談の上、被疑者を勾留するor釈放するかを決める。
      ↓
●勾留請求が却下されれば釈放される。勾留となれば、勾留請求の日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束となる。

長期間の身体拘束は、被疑者のその後の生活に大きな影響を及ぼします。

そこで、逮捕された場合には、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に着手してもらうことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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往来危険事件で執行猶予判決

2020-02-16

往来危険事件における執行猶予判決獲得に向けての弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
酒に酔った勢いで、自転車を線路上に投げ入れたとして、大学生のAさんは、兵庫県加古川警察署往来危険および業務妨害の容疑で逮捕されました。
警察から、裁判になるだろうと言われているAさんは、どうなるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)

往来危険罪は重い罪

往来危険罪という罪について、あまり聞き覚えがないという方が多いのではないでしょうか。

往来危険罪は、刑法第125条に規定される罪です。

第百二十五条 鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 灯台若しくは浮標を損壊し、又はその他の方法により、艦船の往来の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。

(1)客体
●「鉄道若しくはその標識」
「鉄道」とは、レールだけでなく、構造上これと密接不可分の関係にあって、汽車、電車の走行に直接役立っているものすべてをいいます。
例えば、枕木、鉄橋、トンネルなどです。
「標識」とは、信号機その他運行のための目標をいいます。
●「灯台若しくは浮標」
「灯台」は、夜間、艦船の航行の利便を図るために、灯火をもって示した陸上の標識です。
「浮標」というのは、艦船の航行上安全か否かや水の深さを標示する水上の目標、標示物のことです。

(2)行為
●鉄道、標識、灯台、浮標を「損壊」し、またはほかの方法によって、汽車、電車、艦船の往来の危険を生じさせる。
汽車・電車の往来の危険または艦船の往来の危険を生じさせる行為であって、その手段として、鉄道やその標識の損壊、灯台や浮標の損壊、或いは他の方法と定められています。
「損壊」とは、物理的に破壊して、その効用を失わせることをいいます。
「その他の方法」とは、損壊以外の方法で汽車、電車、艦船の往来の危険を生じさせることをいい、その手段や方法は問いません。
線路上に石などの障害物を置くことも「その他の方法」に該当しますので、自転車を線路に投げ込むことも「その他の方法」に当たるでしょう。

「往来の危険」とは、汽車・電車・艦船の衝突・脱線・転覆・沈没・破壊など交通の安全を害するおそれのある状態をいいます。
往来危険罪が成立するためには、交通の妨害を生じさせた程度では足りません。
交通機関の往来に危険な結果を生ずるおそれのある状態を発生させることが必要です。
しかしながら、実害発生のおそれについては、一般的可能性で足り、その必然性や蓋然性は必要ではないと解されます。

往来危険罪の法定刑は、2年以上の有期懲役で、罰金刑は設けられていません。
このような重い刑となっているのは、交通機関の運転に従事する者や利用者の生命・身体に対する危険を生じさせるためです。

執行猶予判決を獲得するために

往来危険罪には、罰金刑が設けられていませんので、略式手続をとることができません。
検察官に起訴された場合、正式な刑事裁判が開かれることになります。
裁判では、審理が終わると、裁判官が被告人に対して有罪もしくは無罪を言い渡します。
有罪となった場合であっても、必ずしも刑が執行されるわけではありません。
刑の執行を一定期間猶予し、猶予期間内に再び罪を犯すことがなければ、刑の言渡しは効力を失う制度を「執行猶予」といいます。
刑に執行猶予が付いていれば、有罪であることには変わりありませんが、直ちに刑務所へ送られることはありません。
一方、執行猶予が付いていない刑を「実刑」といい、例えば、裁判で懲役2年の実刑が言い渡された場合、その判決が確定すれば、直ちに刑務所で服役することになります。

往来危険事件の場合、被告人が初犯であり、3年以下の懲役の言渡しをするとき、「情状により」執行猶予付き判決が言い渡される可能性があります。
「情状」というのは、検察官が起訴するかどうかを決める際や、裁判官が有罪の場合の判決で、どの程度の量刑にするかを判断する際に考慮される事情のことをです。
情状には、犯罪行為自体に関する事情(犯情)と、それ以外の事情(一般情状)とがあります。
具体的に言うと、前者には、犯行態様、犯行動機、犯行の結果、共犯関係など、後者には、その人の年齢・性格、被害弁償の有無、反省の有無、被害感情、更生・再犯の可能性などです。
公訴事実に争いがない場合には、被告人にとって有利な事情を集め、裁判で説得的に主張することが弁護人に求められる重要な弁護活動となります。

上のケースであれば、犯情については、酒に酔って行った行為であり電車の運行に支障をきたしてやろうと思ってやった行為ではない点が考えられるでしょう。
また、一般情状に関しては、被告人が反省し事件以降断酒していること、家族による監督が期待できること、被告人が学生であること、鉄道会社への被害弁償が済んでいる(被害弁償できなかった場合でも、被害弁償金を供託している)といった点が挙げられるでしょう。

ケースによって情状弁護の内容も異なりますので、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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少年事件で家庭裁判所不送致

2020-02-15

少年事件での家庭裁判所不送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市垂水区に住む高校生のAくん(16歳)は、SNSで知り合った少女に対して、商業施設のトイレ内において無理やりわいせつな行為をしたとして、兵庫県垂水警察署に強制わいせつの容疑で逮捕されました。
しかし、Aくんは相手との間に同意があったことを主張しており、暴行や脅迫など一切なかったと述べています。
Aくんの両親は、事件内容も詳しく分からず、Aくんのことが心配で、すぐに接見に行ってくれる少年事件専門弁護士に急いで連絡を入れました。
(フィクションです)

全件送致主義

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、犯罪または刑罰法令に触れる行為を行った場合、少年の年齢や行為内容によって、その後の手続の流れは異なります。
14歳以上20歳未満の少年で、罪を犯した少年を「犯罪少年」といいます。
犯罪少年が警察などの捜査機関に検挙された場合、その後は、成人の刑事事件の手続とほぼ同様の流れとなります。
つまり、逮捕された場合には、逮捕から48時間以内に釈放あるいは検察庁に送致され、検察庁に送致されると、検察官は、少年の身柄を受けてから24時間以内に釈放あるいは勾留請求を行うかを決めます。
少年事件の場合、検察官は、勾留に代えて「勾留に代わる観護措置」を請求することもできます。
検察官が勾留請求をした場合、裁判官は、少年に対して勾留するか否かを決定します。
勾留となれば、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日もの間身柄が拘束されることになります。
勾留に代わる観護措置の期間は、10日間で、延長はありません。

捜査機関は捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑はないけれども家庭裁判所の審判に付すべき事由(ぐ犯事由)がある場合には、全ての事件を家庭裁判所に送致することになっています。
このように、審判の対象となる少年については、都道府県知事または児童相談所長に送致する場合を除いて、原則として全ての事件を家庭裁判所に送致します。
これを「全件送致主義」と言います。
家庭裁判所の審判の対象となる少年とは、さきほど述べた「犯罪少年」に加えて、14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年(「触法少年」)、そして、一定の事由があり、その性格または環境に照らして、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年(「ぐ犯少年」)の3つがあります。

全件送致主義は、たとえ非行事実自体は軽微なものであっても、その背後には様々な問題が存在する場合が多く、家庭裁判所に全ての事件を送致し、そこで行われる少年に対する科学的調査を踏まえて保護処分や刑事処分のいずれが相当化を判断させるものです。

家庭裁判所不送致

しかしながら、少年の被疑事件の捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑もなく、ぐ犯少年にも該当しない場合には、不起訴処分に付されることになります。
つまり、嫌疑がない場合や嫌疑が不十分である場合には、不起訴処分となる可能性があり、その際には、事件を家庭裁判所に送致することなく終了させることになります。

少年事件においても、被疑事実を争う場合、成人の刑事事件と同様に、被疑事実を認めている場合よりも逮捕・勾留される可能性は高くなります。
被疑者として警察から呼び出しを受けているのであれば、出来る限り早期に弁護人を選任することで、身体拘束をする必要がないことを弁護人から警察に伝えてもらい、逮捕の可能性を下げることができるでしょう。
また、逮捕されてしまった場合でも、早期に弁護人を選任し、しっかりと取調べ対応のアドバイスをもらい、少年に不利な調書が作成されないよう努めることは重要です。

お子様がいきなり逮捕されお困りの方、被疑者として警察から呼び出しを受けている方は、今すぐ少年事件に詳しい弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
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