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警察官に虚偽の犯罪通報をした場合~虚偽告訴等~

2020-02-29

警察官虚偽犯罪通報をした場合に成立し得る犯罪(虚偽告訴等)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース①~
兵庫県相生市に住むAさんは、知人Vさんからお金を借りていましたが、返済の催促に嫌気がさし、Vさんを刑務所送りにすれば催促されずに済むと考えました。
Aさんは、兵庫県相生警察署に、「債権者のAさんから催促される際に暴行・脅迫を受けて困っている。」と嘘の話をしました。
兵庫県相生警察署警察官は、Vさんから任意で取り調べをするなどしていますが、AさんとVさんの話す内容が全く異なるため、警察官はもう一度Aさんに話を聞くことにしました。
(フィクションです)

~ケース②~
兵庫県相生市に住むAさんは、知人Vさんからお金を借りていましたが、返済の催促に嫌気がさし、催促をやめさせるために狂言強盗の被害に遭って有り金をすべて奪われたことにしようと考えました。
Aさんは、兵庫県相生警察署に、「知らない人に殴られて有り金を全部盗られてしまった。」との嘘の通報をしました。
Aさんからの通報を受けた兵庫県相生警察署警察官は、被害に遭ったとされる場所を探索するなどしましたが、警察官はAさんの供述を不審に思い、Aさんに一度警察署に来るよう言いました。
(フィクションです)

警察官に虚偽の犯罪通報をした場合

上記のケースは、どちらも警察官に対して虚偽犯罪通報をしています。
警察官虚偽犯罪通報をした場合、刑法上の虚偽告訴等と軽犯罪法上の虚偽申告の罪が成立する可能性がありますが、刑法上の虚偽告訴等が成立する場合、軽犯罪法上の虚偽申告は虚偽告訴等に吸収されます。
ですので、警察官への虚偽犯罪通報を行った場合、まずは刑法上の虚偽告訴等が成立するか否かを検討し、これが成立しない場合に、軽犯罪法上の虚偽親告罪が成立するかどうかを検討することになります。

まずは、虚偽告訴等が成立する場合についてみていきましょう。

(1)虚偽告訴等

刑法第百七十二条 人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。

◇行為◇
虚偽の告訴、告発その他の申告をすることです。
過去の裁判例や通説によれば、「虚偽」とは、申告の内容をなすところの刑事・懲戒処分の原因となる事実が、客観的真実に反することをいいます。(最決昭33・7・31)
「告訴」については、刑事訴訟法230条における「告訴」と同じで、犯罪の被害者その他一定の者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して、その処罰を求める意思表示をいいます。
「告発」は、刑事訴訟法239条における「告発」と同じで、犯人または告訴権者以外の第三者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告してその処罰を求める意思表示をいいます。
「申告」は、自ら進んで事実を申告することを意味するので、捜査機関や懲戒権者等の取調べを受けて虚偽の回答をすることは申告には当たらないと解されます。

◇主観的要件◇
本罪の成立には、申告すべき事実が虚偽であることの認識である「故意」の他に、「人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的」が必要となります。
「刑事処分」には、刑事罰の他、少年に対する保護処分も含まれます。
「懲戒処分」は、公法上の監督関係に基づいて科される制裁をいい、司法上のものは含まれません。
人が刑事処分、懲戒処分を受けることの意欲までは必要とされず、未必的な認識で足りるとされます。(大判昭8・2・14)

さて、ここで上のケース①およびケース②について虚偽告訴等が成立し得るのかを検討しましょう。
まず、ケース①では、Aさんは、債権者であるVさんが刑務所に入ってしまえば借金の催促から免れられると考え、警察官虚偽犯罪通報をしています。
Aさんは、Vさんが刑務所に入ること、つまり自由刑を受けさせる目的をもって虚偽犯罪通報をしていますので、Aさんに対して虚偽告訴等が成立するものと考えられます。

一方、ケース②では、「知らない人に殴られて有り金を全部盗られた」と警察官に通報しており、強盗は狂言で犯人は実在しません。
また、実在しない犯人についての犯罪通報を行っており、実在する人物に刑事処分を受けさせる目的がありません。
ですので、ケース②では、Aさんに対して虚偽告訴等は成立しないことになります。
そこで、次に、軽犯罪法上の虚偽申告に該当するか否かを検討します。

次回のブログでは、軽犯罪法上の虚偽申告について解説します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
虚偽告訴等を含めた刑事事件・少年事件を起こし、対応にお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

置き忘れた物の取得~窃盗?占有離脱物横領?~

2020-02-28

置き忘れた物取得したケースにおける窃盗占有離脱物横領の線引きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市中央区にある百貨店に買い物に来ていたVさんは、一通り買い物をした後、休憩しようと百貨店内のベンチに腰を下ろしました。
しばらくして、買い忘れた物を思い出したVさんは、5階から地下1階へと降りましたが、約10分後、商品を買おうとして、財布が入ったカバンを5階のベンチに置き忘れたことに気が付き、急いで5階に戻りました。
しかし、Vさんのカバンは見当たらず、百貨店にも相談しましたが、届けられていませんでした。
Vさんは、兵庫県生田警察署に被害届を出しました。
数日後、兵庫県生田警察署は、防犯カメラの映像から被疑者を特定し、Aさんを逮捕しました。
Aさんは、「忘れ物だと思って届けようとして持っていったが、届け出るのを忘れていた。」と供述しています。
(フィクションです)

置き忘れた物の取得は何罪?

上記ケースのように、ある人がカバンなどを置き忘れ、置き忘れたことに気が付いて元の場所に戻った時にカバンはなくなっていたということは、残念ながら少なくありません。
このような場合、カバンを盗った人にはどのような罪が成立するのでしょうか。

まず、初めに窃盗罪について考えてみましょう。

(1)窃盗罪

窃盗罪は、刑法235条に規定される罪です。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、
①他人の財物を
②窃取した
場合に成立する罪です。

◇客体◇

窃盗罪の客体は、「他人の財物」です。
「他人の財物」とは、「他人の占有する財物」を言います。
つまり、窃取時に、他人の占有下にある物のことです。
「占有」の概念についは、人が財物を事実上支配し、管理する状態をいうと解されます。
占有は、占有の事実(客観的要素)と占有の意思(主観的事実)で構成されます。
占有の事実については、占有者が財物を事実上支配している状態をいい、事実上の支配の有無の客観的な基準として、財物自体の特性、占有者の支配の意思の強弱、距離などの客観的物理的な支配関係の強弱が考慮されます。
置き忘れに関するケースの具体例に言及すると、被害者が身辺約30センチの箇所にカメラを置いたが、バスの列が進んだためカメラを置いたまま前進したが、カメラを置き忘れたことに気付き置いた場所まで戻ったが既にカメラが持ち去られた事件で、列が動き始めてからその場所に引き返すまでの時間が約5分、カメラを置いた場所と引き返した地点との距離は約19.58メートルにすぎないような場合は、未だ被害者の占有を離れたものとはいえないとした判例があります。(最判昭32.11.8)
占有の意思とは、財物を事実上支配する意欲・意思をいいます。

◇行為◇

「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。

◇主観的要件◇

窃盗罪の成立には、①財物が他人の占有に属していること、および、②その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識すること、つまり、「故意」が必要となります。
加えて、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用、処分する意思」である不法領得の意思も必要となります。

次に、占有離脱物横領罪についてみていきます。

(2)占有離脱物横領罪

占有離脱物横領罪は、刑法254条に規定されています。

第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

占有離脱物横領罪は、
①遺失物、漂流物、その他占有を離れた他人の物を
②横領したこと
により成立します。

◇客体◇

「遺失物」とは、占有者の意思によらずにその占有を離れ、いまだ誰の占有にも属していないものをいいます。
「漂流物」は、水中にある遺失物のことです。
「占有の離れた」というのは、占有者の意思に基づかないでその占有を離れたことです。

◇行為◇
「横領」とは、委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為をいいます。

さて、カバンなどを置き忘れた場合、通常その持ち主は短時間が置き忘れたことに気が付くことが多いでしょう。
ですので、他人のバックを持ち去った者は、バックの持ち主の占有を奪ってバックを窃取したとして窃盗となることが多いです。
しかし、バックの持ち主の占有が認められるか否かが微妙な場合、窃盗ではなく占有離脱物横領罪が成立する可能性があります。

窃盗ではなく、占有離脱物横領罪が成立する場合の判断の分かれ目は、犯人が他人の財物を入手した時、その財物に他人の占有が認められるか否か、です。
ここでいう「占有」は、持ち主が物を客観的に支配しているだけでなく、持ち主が物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態も含みます。
持ち主が物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻すことができる状態かどうかは、持ち主の物に対する支配の事実や占有の意思の観点から判断されます。
具体的に言えば、支配の事実の観点からは、持ち主がカバンを置き忘れてから気が付くまでの時間的、場所的接近性などが重要な要素となります。
また、占有の意思の観点からは、持ち主が物の存在していた場所をどれぐらい認識していたかなどが考慮されます。

この点、上記ケースについて考えると、Vさんはカバンのことを失念しており、その時間は10分程度ではありますが、置き忘れた場所は百貨店の5階で思い出した場所が地下であるので、気が付いた時点で置き忘れた場所にすぐに戻って取り戻せることができる時間的、場所的関係にあったとは言い難く、支配の事実の観点から、Vさんは、カバンの支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態にあったとは言えないでしょう。
そのため、カバンの占有はVさんから離れ、営業中の不特定多数の者が出入りできる百貨店のベンチに置かれたカバンは遺失物と認められ、Aさんは、遺失物であるカバンを持ち去って自分の物としているので、占有物離脱物横領罪に問われ得るものと考えられます。

窃盗占有離脱物横領など刑事事件を起こし警察に逮捕された、取調べで出頭しなければならず対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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外国人事件にも対応する弁護士③

2020-02-27

外国人事件での判決後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
研修生として日本に入国した外国籍のAさんは、在留期間を過ぎても日本で生活していました。
知り合いを通じて、偽造在留カードを取得し、Aさんは兵庫県加西市の工場に勤務していました。
ある日、兵庫県加西警察署の警察官からの職務質問を受けた際に、Aさんは持っていた偽造在留カードを提示しました。
提示された在留カードを見て不審に思った警察官が、警察署までAさんを任意同行し、事情を聞いたところ、偽造であることを認める発言をしたため、そのままAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

前回は、外国人が刑事事件を起こし逮捕された後の流れについて説明しました。
今回は、裁判で判決が言い渡された後の手続についてみていきたいと思います。

外国人事件の判決後の手続について

さて、判決後の流れはどのようになるのでしょうか。

実刑判決が言い渡された場合、外国人であっても日本人と同様に、刑務所に収監され刑に服することになります。

執行猶予判決が言い渡された場合、在留資格があるケースとないケースでその後の流れは異なります。

◇執行猶予付き判決が言い渡された場合:在留資格あり◇

被告人に在留資格がある場合、執行猶予付き判決が言い渡されれば、日本人の場合と同様に釈放となります。
ただし、薬物事犯などについては、判決確定の時点で、「有罪の判決を受けた者」として退去強制事由に該当することになります。
また、旅券法違反や入管法違反など一定の犯罪についても、刑の確定の時点で「刑に処せられた者」として、退去強制事由に該当することになります。
このように退去強制事由に該当する場合、判決時に一旦釈放され、判決が確定した後に入管に収容されることがあります。
在留資格を有している外国人が執行猶予付き判決が言い渡された場合に、退去強制事由に該当することとなるかは、当該外国人の在留資格の種類や、犯した罪の種類、言い渡された刑の内容によります。

入管法24条の退去強制事由に該当しない限り、有罪判決はその時に有している在留資格に影響することはありません。
しかし、素行不良と認定され、在留期間の更新や在留資格の変更等が困難となる場合があることに注意が必要です。

◇執行猶予付き判決が言い渡された場合:在留資格なし◇

被告人に在留資格がない場合、入管法24条4号ロに規定される退去強制事由の「在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留する者」に当たり、執行猶予付き判決が言い渡された後、直ちに入管に収容されることになります。

Aさんは、不法残留のケースですので、執行猶予付き判決が言い渡されたとしても、在留資格がないため、判決言い渡し後すぐに退去強制手続きがとられることになります。

判決に不服がある場合

言い渡された判決に納得がいかない場合には、上級裁判所に不服申立てをすることができます。
第1審判決に対しては「控訴」、控訴審判決に対しては「上訴」という手続となります。
判決言い渡しの日の翌日を初日と数え、14日以内に、上級裁判所宛ての控訴申立書または上訴申立書を、判決を言い渡した裁判所に提出しなければなりません。

外国人の場合、判決後の手続は、言い渡された判決の内容だけでなく、在留資格の有無によっても異なってきます。
刑事手続と入管の行政手続とは別個の運用されていますが、刑事裁判の結果が行政手続に影響することにもなりますので、刑事事件終了後をも見据えた弁護活動を行ってもらうよう弁護士にしっかり相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、外国人事件も含めた刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

外国人事件にも対応する弁護士②

2020-02-26

外国人が逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
研修生として日本に入国した外国籍のAさんは、在留期間を過ぎても日本で生活していました。
知り合いを通じて、偽造在留カードを取得し、Aさんは兵庫県加西市の工場に勤務していました。
ある日、兵庫県加西警察署の警察官からの職務質問を受けた際に、Aさんは持っていた偽造在留カードを提示しました。
提示された在留カードを見て不審に思った警察官が、警察署までAさんを任意同行し、事情を聞いたところ、偽造であることを認める発言をしたため、そのままAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

前回のブログでは、外国人が関与する入管法に係る事件の代表的なものをご紹介しました。
今回は、入管法関係事件で外国人が逮捕された後の流れについて説明します。

外国人が逮捕されたら

日本国内で外国人が刑事事件を起こした場合も、日本人と同様に、日本の刑事訴訟法に則って刑事手続が進みます。
ただし、次の場合は除きます。
①日本に駐在する外国の大公使、各種代表部又は外交使節団の職員で外交上特権及び免除を有する者による事件。
②アメリカ合衆国軍隊の構成員、軍属並びにその家族による事件。
③国際連合の軍隊の構成員、軍属並びにその家族による事件。

逮捕されたら、まずは警察官による取調べがあります。
逮捕から48時間以内に、警察は、被疑者を釈放する、または、証拠や関係書類と共に検察庁に送ります。
検察庁が事件を受理すると、今度は検察官による取調べがあります。
検察官は、被疑者に対する取調べ(弁解録取)をした上で、送られてきた証拠等から、勾留の理由および必要性があると考える場合には、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に裁判官に勾留を請求します。
勾留の理由も必要性もないと考える場合には、勾留請求せず、被疑者を釈放します。
検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、被疑者と面談します。
面談を終えると、裁判官は勾留の理由および必要性があるか否かを検討し、勾留の有無を判断します。
勾留となった場合、検察官が勾留請求した日から、原則10日間、延長が認められた場合には最大で20日間の身体拘束となります。
身柄事件(被疑者・被告人が拘禁されている事件)において、検察官は勾留期間中に被疑者を起訴するか否かを決めます。
この期間中に決められなかった場合には、処分保留で釈放し、不起訴とする場合には不起訴とした日に釈放します。

検察官が起訴する場合でも、公開の裁判を開くことなく、書類だけで審理が済む略式手続が採られることもあります。
その場合、勾留満期日に略式起訴をする旨が検察官が被疑者に伝え、被疑者の承諾を得ると、簡易裁判所が略式命令を発し、罰金を納めて事件が終了することになります。

一方、検察官が正式起訴すると、公開の裁判が開かれることになります。
通常の刑事裁判は、被告人が起訴事実を認めているケースであれば、1回の審理を経て、判決が言い渡されることが多く、計2回裁判所に出頭する必要があります。
起訴事実を争う場合や事件内容によっては、裁判が終結するまでに時間がかかることもあります。
裁判員裁判対象事件となれば、公判前整理手続もあり、判決までに時間がかかることが見込まれます。
しかし、単純なオーバーステイのような事件で、事実が明白で被告人も起訴事実を争わない場合には、第1回公判期日で判決の言渡しまで行うことも少なくありません。(即決裁判手続)

ただでさえ馴染みのない刑事手続で、今後自分がどんな処分を受けることになるのか不安に駆られているところ、言語・文化・習慣の違いからコミュニケーションに支障が生じ、被疑者・被告人は更なるストレスを感じることでしょう。
また、母国とは刑事司法制度が異なることから、自分の置かれている立場に不満を感じることもあるでしょう。
そんな時には、外国人事件・刑事事件に精通する弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
弊所の弁護士は、外国人事件を扱った経験もありますので、刑事手続の結果がその後の入管法の手続に与える影響を考慮し、刑事手続後の入管法の手続を踏まえた弁護活動を行います。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

外国人事件にも対応する弁護士

2020-02-25

外国人事件(不法残留、不法就労、偽造在留カード)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
研修生として日本に入国した外国籍のAさんは、在留期間を過ぎても日本で生活していました。
知り合いを通じて、偽造在留カードを取得し、Aさんは兵庫県加西市の工場に勤務していました。
ある日、兵庫県加西警察署の警察官からの職務質問を受けた際に、Aさんは持っていた偽造在留カードを提示しました。
提示された在留カードを見て不審に思った警察官が、警察署までAさんを任意同行し、事情を聞いたところ、偽造であることを認める発言をしたため、そのままAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

一昔前と比べて、町で外国から来られた方をよく見かけるようになりました。
昨年の4月には、特定技能の在留資格が新たに創設されるなど、ますます多くの外国人が日本に滞在していくものと予想されます。
それに伴い、外国人が事件に巻き込まれるケースも増加しています。
今回は、外国人が日本で生活するにあたり、特に留意すべき刑事事件として、出入国管理法に係る事件について説明します。

不法在留と不法残留

「不法在留」や「不法残留」という言葉を、一度は耳にされていることと思います。
入管法(「出入国管理及び難民認定法」の略称)が定める罰則の中でも、よくあるケースは、「不法在留」と「不法残留」です。

「不法在留」は、日本に不法に入国または上陸した者が、上陸後も引き続き日本に在留することです。
入管法70条2項は、不法在留罪の罰則について規定しており、法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金で、懲役刑等と罰金刑は併科されることがあります。

一方、「不法残留」は、在留期間の更新または変更をすることなく在留期間を経過して日本に滞在し続けることです。
いわゆる「オーバーステイ」のことです。
入国は正規の手続を踏んでいる点で不法在留とは異なります。
入管法70条1項5号は、不法在留罪の刑罰として、3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金、およびその併科を科すとしています。

また、偽りその他不正な手段により上陸許可を受けて上陸したり、在留資格の変更許可を受ける、在留期間の更新許可を受けたりした場合なども、3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金、あるいはその両方が科されることがあります。

上記ケースでは、研修生として日本にやってきたAさんは在留期間を過ぎたにもかかわらず更新等の手続をせず日本に滞在し続けている点で、「不法残留」罪に当たるでしょう。

不法就労

在留資格は、その外国人が行おうとする活動を考慮して付与されます。
取得した在留資格で日本に滞在する外国人は、与えられた在留資格に対応する活動以外の就労活動を行うことは認められていません。
在留資格に対応する活動以外の就労活動を行うと、資格外活動となり、不法就労とされ、処罰対象となります。
資格外活動を「専ら」行っていると明らかに認められる場合は、3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
また、「専ら」行っていると明らかに認められる場合ではないが、資格外活動を行った者に対して、1年以下の懲役若しくは禁錮または200万円以下の罰金を科すものとされます。
いずれも、懲役・禁錮と罰金の両方が科せられる可能性があります。

偽造在留カード

3か月を超えて滞在する外国人に対して、「在留カード」が交付され、その常時携帯義務、提示義務等が課されます。
平成21年に入管法が改正され、それまでの外国人登録制度が廃止され、在留カード制度が創設されました。
これに伴い、在留カード偽造罪等が入管法に新設されました。

在留カードに関する主な罰則は、次のとおりです。
①偽造・変造
行使の目的で、在留カードを偽造し、または変造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
未遂も処罰される。
②行使
偽造・変造の在留カードを行使した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
未遂も処罰される。
③提供・収受
行使の目的で、偽造・変造の在留カードを提供し、または収受した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
未遂も処罰される。
④所持
行使の目的で、偽造・変造の在留カードを所持した者は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
⑤準備
偽造・変造の犯罪行為の用に供する目的で、器機または原料を準備した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
⑥他人名義の在留カードの利用
他人名義の在留カードを行使した者、行使の目的で他人名義の在留カードを提供・収受・所持した者、行使の目的で自己名義の在留カードを提供した者は、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処する。
所持に係るもの以外は未遂も処罰される。

外国人が関与する入管法に係る事件の代表的なものをご紹介しました。
次回のブログでは、入管法関係事件で外国人が逮捕された後の流れについて説明します。

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勾留阻止に成功する私選弁護人

2020-02-24

私選弁護人勾留阻止に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
通勤電車内で、女性(20代前半)の胸部等を触るなどのわいせつ行為をしたとして、兵庫県高砂警察署は、会社員のAさんを迷惑防止条例違反で逮捕しました。
Aさんには、パート勤務の妻と、大学進学予定の長男、高校生の長女がおり、最近ローンで家を購入したばかりです。
会社に発覚すれば解雇の可能性もあるため、Aさんは、早期に釈放してもらえないかと不安で仕方ありません。
(フィクションです)

勾留阻止に向けた活動

刑事事件を起こし逮捕されてしまった場合、「いつ釈放になるのか?」と心配になされることでしょう。
逮捕された方自身だけでなく、逮捕の連絡を受けた家族もまた、釈放の有無について気になるところでしょう。
というのも、事件のことが会社に発覚してしまうと、最悪、懲戒解雇となる可能性があるからです。
職を失ってしまえば、場合によっては再就職も難しいこともありますので、その後の生活が困窮してしまうおそれがあります。
また、家族がいる場合には、家族の生活や、子供の教育など、様々な面まで影響が及ぶ可能性もあります。

そこで重要なのが、身柄解放に向けた活動です。
逮捕後に、勾留となると、逮捕から最大で約23日間身柄が拘束されることになります。
逮捕から勾留までは、3日で決まってしまいます。
ですので、勾留が決定する前に迅速に関係各所に働きかける必要があります。

1.警察から検察に送致された場合

警察がAさんを検察に送致した場合、弁護士は、担当検察官に対して勾留請求をしないよう働きかけます。
具体的には、Aさんは勾留要件を満たしていない旨を主張した意見書を担当検察官に提出します。
意見書には、Aさん作成の誓約書、Aさんの家族作成の上申書や身元引受書を付せ、客観的に罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを主張します。
これにより、検察官が裁判官に対して勾留請求をしないよう働きかけます。

2.検察官が勾留請求した場合

上の働きかけにもかかわらず、検察官が勾留請求をした場合には、弁護士は、今度は裁判官に対して勾留決定をしないよう働きかけます。
勾留要件をを満たしていない旨を意見書を通じて裁判官に主張します。

兵庫県では、おおむね警察から検察に送致された日に勾留決定までが行われます。
勾留阻止するためには、送致から勾留決定までの間に上記の活動を行う必要があります。
このような活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

私選弁護人を選任するメリット

さて、上のような勾留阻止に向けた活動は、弁護士が担う重要な活動のひとつですが、いつ弁護人を選任することができるのでしょうか。
それは、選任する弁護人の種類によって異なります。
弁護人には、私選弁護人と国選弁護人の2種類あります。
両者の違いを簡単に言えば、前者は、被疑者・被告人が自分で弁護費用を負担しなければならないのに対して、後者は、その費用を国が負担する点です。
経済的観点から、「国選弁護人を選んだ方が得なのでは?」と思われる方もいらっしゃいますが、国選弁護人の選任にも、幾つか満たさなければならない要件があります。
国選弁護人の選任要件には、資力要件があり、資産が50万円を下回る場合です。
また、勾留状が発せられていなければ国選弁護人を選任することはできません。
つまり、勾留されて初めて、国選弁護人を選任することができるのです。
ですので、早期釈放を望む場合、勾留が決定してしまった後でしか、弁護人に身柄解放活動をお願いすることができませんので、準抗告という手段もありますが、釈放までに更に時間がかかってしまうおそれがあります。
この点、私選弁護人はいつでも選任することができますので、逮捕後すぐに身柄解放に着手してもらうことも可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こしご対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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刑事事件に強い弁護士であれば、刑事事件の流れや提出すべき書面・資料をきちんと把握していますので、素早く的確に動くことが期待されます。

刑事事件:窃盗と器物損壊

2020-02-20

窃盗器物損壊について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、兵庫県神戸市長田区の店に勤務していましたが、解雇されました。
解雇されたことを逆恨みしていたAさんは、「看板を壊してやろう。」と思い立ち、店のスタンド看板を持ち去って、1キロほど先の公園で看板を叩き割って投棄しました。
後日、兵庫県長田警察署から連絡があり、「看板の件で話が聞きたい。」と言われ、1週間後に出頭することになりました。
Aさんは、自分の行為がどのような罪になるのか、今後どのように対応すべきか分からず不安になったので、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

盗んだ物を使用する目的がない持ち去りは何罪?

他人の物を勝手に持ち去る行為は、通常「窃盗」に当たります。
盗んだ物を使用・利用するためがほとんどですが、中には、嫌がらせ目的など使用・利用する目的以外で他人の物を持ち去るケースもあり、そう珍しいことではありません。
それでは、盗んだ物を積極的に使う目的のない場合も、窃盗罪が成立するのでしょうか。

まずは、窃盗罪(刑法第235条)についてみていきましょう。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取したこと
により成立する罪です。

◇客体:他人の財物◇

他人の占有する他人の財物が、窃盗罪の客体です。
「占有」とは、人が財産を事実上支配し、管理する状態をいいます。

◇行為:窃取◇

窃盗罪の行為は、「窃取」です。
「窃取」は、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを意味します。(大判大4・3・18)

◇主観的要件:故意と不法領得の意思◇

窃盗罪の故意は、①財物が他人の占有に属していること、および、②その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識・認容していることです。
故意は、次の「不法領得の意思」とは別の要件です。
目的物を遺失物と誤認していた場合には、窃盗の故意を書き、遺失物横領の限度でしか認められません。(東京高判昭35・7・15)
また、目的物を自己の所有物と誤認していたが、他人が占有していることを認識・認容していれば、窃盗の故意は認められます。

不法領得の意思は、条文にはありませんが、判例上認められる要件です。
不法領得の意思とは、「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」です。(最判昭26・7・13)
この不法領得の意思は、窃盗と一時使用行為や毀棄隠匿とを区別する上で重要です。

次に、器物損壊罪(刑法第261条)について説明します。

第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は、
①他人の物を
②損壊又は傷害した
場合に成立します。

◇客体:他人の物◇

器物損壊罪の客体は、他人の所有する財物で、公用文書、私用文書、建造物・艦船以外の物です。
財物には動物も含みます。

◇行為:損壊・傷害◇

「損壊」とは、広く物の効用を害することをいい、物理的に破壊するなどして効用を害する他に、事実上や感情上使用できなくさせて効用を害することも含まれます。
「傷害」は、動物を殺傷することの他、飼っている動物を逃がすなど本来の効用を失わせる行為も含みます。

◇主観的要件:故意◇

器物損壊罪の故意は、他人の財物を損壊・傷害することの認識・認容です。
窃盗罪には、故意とは別に、不法領得の意思が必要となりますが、器物損壊罪の成立には必要とされません。

さて、Aさんの行為を分析してみましょう。
Aさんは、店の看板を「壊す」ために、看板を盗み、実際に壊しています。
看板は店が所有するものですので、看板を勝手に持ち去る行為は、窃盗の行為である「窃取」に当たるでしょう。
と同時に、Aさんは店の看板を壊していますので、器物損壊の「損壊」にも該当することとなります。
それでは、Aさんの行為は、窃盗罪と器物損壊罪のどちらが成立することになるのでしょうか。
この点、不法領得の意思があるか否かが判断の分かれ目となります。
つまり、Aさんに「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」があったかどうかという点です。
「権利者を排除」する点では、窃盗器物損壊も同じですが、持ち去った物を「経済的用法に従って利用し又は処分する意思」があったか否かが判断の分かれ目です。
「経済的用法に従って利用・処分する意思」は、経済的に利益を受ける意思、その物の用途にかなった使用をする意思、財物から生じる何等かの効用を受ける意思を意味します。(最判昭33・4・17)
この点、Aさんは、解雇されたことへの逆恨みで、嫌がらせ目的で看板を持ち去り、看板を何ら使用することなく壊しているので、看板を利用する意思はなく、また何ら効用も得ていないため、不法領得の意思がなく、窃盗ではなく器物損壊が成立するものと考えられます。

どのような罪が成立するかは、事件内容によって異なることがありますので、刑事事件を起こしてお困りであれば、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

DV事件で刑事事件に発展したら

2020-02-19

DV事件で刑事事件に発展した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県南あわじ市に住むAさんは、ある夜、妻のVさんと家計のことや子供の教育について口論となりました。
会社の飲み会で帰宅が遅くなったAさんに、Vさんは暴言を吐くので、カッとなったAさんは、Vさんに対して殴る蹴るの暴行を加えました。
Vさんは、そのまま家を出て、近所の交番に駆け込みました。
その後、警察官がAさん宅に訪れ、Aさんに事情を聞いた後、兵庫県南あわじ警察署に連れていってしまいました。
「警察に説教してもらって反省すればいいわ。」と思っていたVさんでしたが、警察からAさんを逮捕したとの連絡を受けて、驚いています。
(フィクションです)

DV事件で刑事事件に発展する可能性は?

配偶者や子供、交際相手などに暴力を振るった場合、暴行罪や傷害罪といった罪に問われる可能性があります。
一昔前までは、家庭内の問題への介入に警察は消極的でしたが、DV事件から殺人や傷害致死といった大きな事件に発展するケースが増え、今日では警察もDV事件に対して厳しく対処しています。

警察に事件が発覚する経緯としては、次のようなものが挙げられます。

●子供に暴力を振るい、身体にあざや怪我が残った場合、学校が不審に思い、児童相談所などに報告することで、事件が発覚する。
この場合、子供は児童相談所に一時保護される可能性があります。
また、児童相談所から警察に連絡がいき、警察は被疑事件として捜査を開始するでしょう。
被疑者と被害者の関係性から、身体拘束の必要性が生じ、逮捕される可能性も否定できません。

●配偶者や交際相手が、直接警察に通報・相談することで、事件が発覚する。
暴力を受けた配偶者や交際相手が、警察などに通報・相談することで、刑事事件に発展するケースも少なくありません。
診断書や被害届を提出した場合には、警察は刑事事件として捜査に着手します。
被害届を提出するケースでは、DV被害を受けた配偶者や交際相手が関係解消を望んていることが多いでしょう。
しかし、相手に反省してもらおうと警察に通報・相談した場合であっても、状況によっては駆け付けた警察官により被疑者が現行犯逮捕される可能性もあります。

DV事件で逮捕されたら

DV事件で逮捕されたら、通常の刑事事件と同様の手続を踏むことになります。
逮捕から、48時間以内に、被疑者は釈放される、若しくは、検察に送致されることになります。
検察に送致されたら、今度は検察官が被疑者の身柄を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか、あるいは勾留請求を行うかを決めます。
検察官が勾留請求した場合、裁判官は勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。

このように、逮捕から比較的短時間で勾留の有無が決まってしまいます。

配偶者や交際相手の身体拘束まで求めていない場合、長期身体拘束によって生じうる解雇等の不利益は、被疑者だけでなく被害者やその家族も被ることになってしまいます。
このように、被害者が刑事事件化や被疑者の身体拘束を望まない場合には、その旨をきちんと捜査機関や裁判所に理解してもらうことが重要です。
その結果、早期釈放や不起訴で事件を終える可能性を高めることができるでしょう。

他方、配偶者や交際相手が被疑者との関係解消を望んでおり、身体拘束について特に不利益がない場合には、逮捕後勾留となり、身体拘束が長期化する可能性があります。
しかし、相手方との示談を成立させることにより、事件を早期に終了させ、釈放となる可能性もあります。
離婚や交際関係解消が絡んだ示談交渉は、当人同士や家族同士で行うと、感情的になり上手く進まないことが多々ありますので、そのような交渉は弁護士を介して行うのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお悩みであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
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逮捕・監禁事件で逮捕

2020-02-18

逮捕監禁罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県豊岡市にある学習塾で講師をしているAさんは、兵庫県豊岡南警察署逮捕監禁の疑いで逮捕されました。
Aさんの生徒であるVさんが、Aさんに手錠で両足を固定されたまま個別指導を2時間受けたことをVさんの母親に話し、驚いた母親が豊岡南警察署に相談したことで事件が発覚しました。
警察は、早朝にAさん宅を訪れ、家宅捜索後にAさんを豊岡南警察署に連れて行きました。
自宅にいたAさんの妻は、警察から詳しいことを聞かされず、Aさんを警察署に連行した数時間後に「Aさんを逮捕した。」との連絡を受けました。
今後どうなるのか全く分からず不安に駆られたAさんの妻は、ネットで検索して刑事事件に強い弁護士に接見を依頼することにしました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

逮捕・監禁罪について

逮捕監禁罪は、刑法第220条に規定される罪です。

第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

本条の前段は逮捕罪について、後段は監禁罪について規定しています。

逮捕監禁罪の客体は、身体活動の自由を有する自然人です。
逮捕監禁罪の保護法益は、身体活動の自由ですので、意思に基づく身体の活動能力を有しない嬰児や意識喪失状態の者は逮捕監禁罪の客体には含まれません。

◇逮捕罪◇
逮捕」は、人の身体を直接的に拘束して、その身体活動の自由を奪うことです。
その方法は、縄で縛るといった有形的手段でも詐欺や脅迫などの無形的手段でも構いません。
また、不作為であってもよく、第三者や被害者自身の行為を利用する間接正犯であってもよいとされます。
逮捕」という行為に加えて、逮捕罪が成立するためには、人の身体活動の自由を奪うことについての認識が必要となります。

◇監禁罪◇
監禁」とは、人の身体を間接的に拘束して、その身体活動の自由を奪うこと、つまり、人が一定の区画された場所から脱出することを不能または著しく困難にすることをいいます。
例え、両腕を縛っていても、場所的移動の自由が害されていない限り、暴行罪は成立するとしても、逮捕罪は成立しないことになります。
監禁方法については、逮捕罪の場合と同様、有形的方法でも無形的方法でも構いません。
脱出方法があったとしても、社会通念上人が脱出するのに困難を感じさせる方法で、身体活動の自由を奪うときは、「監禁」に当たると解されます。(最決昭30・9・29)
監禁罪の成立には、逮捕罪と同様に、人の身体活動の自由を奪うことについての認識が必要となります。

◇同意と錯誤◇
場所的移動の自由が失われることについて、被害者が自由な意思により同意を与えている場合には、逮捕監禁罪は成立しません。
しかし、この同意が欺罔や偽計によって得られた場合、逮捕監禁罪が成立し得るのかが問題となります。
騙されて脱出困難な部屋に連れてこられた場合や、脱出不可能だと騙されて部屋に留まった場合に、監禁罪が成立するものと解されます。
また、判例は、場所的移動の自由が失われることについての同意が瑕疵あるものであった場合、本当のことを知っていたなら、逮捕監禁されなかった場合には同意の有効性を否定する立場をとっています。(最決昭33・3・19)

逮捕・監禁事件で逮捕されたら

逮捕監禁事件で逮捕された場合、逮捕後勾留となる可能性が高いでしょう。
特に、上記ケースのように、被疑者と被害者が学習塾の講師と生徒という関係であった場合、被疑者が被害者の連絡先や住所を把握している可能性が高く、被疑者を逮捕後に釈放することになれば、被疑者が被害者に働きかけ罪証隠滅を図るおそれがあると判断され、勾留となる可能性は高いと言えるでしょう。

とは言っても、長期間の身体拘束によって被疑者やその家族が被る影響は計り知れません。
少しでも身体拘束が短くなることを希望されるでしょう。
早期釈放のために、被疑者が釈放されても逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを検察官や裁判官に認めてもらう必要がありますので、被疑者の家族による徹底した監督が期待できることなどを主張し、勾留前であれば勾留としないよう関係先に意見し、勾留後であれば勾留決定を取消し勾留請求を却下するよう申立てを行うことが重要です。
また、被害者がいる事件ですので、早期に被害者との示談交渉に着手し、示談を締結することで事件を穏便に終了させ、釈放となる可能性を高めることも重要でしょう。

逮捕から勾留までは3日ほどで決まってしまいます。
刑事事件はスピードが重要ですので、弁護活動は刑事事件に精通する弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件で逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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交通事件(人身事故)での身体拘束

2020-02-17

交通事件人身事故)での身体拘束の可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
自家用車を運転していたAさんは、兵庫県丹波篠山市の交差点で左折しようとしたところ、自転車で横断歩道を横断していたVさんと衝突してしまいました。
Aさんは、車を停めて、窓を開けてVさんの様子を確認しましたが、すぐに起き上がり自転車を押して横断したため、「大丈夫だったんだな。」と思い、そのまま現場を離れました。
後日、兵庫県篠山警察署の警察官がAさん宅を訪れ、過失運転致傷と道路交通法違反の容疑でAさんを逮捕しました。
Aさんの家族は、すぐに交通事件にも対応する弁護士に連絡を入れました。
(フィクションです)

交通事件(人身事故)で逮捕される場合

人身事故を起こしてしまった場合、多くのケースでは、過失運転致死傷罪に問われることになります。

過失運転致死傷罪とは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)の第5条に規定される罪です。

第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

「自動車の運転上必要な注意を怠り」とは、自動車の運転者が、自動車の各種装置を操作して、そのコントロール下において、自動車を動かす上で必要とされる注意義務を怠ることをいいます。
前方不注意やスピードの出しすぎ、周囲の歩行者や走行車両などの確認を怠ったなどは、自動車を運転する上で遵守すべき義務に違反する行為と言えるでしょう。

運転行為の中でも特に危険性の高いもので危険運転に該当する場合には、より刑罰が重い危険運転致死傷罪が適用される可能性もあります。

人身事故を起こした場合、駆け付けた警察官に現行犯逮捕される可能性が高いでしょう。
しかし、容疑を認めており、罪証隠滅や逃亡のおそれがないと判断されれば、逮捕後に勾留されずに釈放となるケースも少なくありません。
一方、人身事故を起こしたにもかかわらず、警察に通報せずに現場を離れた場合には、ひき逃げ事件とみなされ、後日犯人を特定して通常逮捕される可能性が高いでしょう。

逮捕されたら

逮捕された後の流れは、概ね次のとおりです。

●逮捕後、警察署にて取調べを受ける。
      ↓
●逮捕から48時間以内に、釈放or証拠や書類と一緒に検察庁に送致される。
      ↓
●検察庁に送致された場合、被疑者は検察庁で取調べを受ける。被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、検察官は被疑者を釈放するor勾留請求をする。
      ↓
●検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、被害者と面談の上、被疑者を勾留するor釈放するかを決める。
      ↓
●勾留請求が却下されれば釈放される。勾留となれば、勾留請求の日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束となる。

長期間の身体拘束は、被疑者のその後の生活に大きな影響を及ぼします。

そこで、逮捕された場合には、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に着手してもらうことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

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